この記事では、建設キャリアアップシステムについて解説していきます。
また、建設キャリアアップシステムにおける、「技能者判定」と「事業所負担」についても合わせて解説していきます。
建設業界に携わっている方は、恐らく「建設キャリアアップシステム」という言葉について耳にしたことがあるのではないかと思います。
ですが、このシステムに登録することでどのようなメリットが得られるのかは分からないですよね。
そこで、建設キャリアアップシステムに登録するとどのようなメリットがあるのか、逆にデメリットはどんなことがあるのか解説してきたいと思います。
建設キャリアアップシステムとは?
まず、建設キャリアアップシステムとは、どういうものか解説していきます。
建設キャリアアップシステムの概要と費用

建設キャリアアップシステムの概要
「建設キャリアアップシステム」とは、2019年10月から国が主導となって始めたシステムを指します。
このシステムは、技能者の就業履歴や保有資格などを業界統一のルールで記録し、管理していくものです。
令和4年現在の登録者数は?
2019年4月に本格稼働が始まったCCUSですが、この令和4年10月末の時点で技能者登録数が1,024,269人となり100万人を突破いたしました。とありましたが、建設業の従事者数は500万人以上で技能者は330万人ということでまだまだ半分も行っていない感じですね
建設キャリアアップシステムを利用することで、転々と仕事現場を移動しなければならない技術者のキャリアや保有資格を「見える化」することができます。
登録については、義務ではなく任意となっています。
ただし、外国人労働者を雇用する場合は義務化されています。
建設キャリアアップシステムの費用(管理者ID利用料)
尚、費用については、事業所の規模によって異なります。
資本金 | 登録料(年間) |
---|---|
1人親方 | 0 |
個人事業主 | 6,000 |
500万円未満 | 6,000 |
500 万円以上 1,000 万円未満 | 12,000 |
1,000 万円以上 2,000 万円未満 | 24,000 |
2,000 万円以上 5,000 万円未満 | 48,000 |
5,000 万円以上 1 億円未満 | 60,000 |
1 億円以上 3 億円未満 | 120,000 |
3 億円以上 10 億円未満 | 240,000 |
10 億円以上 50 億円未満 | 480,000 |
50 億円以上 100 億円未満 | 600,000 |
100 億円以上 500 億円未満 | 1,200,000 |
500 億円以上 | 2,400,000 |
また、登録料以外にも、管理者ID利用料というものを事業者は毎年支払う必要があります(1IDあたり11,400円)。
この管理者IDは事業者登録した事業者に1つ必ず与えられるIDになりますので、事業者がシステムを利用する為には、最低でもこの登録料と管理者ID利用料を負担しなければならないのです。
建サポ『建設キャリアアップシステムのメリットとデメリットを徹底解説!』
建設キャリアアップシステムの目的
では、建設キャリアアップシステムが立ち上げられ、利用する目的について解説していきます。
技能者のキャリアを客観的に見ることができる
事業者は事業者登録をすることで利用できる専用タブレットから現場で働く技能者のキャリアを把握することができます。
また、建設キャリアアップシステム独自の評価基準によってカードの色でも技能者それぞれの能力を把握することができるようになっています。
このように客観的にみられることで、現場の見積もりや請求時のエビデンスとして活用することができたり、書類削減といった作業外の事務的作業を削減するなどといった効果をもたらしてくれます。
将来的な技能者不足の軽減
建設業界では年々、技能者の年齢層が上がっていることや、現場に携わる技能者が減っているなど深刻な人手不足が問題となっています。
しかし、建設キャリアアップシステムで技術者情報を把握しておくことで、就業実績や保有資格によって適切に現場へ送ることができるようになります。
事業者の業務負担を軽減
建設現場を転々と移動して働くため、技能者のキャリアや能力を把握・評価することが難しいという問題がありました。
しかし、建設キャリアアップシステムを利用することで技能者それぞれのキャリアを一括把握することができるようになりました。
そのため技能者それぞれに対して、事業者がキャリアを地道に把握しなければならない手間が省け、効率よく作業スピードを速められるなどのメリットを受けることができます。
建設キャリアアップシステムにおける技能者判定

建設キャリアアップシステムにおいて、技能者の能力を判別するには「技能者判定」という一律に定められた評価を利用して判断します。
この評価は職種それぞれで定められており、条件を満たすごとに評価がアップし、カードに色が変わっていきます。
職種それぞれの能力評価基準についてはこちらから参考にしてみてください。
建設キャリアアップシステムと外国人採用
外国人を技能者として採用するためには、建設キャリアアップシステムに登録する義務が課せられています。
特に、特定技能に定められている職種については日本人と同等以上の評価を受けることができ、賃金格差を是正することができます。
令和5年以降は更に加入が加速される?
このように国土交通省からも民間事業者へのハウスメーカーなどに対しても加入を推進されてきてるので、そのうち全員が保持するようになりますね。
主な民間発注者団体の長 あて通知(国土交通省土地・建設産業局建設業課長(国土入企第4 号、令和2年4月1日))
1. (略) 建設キャリアアップシステムの現場での活用を促進するためには、民間発注工事においても、元請事業者による現場登録とカードリーダーの設置や、施工体制に参画する下請事業者による施工体制登録等の円滑な実施など、建設キャリアアップシステムの活用に向けた環境整備が進められることが重要です。
今後、国土交通省及び建設業界を挙げて、建設キャリアアップシステムを建設業界共通の制度インフラとし、公共
工事・民間工事を問わず、その完全活用の実現を目指す取組を加速することとしていますので、民間発注工事においても、元請事業者及び下請事業者による建設キャリアアップシステムの活用や、工事に従事する技能者がカードを利用できる環境整備が図られるよう、元請事業者による現場登録やカードリーダーの設置などについて、必要に応じて適宜ご配慮をお願いするとともに、元請事業者はじめ建設企業等への普及啓発や理解促進にご協力をいただくようお願いします
そのため、建設キャリアアップシステムを採用しておくことで、外国人の能力評価を客観的に知ることができます。
特定技能1号外国人として採用できる職種を建設キャリアアップシステム内の技能者能力判定と共に挙げてみましたので参考にしてみてください。
建設キャリアップでの賃金モデルはこちら
賃金モデルがこちらになりますが、全部の職種にない感じです。技能者の賃金向上といいながら賃金モデルが確立してないのは、何か・・・普及に行き詰まりを感じますね

建設キャリアアップ | 関連外国人採用 | 備考 |
とび技能者 | とび職 | |
建築大工技能者 | 建築大工 | |
配管技能者 | 配管工 | |
建築板金技能者 | 建築板金 | |
保温保冷技能者 | 保温保冷 | |
海洋起重技能者 | 海洋土木 | |
重機土工 | 重機土工 | |
左官技能者 | 左官 | |
コンクリート圧送技能者 | コンクリート圧送 | |
トンネル技能者 | トンネル推進工 | |
土工技能者 | 土工 | |
電気工事技能者 | 電気通信 | |
鉄筋技能者 | 鉄筋施工 | |
鉄筋継手技能者 | 鉄筋継手 | |
内装仕上げ/表装技能者 | 内装仕上げ/表装 |
では次に、建設キャリアアップのメリットとデメリットがどのようなものがあるかをまとめていきたいと思います。
そのメリットとデメリットはどのようなものなのか是非チェックしてみてください。
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