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建設キャリアアップシステムとは?技能者判定と事業者負担について

2021年7月8日CCUS,建設キャリアアップ(外国人雇用)

この記事では、建設キャリアアップシステムについて解説していきます。

また、建設キャリアアップシステムにおける、「技能者判定」と「事業所負担」についても合わせて解説していきます。

建設業界に携わっている方は、恐らく「建設キャリアアップシステム」という言葉について耳にしたことがあるのではないかと思います。

ですが、このシステムに登録することでどのようなメリットが得られるのかは分からないですよね。

そこで、建設キャリアアップシステムに登録するとどのようなメリットがあるのか、逆にデメリットはどんなことがあるのか解説してきたいと思います。

建設キャリアアップシステムとは?

まず、建設キャリアアップシステムとは、どういうものか解説していきます。

建設キャリアアップシステムの概要と費用

引用:国土交通省

建設キャリアアップシステムの概要

「建設キャリアアップシステム」とは、2019年10月から国が主導となって始めたシステムを指します。

このシステムは、技能者の就業履歴や保有資格などを業界統一のルールで記録し、管理していくものです。

建設キャリアアップシステムを利用することで、転々と仕事現場を移動しなければならない技術者のキャリアや保有資格を「見える化」することができます。

登録については、義務ではなく任意となっています。

ただし、外国人労働者を雇用する場合は義務化されています。

建設キャリアアップシステムの費用(管理者ID利用料)

建設キャリアアップシステムに登録する際は、費用がかかります。

尚、費用については、事業所の規模によって異なります。

資本金登録料(年間)
1人親方0
個人事業主6,000
500万円未満6,000
500 万円以上 1,000 万円未満 12,000
1,000 万円以上 2,000 万円未満 24,000
2,000 万円以上 5,000 万円未満48,000
5,000 万円以上 1 億円未満 60,000
1 億円以上 3 億円未満120,000
3 億円以上 10 億円未満240,000
10 億円以上 50 億円未満480,000
50 億円以上 100 億円未満600,000
100 億円以上 500 億円未満1,200,000
500 億円以上2,400,000
建サポ『建設キャリアアップシステムのメリットとデメリットを徹底解説!』

また、登録料以外にも、管理者ID利用料というものを事業者は毎年支払う必要があります(1IDあたり11,400円)。

この管理者IDは事業者登録した事業者に1つ必ず与えられるIDになりますので、事業者がシステムを利用する為には、最低でもこの登録料と管理者ID利用料を負担しなければならないのです。

建サポ『建設キャリアアップシステムのメリットとデメリットを徹底解説!』

建設キャリアアップシステムの目的

では、建設キャリアアップシステムが立ち上げられ、利用する目的について解説していきます。

技能者のキャリアを客観的に見ることができる

事業者は事業者登録をすることで利用できる専用タブレットから現場で働く技能者のキャリアを把握することができます。

また、建設キャリアアップシステム独自の評価基準によってカードの色でも技能者それぞれの能力を把握することができるようになっています。

このように客観的にみられることで、現場の見積もりや請求時のエビデンスとして活用することができたり、書類削減といった作業外の事務的作業を削減するなどといった効果をもたらしてくれます。

将来的な技能者不足の軽減

建設業界では年々、技能者の年齢層が上がっていることや、現場に携わる技能者が減っているなど深刻な人手不足が問題となっています。

しかし、建設キャリアアップシステムで技術者情報を把握しておくことで、就業実績や保有資格によって適切に現場へ送ることができるようになります。

事業者の業務負担を軽減

建設現場を転々と移動して働くため、技能者のキャリアや能力を把握・評価することが難しいという問題がありました。

しかし、建設キャリアアップシステムを利用することで技能者それぞれのキャリアを一括把握することができるようになりました。

そのため技能者それぞれに対して、事業者がキャリアを地道に把握しなければならない手間が省け、効率よく作業スピードを速められるなどのメリットを受けることができます。

建設キャリアアップシステムにおける技能者判定

引用:国土交通省

建設キャリアアップシステムにおいて、技能者の能力を判別するには「技能者判定」という日一律に定められた評価を利用して判断します。

この評価は職種それぞれで定められており、条件を満たすごとに評価がアップし、カードに色が変わっていきます。

職種それぞれの能力評価基準についてはこちらから参考にしてみてください。

建設キャリアアップシステムと外国人採用

外国人労働者はさらに費用がかさむ、、、

外国人を技能者として採用するためには、建設キャリアアップシステムに登録する義務が課せられています。

特に、特定技能に定められている職種については日本人と同等以上の評価を受けることができ、賃金格差を是正することができます。

そのため、建設キャリアアップシステムを採用しておくことで、外国人の能力評価を客観的に知ることができます。

特定技能1号外国人として採用できる職種を建設キャリアアップシステム内の技能者能力判定と共に挙げてみましたので参考にしてみてください。

建設キャリアアップ関連外国人採用備考
とび技能者とび職
建築大工技能者建築大工
配管技能者配管工
建築板金技能者建築板金
保温保冷技能者保温保冷
海洋起重技能者海洋土木
重機土工重機土工
左官技能者左官
コンクリート圧送技能者コンクリート圧送
トンネル技能者トンネル推進工
土工技能者土工
電気工事技能者電気通信
鉄筋技能者鉄筋施工
鉄筋継手技能者鉄筋継手
内装仕上げ/表装技能者内装仕上げ/表装
建設業で特定技能外国人を採用するには?

建設キャリアアップシステムのメリット

では、この建設キャリアアップシステムに登録するとどんなメリットがあるのか解説していきます。

技能者側のメリット

技能者側のメリットとしては、

  • 技能を適正に評価されるので現状の処遇を改善することができる
  • 技能者自身のキャリアを簡単に証明できる
  • 退職時の建退共掛け金を漏れなく積み立ててくれる

※建退共掛け金とは

建設業を営む事業主の方が、対象となる雇用者の方々の共済手帳に、働いた日数に応じて、掛金となる共済証紙を貼り、その方々が建設業で働くことをやめたときに、独立行政法人勤労者退職金共済機構・建設業退職金共済事業本部(建退共)から退職金が支払われます。

厚生労働省『建設業退職金共済制度』

この建退共掛け金が正確に積み立てられていないという課題があったため、建設キャリアアップシステムに導入されることとなりました。

この制度は2023年度を目途に建設キャリアアップシステムにおいて原則化される予定となっています。

事業者側のメリット

事業者側のメリットとしては、

  • 公共事業の加点になる自治体がある
  • 経営審査事項の加点になる
  • 技能者の施工能力や初回保険加入状況が分かる
  • 技能者の出面管理が簡易になり支払い賃金根拠も明確にできる

元請業者としては、

  • 現場管理も効率化を図れる
  • 事務作業の手間が省ける

という点が挙げられます。

公共事業の加点になる自治体とは?

加点とは、「工事成績評定」において、主に公共事業の工事が完成した段階で発注者が工事ごとの施工状況や出来具合、技術提案などを採点する際の評定を指します。

この工事成績評定で評価されている事業者は、国土交通省のサイトでランキング形式に公表されているので発注者側はこれを閲覧し、成績の良い事業者に発注を頼む、という流れに繋がるのです。

つまり、このような評価を建設キャリアアップシステムに加入している事業者に対して、公共事業を行う際には加点をしてくれる自治体がある、ということです。

経営審査事項とは?

経営審査事項とは、公共事業を発注者から請け負う際に必ず受けなければならない審査のことです。

審査は、主観的事項と経営状況・経営規模・技術力・その他の審査項目(社会性等)といった客観的事項と合わせて数値化し、順位・格付けがされます。

つまり、建設キャリアアップシステムに加入していることで、審査評価に加点される、ということです。

建設キャリアアップシステムのデメリット

技能者を抱えている事業者ほど負担が大きくなる、、、、?

技能者側のデメリット

  • 登録の手間がかかる
  • 登録料が10年に1回かかる

この登録料は2,500円の技能者登録料がかかることを指します。

つまり、この費用は一人当たりにかかるので、技能者を抱えている事業者ほど負担が大きくなる、というデメリットがあります。

事業者側からのデメリット(事業者負担)

  • 登録料が5年に1回かかる
  • 管理者ID利用料が毎年かかる
  • 登録の手間がある

元請業者としては、

  • 現場利用料がかかる(利用頻度に応じて)
  • 登録の手間がかかる

技術者・事業者共に登録の手間がかかること、登録料や管理者ID利用料がかかることが主なデメリットとなっています。

資本金が大きい事業者ほど、大きな負担となるかなと思います。

ちなみに、現場利用料とは、カードリーダーをかざして技術者のICカード情報を読み取る際に料金が発生します。

この現場利用料は、1日1回カードリーダーをかざす度に10円かかるようになっています。

例えば、1日当たり30人で現場に当たるとします。

  • 30×10=300円
  • 300円×30日=9000円

となります。

工事の規模や技術者の人数によっては、この現場利用料は大きな負担となりますので、元請業者としては、結構なデメリットになるかもしれませんね。

建設キャリアアップシステムの申請方法

引用:国土交通省

前提として、技能者個人がシステムに登録する場合は、事業者もシステムにあらかじめ登録しなければ技術者登録はできません。

登録申請の審査には、1カ月~3カ月ほどかかります。

登録する手順としては、事業者登録を済ませてから技能者登録をするようにしましょう。

まとめー建設キャリアアップシステムは登録するべき?ー

ズバリ、公共事業の受注が多い事業者は、利用することをおすすめします。

先述したように公共事業の入札に参加している事業者にとって建設キャリアアップシステムが加点対象となることは、大きなメリットになりうるシステムです。

つまり、公共事業の受注が多い事業者は建設キャリアアップシステムを利用することで事業拡大への糧にもなるといえます。

ただ、導入した方が経営が成り立たなくなる可能性があるのであれば、導入しなくてもよいのではないかと思います。

しかし、今後導入する事業者が増加していくと義務でなかったのに入らざるをえなくなったなんてことがあるかもしれません。

今後の動向を探りながら検討していくようにしましょう。