クレーン作業半径確認のために必須の定格荷重表について玉掛の基礎知識

この記事では、鉄筋の比重から質量を求める方法と重さからわかる玉掛ワイヤーの選び方、さらにクレーンの定格荷重について解説していきます。

恐らく鉄筋工事の現場でクレーン操作をするときに悩むことといえば、鉄筋の比重を考えた玉掛け作業ではないでしょうか。

今度鉄筋工事の現場でクレーン操作をするから、しっかり作業の仕方を勉強しとこうと、考えているけど一体なにから学べばいいのかわからないですよね。

現場ではクレーンの操作や玉掛作業などは日常的に行われる作業になりますが、作業計画や日々の安全管理をする中で鉄筋の比重などは目方でいくらとかすぐに判断しないとなりません。

そこで、今回は鉄筋の比重から質量を求める方法と重さからどの玉掛けワイヤーを選ぶのか解説していきます。

また、クレーンの的確比重についても合わせて解説していきます。

玉掛け作業時に考える鉄筋の重さ確認方法

玉掛け作業時に考える鉄筋の重さ確認方法
玉掛け作業時に考える鉄筋の重さ確認方法

鉄筋工事は長物を取り扱う作業で、1本1本は細くて軽そうに見えますが、鉄の塊です。

重量を知ることによって玉掛作業やクレーン作業を安全に行うことができます。

今回はこの内容を実際にわかりやすくまとめてみました。

前提条件:鉄筋工事で使用する異形鉄筋とは?

鉄筋工事で使用するSD345という鉄筋は「異形鉄筋」にくくられ、JIS規格品の鉄筋を使用します。

「異形」とついているのでいびつな鉄筋なのでは?と思うかもしれませんが、SDの部分を直訳すると分かります。

SD=「Steel Deformed bar」の頭文字になり、直訳すると「変形された鋼棒」となります。

つまり、変形されている→異形な鉄筋→異形鉄筋というわけです。

ここからは鉄筋=異形鉄筋SD345であることを頭に入れた状態で記事を読み進めてください。

確実に鉄筋単位質量を把握するための手順

まず、前提として鉄筋の重さを算出する計算方法は以下の通りです。

例えば、ホームセンターでD13鉄筋が4.0mで売られていたとします。

その重さは一体いくつでしょうか?

【長さ】4.0m×【比重】0.995kg/m=【重さ】3.98kg

約4.0キログラムになります。10本を担ぐとしたら40キロの重さになるということです

もう一つのパターンで考えてみましょう。

現場に鉄筋が100本5.5mで入ってきたら異形鉄筋がD16の長物とします。その全体の重さは一体どのくらいになるのでしょうか?

【長さ】5.5m×【比重】1.56kg/m

=【重さ】8.58kg×【本数】100本になるので858kg(0.86t)になります。

つまり鉄筋の単位質量【比重】を把握することで目方の数量を算出出来ます。

異形鉄筋単位質量と比重の謎解き:SD345(鉄筋)の実際の重さ

下の表は鉄筋それぞれの長さに合わせた質量などをまとめたものです。

是非、算出するときは参考にしてみてください。

呼び名公称直径(d)mm公称周長(Icm公称断面積(S)cm2重量(単位質量)kg/m
D44.231.30.14050.110
D55.291.70.21980.173
D66.352.00.31670.249
D87.942.50.49510.389
D109.533.00.71330.560
D1312.74.01.2670.995
D1615.95.01.9861.56
D1919.16.02.8652.25
D2222.27.03.8713.04
D2525.48.05.0673.98
D2928.69.06.4245.04
D3231.810.07.9426.23
D3534.911.09.5667.51
D3838.112.011.408.95
D4141.313.013.4010.5
D5150.816.020.2715.9

このように鉄筋それぞれで質量を算出した状態を把握することでより安全な作業を進めることができます。

鉄筋工としての知識を知っておくうえで、こうした質量の算出は重要な知識なので是非覚えておくようにしましょう。

玉掛け作業におけるワイヤー選定のポイントと吊り荷重

次に、玉掛けワイヤーの選定方法を吊り荷重について解説していきます。

玉掛けにの仕方などについては、下の記事を参考にしてみてください。玉掛ワイヤーで鉄筋を吊りあげる場合には玉掛けワイヤーってどのように、決めればいいのか迷いますよね。

例えば、現場に鉄筋が100本5.5mで入ってきたら異形鉄筋がD16の長物をクレーンで吊るとき、玉掛けワイヤーはどれを選べばいいのでしょうか。

先ほどの鉄筋の重さの早見表で鉄筋の重さは0.85tになりますよね

では、ワイヤーで鉄筋を吊るときには、吊り角度が90度て2点吊りしたとき、2分、3分、4分ワイヤーで0.85tの鉄筋の束はそれぞれ吊れるのでしょうか?

【吊り条件を2本2点吊りで吊り角度90度の場合】

玉掛け作業におけるワイヤー選定のポイントと吊り荷重
玉掛け作業におけるワイヤー選定のポイントと吊り荷重

【早見表から見てみると】

玉掛け作業におけるワイヤー選定のポイントと吊り荷重
玉掛け作業におけるワイヤー選定のポイントと吊り荷重
  • 6ミリワイヤー(2分)0.42t<0.85 tダメですね。鉄筋の方が重たいです。吊ると危険です。
  • 9ミリワイヤー(3分)0.949t>0.85 tワイヤーのほうが、勝ちましたがクレーンのフックの重さや角度が変わると危ない。
  • 12ミリワイヤー(4分)1.68t>0.85 tワイヤーと鉄筋の重さの二倍程度の安心がある。これを使用する。ワンランク上の玉掛けワイヤーを選べば大丈夫。

現場に鉄筋が100本5.5mで入ってきたら異形鉄筋がD16の長物をクレーンで吊るときは、12ミリワイヤーなら安心して吊れるということですね。

ですが、こうしていちいち計算するの正直面倒ですよね?

そこで、次にワイヤーロープの吊り荷重を一目で把握できる表を次のページで紹介したいと思います。

ワイヤロープの吊り荷重選定に関する基本ガイド

表は、6×24でA種安全荷重(安全係数:6)単位トンした場合です。

ロープ径(mm)2本2点つり2本4点あだ巻きつり3本3点つり 4本4点つりロープ破断荷重

垂直づり

つり角度30°

つり角度60°

つり角度90°

つり角度30°

つり角度60°

つり角度90°
6mm0.6000.5700.5100.4200.8400.7500.6301.80
8mm1.071.020.9120.7511.501.341.123.22
9mm1.351.281.150.9491.891.691.424.06
10mm1.671.591.421.172.342.091.755.02
12mm2.402.282.041.683.363.002.527.24
14mm3.283.112.782.294.594.103.449.85
16mm4.284.063.632.995.995.354.4912.8
18mm5.425.144.603.797.586.775.6916.3
20mm6.686.345.674.679.358.357.0120.0
22mm8.127.716.905.6811.310.18.5224.3
24mm9.649.158.196.7413.412.010.128.9
26mm11.310.79.607.9115.814.111.833.9
28mm13.112.411.19.1918.316.413.739.4
30mm15.014.312.810.521.118.815.845.2
32mm17.116.314.512.024.021.418.051.4
36mm21.620.518.315.130.227.022.865.1
40mm26.825.422.718.737.533.528.180.4

状況に合わせて活用してみてください。またそのクレーンの作業半径等などをまとめていきたいと思います。是非チェックしてみてください

今回はユニックで考えてみます。

クレーン作業半径と吊り能力:ブーム構成との関連性詳解

クレーン作業半径と吊り能力:ブーム構成との関連性詳解
クレーン作業半径と吊り能力:ブーム構成との関連性詳解

ユニックは古河ユニックの商標名で移動式クレーンか吊りトラとか呼ばれます。

よく、見かける4トラックのユニックで玉掛けする際にはトラックの作業半径と揚程高さを調べるにはカタログなどでこのような作業半径法を見る事が出来ます

クレーンはブームを段階的に1段・2段・3段と伸ばしていきますね

クレーンの施工計画に重要な作業半径

この図面を、みる14.6mまでとブームが伸びることがわかりますね。これがわからないとクレーンの施工計画を考える事ができません

クレーンの施工計画に重要な作業半径
クレーンの施工計画に重要な作業半径

つぎに、ブームがどこまで伸びるかを書かれた表があります

クレーン作業で一番重要なのがアウトリガー

クレーン作業において、安全性を確保するために最も重要なのはアウトリガーの存在です。アウトリガーは、クレーンの安定性を高めるために使用される装置であり、重量を分散させる役割を果たします。

クレーン作業で一番重要なのがアウトリガー
クレーン作業で一番重要なのがアウトリガー

では、このアウトリガーを見ていきましょう

  • 最大
  • 中間(3.8m)
  • 最小

このアウトリガーをどれだけ設置できるかで吊荷の吊れる重さが変わってきます

クレーン転倒:ユニック作業半径/吊り能力の確認方法
クレーン転倒:ユニック作業半径/吊り能力の確認方法

クレーンから一番近いところ作業半径2.4mで

  • 最大:2.93トンまで吊れる
  • 中間(3.8m):2.93トンまで吊れる
  • 最小:1.33トンまで吊れる

このように、アウトリガーの張り出しとクレーンの作業半径で吊れる重さが決まってます

クレーン転倒:ユニック作業半径/吊り能力の確認方法

【作業条件をこの条件で作業してみると】 鉄筋の重さは0.85トンになで考える

鉄筋を同じ条件で100本を移動式クレーンで吊った場合には重さ0.85tの束を吊る場合のクレーン安全確認は

  • 作業半径6.0m
  • アウトリガー 中間張り出し3.8m

クレーンの吊れる力は作業半径6.0m・アウトリガーが中間張り出しだと吊れる重さは0.65トンです。

これにより作業の計画を見直す必要があります

クレーン転倒:ユニック作業半径/吊り能力の確認方法
クレーン転倒:ユニック作業半径/吊り能力の確認方法

作業するとユニックは横転します。

※本当は【鉄筋】+【ワイヤーの重さ】+【フック】の重さで荷重をみてください。

安全に作業するにはクレーンを鉄筋の近くまで出来るだけ寄せて、アウトリガーを完全張り出しする。このような計算でクレーンの計画を組みますが、実際の材料とクレーンの性能をよく見極める事が重要です。

安易な施工はクレーン転倒して大事故になるので注意してください

鉄筋クレーン揚重の安全作業のまとめ

鉄筋揚重の安全作業について、最後までご覧いただきありがとうございます。作業を行う際には、鉄筋の比重だけでなく、使用する玉掛ワイヤーについても事前に把握することが重要です。玉掛け作業は常にクレーン作業が条件となりますので、適切な知識を持って作業に臨むことが安全面で重要です。

作業の際には、安全を最優先に考え、正確な知識と技術を身につけることで、事故を未然に防ぐことができます。今後も安全を意識した作業を心がけ、職場での安全を確保するために努めていきましょう。

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