この記事では、建設業における特定技能ビザ、特に海洋土木工として採用して作業に従事させる方法を解説していきたいと思います。
また、外国人技能者が行うことのできる作業内容などについても合わせて解説していきたいと思います。
外国人を従業員として雇用したいけど、どんな作業をさせることができるのか分からないなあ…
など、どのくらい作業にあたらせていいのかよく分からないのではないでしょうか。
特定技能を取得した外国人を雇用する場合、採用するときも作業にあたらせるときも様々な条件が伴います。
海の上から土木工事を行う海洋土木工事は、多くの資格や作業を行う必要があります。

そこで今回は、その海洋土木にも採用にあたりいろいろ仕事の制限がありますので、そうした外国人が働き、雇用するための特定技能の条件を解説していきます。
このブログは他にもこのようなことがまとめてあります。合わせて気になる記事を確認してみてください。全体を確認するにはこちら
特定技能:外国人採用で人手不足解消が出来るのか?
特定技能の外国人採用については一度こちらでも説明しましたが非常に採用が難しい制度です。
その条件は?
簡単に抜粋してみますと
- 採用するには、雇用側がいくつかの条件を満たす必要がある
- 条件とは、正社員でしか雇用できない
- 日本人と同等以上の賃金を払う
- JACへ加入する必要がある
- 建設特定技能受入計画の認定が必要
- 建設キャリアアップシステムへの登録
- 建設業許可の必要
こちらの記事で詳しく説明しています
この記事では、建設分野で特定技能ビザを取得した外国人を現場作業員として雇用する方法を解説していきたいと思います。また、建設分野の特定技能ビザを取得するにあたって知っておきたい試験内容や留意点についても合わせて解説していきたいと思い[…]
技能実習と特定技能の違いとは?
特定技能:建設の就労資格のポイント
- 特定技能ビザとは、日本で特定の業種に就労し、滞在するための在留資格
- 特定技能ビザには1号・2号とある
- 特定技能1号は、1年6カ月/4カ月ごとの更新で、上限5年までで、家族帯同は無し
- 特定技能2号は、在留更新期限がなく、永住権を取得することができる・家族帯同あり
このようなところがポイントになりますね。細かい要件は他にもいろいろとありますが・・・
では、技能実習制度をまとめていきますと
建設業:技能実習制度とは?
- 技能実習1号
- 技能実習生はまずは技能実習1号という在留資格からランクアップしていきます。この1号の在留資格は、技能等を修得する期間となり、滞在可能期間は1年間になります。1年後以降も引き続き技能実習生として滞在したい場合は、技能実習生本人が所定の技能評価試験(学科と実技)に合格すれば、技能実習2号に移行することが可能。
- 技能実習2号
- 評価試験に合格すると技能実習2号という在留資格になることができます。滞在可能期間は2年間。技能実習3号への移行も可能ですね。1号同様に実習生本人が技能試験に合格する必要があります。
- 技能実習3号
- 通常技能実習は1号2号をあわせた3年間がほとんどですが、この技能実習3号の在留資格に移行すれば、さらに2年間の滞在が認められ、1号から数えると最長で5年間技能実習生として技能を学ぶことが可能になります。
つまり永住権はないので、いずれは帰国することになりますね
建設業の特定技能・技能実習生の相関図

特定技能1号になるには?2号技能実習未経験者(試験合格者)
①技能評価試験:「技能検定3級」又は「建設分野特定技能1号評価試験」
②日本語試験「国際交流基金日本語基礎テスト」又は「日本語能力試験(N4以上)」
※①・②の試験は海外を基本に国内でも実施
特定技能1号になるには?2号技能実習経験者(試験免除者)
2号技能実習を良好に修了した者からの移行つまり技能実習生から成り上がりみたいな感じですね
特定技能1号になるには?3号技能実習修了者
3号技能実習を修了した者は、2号技能実習を良好に修了した者と同じ取扱いで特定技能へ切り替え可能になる
資格 | 目的 | 永住権 | 転職の可否 | 家族滞在の可否 | 受入人数制限 |
---|---|---|---|---|---|
技能実習生 | 日本の技術を持ち帰り国際貢献をする | × | × | × | あり |
特定技能ビザ | 日本での働き手不足を補う | 〇 | 〇 | 〇(特定技能2号のみ) | なし |
特定技能:外国人を海洋土木工事職人として雇用する方法【区分:土木】

外国人就労の中で特定技能は新しい就労資格として外国人に付与される資格ですが、外国人を雇用する方法として従事する仕事は制限されてしまいます。
特定技能「建設」は19の業務区分に分かれていましたが、以前の職種ごとに応じた制度では鉄筋継手は足場組立は出来ないなど特定技能の業務枠内でしか作業出来ない≒それ以外の区分の業務は出来ない。
作業限定されることや建設業に関わる作業の中で実際には関わる業務等も現場を知らない人たちが決めた内容なのでズレがたくさんありました。まぁわかりそうなことですね。現場は、その時によって施工する環境変わりますので
2022年8月30日に業務区分の再編と特定技能の対象となる作業の見直しが実施されました
業務区分は3つに統合され、1つの区分で特定技能の資格を取得すると同一区分内の作業すべてに従事できるようになりました。
以下で再編後の3つの区分とそれぞれの区分で従事できる作業についてご説明していきます。
土木区分
土木区分では、指導者の指導・監督を受けながら、主に以下の作業に従事することができます。
型枠施工 | コンクリート 圧送 | トンネル 推進工 | 建設機械 施工 | 土工 |
鉄筋施工 | とび | 海洋土木工 |
想定される関連業務
- ① 原材料・部品の調達・搬送
- ② 機器・装置・工具等の保守管理
- ③ 足場の組立て、設備の掘り起こしその他の後工程の準備作業
- ④ 足場の解体、設備の埋め戻しその他の前工程の片付け作業
- ⑤ 清掃・保守管理作業
- ⑥ その他、主たる業務に付随して行う作業
建築区分
建築区分では、指導者の指導・監督を受けながら、主に以下の作業に従事することができます。
型枠施工 | 左官 | コンクリート圧送 | 屋根ふき | 土工 |
鉄筋施工 | 鉄筋継手 | 内装仕上げ | 表装 | とび |
建築大工 | 建築板金 | 吹付ウレタン断熱 |
想定される関連業務
- 原材料・部品の調達・搬送
- 機器・装置・工具等の保守管理
- 足場の組立て、設備の掘り起こしその他の後工程の準備作業
- 足場の解体、設備の埋め戻しその他の前工程の片付け作業
- 清掃・保守管理作業
- その他、主たる業務に付随して行う作業
ライフライン・設備区分
ライフライン・設備区分では、指導者の指導・監督を受けながら、主に以下の作業に従事することができます。
電気通信 | 配管 | 建築板金 | 保温保冷 |
想定される関連業務
- 原材料・部品の調達・搬送
- 機器・装置・工具等の保守管理
- 足場の組立て、設備の掘り起こしその他の後工程の準備作業
- 足場の解体、設備の埋め戻しその他の前工程の片付け作業
- 清掃・保守管理作業
- その他、主たる業務に付随して行う作業
鳶海洋土木工事は【区分:土木】として扱われる

海洋土木工事は【区分:土木』になりましたので、関わる業務としては下記の絵のように土木・建築などの業務区分で考えるとどちらの現場で働いてもいいことになってます。
また、海洋土木工事などの作業は土木区分がメインで施工が建築に関わる場合には?
このように、建築と土木をまたぐ場合は両方の区分を取得すること可能になります。
この区分変更は、国土交通相の計画認定が必要となり、入管へ在留資格変更手続きを行わなければいけない可能性もありますので、両方の区分にまたがるような業種については、最初の申請段階で両方の区分になるかよく考えた方がいいですね。
【土木】・【建築】・【設備・ライフライン】の区分は建設業許可で分類

したがって、認定を受けた在留資格に含まれる工事であれば、現場の種類を問わず、従事することが可能になります
※実際に従事させる場合には、雇用契約上、業務範囲を明確にし、同等の技能を有する日本人と同等以上の報酬となるよう留意が必要。
日本人同等の給与の考え方

技能実習2号から | 技能検定合格者 | 特定技能合格者 | ||
技能実習等と同じ作業に従事する場合 | 技能実習2号(とび)修了(経験年数3年相当 | 技能検定3級(とび)合格者(経験年数3年相当) | 1号特定技能評価試験(建築) = (経験年数3年相当 | これすべてが日本人と同等の基準(経験年数3年) |
技能実習等と異なる作業に従事する場合 | 技能実習2号(型枠)修了従事する作業(とび)の経験0年(経験年数3年相当) | 技能検定3級(型枠)合格者従事する作業(とび)の経験0年(経験年数3年相当) | 1号特定技能評価試験(建築) = (経験年数3年相当) | これすべてが日本人と同等の基準(経験年数3年) |
特定技能就労途中で転職した場合 | 技能実習2号(型枠)修了 特定技能2年(とび) (経験年数5年相当) | 技能検定3級(型枠)合格者 特定技能2年(とび) (経験年数5年相当 | 号特定技能評価試験(建築)特定技能2年(とび) =(経験年数5年相当) | 日本人 (経験年数5年) |
つまり:特定技能の海洋土木工事の区分はなくなった
今回の改正によって、建設業許可業種からも、区分を判断しやすくなりましたが、業種のしばりが無くなったので専門性が無くなった。
技能実習から特定技能への変更区分についても同様に判断がわかりやすくなったような感じですが、3年間のテスト期間がもったない。無駄な費用もいっぱい出てますね。
ただ、【ライフライン設備】・【建築】・【土木】で区分されるようになりました。
なんか上手くいかないような感じはしますが・・・
特定技能ビザ外国人を雇用するには?
外国人採用には実は高いハードルがあります。
給与面や資格面でかなり細かな条件があり、日本人を雇う場合に比べて要件が高い部分があります。
まず、海洋土木工の関する建設キャリアアップシステムに登録している必要があります。
また、福利厚生面でも基準があるため採用に関してはたくさん知らないとならないことがあります。
その内容を全て記載するとかなり長くなりますので、採用方法にあたりこちらにて詳細をまとめています。
どのようなハードルがあるか確認して外国人採用を検討してもらえればと思います。
外国人採用を簡単に行う方法はエージェントを利用
エージェントを使って自社が採用出来るかをチェックしてみてください。
外国人採用で悩んでいる企業・社長は一度問い合わせしてみてください。建設業は人で不足なのは間違いないので
新在留資格「特定技能制度」。 特定技能外国人の採用に特に積極的な建設業や 飲食料品製造業や外食業や介護業向けに豊富に人材紹介会社を使ってみるのはいいと思います
募集→採用→支援など全ての手続きを全て一貫して提案してくれます。
このようなエージェントを利用すると就業前後のサポートも全て丸投げで委託することも可能です。
【このような課題を解決!】
- 技能実習生が働いていて特定技能に切り替えたい
- 技能実習制度をこのまま活用すべきか悩んでいる
- 監理団体(組合)に依頼しているが話が進まない
- 人手不足で受注ニーズを逃してしまっている(失注機会の増加)
- 人を雇いたいが募集コストや採用コストが高くて困っている
- 外国人を雇いたいがどこに相談すればいいかわからない
まとめ
今回は、特定技能ビザを取得している外国人技能者に作業をあたらせる内容について解説していきました。
まとめますと、
- 特定技能ビザを取得している外国人に作業させる業務はすべて行わせることができない
- 海洋土木工の現場に関わる関連業務について、ある程度携わらせることができる
- 工具・機械・材料についても一部制限がある
- 特定技能ビザを取得している外国人を採用するには、その在留資格を取得しており、かつ建設キャリアアップシステムに登録していることが必要となる
- 雇用側も受け入れ条件があるので、よく検討して採用するか考えるべき
ですね。
日本人技能者に比べて、できる作業は限られています。
また、企業が負担する費用に関しても比重が多くなるので、少し厳しいと感じるかもしれません。
いつか、採用基準が緩和されて雇用しやすい環境が整えられると、浸透する制度ではないかと思います。
旧制度の内容はこちらに記載
特定技能 外国人雇用:海洋土木で出来る作業内容
海上土木で採用された外国人作業員は、人力、機械、作業船等により以下の作業を行うことが出来ます。
特定技能で外国人雇用する際には上記の作業であれば雇用する事は可能になります。
海洋土木で外国人が出来る作業
外国人雇用で海洋土木で働ける仕事の内容はこのうような仕事なりますが、それ以外の作業はやらせることができません。
- しゅんせつ作業には従事できます。しゅんせつは、港湾・河川・運河などの底面をさらって土砂などを取り去る土木工事のことであります。
- 地盤改良作業の仕事は、軟弱地盤を撤去して良質材料と置き換える、排水を促進するとか、地盤の締固めによる強度増やすとか補強材料を導入する地盤の補強工事に作業員として外国人を採用できます。
- 埋立・揚土等作業船などにより運搬されてきた土砂をグラブやポンプにより陸揚げする作業を揚土と言います。
- 杭・矢板等の打込み作業にも従事できます。矢板は橋の橋脚等を作る際に仕切り板を打ち込み、部分的に閉め切る鉄の板等を打ち込む作業の水圧を止める板を矢板と言います。杭を円状に打っていくと中心には水がない空間が生まれます。群杭とか言います。
- 基礎石等の水中投入・均し作業にも橋脚の基礎の為にコンクリートの下の基礎グリ石を敷き詰める工事
- コンクリートブロック等の製作工事は簡単に言うとテトラポットや消波ブロック等の製作工事に近いかと思います。
- 重量物の運搬据付作業は橋桁の水上運搬から吊り込み、取り付け工事などが想定されます。
- 現場コンクリート打込み作業は船の上でコンクリートを練り上げ(バッチャープラント)からコンクリートを水の中に入れると普通は分離するが、水中コンクリートと言われる打ち込みも可能になると
- 舗装作業なんで舗装なのと思いますが、海上土木では離島で舗装材料が作れない島でも、船でアスファルトを練り上げて、無人島に飛行機の滑走路を作る等も海上土木なら可能です。
こうした海洋土木の仕事や資格内容に関する知識については、以下の記事にまとめていますので是非合わせて読んでみてください。
外国人採用後従事して問題ない関連業務
労働基準法に「船員法上の船員により行われる作業は除く」とあり、建設業法との違いがあるので注意しなければなりません。
ただ、海上土木工事ではこのような作業も外国人労働者(特定技能者)に行わせてもいいとされています。
- 施工管理
- 建設機械・作業船の保守及び整備
- 建設機械・作業船の移動又は回航・えい航※えい航とは、船が他の船や荷物などを引いて航行すること
- 資機材・土砂等の搬入、搬出、運搬、移動
- 工具、器具、資機材等の整備、点検、確認、準備
- 設備、施設、足場、通路等の設置、組立、解体
- 環境保全作業(環境対策)
- その他、海洋土木工業務の実施に必要となる安全衛生作業(点検、整理整頓、清掃等)
特定技能者に使用させて良い材料にも決まりがある
外国人作業員が働いていくなかで扱える材料も決まりがあり、材料としては扱いが可能なものとそうでないものに分かれます。
扱える材料に関しては、以下の通りです。
コンクリートブロック、コンクリート、アスファルト、鋼材(鋼板、鋼管、形鋼、棒鋼等 )、地盤改良材料(砂・セメント)、石材、汚濁防止膜・枠、タイロッド、防舷材、係船柱、車止め、流電陽極 等
海洋土木の材料の豆知識
- 汚濁防止膜は、海の水面でのしゅんせつ工事や埋立工事等において、発生する汚濁の拡散を防止する為に設置される構造物になります
- タイロッドとは矢板が開かないように、突っ張り棒、型枠のセパレーターと同じと要領のものです
- 防舷材は護岸に船を着けるときに、クッションとして護岸についてるフェリーに乗るとタイヤとかで護岸にぶら下がってるものです
- 流電陽極は簡単に言うと海に鉄の柱を建てる錆て腐食するので電気を流すと腐食を抑える事ができる装置です
外国人雇用で使用可能な機械、設備、 工具等
特定技能の就労には様々な機械にも決まりがあります。
使える材料の例としては以下のようになります。
作業船、作業船に付属する機械、ワイヤーロープ、滑車、シャックル、船用品、クレー ン、ダンプトラック、バックホウ、発動発電機、溶接機、バイブレーター、ウィンチ、測量用機器、点検・整備用器工具、保護具 等