この記事では、地下鉄やトンネルの構築方法=躯体構築の方法を実際の工事の手順とともに解説していきます。
土木施工管理技士になるなら、実際に地下鉄やトンネルといった構造物が出来上がる過程を知っておかないといけないなあ…
ですが、どのような過程で作られるか教科書だけではわからないところがありますよね。
そこで、地下鉄やトンネルの構築手順を通して、都市土木の開削工法がわかるように躯体構築を13の手順に分けて解説していきます。
また、躯体構築は地下鉄やトンネルでは開削工法で行われますが、その工事を請負するのは、サブコンの専門工事業者です。
その有名なサブコンも合わせてわかりやすく解説していきます。
このブログを見て連絡してきた、練馬の新人保険屋さんの千尋(ちひろ)さん。
建設業の実態教えて欲しいと言われてブログを一緒にやることになりました。
今回の記事は一級土木や施工管理技師の受験をするときに知っておきたい躯体構築の方法なので、受験を予定している方はしっかり目を通しておくと試験勉強に役立つのではないかと思います。
このブログは他にもこのようなことがまとめてあります。合わせて気になる記事を確認してみてください。全体を確認するにはこちら
地下鉄やトンネルを構築するときに行う土木の開削工法とは?
まず、下の図を見てみてください。
まず、開削工法とは、
地盤を直接掘削して、下水道管を埋設していく工法です。
開削工法の概要
掘削深さが浅いところで用いられる、一般的な工法です。深いところや交通量の多い場所、
地下埋設物が支障になるときは、推進工法を用います。
とされています。
特に開削工法は、ボックスカルバートや共同溝といった設備や構築物を設置する場合に採用される躯体構築方法です。
図を見て分かるように開削工法では、「中間杭」や「覆工板」を用いて作業をしていきます。
しかし、教科書で土留め壁、中間杭や覆工板とかの勉強しても実物を見ないとなかなかやはりイメージがつかないと思います。
トンネルや地下鉄を構築する土木作業手順
そこで、実際の構築の手順に沿って分かりやすく解説していきます。
構築STEP1:SMW等の地中連続壁(土留杭)と施工方法について
開削工法で掘削していくにあたり、まずは掘削するにあたり周り土がこぼれないように仕切りの壁を設けます。
これが連続壁と言われるH型鋼材とソイルセメントで硬い壁を作っていきます。
合わせて、覆工板の仮設施工のための中間杭の打設を行っていきます。
天神の地下鉄を構築するにあたり、大成建設の現場で大きく道路が陥没したことがニュースで話題になったことを覚えていますでしょうか。
こうした事故が起こるのは、H型鋼材まっすぐ打ち込めていなく、弱くなった部分から土が一気に流れてくることから、道路の土地下に引っ張って陥没したということが原因として挙げられます。
吉祥寺道路陥没工事について原因は土木の教科書で習ったヒービング現象?
このような事故を起こさないためにも、構築1SMW等の地中連続壁(土留杭)とその施工方法が得意なサブコン企業がいくつかあるので合わせて紹介していきます。
会社それぞれで独自の工法があり、それぞれの工法で長けている企業を紹介しているので工法を学ぶにあたり勉強になるので是非読んでみてください。
株式会社テノックス
株式会社テノックスでは、TN工法といった土木や建築、鋼管矢板基礎まで適用できる工法を採用しています。
また、掘削性能が高く、長尺施工が可能な面もTN工法ならではの特長といったところではないかと思います。
成幸利根株式会社
成幸利根株式会社では、遮水性の高い連続壁を造成するSWM工法を採用しています。
地盤沈下がなく工期短縮が図れ、狭いスペースでも大深度でも作業可能といった特長があります。
基礎工事で使う車両系建設機械の技能講習について
この記事では、主に基礎工事で使われる車両系建設機械を使用する際に必要な技能講習や資格について解説してあります。
構築STEP:2 一次掘削の開始と覆工板設置方法
中間杭を利用して、桁(梁)をかけて行きます。
覆工桁に覆工板(蓋)をはめて、普段は道路として使い、夜間や工事をする時は覆工板を取り外して、地下へ資材の搬入や掘削残土を集積して搬出していきます。
最初の準備として地下へバックホーが入れる位、重機で掘削をかけて残土を出して行きます。
次に、小さなバックホーが入れる位の地下にスペースができたらクレーンでバックホーを下ろします。
下の記事では、こうした覆工板設置が得意なサブコン企業をいくつか紹介しています。
山崎建設株式会社
山崎建設株式会社は、創業70年続く実績と信頼のある企業です。
大型重機からドローンまで建設機械の操縦を得意とする機械土工のスペシャリスト集団です。
マニアック資格:車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の技能講習資格取得
この記事では、車両系建設機械のうち、整地・運搬・積み込み・掘削用で使われている車両の技能講習や資格について解説しています。
構築STEP3 1次掘削の本格的な開始と躯体工事の基本
日中、夜中の二交代制でどんどん土を掘ってきます。
クラムシェルで掴みあげるのはまだです。
ショートリーチと呼ばれるバックホーで土をかき集めていきます。
ショートリーチは腕が短いため桁等にぶつけないように腕の短いユンボで残土をかき集めます。
この時に中間杭や土留壁の残土やソイルを土工がハツリきれいに土べら落としを行います。
特に、「大崎建設株式会社」は躯体工事の技能が集結しており、建築物を支える技術の根幹を担っています。
実績も多く、信頼に長け幅広い工事実績があります。
大崎建設株式会社は建設会社として建築物の建築工事、道路鉄道、河川等の土木工事、科学で建築工事を支えるべく技術研究を行い、…
構築STEP4 土留め支保工の組み立てと構築の仮設工事
掘削が進んでいくに伴い、土留壁では土圧に負けてしまうので、仮設として切梁、腹起こしを設置して中間杭に切腹は動かないように固定していきます。
この作業を土留め支保工といいます。
掘削の深さに応じて、掘削しては支保工設置を繰り返していきます。
1段梁、2段梁と段階に分けて深ければ6段、7段と進んでいきます。
掘削も1次掘削、2次掘削と呼ばれて深さに応じて、これを繰り返していきます。
土留め支保工を得意とするサブコン企業をまとめてみましたので合わせて読んでみてください。
岸本建設株式会社
岸本建設株式会社では、土木現場に必要な資格を持つ技能者が数多く所属しています。
資格保有が多い、ということは実務経験も多く一人一人が専門的知識を持っている優秀な人材が多いことが分かります。
地山の掘削及び土留支保工工作業主任の技能講習取得をする方法とは
土留め支保工をするには作業責任者を配置する義務があります。
そこで、この記事では、土留支保工作業責任者になるための技能講習の内容や資格について解説してあります。
トンネルや地下鉄を構築する方法その①まとめ
今回は、トンネルや地下鉄の構築方法(躯体構築方法)について解説していきました。
まとめますと、
- 掘削するにあたり周り土がこぼれないように仕切りの壁を設けます
- 覆工板の仮設施工のための中間杭の打設を行っていきます
- 中間杭を利用して、桁(梁)をかけて行きます
- ショートリーチと呼ばれるバックホーで地をかき集めていきます
- この時に中間杭や土留壁の残土やソイルを土工がハツリきれいに土べら落としを行います
- 土留壁では土圧に負けてしまうので、仮設として切梁、腹起こしを設置して中間杭に切腹は動かないように固定していきます
と、このような流れでトンネルや地下鉄が出来上がります。
日常の知らない中で昼夜トンネル工事は行われています。
掘削工事に始まり杭打ち工事など地下の知らないところで多くの職人が公共施設物を作るために日々努力されています。
それなのに、現場を知らない人なのかまとめ方が下手なのか分かりませんが土木の教科書とかでは漫画や図だけなので躯体構築のイメージがつかない場合があります。
実際に写真を見るとイメージが少しは湧くと思います。普段、利用している地下鉄やアンダーパスはこのような形で作られています。
では次回は掘削から床付け・均しコンクリート・床コンクリート(耐圧版)の施工にまとめていきたいです。