この記事では、現場に新しく入ったり、外国人に対して新人教育を行う際に活用できる教材を言語別にまとめていきたいと思います。
また、安全教育をする必要性・墜落や転落事故が起こる原因についても合わせて解説していきたいと思います。
社長となる事業主は雇用する側は、新しく入ってきた新人職人さんや、技能実習生といった方々に対して現場に入る際は安全教育を行わなければなりません。
しかし、現場によってはなかなかどう教えればいいのか分からなかったり、大手は出来て中小企業だとそういった環境を整えることが難しいと思っているのではないでしょうか。
また、現場で一緒に作業を行う新人さんや外国人の方に分かりやすく教えたいけどどう教えれば伝わるのか悩んでいる方も多いのではないかと思います。
そこで、今回は、現場で安全教育をする必要性とその手助けとなる教材・墜落や転落を防止する安全対策をまとめているので是非活用してみてください。
このブログを見て連絡してきた、練馬の新人保険屋さんの千尋(ちひろ)さん。と言う方がいらっしゃいまして建設業の実態教えて欲しいと言われてブログを一緒にやることになりました。
建設現場で新しく入った作業者に行う安全教育の必要性
建設業では、作業中多くの危険が伴います。
例えば、足場の高いところでは、重機との相番作業が多いので墜落や重機による巻き込まれ事故といった危険が伴います。
そうした危険が伴うだけでなく、今日明日で違う作業を行うといったことも多々あるので常に緊張感を持って作業に臨まなければなりません。
そこで、現場では労働災害(現場での事故)を防ぐために、常に安全教育をしていくことが必要になります。
現場での元請けの安全教育だけではなく、事業主の安全意識が事故防止で一番重要になります。
新規入場者教育と雇い入れ教育の違いは?
まず、新規入場者教育について説明していきますね
現場では新しく現場に行った際は、ゼネコン(元請け)が新規入場者教育をやるよう義務付けられています。
面倒くさいと思う職人さんは多いと思ってる人がいる人もいます。違う現場にいくごとにゼネコンさんなどで教育があります。
当然ながら、会社ごとや現場ごとでルールが多少違いますよね。
その為、混在作業などの現場では新規入場者教育を実施しています。
送り出し教育とは?
当日にこちらを書いていると時間が当然掛かるので、会社の社長(事業主)は元請けから用紙をもらって報告書を記載してもらうように事前に現場の内容等を周知してから当日送り出すことで、事前に読み込みしてもらいます。
これを送り出し教育と言います。
建設現場に新たに入場する作業者に対し、現場の状況、作業概要、危険箇所、現場のルール等の教育を行います。
また、本人の実務経験、健康状態等を確認し、適正配置の参考の為に記載して教育を行います。
送り出し教育・新規入場者教育の内容は元請けが保管
元請けも入場ごとの、日時・教育実施者などを記録してまとめて整理保管します
新規入場者教育保管記録の義務は?
特に新規入場者教育に関しては保管義務はありませんが、会社ごとにルールも違う場合もあります。
以下の保管義務と一緒に保管期間を同一としてる場合もあります
建設業法第31条では、国土交通省や都道府県知事は必要に応じて工事の状況や帳簿、物件の立入検査ができること、と定めています。また、建設業法第40条の3において、建設業者は書類を保管することが義務付けられています。これらのことから全書類や帳簿、図面などは「原則5年間」保管しなければなりません。
“原則”としたのは年数が異なるものもあるためです。
施工体系図は営業に関する書類のため、工事完了後に建物を引き渡してから10年間の保管が義務付けられています。10年間の保管が必要な書類は、ほかにも完成図書、発注者との打ち合わせ記録などが該当します。
安全書類を正しく保存しなかった場合、「10万円以下の過料」という罰則が適用される可能性があるので注意しましょう。
新規入場者教育は安全衛生規則に記載されている
建設業に属する事業を行う特定元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われるときは、当該場所の状況(労働者に危険を生ずるおそれのある箇所の状況を含む。
当該場所において行われる作業相互の関係等に関し関係請負人がその労働者であって当該場所で新たに作業に従事することとなったものに対して周知を図ることに資するため、当該関係請負人に対し、当該周知を図るための場所の提供、当該周知を図るために使用する資料の提供等の措置を講じなければならない。
ただし、当該特定元方事業者が、自ら当該関係請負人の労働者に当該場所の状況、作業相互の関係等を周知させるときは、この限りでない。
安衛則第642条の3
事業主は安全教育を行うことが義務になっている
雇い入れ教育と新規入場者教育の違いは?
大事なのは事業主(会社)の社長は知らない人が多い!
「新しい社員を雇用したときには雇い入れ教育を実施しないとならない」と安全衛生法で決まっています。
つまり、事業者は労働者を雇い入れた時に「安全衛生教育(安衛法第59条)」を必ず実施しなければなりません。
安全教育の内容は安衛則第35条に規定されてます。
- 機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法
- 安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取扱い方法
- 作業手順
- 作業開始時の点検
- 当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防
- 整理、整頓及び清潔の保持
- 事故時等における応急措置及び退避
- そのほか当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項
といった内容が定められています。
安全教育を怠ると?罰金あり?
安全教育は法律で実施するよう定められているので先述したように必ず実施しなければいけません。
事業主が安全衛生教育を実施して記録を残さないと万が一、労災事故が発生した場合には労働安全衛生法第20条(事業者の講ずべき措置等)にて送検されるだけでなく安全衛生法の中で、この内容で罰せられることになります。
実際に発生した送検事例:雇い入れ教育未実施
三重・松阪労働基準監督署は、雇入れ時の教育を怠ったとして、建設会社と同社取締役を安衛法違反の容疑で、津地検松阪支部に書類送検した。建設現場で当日雇い入れた労働者が建物2階の内装材の撤去作業を行っていたところ、2階の開口部から墜落し、負傷する労働災害が発生した。雇い入れたときに作業手順などの雇入教育を行わず、作業に従事させていた疑い。(R3・11・16)
https://www.rodo.co.jp/series/118711/
第百十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処すると厳しい刑事罰があります。
実際には、死亡事故や休業を伴う場合には民事罰も付いてきます。
建設業の就労人数・労災事故はどれぐらいなの?
実際、平成28年の建設業の労働人口は492万人(事務や総務も含む)のうち、技術者(現場監督など)31万人、技能者(職人)が326万人と国土交通省で集計されています。
そのうち令和2年中に死亡事故で258人が残念ながら亡くなっておられます。
さらに、死傷病災害といわれる労災事故で報告が出ている14,977人が現場で何かしらのケガをしています。
こうした労働災害が起きた一因として挙げられるのが、以下のような安全防止措置を怠ったことが原因とされています。
このように、安全教育を怠ったことで起こる事故は多数あります。
しかし、知らなかったは通じないのが労災事故の事業主の責務であり、教育を実施しなかったことが要因になってる事故は多数あります。
例えば、重機などで技能講習や特別教育も受講せずに作業して事故になった無資格作業などのケースなどはわかりやすいと思います。
製造業もそうですが、建設業では特に安全衛生教育が必要で、基本的な導入の段階では服装から安全の標識など導入研修を行って、現場入場の基本知識を与えることが重要だと思います。
以下のリンク先では、労働災害の発生事例などの統計がありますので詳しく知りたい方はチェックしてみてください。
雇い入れ教育・新規入場者教育をスムーズに「動画」教育
まず、安全教育の基本的な部分をまとめていきます。
尚、日本語のサイトに関してはこちらから閲覧できるので、日本語での安全教育の場合はこちらを活用してみてください。
安全衛生教育での一般的な事項
安全教育の基本的な事項を言語別にまとめてみました。
動画形式となっているので、普段の安全教育で活用してみてください。
まずは、基本的な作業姿勢からです。先ほども説明しましたが、雇用した事業主が雇い入れ教育を実施せずに送検されたケースは建設だけに止まらずに他の業種でも起きており、作業を知る導入雇い入れ教育は本当に大事です。
福井労働基準監督署は、法定の除外事由がないのにもかかわらず、雇入れ時の教育を怠ったとして、派遣元事業者と同社営業担当者を安衛法違反の疑いで福井区検に書類送検した。派遣労働者が、就業2日目に派遣先事業者の作業場で印刷機に活性剤を注入する作業を行っていたところ、スライドするローラーと印刷機のフレームの間に腹部を挟まれて死亡したもの。(H26・12・8)
労働新聞社
やはり、何かを作ると言うのは、ぐちゃぐちゃの整理されていない場所で作業してたときには当然ケガをするリスクを増やすますよね。さらにダボダボの服で作業すると引っ掛かりケガをし易くなります。
当たり前の内容ですが、初めて現場に来る人は当たり前を知らない人も中にはいます
自分は知ってるけど相手は知らない
現場のサイクルを一つ一つ教える事が大切です。見て覚えるは、もう昔の話しになりますね。
作業服装(1分34秒) | 整理整頓(1分48秒) | 安全通路(1分42秒) |
事務所 休憩所(1分38秒) | 寄宿舎(1分57秒) | 防火設備(1分23秒) |
安全施工サイクル(1分30秒) | 安全標識(10分32秒) | 災害発生の場合(1分43秒) |
では、今は人材も多様化していますので外国人雇用の場合での安全教育ではどのようにすればいいのか?
外国人労働者にも雇い入れ安全教育YouTube
特に外国人は、日本人の当たり前なんて当然知りません。
通常よりかは、長い時間を掛けて数日にかけて危険と安全を教えないと勝手な判断や認識で作業をされてケガをする可能性もあります。特に安全看板や表示明示札などを映像でゆっくりと教えてあげることで作業にも早く慣れてきます。
そこで、汎用性の高い言語と就労人口が多い言語での安全衛生教育資料はこちらになります。ゼネコンでは新規入場や朝礼などで個別指導してあげても良いですね。
もし、朝礼などで困ったら以下のようなものを活用してみると、スムーズに行うことができるかもしれませんのでチェックしてみてくださいね。
作業内容 | 中国語 | ベトナム語 | インドネシア語 | 英語 |
---|---|---|---|---|
作業服装 | 中国語 (1分38秒) | ベトナム語 (1分59秒) | インドネシア語 (1分26秒) | 英語 (1分36秒) |
整理整頓 | 中国語 (1分58秒) | ベトナム語 (2分17秒) | インドネシア語 (2分10秒) | 英語 (1分51秒) |
安全通路 | 中国語 (1分54秒) | ベトナム語 (2分12秒) | インドネシア語 (1分41秒) | 英語 (1分46秒) |
事務所 休憩所 | 中国語 (1分50秒) | ベトナム語 (2分07秒) | インドネシア語 (1分41秒) | 英語 (1分46秒) |
寄宿舎 | 中国語 (2分06秒) | ベトナム語 (2分29秒) | インドネシア語 (2分06秒) | 英語 (2分11秒) |
防火設備 | 中国語 (1分25秒) | ベトナム語 (1分43秒) | インドネシア語 (1分23秒) | 英語 (1分29秒) |
安全施工サイクル | 中国語 (1分44秒) | ベトナム語 (1分57秒) | インドネシア語 (1分42秒) | 英語 (1分42秒) |
安全標識 | 中国語 (11分05秒) | ベトナム語 (9分28秒) | インドネシア語 (10分27秒) | 英語 (10分41秒) |
災害発生の場合 | 中国語 (1分50秒) | ベトナム語 (1分42秒) | インドネシア語 (1分45秒) | 英語 (1分51秒) |
まとめ
安全教育の新規入場者教育と雇い入れ教育についてまとめてみました
新規入場者教育は現場ごとにルールが違うので事業所ごとに当日の作業前に教育する内容ですが、記入することもあり時間が掛かることもあります。事前に事業主が教育して現場に生かせる『送り出し教育』が重要になります
現場で実施するのが『新規入場者教育』で事業主が事前に教育するのが『送り出し教育』になります。
雇い入れ教育に関しては、会社に新しい従業員が入ってきた場合には社長が雇用者に対して建設業とは?なにが危ないのかを説明していく教育になります