地山の掘削及び土止め支保工作業主任者になるには?その作業内容と技能講習について解説!

2020年12月10日安全教育,特別教育・技能講習,資格講習特別教育・技能講習

この記事では、「地山の掘削及び支保工作業主任者」とは、どういった資格なのか、その作業内容と資格を取得する方法について解説していきたいと思います。

地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習とはどういう資格なんだろう?

と、このように資格の名前からでは一体どういった作業をすることができる資格なのかよく分からないですよね。

そこで、今回はどのような作業の際にこの資格が活かせるか、作業主任者の役割などを解説していきたいと思います。

また、一体どういう資格でどのように取得するのかも合わせて解説していきたいと思います。

このブログは他にもこのようなことがまとめてあります。合わせて気になる記事を確認してみてください。全体を確認するにはこちら

地山の掘削及び土止め支保工作業主任者とは?

工事現場では地下に構造物を作ることが多々あります。

土の状態はいろいろな種類があります。例えば、粘土質の土や砂混じりの土や礫(石混り)がたくさん混じっている土など場所ごとに違います。川の近くや海の近くでは水が吹き出してくることもあります。

工事現場ではニュース等で生き埋めになったとかのニュースがたまに報道されますが、生き埋めになるという状況は土が崩れてが要因になります。

このような、要因を引き起こさないための工事を管理する資格を取得し、選任されている人を「地山の掘削及び土止め支保工作業主任者」と呼びます。

作業主任者を選任する条件は以下の通りです。

地面を掘るときに2メートル以上地下に掘削する時や2メートル以上の高低差が発生するときには作業主任者を事業主は選任しなければなりません。

地山の掘削及び土止め支保工作業主任者の「地山の掘削」とは?

実は、元々地山掘削と土留は昔は別々の資格でした

まず、掘削していくと、土の種類によって掘削面は大きく変わります

すると、掘削する面によって土の種類は変わっていきます。

しかし、掘削する中で掘っていくと土はおのずと土が崩れてしまいます。

砂の場合には当然ながらすぐに崩れますよね。

このように崩れないように仮に止める工事を土留(土止め)といいます。

ちなみに「地山」とは、地盤面から掘削して掘った地面を指します。

このような作業を行う場合、掘削による地山の崩壊や土留めの崩壊の知識がないと、施工中に起こる可能性も多々あります。

その中で正しい知識と正しい施工方法等を知る事は非常に重要です。

この地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習は以前は別々の資格でしたが、関係性が大きいので、掘削労働安全衛生法その他関係法令の改正によって平成18年度より資格が1つになりました。

ちなみに、筆者が受講した時は別々に受講しました。

例えば、マンションの基礎や住宅の地下室等でも2メートル以上で車両系建設機械(バックホウ)で掘削を行う事は頻繁にあります。

そのため、地山の掘削作業は車両系建設機械を扱えなければ作業をすることができません。

その車両系建設機械については、以下の記事にまとめているので是非合わせて読んでみてください。

地山掘削の労働災害、災害事例

福島・会津労働基準監督署は、地山の崩壊による危険防止措置を怠ったとして、建設業で元請けの仙建工業㈱(宮城県仙台市)および同社現場所長と、建設業で1次下請けの㈱アラモト(宮城県仙台市)および同社統括部長を労働安全衛生法第30条(特定元方事業者等の講ずべき措置)、同法第14条(作業主任者)違反などの疑いで福島地検会津若松支部に書類送検した。派遣元会社からアラモトへ派遣されていた60代の派遣労働者が死亡する労働災害が発生している。

 労災は令和2年3月10日、福島県大沼郡で仙建・秋山ユアビス特定建設工事共同企業体が施工する只見線災害復旧工事で発生した。労働者が高さ約5メートルの地山の掘削作業に従事していたところ、地山の崩壊に巻き込まれた。

元請の現場所長は、共同企業体と関係請負人の作業が同一の場所で行う際、労働災害を防止するための作業間連絡や調整を行っていなかった疑い。1次下請の統括部長は地山の掘削作業主任者を選任していなかった疑いがある。

【令和2年8月20日送検】

労働新聞社引用

このように作業主任者を選任していなかったことで、安全管理ができず痛ましい事故が起きてしまいました。

このニュースから、作業主任者を選任することの重要性が分かったのではないかと思います。

地山の掘削及び土止め支保工作業主任者の「土止め支保」とは?

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では、地山の掘削及び土止め支保工作業主任者の「土止め支保」とはどういったことをするのでしょうか。

地下躯体の構築方法はこちらからチェックすると土留支保工がわかります

大きな現場では車両系建設機械の基礎杭ではなく、仮杭で杭を立て込み、土とセメント等で固める連壁工法等あります。

ただ掘れば掘るほど地面から土圧が掛かりますが、その土圧に負けないように仮に補強する事が必要になります。

この支える工事をを土留め支保工といいます。

土留めは周りの土が崩れないように仕切りの板や杭を打って杭の間に板を入れて止める方法や鉄板を打ち込んで崩れないようにする方法もあります。

支保工には切り張り腹起こし火打など呼ばれる補強材があります。

この鉄製の補強材を適正に取り付けられる知識をこの講習で学んでいくのです。

労働安全衛生法第14条、施行令第6条の第9条により講習を修了した人はこの業務の指揮命令を行うことができます。

補足:土留支保工や土工/鳶職人が重宝する充電式インパクトレンチ

以前までは、充電式といえば18Vが主流でしたが、ここ最近は40Vの充電式工具が台頭するようになってきました。

40Vになったことで、アダプタ式と変わらない作業パフォーマンスを引き出すことができるので、効率よく作業を進めることができます。

また、このインパクトレンチは自動締め付けを防止することができるので、素材を傷めるリスクを軽減させることができます。

コードレスなので、持ち運びが便利なのもいいですね。

土留支保工の労働災害、労災事例を紹介

土留支保工の労働災害、労災事例は以下の通りです。

東京・三鷹労働基準監督署は50歳の男性労働者が土止めの崩壊に巻き込まれ死亡した労働災害で、高田電設㈱(東京都新宿区、高田和知代表取締役)と同社の現場代理人を労働安全衛生法第20条(事業者の講ずべき措置等)違反の疑いで東京地検立川支部に書類送検した。同日には調布警察も業務上過失致死罪の疑いで現場代理人を書類送検している。

労働災害は平成29年1月28日に、同社が元請として入場する調布市内の鉄塔撤去現場で起きた。現場では鉄塔の基礎部分の撤去作業が行われており、基礎部分の周囲を幅約1メートル、深さ約2.9メートルまで掘削していた。

掘削溝の中で3人の労働者がスコップを使って整地作業をしていたところ、土止めが崩壊、4次下請の50歳の男性労働者が巻き込まれた。労働者は土止めの「腹起し(矢板に水平に取り付ける部材)」と鉄塔の基礎部分に挟まれ頭部を轢断、同日死亡した。ほか2人の労働者は異音を聞いてとっさに避難し、被害をまぬがれた。被災労働者は土止めの破断部分の最も近くで作業をしていたという。

労災発生を受け、同労基署は労働安全衛生総合研究所に原因の調査を依頼した。同研究所が現場を再現するなどの調査をした結果、土止めが強度不足で構造も不適切だったことが判明している。災害発生当日の天候は晴れ、無風で外的要因もなかった。同労基署によると、現場の作業員からは「危ないと思っていた」との声も聞こえたという。警察が業務上過失致死での送検に踏み切ったことからも、土止めは明らかな強度不足だっだとみられる。

【平成30年12月12日送検】

労働新聞社引用

このように土留作業を怠るとこのような重大な事故を引き起こす可能性があるということを考えた上で作業に当たるようにしましょう。

追記:熱海の土砂災害を引き起こした掘削工事

令和2年7月3日の大雨で熱海の土砂災害で露呈したずさんな開発工事について今回のテーマと絡めながら軽く解説していきます。

まず、そのきっかけとなったニュースです。

 静岡県によりますと、熱海市で発生した土砂崩れで19人の安否が分かっていません。  消防によりますと、午前10時半ごろ、熱海市伊豆山で付近の住民から「土砂崩れが起きた」と消防に通報がありました。県によりますと、この土砂崩れで19人の安否が分かっていないということです。  この後、自衛隊が捜索活動を行います。土砂崩れは少なくとも数十メートル規模にわたり、複数回にわたって発生したとみられます。土砂は国道135号線を覆っています。  県によりますと、熱海市で起きた土砂崩れで19人の安否が不明となっています。

Yahoo!ニュース『静岡・熱海市の土砂崩れで19人安否不明 規模は数十メートル 複数回発生か』

その後の調査で分かったことに基づき調査委員会が設置されたニュースです。

静岡県熱海市で起きた大規模な土石流を受けて、静岡県は近く専門家らによる委員会を設置し、盛り土が崩れた原因や行政の対応が十分だったか検証を始めることが県の関係者への取材で分かりました。

今月3日、静岡県熱海市の伊豆山地区で発生した大規模な土石流では、起点とみられる場所で静岡県の推定で周りの土砂を一部含め、およそ5万5500立方メートルの盛り土が崩れたとみられています。

県は「盛り土の崩壊が被害を大きくした」とみていて、近く外部の専門家らによる委員会を設置し、検証を始めることが県の関係者への取材で分かりました。

当時の雨の状況や盛り土の構造、それに地質の調査などを行って崩れた原因を明らかにするチームと、盛り土が造成されたいきさつのほか、熱海市や静岡県といった行政の対応を調査する2つのチームを設けるということです。

そして土砂の崩壊や流出を防ぐ対策が講じられていたかや、行政の対応が十分だったかについて、検証が進められる予定です。

県などによりますと、盛り土は平成19年に神奈川県小田原市の不動産業者が県の条例に基づいて熱海市に届け出を行い、造成が始まりましたが、計画されていた工事がおおむね完了したあとも土砂の搬入が続けられ、拡大したとみられています。

NHKニュース『熱海 土石流 盛り土崩壊原因など検証へ 県が専門家委員会設置』

以上のニュースや分かったことから解説していきます。

あまり、造成工事では気にしてない人もいるかも知れませんが、当然ながら切土で2m以上掘削する場合も伴ってきます。

土を掘るって行為は下に掘るイメージがありますが。掘削2m以上の深さ(高さ)を扱うので山を削るので、掘削知識としては最低限作業指示をする作業主任者を選任しなければならない工事になります。

そのため、造成図面で掘削を伴う場合や、外周土留擁壁を構築をする場合には、高さが該当する場合には、今回記事で紹介している作業主任者資格が必要となります。

今回の熱海の造成では、凸凹の面を平にすると考えると形を整える為、山の一部を大きく平にするための掘削をしないとならないので2m以上の掘削が伴ってきます。

今回の掘削工事では、削った土を凹んでる面に入れて埋めていく、「盛り土」と「切盛り」という作業を行っていました。

ただ、盛土を行うには転圧(てんあつ)と言われる作業を何回も行う必要があります。

転圧はローラーなどの大型機械でミルクレープみたいに30センチごとに土を入れては転圧、また、土を入れては転圧を繰り返します。

掘削作業主任者はその土を削る時に、例えば砂みたいな山を垂直に切ると崩れてしまうので、切土を行う場合にはこの掘削角度が作業主任者には知識として必要になります。

それに応じた、小段や排水計画などが必要になります。

このような手順を踏んで開発工事を行っていくのですが、施工に関しても、ただ盛土を行って転圧管理や品質管理がズサンだったようにも感じます。一概に工事だけでなく他にも様々な要因が重なったことが今回の事故原因となるのが、最近の調査で分かったことです。

このように、造成で施工するにあたり工事の安全指示が必要なのが作業主任者です。本来守るべき安全基準について解説していきます。

地山の掘削及び土止め支保工作業主任者が知るべき安全基準

国土交通省が出している「安全衛生規則」には、掘削作業を行う際の安全対策が書かれています。

その規則を要約し、具体的な安全対策をとるとするなら、

  • 形状、地質及び地層の状態、亀裂、含水、湧水及び凍結の有無や状態、埋設物等の有無や状態、高温ガス及び蒸気の有無や状態といった地質調査を綿密に行う
  • 綿密な地質調査から具体的な施工計画や作業計画を作成する
  • 掘削する地山と掘削面の勾配から安全な掘削方法をとる
  • 自然災害の発生後及び発破後は必ず点検をする
  • 掘削が2m以上の深さを掘る場合は、作業主任者を選任する
  • 作業主任者が、作業の方法を決定し作業を直接指揮するようにする
  • 作業主任者が器具及び工具を点検し、不良品を取り除くこと
  • 安全帯やフルハーネス及び保護帽及びヘルメットの使用状況を監視すること
  • 建築物の近くで掘削をしない
  • 作業計画には、機械の作業範囲・運行経路を定め、運転者と作業者に周知する
  • 地下水や雨水はポンプでくみ上げて排除する

といった安全対策を講じるとともに、作業に関わる方たちにも周知していくようにしましょう。

以下の表は、掘削する場合に守るべき掘削面の高さと掘削面の勾配を地山の種類ごとにまとめています。

是非参考にしてみてください。

地山の種類掘削面の高さ/掘削面の勾配
岩盤や堅い粘土からなる地山5m未満 90°
5m以上 75°
その他の地山2m未満 90°
2m以上5m未満 75°
5m以上 60°
砂からなる地山5m未満 35°以下
発破等で崩壊しやすい地山2m未満 45°以下

地山の掘削及び土留支保工作業主任者講習とその作業内容

作業主任者は責任ある大切な安全品質の責任者です

作業主任者の業務は、職長と安全衛生責任者とは違うその業務に対して工事前の着手の打ち合わせ確認が業務に求められます。

つまり、作業の開始する指示を現場で指揮命令を直接することが業務として求められるのです。

先述したように作業主任者は使用する工具や機械の点検、機材の破損がないかの確認等も作業主任者の大切な役割です。

さらに、その作業に対して使用する、保護具等の着用使用等を確認し作業者に使用を指示するのも大きな役割となっています。

以下の記事では、職長になる際に知っておくべき内容を解説しているので、作業主任者を目指す方は是非チェックしてみてください。

土留支保工受験資格にはどのような経験が必要?

この資格の受験資格は以下のようになってます。

  • 地山の掘削及び土止め支保工の切り張り又は腹起しの取付け又は取外しに関する作業に3年以上従事した経験を有する者。
  • 学校教育法による大学、高等専門学校、高等学校又は中等教育学校において土木、建築又は農業土木に関する学科を専攻した者で、その後2年以上地山の掘削又は土止め支保工の切り張り又は腹起しの取付け又は取外しに関する作業に従事した経験を有する者。
  • その他厚生労働大臣が定める者

法の改正以前に地山掘削だけ取得した人もしくは、土留め支保工だけ取得した人は講習時間は短縮されます。

ただ、詳しい内容は指定講習機関に問い合わせするようにしましょう。

土留支保工受講のカリキュラムと講習時間は?

受講の方法やこんな経験が必要なのか

作業主任者講習は三日間で行われます。

そのカリキュラムの内容は以下のようになります。

  • 作業の方法に関する知識(地山の掘削方法・浮石・埋設物の処理、湧水の処理及び排水の方法、法面防護の方法、土砂及び岩石の性質、土留め支保工の種類、材料・構造・組立図、土留め支保工の切りばり・腹おこし等の取り付け及び取り外しの作業に関する知識)
  • 工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識(工事用設備及び機械の取り扱い、電気及び内燃料機関器具及び工具、危険防止の措置)
  • 作業に対する教育等に関する知識関係法令(労働安全衛生法、労働安全衛生規則、クレーン等安全規則等)

講習は三日間で行われる中で上記の内容を勉強した中で最後に修了試験があります。

地山掘削土留支保工作業主任者の資格を取るとこんなメリットが

先述したように、地山掘削土留支保工作業主任者の資格を取得すると、作業の安全管理をすることができるだけではありません。

他にも、「建設キャリアアップシステム」において技術者としてキャリアアップすることができます。

建設キャリアアップシステムでスキルアップをしていけば最終的には「登録基幹技能者」、つまり職長のなかの職長として働くことができます。

そうした技術者になるためには、地山掘削土留支保工作業主任者の資格だけでなく、以下のような資格も必要になってくるので、良かったらのぞいてみてください。

まとめ

今回は、地山掘削土留支保工作業主任者について解説していきました。

まとめますと、

  • 地山の掘削作業が2m以上であれば、作業主任者を選任する
  • 作業主任者は、掘削作業をするときは掘削面の高さと掘削する勾配をしっかり把握しなければならない
  • 崩壊を防ぐために土留志保工の作業も行わなければならない
  • 講習には受講資格があるので注意する
  • 作業主任者資格を取得すると、建設キャリアアップシステムでの評価が上がる

ですね。

地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習はトンネル工事や地下の躯体構築を行う人が受講する資格ですが、造成工事や水道管工事等でも必要になってきます。

重機土工行う会社では必須の資格になります。車両系建設機械の取得だけではなく地山や土留に関しても知識をつけてスキルアップできる資格になります。