昨年の年末に12月28日このようなニュースが出ていました。なかなかの施工不良の為、少しブログにまとめてみました。
問題があったのは現在工事中の高速道路になります。
愛知県の豊田からの環状道路で岐阜・大垣・四日市を結ぶ新しい幹線道路工事になります。
関東でいうイメージだと外環道路になりますね。
このブログを見て連絡してきた、練馬の新人保険屋さんの千尋(ちひろ)さん。
建設業の実態教えて欲しいと言われてブログを一緒にやることになりました。
東海環状自動車道橋脚工事:施工不良とは?
中日本高速道路株式会社名古屋支社が施工する東海環状自動車道(東海環状道)大野神戸インターチェンジ(IC)~糸貫IC(仮称)の建設工事において、工事受注者から施工済みの橋脚1基について、設計図書に対して柱の長さが不足(約0.7m)していると報告がありました。
中日本高速道路株式会社のニュースリリースの報告を用いて見てみるとこのように根入れの深さが違ってます。
通常は絶対にあり得ないことです。工事中は測量を何回も繰り返して位置の確認高さの確認など行います。掘削の際も床付けの確認で測量も繰り返し行います。
- 床付け検査
- 均しコン検査
- 型枠組立・打設後の出来形確認
- などなど
など、構築工事には何回も確認を繰り返します。
発注者対応と再発防止策
受注者からの報告として、当該現場においては今後、測量の誤りの原因である機器目盛りの読み違いを防止するため、目盛りの確認は複数名かつ複数系統でおこなうこと、上部組織による現場巡回の強化をおこなうこと、また新たに現場に統括責任者を配置し、受発注者との連絡調整を総括的に担わせ、現場内の統制の強化を図ること、とされています。
引用 東海環状道の建設工事における設計図書不適合への対応について
見延第二高架橋施工ゼネコン
この工事を請負した施工業者はこちらになります。
対象構造物:見延第二高架橋 橋脚1基
(岐阜県本巣市見延)
- 工事名:東海環状自動車道 見延第二高架橋他2橋(下部工)工事
- 受注者:TSUCHIYA株式会社
総合建設会社としてTSUCHIYA株式会社は、創業以来数々の経験と実績で培った技術とノウハウをもとに土木・建築ともに、幅…
その請負金額は国交省資料:地区別発注見通し一覧令和2年3月16日の記載事項から発注規模の入札規模公示:5.5億円以上~11億円未満
類似工事でもだいたい同額で入札落札されてますね。
参考に類似する入札で中日本高速道路会社名古屋支社は、東海環状自動車道御望山本線橋(下部工)工事の一般競争で、落札者を徳倉建設・坂田建設JVに決めた。落札額は11億7640万円、だいたい類似してますね。
施工不良と懸念事項に関して
さて、工事詳細は大野神戸インターチェンジ(IC)~糸貫IC(仮称)橋脚・橋台18基の構築工事をTSUCHIYA株式会社にて施工したそのなかで橋脚1基の施工不良が発覚したとのことですが
中日本高速道路株式会社のニュースリリースの写真を見ても、橋脚の躯体工事に関しては完成している状況ですね。どんな橋脚か中部地方整備局の資料を参考に見てますと一度耐震基準を見直しされてかなり大きくなってます。
さて、問題は基礎の根入れ部分が700mm(70センチ)の埋め込み不良の報告されていますが、場所打ち杭φ1200 杭長さ14.5m 本数9本こちらの杭に関しては、高止まりしているとか無いのでしょうか?
杭が所定の深さまで到達してない可能性もあります・・・どっかで同じようなことありましたね。杭の施工不良は
旭化成建材株式会社の弊社杭工事に関するお詫びとお知らせをご覧いただけます。…
少し心配な部分もあります・・・・
どれぐらいのやりかえの代償を伴うのか、、あくまで推定ですけど次にまとめてみました。
やりかえ工事は多大な損失
請負金額を仮に10億で入札していたと考えると、18基の施工になるので1橋脚あたり≒5500万ぐらいになりますね。ただ単純に割り算しただけなんで当然ざっくりの計算ですが作り直しの前提としてまず、5000万は持ち出しになるので考えられます。
橋脚の大きさを見てみましょう。
ただ、作り直すにあたり、壊さないといけないためその解体量を推測していきますと中部地方整備局の資料から下部工の橋脚の大きさを見てみますと、柱の橋脚寸法は 3.5m×4.5mの四角の角柱で実際に仕上がった写真から高さを推測するとコンパネの継ぎ目を見ると土の面に出ているの部分で見るとだいたい高さ10mぐらいになります。
そうなると柱の部分だけで解体ガラとしては約150m3ぐらいになるので、他の部分も合わせると300m3以上の解体になりますね。。
ざっくり、10tダンプで100台ぐらいですかね(コンクリートの比重2.7として)
恐らくワイヤーソーとかで切断撤去すると思われますが、解体費用は大きい金額になりますね。
足場組み直しやクレーンの費用など付帯する仮設工事の費用もかさみます。
土中面はフーチングを機械併用・人力ハツリで杭頭の鉄筋切断等にも注意して施工していかないといけないですし、かなり大掛かりになります。
杭の根入れが所定に届いてない場合は他の橋脚も全数検査すべて作り直しのリスクも伴いますね。
橋脚だけの作り替えでは無い工事遅延
ただ、中日本高速道路株式会社は開通に間に合わすと広報されていますが、橋脚1本作り変えという単純な問題ではありません。
高速道路では当たり前なのですが、橋脚を施工する下部工といい、橋桁を設置するのは上部工といいます。
つまり、TSUCHIYA株式会社が橋脚を作り直す時間で、上部工が工事出来ない(施工中断)ことになります。
この下部工と上部工は別々の入札になるので、被害を被るのは上部工の工事業者になります。つまり、突貫工事が予想もされます。
その業者さんは日本ピーエス 上部工の定番の大手企業になります。こちらの工事を下記の内容で受注しています。
発注先:中日本高速道路㈱名古屋支社
工事件名:東海環状自動車道見延第二高架橋他2橋(PC上部工)工事
工事種別:橋梁上部工
落札額:22億6500万円
落札者名:日本ピーエス
しかし、下部工事での失敗でバトンタッチする日本ピーエスは大変です。
橋桁を作成する工場は作成にも入れず、製造も遅れると思われます。
開通に間に合うように施工するにあたり大変な調整が今後必要になりそうです。
個人的な感想
さて、中日本高速道路㈱名古屋支社の発注者側もなぜ?躯体構築完了まで気が付かないんでしょうか?発注者側でも都度検査・定例打ち合わせをしている中で気が付くはずだと思います。
また、構築完了まで至った中でなぜ?今の状況で報告なんでしょうか?と個人的に思います。もっと早く発覚するべき事案だったように思います。
測量は現場で一番重要なのを改めて痛感したニュースですね。