建設業における労働災害の発生数については、現場の朝礼でも安全教育でも聞くかも知れませんが、今回はよく聞く墜落転落災害についてまとめていきたいと思います。
現場で作業していると、実際に墜落・転落事故が起こったケースは、話が入ってくることがありますよね。
実際に屋根などの端や開口部からの墜落・転落が最も多く、次いで足場からの墜落・転落や近年では、はしごや脚立からの墜落・転落災害が増加傾向にあります。
建設業の就労者と労働災害はどれぐらいの件数?
墜落転落災害を防ぐには安全教育は法律で実施するよう定められているので必ず実施しなければいけません。※細かいことは省きます。
しかし現在、技能実習生や特定技能者などの外国人労働者に教育するのが難しいと感じる企業も多く、また中小企業では教育を行う教育環境を作ることが難しいなどといった問題があり、実施するのが困難な課題が多くあります。
建設業の労災事故と死亡事故はどれぐらいの件数?
実際、平成28年の建設業の労働人口は492万人(事務や総務も含む)のうち、技術者(現場監督など)31万人、技能者(職人)が326万人と国土交通省で集計されています。
そのうち令和2年中に死亡事故で258人が残念ながら亡くなっておられます。
さらに、死傷病災害といわれる労災事故で報告が出ている14,977人が現場で何かしらのケガをしています。
こうした労働災害が起きた一因として挙げられるのが、以下のような安全防止措置を怠ったことが原因とされています。
安全教育未実施で罰金はあるのか?
事業主が安全衛生教育を実施して記録を残さないと万が一、労災事故が発生した場合には労働安全衛生法第20条(事業者の講ずべき措置等)にて送検されるだけでなく安全衛生法の中で、この内容で罰せられることになります。
第百十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処すると厳しい刑事罰があります。
実際には、死亡事故や休業を伴う場合には民事罰も付いてきます。2023.02.10 【労働新聞 ニュース】から引用してますが、下記のように安全教育の周知は出来てない現場も多いみたいです
東京で労基の指導があったのは3割近く
東京労働局(辻田博局長)が年末・年始Safe推進強調期間中に実施した建設現場に対する指導結果によると、労働安全衛生法の違反率は60.8%だった。指導に入った574現場のうち、墜落・転落防止に関する違反が認められた割合は35.2%(202現場)に上っている。同労働局は、墜落制止用器具の未装着など墜落・転落防止に関する違反が低下しないことから、今後の現場指導では作業員への安全衛生教育について重点的に指導していくとした。
同期間中の指導では、現場の担当者から安全衛生教育で課題となっている点を聴取している。最も回答が多かったのは「マンネリ化」で、31.9%だった。次いで「現場内の安全ルールの周知」26.9%、「外国人労働者への対応」26.4%、「近道行動や不安全行動禁止」24.6%となっている。
昨年、都内で発生した建設業における死亡災害25件のうち、14件は墜落・転落によるものだった。墜落制止用器具を装着していなかった事案もあり、同労働局では安全衛生教育の不足が災害につながっていると懸念。現場指導で教育の実施状況の確認に努めるほか、教育に関する好事例を収集し、講習会で周知することを検討している。
https://www.rodo.co.jp/news/145077/
高所作業は死亡災害・重篤災害が多い一番注意が必要
高所作業って言えば鳶職人のイメージですが、実際は鳶職人は足場を組んで終わりです。実際は足場の上で作業するのは様々な職人が足場を使います。
しかし、こうした足場において実際に墜落災害として近年で送検されているケースは多々あります。
東京・向島労働基準監督署は、墜落防止措置を怠ったとして、建設業の元請会社らを安衛法違反の疑いで東京地検に書類送検した。ビル新築工事現場でコンクリート打設作業を行っていた下請会社の職長が、高さ10.5mの4階開口部から墜落し、死亡する労働災害が発生している。同社における管理者の立場だったとして、被災した職長も被疑者とした。 (R3・2・8)
労働新聞社
先ほどの建設業での労災事故の死傷災害は14,977人のうち、高所作業からの墜落転落災害は3割以上を占める4,756人が遭遇しています。
数値は令和2年の災害統計を引用しています。
こうした事故を起こさないためにもその足場の基本的知識を教えることは労働災害防止の観点から非常に重要です。
更に、少し現場経験を積んでから足場組立の特別教育など受講させてあげると、より安全性の高い作業が行えるようになるのではないかと思います。
そして、足場作業を安全管理任せることができる「足場組立作業主任者」の資格を取得することもおすすめなので、是非合わせてチェックしてみてください。
この記事では、足場組立作業主任者という資格について解説していきたいと思います。また、その技能講習の内容と足場組立に関する特別教育の内容についても合わせて解説していきたいと思います。足場組立作業主任者ってどんな資格なんだろう[…]
ちなみに、とび職にとって必要な資格は多々あるので、安全管理の観点からも是非取得しておくことをおすすめします。
フルハーネスは高所作業では必須アイテム
こうした安全教育で基本的な安全対策を学び、現場に慣れてきたら以下のようなフルハーネスや足場の安全対策を学ぶようにするとより現場で安全に効率よく作業を進めることができるのではないかと思います。
特に、以下ののフルハーネスははしごの使えない建設現場などの高所作業で必ず必要となる墜落防止装置になるので、是非受講するようにしましょう。
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ちなみにフルハーネスを受講したら、フルハーネスを選ぶ際のポイントとしてチェックしてみてください。
雇い入れ教育・安全教育を動画で教育で周知しやすく
墜落転落災害には、先ほどの墜落転落防止柵などの不備もあり、開口部と呼ばれる資材の取り込みの為の穴や、掘削して落とし穴みたいになって場合も現場には発生することもあります。
照明が暗くて気づかないことや、昨日は塞がられていたので大丈夫と思ったら、今日は蓋が開いていて大丈夫と言う思い込みで落下して転落事故に遭う場合もあります。
足場組立でも自分は慣れてるから、安全帯(命綱)を使わなくても大丈夫などの過信による事故も実際にあります。
足場にどのようなタイプがあって使用する方法の理解が必要です。
朝の現場朝礼でのワンポイントで職種に合わせて活用:安全動画
作業床(2分17秒) | 開口部(1分43秒) | 開口部付近作業(2分10秒) |
移動はしご(2分31秒) | ローリングタワー(2分01秒) | 高所作業車(1分35秒) |
枠組み足場(上部)(2分01秒) | 枠組み足場(下部)(1分53秒) | 枠組み足場の組立・解体作業(2分21秒) |
鉄骨建て方作業(1分56秒) | 外壁PC板取り付け作業(1分28秒) | スレート屋根作業(1分46秒) |
安全帯の使い方(2分37秒) |
外国人労働者へ墜落転落防止/安全教育YouTube
外国人労働者も、建設業では様々な分野にわかれて従事してますが、命を守る為にも相手にもケガをさせない仕事をしてもらわないとなりません。
一度にたくさんは覚えられないので、現場を一緒に一度巡回して映像と自分の目で資材や作業を見てもらい反復して安全衛生教育を行うと効果的になりますね。
作業内容 | 中国語 | ベトナム語 | インドネシア語 | 英語 |
---|---|---|---|---|
作業床 | 中国語 (2分28秒) | ベトナム語 (3分04秒) | インドネシア語 (2分25秒) | 英語 (2分28秒) |
開口部 | 中国語 (1分54秒) | ベトナム語 (2分18秒) | インドネシア語 (1分48秒) | 英語 (1分51秒) |
開口部付近作業 | 中国語 (2分25秒) | ベトナム語 (2分52秒) | インドネシア語 (2分14秒) | 英語 (2分20秒) |
移動はしご | 中国語 (2分48秒) | ベトナム語 (3分17秒) | インドネシア語 (2分36秒) | 英語 (2分45秒) |
ローリングタワー | 中国語 (2分07秒) | ベトナム語 (2分41秒) | インドネシア語 (2分08秒) | 英語 (2分06秒) |
高所作業車 | 中国語 (1分42秒) | ベトナム語 (2分14秒) | インドネシア語 (1分43秒) | 英語 (1分40秒) |
枠組み足場(上部) | 中国語 (2分16秒) | ベトナム語 (2分47秒) | インドネシア語 (2分15秒) | 英語 (2分09秒) |
枠組み足場(下部) | 中国語 (2分09秒) | ベトナム語 (2分15秒) | インドネシア語 (2分04秒) | 英語 (2分05秒) |
枠組み足場の組立・解体作業 | 中国語 (2分35秒) | ベトナム語 (2分54秒) | インドネシア語 (2分29秒) | 英語 (2分33秒) |
鉄骨建て方作業 | 中国語 (2分09秒) | ベトナム語 (2分34秒) | インドネシア語 (2分09秒) | 英語 (2分08秒) |
外壁PC板取り付け作業 | 中国語 (1分41秒) | ベトナム語 (2分03秒) | インドネシア語 (1分36秒) | 英語 (1分39秒) |
スレート屋根作業 | 中国語 (1分54秒) | ベトナム語 (2分13秒) | インドネシア語 (1分46秒) | 英語 (1分51秒) |
安全帯の使い方 | 中国語 (2分49秒) | ベトナム語 (3分09秒) | インドネシア語 (2分38秒) | 英語 (2分47秒) |
こうした安全教育で基本的な安全対策を学び、現場に慣れてきたら以下のようなフルハーネスや足場の安全対策を学ぶようにするとより現場で安全に効率よく作業を進めることができるのではないかと思います。
まとめ
今回は、墜落・転落事故を防ぐために必要な安全教育の必要性に関して解説していきました。
まとめますと、
- 安全教育を行うことは法律で定められているので、現場入りの時に行わなければならない
- 安全教育を怠ると、事業を停止されるといった措置を取られることもある
- 墜落・転落を防ぐためにも、安全教育を受けるべき
ですね。
言語の壁があるので、外国人に教えるということがとても難しく感じるかもしれません。
ですが、現場の安全対策を行う観点からも必ず受講するべきことであり、事業者にとっても必要となることなので必ず講ずるようにしましょう。