特定化学物質とは?有機溶剤との違いは?扱うときに必要な資格と講習の内容も解説!

2021年7月28日安全教育,特別教育・技能講習,資格講習特別教育・技能講習

この記事では、特定化学物質を扱う際の資格と資格講習の内容について解説していきます。

また、間違えやすい「特定化学物質」と「有機溶剤」の違いについてもあわせて解説していきます。

特定化学物質を扱うときは、特化物講習と言われる資格講習を受けなければならないとされています。

しかし、どんなことを習うのか、とかどういったものを取り扱うことができるのかよくわからないですよね。

そこで、特定化学物質の資格を取得するとどういった仕事ができるのか、また特化物と混同しやすい有機溶剤について解説していきたいと思います。

ここの記事はややこしい単語がたくさん出てきます。バケガクは嫌いです

特定化学物質(特化物)とは?

特化物(通称:特化物)とは、簡単にいうと

労働安全衛生法によって規定された、労働者が体内に取り込むと健康障害を起こす可能性が高い化学物質。この物質を取り扱う事業者は特定化学物質障害予防規則により、さまざまな規制が定められている。このうち、微量な暴露でがんを引き起こす物質は特別管理物質として、より厳しい管理が求められる。

引用:デジタル大辞泉

とされています。

そして、特定化学物質に定められている物質は3つに分類されていり、それぞれ

  • 第1類物質
  • 第2類物質
  • 第3類物質

と分類されています。

第1類物質

第1分類に指定されている物質は、

がん等の慢性障害を引き起こす物質のうち、特に有害性が高く、製造工程で特
に厳重な管理(製造許可)を必要とするもの

ウィキペディアより

と、されています。

つまり、慢性的な健康被害(がんなど)を及ぼすものに対しては、製造許可がなければ製造できませんと定められているということです。

この第1類物質に定められている物質は、ジクロルベンジン・ジアニシンジン・ベリリウムなどといった化合物・塩を含むものです。

第2類物質

第2類物質に定められている物質は、

がん等の慢性障害を引き起こす物質のうち、第1類物質に該当しないもの

ウィキペディアより

とされています。

つまり、第1類に比べて毒性は低いですが、慢性的な健康被害を及ぼす物質と定められているということです。

この第2類物質に定められているものは、シアン化水素・ホルムアルデヒド・硫化水素などの物質が分類されています。

第3類物質

第3類物質に定められている物質は、

大量漏えいにより急性中毒を引き起こす物質

ウィキペディアより

とされています。

第1・第2分類物質に該当しませんが、急性中毒を引き起こす危険性のあるものが分類されています。

この第3類に指定されている物質は、アンモニア・一酸化炭素・塩化水素などの物質になります。

他にも、様々な物質が定められているので、詳しくはこちらを参考にしてみてください。

なにを言ってるのか、土木屋の私には相当難しい・・・・

特定化学物質(特化物)を扱う時に使う表示方法

なるほど、特化物を扱うには、塗料などの商品のラベルを見るとどんな危険があるかわかりやすいということになりますね。
【どくろ】のマークの場合は保護手袋・保護マスク・保護メガネヨシ!って感じで

特化物を取り扱う場合には、ラベルマークを使って特化物の危険性を視認してもらうよう定められています。

このマークは、「GHS(The Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)マーク」という、国連GHSが定めたマークをつけるようにしましょうと国際的にも定められています。

GHSの目的

GHSの目的は、

GHSは、化学品の危険有害性に関する情報を、それを取り扱う全ての人々に正確に伝えることによって、人の安全・健康及び環境の保護を行うことを目的としています。

GHS対応-化管法・安衛法・毒劇法におけるラベル表示・SDS提供制度

GHS導入のメリット

  • 人の健康や環境の保護を強化
  • 化学品の試験・評価の重複を回避
  • 事業者の負担軽減と国際競争力の強化に貢献
  • 自社の安全性のイメージ向上に寄与

といったことがメリットとして挙げられます。

このように有害性を視認できるようになると、化学品を使用する人が適切の行動することが可能になり、健康や環境保護などといった働きをしてくれます。

GHS表示方法

特定化学物質を表示するマークは9種類に分かれています。(参考:見出し画像)

つまり、塗料やセメント袋にはこのマークや危険のポイント等が記載されていてるこを見る必要な保護具や設備対策を考えることが重要なんですね。

  • 爆弾の爆発(爆発物・自己反応性化学品・有機酸化物)
  • 炎(可燃性・自然発火ガス・引火性液体等12種類の物質)
  • 円上の炎(酸化性ガス・酸化性液体・酸化性固体)
  • ガスボンベ(高圧ガス)
  • 腐食性(金属腐食性化学品・皮膚腐食性・目に対する重篤な損傷性)
  • どくろ(急性毒性)
  • 感嘆符(皮膚刺激性・目刺激性・皮膚感作性等といった6種類の物質)
  • 健康有毒性(呼吸器感作性・発がん性・生殖毒性等といった7種類の物質)
  • 環境(水性環境有毒性)

に分けられ、表示されています。

また、表示する際は、

  • 化学品の名称
  • 注意喚起語(危険と警告の2種で説明)
  • 絵表示
  • 危険有害性情報

を書くように定められています。

GHSによる化学品の分類

これを皆さんに説明すると難しいですよね。だから実際に現場ではマークを見てKYやリスクアセスメントに織り交ぜて職長に説明してあげてください。
例えばセメント袋のマークを見てください。怖いマークがいっぱい書かれてます

673物質とそれに付随する化合物がこのように定められています。

どの物質がラベル表示に義務に当たるのかは、上記の資料を参考にしてみてください。

安全衛生法に定められているラベル表示規定

専門的な内容ですが、すべて覚えるのは無理ですが広く浅く知識をもつことが大切です。KYを記入するときは足場から転落だけじゃなく、使う資材材料に目を向けてリスクを全員で検討

【義務となっているもの】(※令和2年1月1日現在)
・ラベル表示義務とSDS交付義務の対象物質(673物質及びそれを含有する混合物、P.40~46を参照)
(1) 労働安全衛生法施行令別表第3第1号で定める製造許可物質(7物質)
(2) 労働安全衛生法施行令別表第9で定める表示・通知義務対象物質(666物質)
(3) 上記物質を含有する混合物(表示・通知義務対象物質ごとに裾切値*1が定められています)

*1 当該物質の含有量がその値未満の場合、ラベル表示・SDS交付の義務の対象とならない

【努力義務となっているもの】
労働安全衛生規則第24条の14及び第24条の15に基づき、表示義務又は文書交付義務の対象物質以外の危険
有害性*2を有するすべての化学物質及びそれを含有する混合物
についても、ラベル表示及びSDS交付が努力義
務とされています。
*2 JIS Z 7252において、危険有害性クラス、危険有害性区分及びラベル要素が定められた物理化学的危険性又は健康有害性を有するもの

【主として一般消費者の生活の用に供するための製品*3は除きます】
*3 これには以下のものが含まれます。
① 医薬品医療機器等法に定められている医薬品、医薬部外品、化粧品
② 農薬取締法に定められている農薬
③ 労働者による取扱いの過程で固体以外の状態にならず、かつ、粉状または粒状にならない製品
④ 対象物が密封された状態で取り扱われる製品
⑤ 一般消費者のもとに提供される段階の食品
。ただし、労働者が表示対象物にばく露するおそれのある作業
が予定されるものについては適用除外となりません。

-GHS対応-化管法・安衛法・毒劇法におけるラベル表示・SDS提供制度

と、細かく規定されていますが、こうした細かな規定で定められている物質を取り扱うことができる資格について後程解説していきます。

また、厚生労働省のサイトから適宜、特定化学物質に対する通達が出ているので特化物を取り扱う方はこまめにチェックしておくと良いでしょう。

特定化学物質(特化物)と間違えやすい有機溶剤との違いは?

特定化学物質と有機溶剤はしばしば混同して扱われることがありますが、どちらも取り扱うことができる資格が全く違います。

へぇ~ 知らなかった・・・って人もいると思います

有機溶剤とは?

有機溶剤とは、他の物質を溶かす性質を持つ有機化合物の総称であり、様々な職場で、溶剤として塗装、洗浄、印刷等の作業に幅広く使用されています。
有機溶剤は常温では液体ですが、一般に揮発性が高いため、蒸気となって作業者の呼吸を通じて体内に吸収されやすく、また、油脂に溶ける性質があることから皮膚からも吸収されます。

引用:有機溶剤中毒を予防しましょう

といった物資を指します。

例えば、クロロホルムやアセトン・ガソリンといった物質が含まれています。

また、有機溶剤として定められている物質は、有機溶剤中毒予防規則で定められています。

特定化学物質(特化物)と有機溶剤の違いは?

危険性がまったく違いますね。。。

一方、特定化学物質は、主にがん・皮膚炎・神経障害を発症させる可能性のある物質を指します。

つまり、これらの違いは定められている規則に違いがあるということです。

  • 有機溶剤…有機溶剤中毒予防規則 
  • 特定化学物質…特定化学物質障害予防規則

そして、それぞれ定められている規則が違うことから扱える資格も違うので、今回紹介する特化物の資格を取ったからといって有機溶剤も扱うことはできないことは注意しておきましょう。

下の記事では、そんな有機溶剤を扱う資格の取得方法について解説しているので是非特化物と合わせて取得すると良いかと思います。

特定化学物質(特化物)の資格と合わせて取得したい資格

危険物取扱も取得して給料UPを目指そう。

先述したように、特化物と合わせて有機溶剤の資格があることを紹介しました。

他にも、こうした危険物を取り扱う場合に持っておきたい危険物取扱者になることができる資格も合わせて取得することもできます。

是非、合わせて取得すると取り扱う化学物質が増えるので仕事での給与保証や処遇改善といったメリットが受けられますよ。

特定化学物質(特化物)を扱うための資格講習について

では、特化物の講習について解説していきます。

今回紹介する講習の内容は、「特定化学物質作業主任者」または「四アルキル鉛等作業主任者」になるための資格講習です。

これらの資格講習は同じ内容になっているので合わせて解説していこうと思います。

特定化学物質作業主任者の仕事内容

(1)作業に従事する労働者が特定化学物質により汚染され、またはこれらを吸入しないように、作業の方法を決定して労働者を指揮

(2)局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置、排ガス処理装置、排液処理装置その他労働者が健康障害を受けることを予防するための装置の点検

(3)保護具の使用状況を監視する

作業主任者技能講習JAWA

こうしたことを主としています。

四アルキル鉛等作業主任者の仕事内容

(1)作業に従事する労働者が四アルキル鉛により汚染され、またはその蒸気を吸入しないように、作業の方法を決定して労働者を指揮

(2)換気装置の点検

(3)保護具の使用状況を監視

(4)中毒の恐れがある場所からの退避や除染作業等の緊急対応を行う

作業主任者技能講習JAWA

ことを主としています。

四アルキルとは、四メチル鉛、四エチル鉛、一メチル・三エチル鉛、二メチル・二エチル鉛および三メチル・一エチル鉛並びにこれを含有するアンチノック剤のことを指します。

これらの物質を取り扱う資格のことを四アルキル鉛等作業主任者と呼んでいます。

資格講習の受講条件

受講資格は特に定められておらず、満18歳以上であれば受講することができます。

講習内容

労働安全衛生法別表第20第11号に基づき、有資格者の講師により

  • 「化学物質関係作業主任者技能講習規程」(平成6年告示65号)
  • 「石綿作業主任者技能講習規程」(平成18年告示26号)

に規定する科目、時間、カリキュラムにより講習を行います。

講習内容は以下の通りです。

①健康障害及びその予防措置に関する知識 4 時間
②保護具に関する知識 2 時間
③作業環境の改善方法に関する知識 4 時間
④関係法令 2 時間

講習は、講義講習によりそれぞれ2日間にわたって行います。

講習終了後、修了試験が実施され、合格すると資格を取得することができます。

事業者の選任条件

事業者は特化物や四アルキル等を取り扱う現場では、このように選任するよう定められています。

事業者は、労働災害を防止するため、一定の有害な化学物質(特定化学物質)またはそれらを一定以上含有する製剤その他の物を製造し、または取扱う作業については、「特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習」を修了した者のうちから、「特定化学物質作業主任者」を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他厚生労働省令で定める事項を行わせなければならないこととされています(労働安全衛生法第14条、特定化学物質障害予防規則第19条、第19条の2)。

また、事業者は、労働災害を防止するため、四アルキル鉛を製造する作業または四アルキル鉛もしくは加鉛ガソリンを取り扱う一定の作業については、遠隔操作によって隔離室で行う場合を除き「特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習」を修了した者のうちから、「四アルキル鉛等作業主任者」を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他厚生労働省令で定める事項を行わせなければならないこととされています(労働安全衛生法第14条、四アルキル鉛中毒予防規則第14条、第15条)。

作業主任者技能講習JAWA

まとめ

今回は特化物と有機溶剤の違い、特化物の資格内容について解説していきました。

少し、法律や規則が絡んで難しかったのではないかと思いますがいかがでしたでしょうか?

まとめますと…

  • 労働安全衛生法によって規定された、労働者が体内に取り込むと健康障害を起こす可能性が高い化学物質。
  • 特定化学物質は第1類~第3類と分類されている
  • 特定化学物質を取り扱っていることを視認させるGHSマークをつけるよう定められている
  • GHSマークは国連で定められている世界共通のマーク
  • 特定化学物質と有機溶剤の違い定められている規則が違い、取得する資格も違う
  • 資格取得の際は満18歳以上であれば、誰でも受けられる
  • 受講時間は二日間に渡って開講される
  • 事業者は、労働災害を防ぐためにも特定化学物質を扱うときは、資格保有者を選任し従事させなければならない

ですね。

どの物質かなど、それぞれ扱う時に注意しなければならないものが多くあるので正直面倒だな、なんて思ってしまうかもしれませんが、今回紹介したものはどれも健康被害を及ぼすものばかりです。

安全に作業をするためにも、こうした危険物があるということをしっかり理解して労働災害を未然に防ぐようにしましょう。