この記事では、マンションを大規模修繕する際に知っておきたい「タイル剥落」を防ぐ打音調査とタイル診断の重要性について解説していきたいと思います。
また、タイルが剥落してしまう原因・タイル剥落時の補修費用・タイルの貼り替え費用等についても合わせて解説していきます。
マンションの外壁タイルの修繕やメンテナンスを行うことは、マンションの寿命を左右する重要な部分です。
さて、
このブログを見て連絡してきた、練馬の新人保険屋さんの千尋(ちひろ)さん。
建設業の実態教えて欲しいと言われてブログを一緒にやることになりました。
特に今回の記事で押さえておきたいポイントとしては、
ということです。
では、こちらのポイントをおさえながら管理組合として知っておくべき診断内容等を解説していきます。
このブログは他にもこのようなことがまとめてあります。合わせて気になる記事を確認してみてください。全体を確認するにはこちら
マンション大規模修繕:「タイル剥落」パターン

まず、外壁の打音調査をする前に基本的なタイルの劣化のパターンをおさえておきましょう。
外壁タイルの劣化にはパターンが次の3種類があります。
- タイルの浮き
- タイルの欠け、ひび割れ
- タイルの剥がれ
これら3点のいずれかの要因が起こることでタイルが剥落してしまう要因となるのです。
ここでは、特に目視では判断しにくい「タイルの浮き」について解説していきます。
「タイルの浮き」とはどういったもの?
浮きがひどいとこんな感じになります。このようなタイルだとすぐに全面検査をした方がいいです。

タイル脱落して、歩行者に落ちて万が一ケガをさせた場合には、管理組合が責任を負う事になります。
欠けやヒビ剥がれはすぐに発見出来ますが、この浮きが一番やっかいです。
壁にタイルがちゃんと張り付いているかという内容ですが、タイルが浮いているのは目に見えない症状になるので非常に厄介な不具合です。
また、タイルの劣化により、雨漏りが起きることもありますので、タイルの浮きは外壁をよくチェックすることが大切です。
「タイルの浮き」ができてしまう原因
タイル剥落のコンクリートとタイル張り仕上げ隙間がある事を浮きと言います。
この浮きが下記の内容で剥落する原因を生みます。
- 温度差による伸縮と膨張ではがれ地震などの 建物の変形、揺れなどで剥がれが生じる
- タイル目地などからの吸水により膨張が生じ、乾燥する事によって収縮する
- 鉄筋の被り厚さ不足 鉄筋の被り厚さ不足により鉄筋に錆で膨張する※建築の際に施工不良(工事が適正に出来ていないかった)
タイル浮きには【陶片浮き】と【下地浮き】わかりやすく

- 躯体とはマンションの外壁のコンクリートの部分になります。
- 出来立てのコンクリートには多少なりと不陸があるのでそこに左官をして平坦にします(下地モルタル)
- タイルに貼り付けモルタルを塗って壁にペタってはります。(その時に使うモルタルが貼り付けモルタル)

- 少しわかりにくいのでウェハースは子供のころによく食べたと思います。表面のパリパリをタイルとしましょう。クリームを貼り付けモルタルとしましょう。
- 表面を剝がすときに、ウェハースだけめくれると【陶片浮き】
- クリームとウェハース両方めくれたら【下地浮き】
大規模修繕では、皆さんで積立したお金を使って修繕をします。
外壁の見た目も重要ですが、何が大事か、優先すべきかを考え大規模修繕の内容について検討していくと良いでしょう。
今から、大規模修繕を行う組合は必要最低限の知識は持っていないと損します。
特にタイル張りに関しては脱落や剥離等の施工不良に起因する部分もあるので、打音検査と言われる検査で下地補修範囲を決めて工事方法を決めていくので、タイルの確認とチェックは非常に時間が掛かります。
マンション:「タイルの浮き」調査は打音検査

外壁タイルの劣化状況をチェックするには、打音ハンマーと呼ばれるもので、叩いて調査します。
張り付きが甘いとカラカラと乾いた音がします。
その結果、タイルの浮きが激しいと思われる箇所は交換処理を行う必要があります。
打音ハンマーがあれば、自主的にチェックできるので非常に便利です。
下記のリンクでどういったものがあるのかチェックできますので、見てみてください。
次にタイル張り替えの相場感をまとめいきたいと思います。合わせてタイル張り替えのチェックポイントなどを記載していきたいと思います。
マンション大規模修繕:タイル貼り替え工事の相場
タイルを張替える工事費用目安として
約500円/1枚程度の費用が掛かります。あくまで目安です。
打音調査等で判明した浮きがある部分をテープなどでマーキングしてナンバーを記入し、そのトータルの面積を㎡単位設計数量に㎡あたりの浮き張替えの単価を掛けて予算金額を算出します。
金額としては1㎡あたり、200円~350円/m2になります。
ただ、撤去には費用費用が別途生じますので実質500円/m2~で材料込みで見ておくといいかも知れません。
タイル張り替えのデメリットは?
外壁タイルの打診調査の結果、タイル交換処理を行った場合のデメリットは、大きく次の3つが考えられます。
- 色が揃わないと、見た目が悪くなり、資産価値が落ちる原因となる
- 接着効果が新築時より落ちる
- 施工業者の質が悪いと劣化が早くなる
タイルを張替で一番問題になる事 タイル張替で一番怖い事、簡単にタイルを張替ればいいと思いますが、タイルは陶器・磁器です。つまり焼き物の壺と同じです考えになります一緒に窯で焼かれたタイルは色的には同じに仕上げりますが、品番は同じでも制作時期が異なると全然違う色合いになり貼ったときに色ムラでまだら模様になります。
今、壁や床に張ってあるタイルは廃盤や製作中止になってるケースがほとんどです。特注で製作しないといけないと言う事です。
当然ながら特注なんで値段は高いですし、完璧に同じものと言う事はありません。無駄がないように大規模修繕業者との発注調整が必要です。
タイル貼り替え工事の仕方・方法

タイル張替えを簡単と、思いがちかもしれませんがマンションとなると、騒音も伴う大規模な工事になります。
主なタイル貼り替え工事は以下の手順で行っていきます。
- カッター入れ:目地を切り込み入れます
- ハツリ:振動を与えて、古いタイルを壊してはがします。
- 清掃:はがした面を掃除します
- プライマー:接着材を塗ります
- 圧着セメント:タイルの下地モルタルを塗ります(状況によりボンド)
- タイル張りを行います:しっかりとタイルの後ろにモルタルが充填されている。
- 目地うめ:タイルの目地を入れて・掃除をします
- 施工完了:工事完了
このような手順で不具合のタイルは張り替えします。
加圧注入:ピンニングによるマンションタイル/改修費用

と、先述したような工事の手順だけでは数か所に及ぶ浮きがあるタイルでは対処しきれません。
そこで、数か所で浮きが起きている時は、タイル内部に表面からエポキシ樹脂を注入し、上から押さえて固定する工事が行われます。
タイルとタイルの目地にドリルで穴を開け、内部にエポキシ樹脂を注入することで、タイル内部の浮きを解消する工事です。
あくまで目安ですが
・約500~900円/1箇所あたり掛かります。
ピンニング注入タイル補修方法
こちらは、硬化樹脂を流し込みになります
- 施工前:テープを張って施工部分を位置出します
- 孔あけ:目地にドリルで穴をあけます
- エポキシ注入:硬化樹脂を入れ込みますが、圧力が掛かるのでタイルがはがれる場合があります
- 清掃:穴の中を清掃します
- ピン入れ:ピンを入れる事で引っ掛かりを作ります
- 目地埋め:タイルの目地を入れて・掃除
- 施工完了
ピンを入れるだけなので、本当に効果があるかは証明出来ないです。
多くのマンションでこの方法は採用されているので、効果の保証できない工事となると少し心配になるかもしれませんね。
マンションも戸建てもそうです。なかなか見積もりの方法に迷います
大規模修繕は特殊ですので一概に見積もりをすぐにコレって決めるわけにはいかないので
一度相場を見積もりを取得してみることが大切です。
戸建ての外壁塗装などは見積もり比較してくれるところはありますがマンションはなかなか難しいです
- マンションの該当から選択して
- 金額は1000万以上になるのがほとんどです
- 理事長か副理事長などの役員名で申し込んで相場確認してもいいですね
- マンションの大規模修繕なので金額は大きくなりますので
- 大手のリフォーム会社も登録紹介してくれるので安心です
補足:外壁タイル工事の基礎知識を知っておく重要性
大規模修繕工事の点検項目の中でも、「タイル浮き」については、最も重要な項目と言えます。
大規模修繕工事において、外壁タイル工事は主要な工事項目の一つではありますが専門知識までは必要ないとは言え、基本的な知識は持っておく必要があります
端的に言うと、明らかにおかしい所を見抜ける知識のことです。
マンション外壁はタイルの素材は石や陶器のため、基本的にメンテナンス費用が比較的少なくて済みます。
外壁タイルが劣化してきて、浮きが生じた場合、最悪のケースでは剥がれ落ちて、通行人に当たってしまう事故が発生する可能性があります。その場合、冒頭述べたように管理組合の責任となります。
打音調査が自分で行える便利な工具を紹介しましたが、下の工具は外壁のひび割れを自分で調査することができる工具になります。
こうしたセルフチェックを行うことで、修繕費用を小規模で済ませることもできる可能性はあるので、気になる方は持っておくとよいかと思います。
まとめ
外壁調査は瑕疵(保証期間)が過ぎるまえに打音調査をする事で大規模修繕を実施前の前年等でチェックしておく事で、不具合が生じたときに交渉が速やかに行えます。
次回のブログはこちらになりますので、実際の大規模修繕の実態についてはこちらからご覧ください。
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