マニアックな資格:ガス溶接とは?その技能講習と作業主任者免許取得方法について解説!

2020年12月4日安全教育,特別教育・技能講習,資格講習特別教育・技能講習

この記事では、ガス溶接の資格取得方法とその作業主任者になるための資格を取得する方法について解説していきたいと思います。

ガス溶接作業にあまり馴染みがない方にとっては、どんな資格がいるのか、またその作業内容についても良く分からないかと思います。

ガス溶接をするためにどんな資格がいるのかな?

ガス溶接とは、アセチレンと酸素により溶接と溶断作業を行う作業で、労働安全衛生法によるガス溶接技能講習を修了しなければその作業をしてはいけないと定められています。

溶接といっても、金属同士を接着するだけでなく、「溶断」といって金属を切断する作業をするなどその作業内容は幅広く行われています。

そんなガス溶接作業をするためには、どのように資格を取得すればいいのか、またその作業主任者になるためにはどのような資格が必要なのか解説していきたいと思います。

このブログは他にもこのようなことがまとめてあります。合わせて気になる記事を確認してみてください。全体を確認するにはこちら

ガス溶接とは?

ガス溶接資格は、建設や造船業では大事な資格です。

金属の加工や溶接、溶断といった作業は鉄工所のイメージがありますが、実際は建設や土木の建設現場、造船や施設管理の現場など様々な専門での現場作業で必要となる作業資格です。

作業を安全に行うためには、専門的な装置の使用や作業の技術を正しく行うことが求められます。

作業を行うにあたり、ガス溶接技能講習を修了する事が必要になります。

資格を取得するのも必要ですが、技術の求められる作業でもあります。

切断するときに薄いものだと溶けてギザギザになったり手が震えたりすると真っ直ぐは切れません。

そのため、呼吸を止めて体が震えないようにして切るなど、実際の現場でコツを掴みながら作業をしていく、経験が問われるスキルでもあります。

ガス溶接と並ぶ「アーク溶接」とは?

溶接は、ガス溶接以外にも「アーク溶接」呼ばれる溶接作業があります。

アーク溶接とは、電気を使用して金属間にスパークを発生させ、その熱を利用して溶接する技法です。

ガス溶接と同等の頻度で扱われる技法で、建設業・製造業等様々な分野で活用されています。

また、アーク溶接においても作業する場合は、資格を取得しなければならないとされています。

ガス溶接に比べて技術が求められる作業でありますが、最近ではDIYの作業で扱われるほど安全性のある溶接とされています。

ただ、アーク溶接は「ヒューム(加熱により発生する粒子状物質)」が発生するので、必ず防塵マスクをして作業にあたらなければなりません。

健康被害のリスクが高い作業でもあり、かつ溶接による火災事故が発生しやすい作業でもあるので危険性が高い溶接作業といえるでしょう。

アーク溶接については、下の記事でまとめていますので是非合わせて読んでみてください。

溶断が多いのに何故ガス溶接なのか?

溶断するだけなのになんでガス溶接の資格がいるのかな?

「溶接」となると一般的には、溶接棒を使って金属同士をくっつけるアーク溶接のような作業が思い浮かぶのではないかと思います。

しかし、ガス溶接では溶接棒を使って溶接するのではなく、実際の現場ではH鋼や鉄板を溶断するのに用いられることが多いので「切断するだけなら資格いるのかな?」と疑問に思うかもしれません。

実際の現場では、確かに溶断作業が多いのですが、当然その名前からあるように、ガス溶接は「溶接」をするための機械です。

ガス溶接で溶接する場合は、アーク溶接とは違い、

「ロウ付け」という、溶接をするためのガスバーナーを利用して鉄を溶かして溶接する作業です。

もう少し詳しく解説すると、ロウと呼ばれる低温度で溶ける合金を接着剤のように使って金属同士を接合するのに使われる溶接です。

つまり、アーク溶接は金属棒を追加して母材と共に融合して接合する方法が主に用いられるのに対し、ガス溶接は母材を融解せず金属棒のみを融解して接合部分に「流し込む」ように溶接をします。

このガス溶接による作業が「ろう付け」と呼ばれる作業であり、ガス溶接で溶接する場合の主な溶接方法となります。

ガス溶接が溶断に使われるのはなぜ?

先述したアーク溶接は、母材も融解するので、ある程度強度のある金属でなければ割れてしまう恐れがあります。

このように、アークでできない薄い板や鋼板を加工する際に用いられるのがガス溶接です。

ガス溶接は、熱を感じる部分がアーク溶接に比べて広く、材料によっては加熱範囲が広いことによる強度の劣化が起こる可能性があります。

しかし、建設業における溶接は主に金属を切断する「溶断」の用途で用いられるのなら、加熱範囲は特に関係ないのでガス溶接を主に使う、というのが一つの理由とされています。

他にも溶接の方法はあるのですが、一概にいえることはどの溶接も用途に合わせて溶接方法を変えるということがいえます。

ガス溶接労働災害事例は多い

ガス溶接はガスを扱うので爆発の危険もある危ない仕事なのです…

 青森・弘前労働基準監督署は、ガス溶接技能講習を受講していない無資格労働者にガス溶断作業を行わせたとして、金属スクラップ業および中古タイヤのリサイクル業を営む㈱髙橋商事(秋田県か潟上市)と同社弘前営業所(青森県弘前市)の工場長を労働安全衛生法第61条(就業制限)違反の疑いで青森地検弘前支部に書類送検した。平成28年8月、同社労働者が死亡する労働災害が発生している。

被災者は、ドラム缶のガス溶断作業に従事していた際、爆発災害に巻き込まれて頭部損傷で死亡した。同労基署によると、「ドラム缶の中に油分が残っていたため、ガスと反応して爆発した」という。

同社については、「労働者が無資格である状態を放置していた」(同労基署)と指摘する。

平成29年3月7日送検

労働新聞社引用

無資格であっても作業が日常的に行われていると、「無資格でも作業ができるのだから資格をわざわざ取得しなくてもいいだろう」と安直に考えて無資格状態を放置してしまうのではないかと思います。

無資格のまま、作業にあたると管理側は書類送検され、最悪の場合は企業が業務停止処分を下される場合があります。

どの資格を取得する際にもいえることですが、資格を取得するときはその工具や作業の安全性を同時に学ぶことができます。

そのため、資格を取得するということは、その作業及び工具の使い方を正しく安全に使うことができるようになるので必ず資格を取得してから作業にあたるようにしましょう。

ガス溶接で怖い逆火事故

ガス溶接で起きる逆火ってどんな事故なんだろう?

ガス溶接による溶断では、「吹管」といわれる切断器を利用して、鉄等を切断します。

冒頭で解説したようにガス溶接はアセチレンと酸素を利用して、溶接をしていきます。

水素と炭素の化合物であるアセチレンと酸素が反応することで炎が発生します。

この時、炎の勢いがない場合は酸素に圧力を掛けて、火を噴射させて鉄を溶かしていきます。

このように酸素の勢いを使って、高圧洗浄のように炎の圧力で鉄を切断していきます。

しかし、現場によっては分厚い鉄を溶断しなければならないケースがあります。

鉄が厚いものは、熱が伝わりにくいので、火の吹き出し口に飛び散る火の粉が目詰まりして「逆火」を起こします。

この目詰まりした火花が詰まって、トーチが爆発する事故が起こります。

逆火を起こすと、パンパンっ!てすごい勢いで目詰まりしてトーチが熱くなります。

ちなみに、筆者は800HまでのH鋼材は切断出来ました。

鉄が2枚重ねになってるものなどは逆火して危険が伴いますので、注意して作業をするようにしましょう。

ガス溶接技能講習:試験の問題と内容

ガス溶接の技能講習では実技も行うので、実技で危険性をさらに理解しましょう

ガス溶接の技能講習は、労働安全衛生規則第83条及びガス溶接技能講習規程に基づいて行われる講習となっています。

講習時間は、2日間で実施され、1日は学科、もう1日は実技についての講習受講になります。

講習の最後に試験があり、その試験の合格すると資格を取得できるようになります。

ガス溶接技能講習の学科と実技の内容について

学科講習には大きく3つの科目があります。

  • 溶接作業などの業務で使用する施設の組成や取扱安全についての知識
  • 作業で用いる可燃性ガスと酸素についての知識
  • 安全衛生で関係法令

これらの講習を聞いていれば、試験で解答出来るので講習前に特別準備していく必要はありません。

実技に試験はないですが、実際にトーチや保護手袋を使用して溶断作業など行うため、ガス溶接などの設備における取扱いについて行われます。受講時間は約5時間となっています。

スキルアップ!ガス溶接作業主任者免許取得方法

この資格を取得してスキルアップしよう!

アセチレン溶接やガス集合溶接装置などを使用したより大スケールで複雑な溶接を行うためには、上位資格である「ガス溶接作業主任者免許」を取得する必須があります。

受験形式は、学科試験のみ行われ、正答率60%程度で合格となります。

合格率は80%ほどなので、難易度としてはそんなに高くはありません。

ガス溶接作業主任者の資格を取得すると、溶接施工での作業主任者として作業技術の選定や作業者の指揮の業務を行うことが可能になります。

受験資格

受験資格として以下の要件を満たすと、受験することができます。

  • ガス溶接技能講習を修了した者で、その後ガス溶接等の業務に3年以上従事した経験を有する者
  • 大学または高等専門学校において、工学または化学に関する学科を専攻して卒業した者で、その後1年以上ガス溶接等の業務に従事した経験を有する者

出題範囲

出題内容は以下の通りです。

  1. ガス溶接等の業務に関する知識
  2. 関係法令
  3. アセチレン溶接装置及びガス集合溶接装置に関する知識
  4. アセチレンその他可燃性ガス、カーバイド及び酸素に関する知識

詳しくは、下の受験概要を確認してみてください。

ガス溶接技能講習/作業主任者資格を取得するメリット

ガス溶接技能講習を受験すると、ガス溶接の作業に当たることができるのはもちろんですが、取得しておくメリットは他にもあります。

建設キャリアアップシステムという、作業者のキャリアをITで管理し、見える化するシステムでの評価が上がるようになります。

建設キャリアアップシステムでの評価が上がると、公共工事などといった大規模な工事に携われるだけでなく、ゴールドカードまで評価を上げると登録基幹技能者として現場管理を行えるようになります。

登録基幹技能者になると、その職種におけるプロフェッショナルとして認められるようになり、現場や企業での処遇を改善してもらえるなどといったメリットもあります。

今後、このシステムが建設業界では主流になってくると思うので、技能者としてレベルアップするのであれば是非登録すると良いでしょう。

以下の職種が特に溶接の資格が必要になってくるので、是非合わせて読んでみてください。

補足:ガス溶接工には必須!タジマの腰袋

溶接作業をしているときは、どうしても両手が塞がってしまったり、溶接機械を使用しているときなど、なかなか他の工具を取りにいくことが難しくなります。

そこで今回は、そんな現場でも効率よく作業を進めることができるタジマの腰袋を紹介していきます。

腰袋がベルトにわざわざ通すのではなく、ボタンで着脱することができるよう設計されています。

また、腰袋を装着するとベルトから浮いてしまい、煩わしく感じてしまうのを、防ぐために袋の後ろにサイドクリップが装着されています。

合成皮革でできているので耐久性もあり、汚れに強いので長持ちするのも良い点だといえます。

まとめ

今回は、ガス溶接の資格の必要性と講習内容について解説していきました。

まとめますと、

  • 建設業で扱われるガス溶接は、アセチレンガスと酸素を用いて金属を切断する「溶断」という作業でガス溶接が使われる
  • ガス溶接は、様々な種類があり、その種類は幅広い分野で使われている
  • ガス溶接をするには、技能講習を受講しておかなければならない
  • ガス溶接作業主任者を取得すれば、より複雑な溶接作業を管理する立場で作業に当たることができる

ですね。

安全衛生教育の中でガス溶接は技能講習では非常に人気ある資格です。

切断する楽しさはなかなか面白いですが、逆火や正しい手順を知らないと事故の原因になります。スキルアップも可能で仕事の幅は広がります。

是非取得してみてはどうでしょうか?