特定技能外国人は建設業でどんな仕事が出来るのか?
特定技能建設で注意すべき点として、外国人技術者に従事して頂く業務が特定技能に対応しているかどうかになります。
簡単にいうと特定技能(建設)で取得してもらった職種のみ、限定的に作業に携わらせることができます
特定技能に関しては試験合格後に、決められた仕事や機械を触ることが明確に決められています。
特定技能「建設」は19の業務区分に分かれていましたが、以前の職種ごとに応じた制度では鉄筋継手は足場組立は出来ないなど特定技能の業務枠内でしか作業出来ない≒それ以外の区分の業務は出来ない。
作業限定されることや建設業に関わる作業の中で実際には関わる業務等も現場を知らない人たちが決めた内容なのでズレがたくさんありました。まぁわかりそうなことですね。現場は、その時によって施工する環境変わりますので
2022年8月30日に業務区分の再編と特定技能の対象となる作業の見直しが実施されました
業務区分は3つに統合され、1つの区分で特定技能の資格を取得すると同一区分内の作業すべてに従事できるようになりました。
以下で再編後の3つの区分とそれぞれの区分で従事できる作業についてご説明していきます。
土木区分
土木区分では、指導者の指導・監督を受けながら、主に以下の作業に従事することができます。
型枠施工 | コンクリート 圧送 | トンネル 推進工 | 建設機械 施工 | 土工 |
鉄筋施工 | とび | 海洋土木工 |
想定される関連業務
- ① 原材料・部品の調達・搬送
- ② 機器・装置・工具等の保守管理
- ③ 足場の組立て、設備の掘り起こしその他の後工程の準備作業
- ④ 足場の解体、設備の埋め戻しその他の前工程の片付け作業
- ⑤ 清掃・保守管理作業
- ⑥ その他、主たる業務に付随して行う作業
建築区分
建築区分では、指導者の指導・監督を受けながら、主に以下の作業に従事することができます。
型枠施工 | 左官 | コンクリート圧送 | 屋根ふき | 土工 |
鉄筋施工 | 鉄筋継手 | 内装仕上げ | 表装 | とび |
建築大工 | 建築板金 | 吹付ウレタン断熱 |
想定される関連業務
- 原材料・部品の調達・搬送
- 機器・装置・工具等の保守管理
- 足場の組立て、設備の掘り起こしその他の後工程の準備作業
- 足場の解体、設備の埋め戻しその他の前工程の片付け作業
- 清掃・保守管理作業
- その他、主たる業務に付随して行う作業
ライフライン・設備区分
ライフライン・設備区分では、指導者の指導・監督を受けながら、主に以下の作業に従事することができます。
電気通信 | 配管 | 建築板金 | 保温保冷 |
想定される関連業務
- 原材料・部品の調達・搬送
- 機器・装置・工具等の保守管理
- 足場の組立て、設備の掘り起こしその他の後工程の準備作業
- 足場の解体、設備の埋め戻しその他の前工程の片付け作業
- 清掃・保守管理作業
- その他、主たる業務に付随して行う作業
特定技能:建設/業務区分は3つに変更
鉄筋圧接・継手工事は【区分:建築』になりましたので、関わる業務としては下記の絵のように土木・建築などの業務区分で考えるとどちらの現場で働いてもいいことになってます。
また、圧接・継手工事などの作業は土木区分、建築区分の両方に該当してしまいます。
このように、建築と土木をまたぐ場合は両方の区分を取得すること可能になります。
この区分変更は、国土交通相の計画認定が必要となり、入管へ在留資格変更手続きを行わなければいけない可能性もありますので、両方の区分にまたがるような業種については、最初の申請段階で両方の区分になるかよく考えた方がいいですね。
【土木】・【建築】・【設備・ライフライン】の区分は建設業許可で分類
したがって、認定を受けた在留資格に含まれる工事であれば、現場の種類を問わず、従事することが可能になります
※実際に従事させる場合には、雇用契約上、業務範囲を明確にし、同等の技能を有する日本人と同等以上の報酬となるよう留意が必要。
建設に関わる特定技能ビザを取得するには?
外国人労働者が特定技能ビザを取得するには、日本語試験と建設職種ごとの技能試験に合格し、合格証明書を受け取るというステップが必要になります。
具体的には、
1.日本国際教育支援協会(JLPT)の運営する日本語能力試験の「N4」レベル、または国際交流基金の運営する日本語基礎テストに合格
2.建設技能人材機構の運営する「建設分野特定技能評価試験」に合格
ちなみに、日本に留学生で来ている(技能実習生)方も建設業に携わる仕事をするのであれば、「建設分野特定技能評価試験」に合格していることが条件になります。
外国人採用日本語能力試験JLPTとは?
日本語能力試験のN4に合格するには、業務をこなすのに必要な日常会話レベルの日本語力が必要です。
JLPTでは「基本的な語句や漢字を使って書かれた身近な文章を読んで理解できる程度で、ややゆっくりと話される会話であれば内容がほぼ理解できる」、つまり自分たちにとっては英語検定と思ってもらえれば大丈夫です。
建設分野特定技能評価試験の学科試験
建設分野特定技能評価試験の学科試験は基本的な出題形式は以下のようになっています。
- 問題数:30問
- 試験時間:60分
- 出題形式:真偽法(⚪︎×)および2~4択式
- 実施方法:CBT方式
CBT方式とは、パソコンを使って受験するシステムのことを指します。
合格基準:65点以上と定められています。
つまり、
30問で65点以上が合格ラインということは、正解率が66%(3分の1)を超える必要があります。
特定技能の外国人は原則、経験者という前提で課題となってくるので、知識面と同じかそれ以上に「日本語読解力」が重要になるでしょう。
コミュニケーション能力のほか、読み書きといった経験が十分あるかどうか、あるいは自社で支援をしていけるかを見極める必要があります。
難易度としては、図面を読み取り、指示や監督を受けながら作業ができるレベルに設定されております。
建設業の特定技能・技能実習生の相関図
特定技能1号になるには?2号技能実習未経験者(試験合格者)
①技能評価試験:「技能検定3級」又は「建設分野特定技能1号評価試験」
②日本語試験「国際交流基金日本語基礎テスト」又は「日本語能力試験(N4以上)」
※①・②の試験は海外を基本に国内でも実施
特定技能1号になるには?2号技能実習経験者(試験免除者)
2号技能実習を良好に修了した者からの移行つまり技能実習生から成り上がりみたいな感じですね
特定技能1号になるには?3号技能実習修了者
3号技能実習を修了した者は、2号技能実習を良好に修了した者と同じ取扱いで特定技能へ切り替え可能になる
資格 | 目的 | 永住権 | 転職の可否 | 家族滞在の可否 | 受入人数制限 |
---|---|---|---|---|---|
技能実習生 | 日本の技術を持ち帰り国際貢献をする | × | × | × | あり |
特定技能ビザ | 日本での働き手不足を補う | 〇 | 〇 | 〇(特定技能2号のみ) | なし |
特定技能評価試験を受験しただけでは2号になることができない
実は、今回解説した特定技能評価試験は「特定技能1号」の在留資格を取得することができる試験となります。
そのため、先述したように「特定技能1号」の資格だけでは上限5年までしか在留することができません(永住権を獲得する条件をクリアしているのであればOK)。
「特定技能2号」になるためには、特定技能1号から2号へ移行する手続きを踏む必要があります。
但し、2021年度4月から法改正され、特定技能2号評価試験を実施することになっているので、2号になるためにはこの試験に合格するか必要があります(今年度からの実施となるので試験問題サンプルはありません)。
特定技能2号に移行する条件としては、
- 実務経験で複数の建設技能者を指導しながら作業に従事しする班長経験があること
- 特定技能2号評価試験または技能検定1級合格
実務経験を証明する手間を省くのであれば、建設キャリアアップシステムレベル3を取得しておくと実務経験を証明する書類提出は不要となります。
詳しい特定技能取得条件は以下のファイルからダウンロードができるので、是非参考にしてみてください。
特定技能受験の試験申し込み
受験者にあたる外国人技術者は建設技能人材機構の技能評価試験マイページを作成し、受験者本人が申し込みを行います。
その後、機構が発行する受験票を技能評価試験マイページで受け取り、試験になります。
合格した場合は、合格証書が機構のマイページより発行されるので、事業者は合格者の控えを受け取っておく必要があります。
建設分野特定技能1号評価試験に向けた学習用の各テキストや、技能試験における職種ごとの試験範囲、例題などは全てJACのHPから参照が可能です。
以下のリンク先から、申請をすることができるので是非活用してみてください。
特定技能1号試験(建設業)職種別問題及びテキスト
特定技能試験の建設業に関わる18職種分テキストと試験問題をダウンロードすることができるので、是非試験対策や通常業務で指導するときなどに活用してみてください。
職種 | テキスト | 学科試験 | 実技試験 |
---|---|---|---|
型枠施工 | テキスト | 学科サンプル問題 | 実技試験問題 |
左官 | テキスト | 学科サンプル問題 | 実技試験問題 |
コンクリート圧送 | テキスト1 テキスト2 テキスト3 テキスト4 テキスト5 | 学科サンプル問題 | 実技試験問題 |
トンネル推進工 | テキスト | 学科サンプル問題 | 実技試験問題 |
建設機械工 | テキスト | 学科サンプル問題 | 実技試験問題 |
土工 | テキスト | 学科サンプル問題 | 実技試験問題 |
屋根ふき | テキスト | 学科サンプル問題 | 実技試験問題 |
電気通信 | テキスト | 学科サンプル問題 | 実技試験問題 |
鉄筋継手 | テキスト全体 テキスト1 テキスト2 テキスト3 | 学科サンプル問題 | 実技試験問題 |
内装仕上げ/表装 | テキスト(壁装) テキスト(ボード仕上げ) | 学科サンプル問題(壁装) 学科サンプル問題(ボード仕上げ) | 実技試験問題(壁装) 実技試験問題(ボード仕上げ) |
とび | テキスト | 学科サンプル問題 | 実技試験問題(準備中) |
建築大工 | テキスト(準備中) | 学科サンプル問題(準備中) | 実技試験問題(準備中) |
配管 | テキスト | 学科サンプル問題 | 実技試験問題 |
建築板金 | テキスト(準備中) | 学科サンプル問題(準備中) | 実技試験問題(準備中) |
保温保冷 | テキスト(準備中) | 学科サンプル問題(準備中) | 実技試験問題(準備中) |
吹付ウレタン断熱 | テキスト | 学科サンプル問題 | 実技試験問題(準備中) |
海洋土木工 | テキスト全体 テキスト1 テキスト2 テキスト3 | 学科サンプル問題 | 実技試験問題 |
まとめ
今回は、建設業に関わる特定技能ビザを取得するとどういったことができるのか、またその取得方法について解説していきました。
まとめますと、
- 特定技能ビザとは、日本で特定の業種に就労し、滞在するための在留資格
- 特定技能ビザには1号・2号とある
- 特定技能1号は、1年6カ月/4カ月ごとの更新で、上限5年までで、家族帯同は無し
- 特定技能2号は、在留更新期限がなく、永住権を取得することができる・家族帯同あり
- 特定技能ビザを取得するには日本国際教育支援協会(JLPT)の運営する日本語能力試験の「N4」レベル、または国際交流基金の運営する日本語基礎テストに合格、建設技能人材機構の運営する「建設分野特定技能評価試験」に合格することが必須となる
- 特定技能1号になる場合、技能実習2号の資格があれば試験が免除される
- 特定技能2号になるためには、実務経験で複数の建設技能者を指導しながら作業に従事しする班長経験があること特定技能2号評価試験または技能検定1級合格の資格があること
- 特定技能1号から2号に移行するときに、建設キャリアアップシステムレベル3の資格があると、班長経験の資格証明が免除される
ですね。
特定技能ビザを取得している外国人は、技能実習生に比べて様々な作業を行わせることができます。
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