この記事では、チェーンソーを取り扱うときに必要な資格の有無とその特別教育の必要性について解説していきます。また、チェーンソーを普段取り扱う方のために安全に使用する方法も合わせて解説していきたいと思います。
チェーンソーを使う時って資格とかいるのかな?
特別教育が開講されているけど受けるべきなのかな?と、意外とチェーンソーを取り扱うときの資格や安全な使用方法ってなかなか答えられないですよね。
皆さんはチェーンソーというと、林業や造園とかではよく見かけるのではないでしょうか。
おそらく、丸太を切り倒す作業等のイメージがあると思います。
ただ、取り扱いがすごく危険な工具とは知らない人も多いのではないかと思います。
今回はそのチェーンソーの取り扱いの特別教育の資格などを解説していきたいと思います。
このブログは他にもこのようなことがまとめてあります。合わせて気になる記事を確認してみてください。全体を確認するにはこちら
チェーンソー伐木特別教育の必要性と効果

このようにチェーンソーは気軽にレンタルできて、ホームセンターでも販売されているので、簡単に取り扱える工具だと思っているのではないかと思います。
しかし、簡単だからこそ大事故につながることの多い道具になります。
チェーンソーを使うには資格が必要なのかというと、個人で使う場合には特に法的な規制がありません。しかし、仕事で使う場合には、労働安全衛生法の中の規則に規定が書かれており、そこには「適切な使用方法を事業主が労働者に対して特別教育を実施しなければならない」となっています。
以上のことから、チェーンソーは「チェーンソー作業従事者特別教育講習」が必要になります。
この講習を受講せずに作業をすると安全衛生法違反になります。
労災事故があった場合には、処罰の対象になります。
最悪の場合、業務停止を受けてしまうなどの状況に陥ってしまう可能性があります。
チェーンソーの安全性とよく見られる事故の要因
ベルト状のチェーンが回転して木や枝を切断していきますが、エンジンの動力で回転するため電気の力で動く電動工具より回転力が高く、チェーンが外れやすい場合もあります。それによる労災事故も多く、特にキックバックによる労働災害が多いのが特徴です。
キックバックは枝や幹に歯が食い込んで反発して自分のほうに反動が返ってくる現象で、その際に手に持っている方が自分の体に接触して怪我をするケースが多いです。丸ノコやグラインダー等でも同じように起こりますが、林業や建設業ではチェーンソーを甘く見てキックバックでの怪我が多く発生しています。
チェーンソーと同じようなキックバックを起こす丸ノコにも扱う際は、特別教育を受けるようになっています。
丸ノコについて興味があれば、是非下の記事を読んでみてください。
この記事では、丸のこのキックバックや取り扱いに関しての安全作業や、丸のこの刃の種類や特別教育を受ける必要性と受講方法などをまとめていきます。丸ノコって最近DIYでもよく使われているから一般の人でも使っているのに特別教育なん[…]
チェーンソーでの労働災害事例
安全管理を怠ったことでこのような痛ましい事故が起こっています。
千葉労働基準監督署は、チェーンソーを用いる立木伐木作業を労働者に行わせる際、特別教育を実施しなかったとして、㈱昭和の森協力会(千葉県千葉市緑区)と同社常務取締役を労働安全衛生法第59条(安全衛生教育)違反の疑いで千葉地検に書類送検した。伐木作業での危険防止措置を怠った同社作業主任についても、労働安全衛生法第21条(事業者の講ずべき措置等)違反の疑いで送検している。
同労基署によると令和元年12月3日、千葉市にある昭和の森での伐木作業現場において、同社労働者がチェーンソーで伐倒した木が近くで玉切り作業をしていた別の労働者に激突し、死亡労働災害が発生した。
労働安全衛生法は、チェーンソーを用いた伐木作業に労働者を従事させる場合、特別教育を行わなければばらないと定めている。同社常務取締役は労働者に特別教育を受けさせなかった疑い。常務取締役自身も受けたことがなかった。
また労働安全衛生規則481条では、伐木作業を行う際、立木の高さの2倍に相当する距離を半径とする内側には他の労働者を立ち入らせてはならないとしているが、作業主任は立入り禁止措置の指示を講じなかった疑い。
同社は労災発生により、千葉県から指名停止措置を受けている。
【令和2年8月11日送検】
労働新聞社引用
次の事故はこのような事故があります。
鹿児島・鹿屋労働基準監督署は、労働者がチェーンソーを使って作業する際に、安全衛生教育を実施しなかったとして、土木建築工事業の㈱瀬戸山組(鹿児島県肝属郡南大隅町)と同社代表取締役を労働安全衛生法第59条(安全衛生教育)違反の容疑で鹿児島地検鹿屋支部に書類送検した。平成28年6月、同社労働者が立木の伐採作業中に死亡する労働災害が発生している。
被災者はチェーンソーで木を伐倒した際、切り倒した木と一緒に倒れてきた別の木が激突し、頭部を強打した。同労基署が災害調査を行うなかで、安全衛生教育を実施していないことが発覚している。
【平成28年12月2日送検】
労働新聞社引用
このような事故を起こさないためにも、特別教育を受講する必要性及び、作業主任者を配置する意義をしっかりと理解していく必要があります。
作業者必携のチェンソー用防護チャプスのおすすめポイント
チェーンソーではキックバックした際に足を切る等の労災も多く事業者に、チェーンソーによる伐木作業等を行う労働者に下肢の切創防止用保護衣を着用させること、太ももの切断等で大量出血による労災等も多く、労働者には当該切創防止用保護衣を着用することが義務となっています。他にも緊急時の対応の方法等も併せて勉強を行います。
しかし、人の目で事前に事故を防ぐのは完璧ではありません。
その為には保護具は必須ですね
そこで、工具そのものの安全性を高める必要があります。エンジン式は当然ながら馬力ありますし、コード付きの機械もあります。そのなかで手軽に使うぐらいであればこちらですね
エンジン式のチェンソーはこのような商品です
特にマキタの充電式チェーンソーはコードレスなので作業中にコードが絡んだり、切ってしまうことがないのでより作業を集中して行うことができます。
また、充電式だとパワーが足りないのでは?と感じるかもしれませんが、マキタ充電バッテリーはパワーがあるのでアダプタ式に引けをとらないほどの作業性があります。
軽量にも優れているので是非チェックしてみてください。
チェーンソー特別教育改訂についての重要ポイント
労働災害が多いためチェーンソーの取り扱いの労働安全衛生規則の一部が改正されました。以前取得した伐木等作業の特別教育は令和2年8月1日以降無効となり、伐木作業に就くことが出来なくなりました。
経過措置として特別教育を修了した方については、講習(補講) を受けることにより資格の継続が可能でしたが、すでに補講期間は終わっており、事業主や作業を管理する人は作業をする方の資格を再度確認する必要があります。
昔、受講したから大丈夫と受講しなかった場合に事故が発生すると大変なことになりますので、改正前に受けた方は再度受講するようにしましょう。
法の改定の中の大きな内容としては、下の記事に書かれているのでチェックしてみてください。
この記事では、電動工具を使用するにも、特別教育を受講しないといけないのか解説していきたいと思います。また、振動工具を取り扱う場合、将来的に病気や後遺症に苦しむ可能性があることと考えた上で、特別教育を受ける必要性も合わせて解[…]
チェンソー資格の正式名称は?
こちらですが、実は正式名称はバラバラです。例えばですが「立木の伐木作業者(たちきのばつぼくさぎょうしゃ)」(チェーンソー作業者)の特別教育と呼ばれていることもあれば、チェーンソーによる伐木等特別教育などと記載されていますが、厚生労働には特に名称は明記されていません
チェーンソー特別教育受講資格に関する詳細

受講の方法は18歳以上であれば誰でも受講可能です。
講習期間によって若干時間が違いますが、法律で決められている学科と実技のカリキュラムはこのようになります。
チェーンソー特別教育受講学科として
- 伐木作業に関する知識4時間
- チェーンソーに関する知識2時間
- 振動障害及びその予防に関する知識2時間
- 関係法令1時間
チェーンソー特別教育受講実技として
- チェーンソーの点検及び整備2時
- チェーンソーの操作2時間
- 伐木等の方法5時間
チェーンソー特別教育の受講学科では、伐木作業に関する知識、チェーンソーに関する知識、振動障害及びその予防に関する知識、関係法令について学びます。また、実技ではチェーンソーの点検及び整備、チェーンソーの操作、伐木等の方法について実践を通じて学びます。
林業の現場で活躍するためには、様々な資格を有することが重要です。伐木特別教育やチェンソー特別教育を受講することで、安全な作業を行うための知識や技術を習得し、現場での活躍を支援することができます。これらの特別教育を通じて、安全意識を高め、仕事の幅を広げることができるでしょう。
特別教育は受講がめんどくさい?
職人の皆さんによると、特別教育の受講は監督や元請けから強く勧められるものの、多くの人がその手続きを煩わしいと感じています。
では、その特別教育をどこで受講するのか?時代の変化により、実は簡単に受講することが可能です。
受講方法もオンラインや遠隔講座など様々であり、自宅や職場から気軽に受講できる環境も整っています。
建機・クレーン・資格免許はコマツ教習所へ (komatsu-kyoshujo.co.jp)
建設機械・フォークリフトなどの資格取得ならコベルコ教習所 (kobelco-kyoshu.com)
例えばこのような教習所にいくのが一般的ですね でも・・・・時間が合わない。現場が忙しいと皆、事情があります・・・中にはメンドクサイって人も
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林業労働者のためのチェーンソー倒木手順解説

受け口を作るべき立木の対象を胸高(きょうこう)直径40cm以上の物から20cm以上に拡大する等、立木の倒木の際の義務があります。内容がわかりにくいと思いますので、若干本当の作業とは写真は違いますが、このような専門用語があります。
- 受け口とは、斜めに角度30度から40度でカットします。
- 反対側から受け口の2/3程度で水平に切ります。これを追い口
- 樹木の全体の1/10のきらない部分をつくります。これをつるといいます。
このようにして、チェーンソーで樹木を転倒させたい方向を決めます。
チェンソー伐採の「かかり木」とは?

かかり木は転倒した際に他の樹木に引っかかり倒れない状態を言います。
事業者に対して、かかり木の速やかな処理を義務付けるとともに、事業者および労働者に対して、かかり木の処理についても規定が増えました。
当然ながら寄り掛かった状態の木です。いつ自分たちのほうに倒れて来るか解りません、だから、退避方法や処理するまでの監視方法等をいつ自分に倒れてくるかわからない木に対しての安全作業を講習の中で学びます。
安全作業の重要性:倒木時の立入禁止措置について
さらに倒木の方法の中で立入禁止処置が追加されています。事業者は、立木の高さの2倍に相当する距離を半径とする円形の内側には、立木の伐倒の作業に従事する労働者以外の労働者を立ち入らせてはならないこと等を規定が追加され、2メートルの木であれば半径4メーターには他の人を入れてはならないと言う感じになります。
三重・津労働基準監督署は、立木伐倒の際の退避場所を選定していなかったとして、㈱黒木林業(三重県津市)と同社代表取締役を労働安全衛生法第21条(事業者の講ずべき措置等)違反などの疑いで津地検に書類送検した。労働者が崖から斜面を約15メートル転落し、重大な怪我を負う労働災害が発生している。
労災は今年5月25日、三重県津市の間伐作業現場で発生した。60歳代の労働者がチェーンソーで立木を伐木する際、退避先が急斜面になっていたため転落した。
労働安全衛生規則第477条では、伐木の際に退避する場所をあらかじめ選定しなければならないとしているが、同社はこれを怠った疑い。
労働新聞社引用
【令和2年8月11日送検】
このように、かかり木の退避場所を選定していなかったことで重大な事故が起こっています。
引っ掛かっているから大丈夫だろうと安全を怠っていると、こうした重大な事故に巻き込まれる可能性があるので必ずかかり木においても十分注意を払うようにしましょう。
まとめ
今回は、チェーンソーを取り扱うときの特別教育とその危険性について解説していきました。
まとめますと、
- チェーンソーを取り扱う時はキックバックに注意する
- 簡単に取り扱える分、事故が多い
- 労災も起こるほど危険な工具なので徹底した安全管理が必要となる
- 特別教育は誰でも受講することができる
- 特別教育は仕事としてチェーンソーを取り扱うのであれば受講する義務がある
ですね。
チェーンソーの取り扱いは簡単そうに見えて実際に林業等では多くの労働災害が発生しています。
その中で使用方法・保護具や取り扱いの方法を熟知しないまま作業にかかる方に対して、追加の法の規定が増えた中で、今後さらに取り扱いに対しては厳しくなると思われます。
建設業でもバタ角や様々な木材の切断にチェーンソーは使います。
土留めの矢板入れなど、適切な知識を持って受講させる上での作業が今後必要だと思われます。