1級建築施工管理技士の最大の関門である「二次検定」。
中でも配点の高い「施工経験記述」は、出題傾向の大きな変化により、過去のテンプレートの丸暗記では通用しなくなっています。
この記事では、最新の試験である令和7年(品質管理)と令和6年(働き方改革・作業軽減)の出題テーマに完全特化し、RC造(鉄筋コンクリート造)における具体的な経験記述の解答例を無料で公開します。
これらの最新傾向を徹底的に分析し、ご自身の実務経験に合わせて数値をアレンジすることで、2026年試験に確実に対応できる最強の合格答案を作り上げてください!
鉄筋コンクリート(RC)構造とは?基礎知識のおさらい

経験記述を書く前に、まずはRC造の基本特性を正確に理解しておくことが重要です。コンクリート構造の基本をおさらいしましょう。
材料と構造のメカニズム
- コンクリート:セメント、骨材(砂、砂利)、水からなり、圧縮力に強い特性を持ちます。セメント材料やコンクリート材料の特性を理解することが品質管理の第一歩です。
- 鉄筋:引張力を支える役割を果たします。
これらを組み合わせ、型枠内にコンクリートを注入(打設)し、振動(バイブレーター等)を与えて密実にすることで一体化した構造を形成します。打設時の注意点は型枠支保工やコンクリート運搬の知識も問われます。
最新の二次検定では、「何を管理したか(品質)」だけでなく、「いかに現場の作業を合理化・軽減したか(働き方改革)」という視点が強く求められています。共通知識として、両方の切り口で語れるように準備しましょう。
【令和7年 出題対応】テーマ:品質管理
令和7年の問題1では、設計図書等で要求される品質を確保するため、「特に重点を置くべきと考える品質管理項目(3つ)」と、現場で行う「組織的な品質管理活動」が問われました。
- 1.特に重点を置くべきと考える品質管理項目(3つの提案)
- 【項目1:鉄筋工事】
①工種名:鉄筋工事(柱・梁配筋)
②重点を置くべきと考える品質管理項目とその理由:鉄筋のかぶり厚さの確保。かぶり厚さの不足は、コンクリートのひび割れや鉄筋の爆裂を招き、建物の耐久性や耐火性に直結するため。
③実施すべき内容:施工図に基づき適切なスペーサーの種類と配置間隔を計画し、コンクリート打設前に全数検査を実施して所定のかぶり厚さが確保されているか実測確認する。【項目2:コンクリート工事】
①工種名:コンクリート工事
②重点を置くべきと考える品質管理項目とその理由:コンクリートの密実な打設と締め固め。締め固め不足は、コールドジョイントやジャンカ(豆板)を引き起こし、躯体の水密性や構造耐力を低下させるため。
③実施すべき内容:1層の打設高さを60cm以下とし、バイブレーターの挿入間隔を60cm以下、加振時間を10〜15秒程度として、コンクリート表面にペーストが浮き上がるまで目視で確認しながら入念に締め固める。【項目3:タイル工事】
①工種名:外壁タイル張り工事
②重点を置くべきと考える品質管理項目とその理由:下地モルタルとタイルの接着強度の確保。接着不良によるタイルの剥離・落下は、重大な公衆災害に繋がるリスクが高いため。
③実施すべき内容:下地コンクリートの目荒らしと高圧洗浄を徹底し、張り付けモルタルの塗り置き時間を厳守する。施工後、規定の期間を空けてから引張接着強度試験を実施し、0.4N/mm2以上の強度があることを確認する。
- 2.現場で行う組織的な品質管理活動について
- ①品質管理活動の内容及びそれを協力会社等に伝達する手段又は方法:
所長、各担当職員、および主要な協力会社の職長が参加する「合同品質パトロール」を月1回実施し、現場の不具合箇所や好事例を抽出する。その結果を写真付きの資料にまとめ、翌日の「安全衛生協議会」および毎日の「朝礼」において全作業員へ水平展開し、具体的な改善指示として伝達する。② ①の品質管理活動によってもたらされる良い影響:
協力会社を含めた現場全体の品質に対する意識が統一・向上し、他工種間での不具合の連鎖を未然に防ぐことができた。結果として、手戻り作業が大幅に減少し、要求品質を確保しつつ工程の遅れを防止できた。
【令和6年 出題対応】テーマ:働き方改革(現場作業の軽減)
令和6年の問題1では、建設業の持続可能性を見据え、「現場作業の軽減策(3つ)」と、施工に従事する者の「時間外労働の増長要因とその対策」という非常に現代的なテーマが問われました。
- 1.有効と考える現場作業の軽減策(3つの提案)
- 【提案1:鉄筋工事の合理化】
①工種名:鉄筋工事
②有効な現場作業の軽減策と軽減に繋がる理由:鉄筋のプレハブ化(先組み工法・地組み工法)の採用。高所や狭小な足場上での複雑な配筋作業を減らし、地上や工場でのユニット化により、現場での作業時間と労力を大幅に削減できるため。
③確保すべき品質とそのための施工上の留意事項:揚重時の変形やひずみを防止する品質。ユニット吊り上げ時には、適切な強度の吊り治具を使用し、変形を防ぐための補強材を一時的に配置して慎重に揚重する。【提案2:型枠工事の合理化】
①工種名:型枠工事
②有効な現場作業の軽減策と軽減に繋がる理由:システム型枠(大型パネル型枠等)の採用。従来の在来型枠に比べ、組み立て・解体の手間が省け、熟練工でなくても迅速に施工が可能となり作業員数を削減できるため。
③確保すべき品質とそのための施工上の留意事項:コンクリート打設時の側圧に耐える建入れ精度と剛性。組み立て時にパネル間のジョイントを専用金物で確実に緊結し、トランシット等を用いて垂直精度を厳密に確認・調整する。【提案3:コンクリート工事の合理化】
①工種名:コンクリート工事
②有効な現場作業の軽減策と軽減に繋がる理由:高流動コンクリートの採用。材料自体の高い流動性により、作業員がバイブレーターを持って移動する締め固め作業を大幅に省略・軽減できるため。
③確保すべき品質とそのための施工上の留意事項:材料分離を防止し、均質な躯体を構築する品質。落下高さを極力低く抑え、過度な流動による型枠への側圧増加を考慮し、事前の型枠支保工の補強を十分に行う。
- 2.時間外労働の増長要因と組織としての対策
- ①時間外労働を増長させていた要因と繋がっていた理由:
揚重機(タワークレーン等)の取り合いによる手待ち時間の発生と、施工図の承認プロセスの遅れ。これにより、日中の所定労働時間内に予定していた作業に着手できず、他工種の完了を待ってから夕方以降に作業を行う「残業による遅れの挽回」が常態化し、結果として時間外労働が増長していたため。②組織としての取組や工夫(有効な対策):
クラウド型の工程・揚重管理システムを導入し、元請けと全協力会社間でリアルタイムに揚重予定を共有(見える化)し、無駄な手待ち時間を排除する。同時に、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を活用したフロントローディングを徹底し、着工前に設備配管等との干渉チェックを完了させ、施工図の承認遅れによる現場での手戻りを根絶する。
二次検定で不合格にならないための最強の対策法
ここまで令和6年・令和7年の最新傾向に合わせた解答例を紹介しましたが、二次検定の採点官はプロ中のプロです。
ネットにある例文をそのまま丸写しした答案は、驚くほど簡単に見抜かれ、容赦なく減点(不合格)にされます。
合格率を劇的に上げるには、ご自身の実際の現場経験(数値や工法)を織り交ぜてカスタマイズし、それを第三者(プロ)に添削してもらうことが絶対に欠かせません。