「一級建築施工管理技士」の学科試験で毎年出題される構造地震設計と建物挙動。このテーマは点数を左右する重要分野であり、多くの受験生がつまずく難所でもあります。筆者も1級建築施工管理技士として、この分野には苦労した経験があります。そこで今回は、頻出キーワードや類似問題に焦点を当て、攻略のヒントを提供します。点数アップを目指す皆さんにお役立ていただければ幸いです。
1級建築施工管理技士 過去問マンガで説明|構造地震設計の頻出ポイント

建物構成・耐震計画の1級建築施工施工管理重要ポイント表

| 項目 | 重要度 | ひっかけキーワード | 対策のポイント |
|---|---|---|---|
| エキスパンション | ★★★ | 「構造体を緊結する」 | 緊結はNG。構造的に分離してクリアランス確保。 |
| 屋上突出部 | ★★★ | 「水平震度を小さくできる」 | 水平震度は増大が基本。 |
| 短柱 | ★★★ | 「短柱は靭性に富む」 | 脆性破壊しやすい危険部位。 |
| 構造スリット | ★★☆ | 「壁と柱を密着」 | 絶縁(スリット)で短柱防止。 |
| 不同沈下 | ★★☆ | 「細長い建物は有利」 | 不利。EJで分割が有効。 |
1. 建物に「あそび」を作る:エキスパンションジョイント
キーワード:乾燥収縮、不同沈下、クリアランス
- 長すぎる建物は危険: 乾燥収縮や不同沈下でひび割れが発生しやすい。
- 切り離して守る: EJで建物を分割し、変形を吸収。
- ぶつからないためのスキマ: 高い建物ほど揺れが大きいため、あき寸法は大きく確保。
2. 屋上の「ポツン」は要注意:屋上突出部
キーワード:剛性急変、水平震度
- ムチのように揺れる: 屋上突出部は揺れが増幅される。
- 震度は増大: 一般階より大きな水平震度で設計。
3. ガチガチに固めると折れる:短柱
キーワード:垂れ壁、腰壁、構造的絶縁
- 短い柱は折れやすい: 力が集中し脆性破壊しやすい。
- スリットで絶縁: 壁と柱を切り離して短柱化を防ぐ。
合格へのワンポイント
試験では「高さを考慮(EJ)」「震度を増大(屋上)」「絶縁(短柱)」など動詞の入れ替えが頻出。
物理イメージとして、
長い→切る/出っ張り→揺れる/短い→折れる
を覚えておくと強いです。
1級建築施工管理技士 過去問類似問題5問にチャレンジ|構造地震設計・建物挙動
第1問:屋上突出部の設計
屋上に設ける煙突や水槽などの突出部に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 屋上突出部は、建物本体に比べて剛性が急変するため、地震の影響を強く受けやすい。
- 屋上突出部の設計における地震力は、一般の階に比べて水平震度を増大させて算出する。
- 屋上突出部は、ムチの先端のように揺れが増幅されるため、非常に大きな水平力が作用する。
- 屋上突出部の剛性を極めて大きくすれば、建物本体への地震力の影響は無視できるようになる。
第2問:エキスパンションジョイント(EJ)
エキスパンションジョイントに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 平面的に長大な建物は、乾燥収縮や不同沈下によるひび割れを防止するため、エキスパンションジョイントで切り離すのが有効である。
- エキスパンションジョイントのあき寸法(クリアランス)は、建物の高さを考慮して決定する必要がある。
- エキスパンションジョイントの間隙(スキマ)が十分でないと、地震時に両側の建物が衝突する恐れがある。
- 異なる構造形式の建物を隣接させる場合、互いに拘束し合うように剛強に連結するのが一般的である。
第3問:短柱(たんちゅう)の破壊
柱の構造的な性質に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 垂れ壁や腰壁が取り付いた柱は、実効的な長さが短くなり「短柱」となるため、地震力が集中しやすい。
- 短柱となった柱は、水平力に対してしなやかに変形できるため、地震被害を受けにくい。
- 短柱の被害を防止するためには、壁と柱の間にスリット(隙間)を設け、構造的に絶縁することが有効である。
- 腰壁などで拘束された短い柱は、脆性(ぜいせい)破壊(急激な破壊)を起こしやすいため、細心の注意が必要である。
第4問:剛性のバランスと被害
上下階の構造バランスに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 耐震壁の配置などにより、上下階の剛性が著しく変化している場合、剛性の小さい階に被害が集中しやすい。
- 1階にピロティ(壁のない空間)がある建物は、上階に比べて剛性が小さくなるため、1階の変形が大きくなりやすい。
- 建物全体の強度が十分であれば、特定の階の剛性が極端に小さくても、地震時の安全性に問題はない。
- 建物の平面的な「ねじれ」を防ぐためには、剛性(かたさ)の重心と重量の重心のズレを小さくすることが重要である。
第5問:地震力と建物の形状
建物の形状と耐震性に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 平面的にL字型やT字型など複雑な形状の建物は、地震時にねじれ振動を起こしやすい。
- エキスパンションジョイントで建物を切り離すことは、複雑な形状の建物を単純な形状の組み合わせに分けるためにも有効である。
- 建物の剛性が高さ方向に均一であれば、地震時の被害は特定の階に集中しにくくなる。
- 建物の高さが高いほど、エキスパンションジョイントに求められるあき寸法は小さく設定される。
1級建築施工管理技士 類似問題5問【解答と解説】
- 第1問:4解説: 突出部の剛性を大きくしても、そこに作用する慣性力は変わらず、むしろ重く硬いほど大きな力を受けるため、本体への影響を無視できません。
- 第2問:4解説: 構造の異なる建物同士を剛強に連結すると、揺れ方の違いで破壊を招きます。EJで切り離すのが正解です。
- 第3問:2解説: 短柱は硬く変形できないため、地震時に脆性破壊を起こしやすい危険な部位です。
- 第4問:3解説: 全体の強度が十分でも、剛性の小さい階に力が集中すると、そこから崩壊します(ピロティ崩壊など)。
- 第5問:4解説: 建物が高いほど揺れが大きくなるため、EJのあき寸法は大きく設定する必要があります。