職長教育と安全衛生責任者講習については別記事で受講内容を解説しましたが、今回はその中でも「教える側」=職長・安全衛生責任者教育の講師になるための資格講習についてまとめます。現場で職長を育てる立場になりたい人、講師としてステップアップしたい人向けの内容です。
現場で職長となる人は技能者への監視・監督義務がありますが、その職長を育て指導する側も、きちんとした教育を受けておく必要があります。この記事では、CFTとRSTという2つの講師養成講座の違いと、実際に私が受講したCFT研修施設での生活環境まで、まとめて解説していきます。
法令上は、職長教育の講師は、講師としての一定の条件を満たす人ならば大丈夫とされていますが、実際に「教える」というのは想像以上に難しいものです。だからこそ、体系的に学べる講師養成講座が用意されています。
講師としてのスキルを身につける:職長安全衛生教育とは
安全衛生教育については、平成3年1月21日付け基発第39号「安全衛生教育の推進について」及び昭和59年3月26日付け基発第148号「安全衛生教育の推進に当たって留意すべき事項について」等により推進しているところであるが、今般、これらの通達等に基づく職長等教育、安全衛生責任者教育及びこれら2つをあわせた職長・安全衛生責任者教育について、当該教育を担当する講師の養成講座のカリキュラム、その実施方法等を下記のとおり定めたので了知するとともに、関係事業場に対し、その周知を図られたい。
つまりトレーナー(講師)も、基発第177号(平成13年3月26日)の通達で、このカリキュラムを勉強してから受講した人を講師として選んでほしいということですね。
職長安全衛生責任者教育の講師になるためには、以下のカリキュラムを受講して、講師としての基本を学びます。その代表的な講座が、CFTとRSTと呼ばれる2つの講習です。では、その内容と違いを整理していきます。

CFTとRSTの違いを一目で比較|講師になる最短ルート
| 項目 | CFT(建災防) | RST(中災防) |
|---|---|---|
| 正式名称 | Construction Foreman Trainer | Rodosho Safety and Health Education Trainer |
| 実施団体 | 建設業労働災害防止協会(建災防) | 中央労働災害防止協会(中災防) |
| 対象 | 建設業の職長・安責者教育の講師 | 幅広い業種の職長・安責者教育の講師 |
| 日程 | 3泊4日 | 4泊5日 |
| 費用 | 約104,940円(食事・税込)※令和3年時点 | 約110,000円(テキスト代・税込)※令和3年時点 |
| 会場 | 千葉県佐倉市/大阪 | 東京(清瀬市)/大阪(河内長野市) |
| 特徴 | 建設業特化・現場寄りの内容 | 安全衛生全般を広く学べる |
CFTとRSTのどちらを持っていても、職長教育の講師としては問題ありません。
違いは「建設業に特化しているか」「業種を問わず安全衛生全般をカバーするか」という方向性です。
中央労働災害防止協会(RST)トレーナーの役割と内容
RSTトレーナーとは、簡単に言うと、職長教育の講師をするための資格で、厚生労働省通達では、職長教育時の講師にはRSTトレーナーを活用することが推奨されています。
この資格は、中央労働災害防止協会が認定している公的資格です。

中央労働災害防止協会(中災防)は、事業主の自主的な労働災害防止活動の促進を通じて、安全衛生の向上を図り、労働災害を絶滅することを目的に、労働災害防止団体法に基づき、昭和39年(1964年)8月1日に労働大臣(現:厚生労働大臣)の認可により設立された公益目的の法人です。
RSTトレーナーとは(Rodosho Safety and Health Education Trainer)
労働省(現厚生労働省)方式 現場監督者安全衛生教育トレーナー(Rodosho Safety and Health Education Trainer)の略称で、受講費用は110,000円(テキスト代・消費税含む)。令和3年11月時点の金額なので、受講前には最新情報を必ず確認してください。
4泊5日の研修カリキュラムになります。短縮コースもありますが、基本は朝から夕方までびっちりのスケジュールです。
東京と大阪の研修施設どちらかで受講可能ですが、建物は古いと思っておいた方がいいですね。中災防の講習カリキュラムはこちらになります。時間もびっちりで19時前後まで教育は続きます。

中災防教育センター:東京と大阪会場でのRSTトレーナー講座
東京での実施会場は練馬区から少し行った清瀬市、大阪会場は大阪の下の方の河内長野市です。少し交通の便は悪いですね。
〒204-0024 東京都清瀬市梅園1-4-6
東京安全衛生教育センターは、労働安全衛生法第63条に基づき、労働災害や職業性疾病の防止のために、労働安全衛生に関する指導者や専門家を養成することを目的として昭和48年に労働省(現厚生労働省)により設立。
〒586-0052 大阪府河内長野市河合寺423-6
大阪安全衛生教育センターは、労働安全衛生法第63条に基づき、労働災害や職業性疾病の防止のために、労働安全衛生に関する指導者や専門家を養成することを目的として昭和53年に労働省(現厚生労働省)により設立。
会場施設は40年以上前の建物なので、どうしても古さは否めない感じですね。
建災防の新CFTトレーナーとは
建設業労働災害防止協会(建災防)が実施する職長・安全衛生責任者教育講師養成講座になります。
建災防の職長・安全衛生責任者教育講師養成講座はCFTと呼ばれています。
英語名だと、Construction Foreman Trainer でCFTはその略です。Constructionは建設業、Foremanは職長、Trainerはトレーナーということで、中災防と同様に公的資格になります。
CFTとRSTどちらでも職長教育を受講するには問題ないということです。

建設業労働災害防止協会(略称:建災防)Japan Construction Occupational Safety and Health Association(略称:JCOSHA)。労働災害防止団体法に基づき設置された、厚生労働省所管の特別民間法人で、建設業従事者に対する労働災害に関する注意喚起のほか、労働安全衛生法に基づく技能講習や特別教育も行っています。
では実際に私がCFTの研修を受講してきましたので、その内容をまとめていきたいと思います。講師になれば安全衛生教育でも活躍できるので、施工管理にはメリットが大きいですね。
新CFT(コフト)研修プログラムの概要とは?
講座概要はRSTと同様で、3泊4日の講習です。カリキュラムは当日配布されます。
私も新CFTを受講しており、中災防より1日短い日程でした。
- 1日目:開校式、はじめに、職長・安責者の役割、作業者への教育など
- 2日目:危険性の調査と低減措置、職長・安責者が行う安全施工サイクル、危険予知活動(グループ討議あり)
- 3日目:関心の保持と創意工夫、異常時・災害時の措置、手引きの作り方
- 4日目:指導案の作成、グループ発表、講評、閉校式
3泊4日で指定の教育センターで開催されます。費用は104,940円(食事代・消費税込み)(令和3年4月〜)。
安全と衛生を学ぶ場所:千葉県佐倉市の建災防教育施設
安全衛生教育センターは 〒285-0003 千葉県佐倉市飯野852 にあり、東京駅からでも2時間近くかかります。大阪でも実施しています。
大阪は会場だけでホテルから研修所への往来になります。
建設業安全衛生教育センターは、建設業における安全衛生教育に従事する指導員の養成及び安全衛生技術支援者の資質の向上をはかる教育施設として、厚生労働省が昭和58年末に千葉県佐倉市に建設し、昭和59年1月から当協会が運営しております。

研修施設は東京駅など主要ターミナルからも時間がかかるので、前泊も検討した方が当日遅刻もなくて安心ですね。
佐倉の安全教育施設を体験する:私の経験
私はCFTを佐倉の建災防で受講しているので、ここからは実際に行ってみないとわからない生活環境についてまとめていきます。
まずはホームページにも記載されている内容を抜粋してみましょう。
1. 各講座とも合宿制をとっており、当センターの施設での宿泊となります。(全室個室)
2. 毎朝、ラジオ体操を行っておりますので、軽装でご参加下さい。
3. 洗面用具等は、ご持参下さい。
4. 備品設置/個室:寝間着・サンダル・時計(アラーム付)
浴室:シャンプー・リンス・石鹸・ドライヤー
洗濯室:洗濯機・洗剤・乾燥機建災防安全衛生教育センター講習会場 会場案内より
上記は記載通りですが、ラジオ体操は必ず出席という雰囲気です。個室といっても「寝るだけ」の環境です。
【全体共用に関して】
建物はやはり少し年代を感じるつくりですが、中庭でラジオ体操をするようになります。


CFT安全衛生責任者の講師研修における生活環境について
- 全室個室とありますが、その通りで部屋にWi-Fi環境は整っているが夜23時以降は遮断されるような感じ。
- 23時以降は共用廊下等は消灯になります。
- 部屋にテレビはない。
- お風呂は共同浴場:コロナ感染防止で6人までしか入れない。研修終了後23時までに入浴。
- 朝に共同浴場でシャワーは浴びられるが、7時までは可能。
- 共用玄関等は夜は閉まってしまうので、朝5時にならないと外に出られない。
- 毎朝ラジオ体操前に検温(コロナ対策)で必ず参加となる。
- 洗面所には紙コップもあるので、その点は安心。
- トイレは和式と洋式が半々くらいの設置だが、施設が広いので探せばそこらへんにトイレがある。
- 喫煙者には重要な喫煙場所は、部屋はダメだが指定された場所に設置されている。
- バスタオルは必ず持っていかないとダメ。
- 文房具は食堂に売っているが、両替はできないので注意。
- 施設内は自動販売機だけしかないので、1000円札を用意しておいた方がいい。
研修施設での食事体験の特徴
- コロナの関係で、セルフから個々に配膳がすべてされて並んでいる状態で各自食事を食べる。
- 規則正しく、朝は7時15分から、昼は12時、夜は18時と食事時間が決まっている。



大事なのはアルコール販売は?
- 缶ビールの自動販売機でアサヒスーパードライ
- クリアアサヒ
- ストロング缶のレモンサワー
これらは施設内の自販機で販売されています。研修期間が長く、最寄りのコンビニまで1.5kmほどあるので、抜け出して買いに行くのは現実的ではありません。必要な分は事前に購入しておくと安心です。

館内案内

館内は【本館】・【1号館】・【2号館】・【3号館】となっています。
- 本館:受付
- 1号館:主に研修施設棟(エレベーターあり)
- 2号館:1Fに浴場や小会議室、2Fから宿泊棟(エレベーターなし)
- 3号館:1Fに食堂があり、宿泊棟
どちらを選ぶべきか|CFTとRSTの使い分け
- 建設業メインで現場の職長教育をしたい → CFTがおすすめ
- 業種を問わず安全衛生全般を教えたい → RSTがおすすめ
- 短期間で講師資格を取りたい → CFT(3泊4日)
- 安全衛生全般をじっくり学びたい → RST(4泊5日)
まとめ
建災防のCFTと中災防のRSTを受講することで、職長教育・安全衛生責任者講習のトレーナーになることができますが、その研修は3泊以上で非常にスケジュールも過密です。安全の知識と、講師として人前で話す技量がないと、なかなかハードな内容です。
どちらの講習を受講しても構いませんが、私は佐倉の建災防でCFTを受講しました。佐倉安全教育施設は東京駅からでも2時間近くかかり、朝早くから夜遅くまで受講し勉強します。
その中で、研修施設は規則正しい生活を行うので、普段現場でバタバタしている中で18時には食事をして、そこから勉強するという生活になります。他にも様々な研修生がいますので、「人を教える知識をつけに行く」という意識で参加すると、とても良い経験になります。
建災防・中災防ともに10万円を超える研修ですが、職長教育の講師として現場を支える立場になりたい人には、大きな投資価値がある講座だと感じました。
CFT・RSTに関するFAQ
Q1. CFTとRSTはどちらが有利ですか?
A1. 業種によります。建設業メインであればCFTが現場に直結しやすく、幅広い業種で安全衛生教育を行いたい場合はRSTが有利です。
Q2. どちらも職長教育の講師として認められますか?
A2. はい。厚生労働省通達に基づき、CFT・RSTともに職長教育・安全衛生責任者教育の講師として活用することが推奨されています。
Q3. 費用はどれくらいかかりますか?
A3. CFTは約104,940円、RSTは約110,000円(いずれも令和3年時点・税込)です。最新の金額は必ず公式サイトで確認してください。
Q4. 施設の生活環境は厳しいですか?
A4. 規則正しい合宿生活になります。Wi-Fiの時間制限や消灯時間、ラジオ体操などもあり、自由度は低いですが、その分「学びに集中できる環境」とも言えます。