この記事では、足場や鉄骨などの組立作業で必ず使用されるラチェットレンチについて、現場目線で分かりやすく解説します。さらに、実際の足場・鉄骨現場で使いやすいおすすめカテゴリ別ラチェットも紹介していきます。
普段から足場や鉄骨を組み立てている方にとってはおなじみの工具ですが、あまり組立に関わらない方にとっては「名前は聞いたことがあるけど、どんな工具なのか分からない」ということも多いはずです。そこで、ラチェットを日常的に使う職人の方にも、これから覚えたい方にも役立つ内容になるよう整理しました。
ラチェットレンチとは?足場・鉄骨工事で欠かせない理由
ラチェットレンチは、ボルト・ナットの締め付けや取り外しに使う工具で、ソケット部にギアを設けることで連続的に回すことができる構造になっています。ソケットとハンドルが一体になっているため、ソケット落下の危険が少なく、高所作業にも適しています。
通販モノタロウ『ラチェットレンチの種類と特長』より要約
スパナやメガネレンチの場合、ボルトを回すたびに工具の位置を掛け替える必要がありますが、ラチェットレンチは一方向に振るだけで連続して締め付け・緩め作業ができるため、作業効率が大幅に向上します。
特に足場や鉄骨の組立では、膨大な数のボルト・ナットを扱うため、ラチェットレンチの有無で一日の作業スピードと疲労度が大きく変わると言っても過言ではありません。
ラチェットレンチの呼び方いろいろ

正式名称は「ラチェットレンチ」ですが、現場では以下のような呼び方もあります。
- ラチェット
- メガネ(形状からの俗称)
- ラジエット(なまり・言い間違いからの呼び方)
- ガチャ(ガチャガチャと動かす動作から)
この記事では、名称を「ラチェットレンチ」または「ラチェット」に統一して解説していきます。
ラチェットレンチの種類と特徴(足場で使いやすい17サイズで説明)
ラチェットレンチには、用途や作業環境に応じてさまざまなタイプがあります。ここでは代表的な種類を整理します。
片口ラチェットレンチ
片口ラチェットは、表と裏で爪(ソケット)のサイズが異なるタイプです。工具をひっくり返すだけで、締め付けと取り外しを同じ工具で行えるのが特徴です。整備系の現場などでもよく見かける構造です。
両口ラチェットレンチ
両口ラチェットは、ソケット横に正転・逆転を切り替えるスイッチが付いているタイプです。
- 正転・逆転をワンタッチで切り替え可能
- 表と裏で異なるサイズのソケットを備えている
- サイズ違いのボルト・ナットに一本で対応できる
足場や鉄骨の現場では、両口ラチェットが最も使い勝手が良い定番タイプと言えます。ただし、ハンマー代わりに叩いて使うと内部ギアを破損する原因になるため、乱暴な使い方は厳禁です。
ロングソケットラチェットレンチ
ソケット部分が長く設計されたラチェットで、深い位置にあるボルト・ナットを締め付けるのに適したタイプです。
- ALCパネルの締め込みなど、奥まった位置のボルトに便利
- 障害物を避けながらボルトにアクセスしやすい
板ラチェットレンチ(ベントタイプ)
板状のラチェットで、両端に異なるサイズのソケットが付いているタイプです。柄の部分が約15°ずつ曲げてある(ベント形状)ため、いびつな形状の部材や狭いスペースでも作業しやすくなっています。
足場のクランプ周りなど、狭い場所のナットを回すのに非常に便利なカテゴリです。
板ラチェットレンチ(ユニバーサルタイプ)
ユニバーサルタイプは、ソケット部分と柄の部分が分離構造になっており、柄の角度が15°以上かかってもソケットが外れにくい設計になっています。
- 門扉や外構金物など、狭いスペースの締め付けに最適
- 角度がついた状態でもしっかりトルクをかけられる
足場・型枠工事で使うラチェットレンチのサイズ選び
ラチェットレンチを選ぶ際に重要なのが、ボルト・ナットのサイズ(=二面幅寸法)です。
二面幅寸法とは?
二面幅とは、六角ボルトやナットの向かい合う二つの面の幅のことです。ラチェットレンチは、この二面幅に合わせてサイズが決まっています。
「見ただけではサイズが分からない」という場合は、ボルト径と二面幅の対応表を参考にすると、どのサイズのラチェットを選べばよいか判断しやすくなります。
足場・型枠工事で定番のサイズ
足場や型枠大工がよく使うサイズは、17×21のラチェットです。
- 足場のボルト・ナットに多く使われるサイズに対応
- 型枠金物にも対応しやすい汎用サイズ
よく間違えられるのが「19×21」のサイズで、フォームタイを締めようとしたらブカブカだった、というケースもあります。最終的には、自分が扱うボルト・ナットのサイズに合わせて選ぶことが重要です。
用途別ラチェットレンチの選び方
用途・作業環境に合わせて選ぶ
ラチェットレンチは、どのような現場で使うかによって最適なタイプが変わります。
- 足場・鉄骨の組立:両口ラチェット+シノ付きタイプが定番
- ALCや深い位置のボルト:ロングソケットタイプ
- 狭いクランプ周り:板ラチェット(ベントタイプ)
- 外構・門扉などの狭所:板ラチェット(ユニバーサルタイプ)
「どこで・どんな姿勢で・どのくらいの頻度で使うか」をイメージして選ぶと、失敗しにくくなります。
シノ付きラチェットレンチのメリット
足場職人の定番は、シノ付きラチェットレンチです。柄の先端がシノ形状になっており、番線締めや部材のこじり出しなどにも使えます。
- ラチェットとシノを一本にまとめられる
- 番線締めとボルト締めを連続して行いやすい
- 工具本数を減らせるため、腰回りがスッキリする
軽量アルミボディのラチェットレンチ
アルミボディのショートラチェットは、軽さと耐久性を両立したカテゴリです。
- 工具自体が軽く、長時間の作業でも疲れにくい
- アルミ素材で錆に強く、屋外作業に向く
- ショートタイプは狭い場所での取り回しが良い
落下防止機構付きラチェットレンチ
柄の部分にスライドリングなどの落下防止機構が付いたラチェットは、高所作業で特に重宝されます。
- フックやカラビナを接続して落下防止コードを取り付けられる
- リングがスライドする構造なら、作業時に邪魔になりにくい
デザイン性とグリップ性を両立したラチェット
ブロンズカラーなど、レトロで高級感のある仕上げのラチェットもあります。見た目だけでなく、滑り止め加工されたグリップや、曲がりシノ付きで番線締めにも対応できるなど、機能面でも優れたモデルが多いカテゴリです。
まとめ|ラチェットレンチは「現場」と「サイズ」と「スタイル」で選ぶ
- ラチェットレンチは、ボルト・ナットの締め付け・取り外しを連続回転で行える工具。
- スパナよりも作業効率が高く、足場・鉄骨工事では必須レベルの工具。
- 両口・ロングソケット・板ラチェット・ユニバーサルなど、用途に応じた種類がある。
- 足場・型枠工事でよく使うサイズは「17×21」が定番。
- シノ付き・アルミボディ・落下防止付きなど、自分のスタイルに合った機能を選ぶことが重要。
電動ラチェットレンチも普及してきましたが、締め付けすぎの心配や取り回しの問題から、いまだに手動ラチェットレンチを好む職人も多いのが現場の実情です。日々使う相棒だからこそ、一度自分のラチェットを見直して、現場とスタイルに合った一本を選び直してみるのも良いタイミングかもしれません。
ラチェットレンチに関するよくある質問
Q. 足場職人が最初に選ぶべきラチェットレンチはどのタイプですか?
足場職人が最初に選ぶなら、両口タイプのシノ付きラチェットレンチ(17×21サイズ)が定番です。足場ボルトに対応しやすく、番線締めにも使えるため、一本で多くの作業をカバーできます。
Q. ラチェットレンチをハンマー代わりに使っても大丈夫ですか?
ラチェットレンチをハンマーのように叩いて使うと、内部のギアやソケット部を破損する原因になります。叩き作業が必要な場合は、専用のハンマーやシノハンマーを使うのが安全です。
Q. 電動ラチェットと手動ラチェットはどう使い分ければいいですか?
電動ラチェットは大量のボルトを素早く回すのに向いていますが、締め付けトルクの管理や狭い場所での取り回しに注意が必要です。最終締めや微調整は手動ラチェットで行うという使い分けが現場では一般的です。
Q. 落下防止付きラチェットは必須ですか?
高所作業が多い足場・鉄骨現場では、落下防止機構付きラチェット+落下防止コードの組み合わせは、ほぼ必須と言ってよいレベルです。工具落下は重大事故につながるため、安全対策として優先的に導入すべき装備です。
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