この記事で学べること
・粘性土地盤の圧密沈下における「間隙比」を用いた沈下量計算と「段階載荷工法」の目的
・ロックフィルダムを構成する「コア」「フィルタ」「ロック」の3ゾーンの材料と役割
・シールド工法における地下水対策として選定される「密閉型(泥水式・土圧式)」の特徴
・トラフィカビリティの指標である「コーン指数」の大小関係と、重機ごとの要求基準値
【出題傾向】下級出題度:出ない(1級・上級専用)
1級建設機械施工管理技士の第一次検定における「土木工学(上級)」分野では、2級では問われない高度な土質力学の計算理論(圧密沈下)や、大規模土木構造物(ダム、シールドトンネル)の施工基準が出題されます。これらの分野は、専門的なキーワードの役割(コア材=遮水、密閉式=地下水対策など)をパズルのように当てはめることで正解を導き出すことができます。
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【粘性土の圧密沈下計算(間隙比変化)と段階載荷工法の設計方法】1級建設機械施工管理技士 第一次検定過去問のわかりやすい覚え方
まずは根本の仕組みから丁寧に整理します。難しい用語を使わず、図解イメージで理解できるように分解すると、水を含んだ粘土の上に重い土(盛土)を載せると、粘土の中の水がゆっくりと外に押し出され、何ヶ月もかけて地盤が沈んでいきます。これが「圧密沈下」です。
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間隙比を用いた圧密沈下量の計算式
土の中の「土粒子」に対する「隙間(水と空気)」の体積の割合を間隙比($e$)と呼びます。圧密が進行して水が抜けると、この隙間が減るため間隙比は小さくなります。
粘性土層の厚さを $H$、荷重をかける前の初期間隙比を $e_0$、圧密が終わった後の間隙比を $e_1$ とすると、最終的な圧密沈下量 $S$ は以下の公式で求められます。
$$S = \frac{e_0 – e_1}{1 + e_0} H$$
つまり、間隙比の減少量($\Delta e = e_0 – e_1$)が大きいほど、沈下量も大きくなります。
すべり破壊を防ぐ「段階載荷工法」
水が抜けきっていない柔らかい粘性土の上に、一気に大量の盛土をしてしまうと、中の水が逃げ場を失って圧力(過剰間隙水圧)が限界を超え、地盤が横に滑って崩壊する「すべり破壊」を起こします。
これを防ぐため、「少し盛土をしては一定期間放置し、粘土から水が抜けて強度が高まる(圧密が進行する)のを待ってから、次の盛土を載せる」という設計手法をとります。これを「段階載荷工法」と呼びます。
演習問題
【問題】軟弱な粘性土地盤上の盛土工事における圧密沈下および段階載荷工法に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
- 粘性土地盤における圧密沈下は、盛土の荷重によって地盤中の間隙水が徐々に排出され、土の体積が減少することによって長期間にわたり進行する現象である。
- 圧密による最終沈下量 $S$ は、粘土層の厚さ $H$ と、圧密の進行に伴う間隙比の減少量を用いて算出することができる。
- 段階載荷工法は、盛土荷重を数回に分けて載荷し、各段階で地盤の圧密による強度増加を待つことで、基礎地盤のすべり破壊を防止する工法である。
- 工期を短縮するためには、段階載荷工法を避け、初期の段階で一気に計画高まで盛土を完了させてから圧密沈下を待つのが、最も安全かつ効率的な設計である。
【解答】4
【解説】
1. 適当。圧密沈下のメカニズムに関する正しい記述です。
2. 適当。間隙比の変化($e_0 – e_1$)を用いた沈下量計算理論です。
3. 適当。強度増加を待つ「段階載荷工法」の目的として正しいです。
4. 不適当。軟弱な粘性土地盤において、圧密による強度増加を待たずに「一気に計画高まで盛土を完了」させると、過剰間隙水圧が急上昇し、地盤の「すべり破壊(崩壊)」を招くため極めて危険です。工期短縮のために安全性を無視した致命的な嘘記述です。
【ロックフィルダムおよび大規模アースダムの盛土材料・施工基準】1級建設機械施工管理技士 第一次検定過去問のわかりやすい覚え方
現場の感覚では「ダムはとにかくコンクリートで作るもの」と思いがちですが、山の中にある大規模なダムの多くは、土と岩石を積み上げて作る「ロックフィルダム」です。このダムは、役割の全く違う3つの材料をサンドイッチにして作られています。

ロックフィルダム(ゾーン型)の3大構造
- コア(遮水ゾーン):➔ キーワード「粘性土・水を通さない」
ダムの中心にあり、貯水池の水を絶対に外に漏らさない(遮水する)ための層です。水を通しにくい「透水係数の小さい粘性土」を使用し、最適含水比付近でシープフットローラ等を用いて水密に締め固めます。 - ロック(透水・安定ゾーン):➔ キーワード「岩石・ダムを支える」
ダムの一番外側の殻を形成し、巨大な水圧を力ずくで支える層です。強度が高く、水を含んでも崩れないように「透水性の高い硬い岩石(ロック材)」を使用します。 - フィルタ(半透水ゾーン):➔ キーワード「砂・砂利・流出防止」
コアとロックの間に挟み込む中間層です。コアの細かな粘土粒子が、水流に洗われてロックの岩の隙間から流れ出てしまう(パイピング現象)のを防ぐため、「砂や砂利」などの材料を使用します。
演習問題
【問題】ロックフィルダム(ゾーン型)の構造および盛土材料に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
- ロックフィルダムのコアゾーンは、ダムの遮水を目的として中央部に設けられ、一般に透水係数の小さい粘性土が使用される。
- フィルタゾーンは、コアゾーンの細粒分(粘土など)が浸透水によってロックゾーンへ流出するパイピング現象を防止するために設けられる砂・砂利の層である。
- ロックゾーンは、ダム全体を安定させるための外殻部分であり、一般に透水性が高く強度の大きな岩石材料が使用される。
- コアゾーンの盛土施工においては、ダムの安定性を高めるため、遮水性を無視して透水性の高い粗い岩石材料を用い、振動ローラで乾燥状態で締め固める。
【解答】4
【解説】
1. 適当。コアゾーン=遮水=粘性土、の正しい組み合わせです。
2. 適当。フィルタゾーンの役割(細粒分の流出防止)の正しい記述です。
3. 適当。ロックゾーンの役割(強度・安定性)の正しい記述です。
4. 不適当。コアゾーンの最大の目的は「水を通さないこと(遮水性)」です。透水性の高い粗い岩石を使用すると水がダダ漏れになり、ダムが決壊してしまいます。コアには必ず「透水性の小さい粘性土」を用い、最適含水比付近で水密に締め固める必要があります。役割を完全に逆転させた引っかけです。
【シールド工法・推進工法(地下土木)における掘削機械の選定基準】1級建設機械施工管理技士 第一次検定過去問のわかりやすい覚え方
この単元は深追い不要。試験では“キーワード反応型”でOKです。次のポイント(地下水が多くて崩れやすい軟弱地盤には、密閉型の「泥水式」か「土圧式」を選ぶ)だけ覚えれば得点できます。

シールドマシンの「開放型」と「密閉型」
都市部の地下鉄や下水道を作るシールド工法において、機械の最前面(切羽・きぐれ)の土をどうやって崩れないように押さえるかが重要です。
- 開放型シールド:先端の切羽が露出しており、作業員が直接土を見ながら掘り進める方式です。岩盤や、崩れてこない硬い粘土など「自立する地盤(地下水がない地盤)」にしか使えません。
- 密閉型シールド(泥水式・土圧式):地下水が多くてドロドロの軟弱地盤では、開放型だと土と水が雪崩れ込んできて水没します。そのため、切羽を壁(隔壁)で完全に密閉し、圧力をかけて土を押さえ込みます。
- ・泥水(でいすい)式シールド:隔壁の中に「加圧した泥水」を満たし、その圧力で切羽を押さえながら、削った土を泥水と一緒にパイプで地上へ送ります。
- ・土圧(どあつ)式シールド:削った土砂に添加材を混ぜてドロドロの泥土(プラグ)にし、「その土自体の圧力」で切羽を押さえ、スクリューコンベヤで土を絞り出します。
演習問題
【問題】シールド工法における掘削機械(シールド機)の種類と選定に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
- シールド工法に用いられるシールド機は、切羽(掘削面)の安定を保持する方式によって、大きく開放型と密閉型に分類される。
- 泥水式シールド機は、カッター後方の泥水室に加圧した泥水を送り込んで切羽の安定を図る密閉型であり、地下水位が高く崩壊しやすい地盤に適している。
- 土圧式シールド機は、掘削した土砂に添加材を注入して塑性流動化させ、その土圧によって切羽の安定を図る密閉型シールドである。
- 地下水位が高く透水性の大きい軟弱な砂礫地盤においては、掘削面の状況を直接目視で確認できる「開放型シールド機」を選定するのが最も安全である。
【解答】4
【解説】
1. 適当。開放型と密閉型の基本的な分類です。
2. 適当。泥水式のメカニズム(加圧泥水)と適応地盤です。
3. 適当。土圧式のメカニズム(泥土による土圧)の正しい記述です。
4. 不適当。地下水位が高く透水性の大きい軟弱地盤で「開放型シールド機」を使用すると、切羽から地下水や土砂が坑内に大量に噴出し、大事故(水没・崩落)に直結します。このような悪条件の地盤では、切羽を強力に支持できる「密閉型(泥水式または土圧式)」を必ず選定しなければなりません。

コーン指数(qc)と要求基準値の大小関係
建設機械がその地盤の上を沈み込まずに走行・作業できるかどうかの度合いを「トラフィカビリティ」と呼びます。この地盤の強さを数値化したものが「コーン指数(qc:単位 kN/m2)」です。数字が大きいほど、地盤が硬くて強いことを示します。
建設機械ごとに、「これ以上の硬さの地面じゃないと走れない」という要求コーン指数が異なります。以下の順番(大小関係)を必ず暗記してください。
- ダンプトラック(普通タイヤ):qc ≧ 1,200
接地面積が狭いため、非常に硬い地面が必要です。 - モータスクレーパ(大型タイヤ):qc ≧ 600
- 普通ブルドーザ(クローラ式):qc ≧ 400
接地圧が低いため、ある程度柔らかい土でも走れます。 - 湿地・超湿地ブルドーザ(幅広クローラ):qc ≧ 200
特殊な幅広の履板を持つため、泥濘地(ドロドロの地盤)でも沈まずに走れます。
トラフィカビリティ不足の対策
現場の地盤のコーン指数が、使いたい機械の要求値に満たない場合は、「敷鉄板の敷設」を行って接地面積を強引に広げたり、表層にセメント等を混ぜて固める「表層処理工」、良質な土に入れ替える「置換工法」などの対策を行います。
演習問題
【問題】建設機械のトラフィカビリティおよびコーン指数に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
- トラフィカビリティとは、建設機械が軟弱地盤等の上を沈み込むことなく、安定して走行・作業できるかどうかの度合いをいう。
- コーン指数(qc)は、コーンペネトロメーターを用いて測定される土の硬さの指標であり、数値が大きいほど地盤の支持力が高いことを示す。
- ダンプトラックの走行に必要なコーン指数は、接地圧の低い湿地ブルドーザの走行に必要なコーン指数に比べて、より大きな値が要求される。
- 現場のコーン指数が不足している場合、普通ブルドーザの走行を確保するための対策として、コーン指数の要求値がさらに高いダンプトラックに変更して強引に走行させるのがよい。
【解答】4
【解説】
1. 適当。トラフィカビリティの定義として正しいです。
2. 適当。コーン指数が大きい=硬い地盤、の基本法則です。
3. 適当。ダンプ(1200以上)> 湿地ブルドーザ(200以上)という大小関係は正しい記述です。
4. 不適当。普通ブルドーザ(要求値400以上)が走れない軟弱な地盤で、さらに高い強度(1200以上)を要求するタイヤ式のダンプトラックを走らせようとすれば、確実に深くスタック(立ち往生)してしまいます。対策としては、要求値の低い超湿地ブルドーザに変更するか、敷鉄板を敷設するなどの地盤改良を行わなければなりません。理屈を逆転させた嘘記述です。
まとめ
今回学んだ1級建設機械施工・土木工学(上級)の重要ポイントをおさらいしましょう!
- 粘土の「圧密沈下」は、間隙比の減少から計算し、すべり破壊を防ぐため「段階載荷」を行う。
- ロックフィルダムの「コア」は粘土で水を止め、「ロック」は岩石でダムを支え、「フィルタ」は流出を防ぐ。
- 地下水が多く崩れやすい地盤のシールド工法には、必ず密閉型の「泥水式」か「土圧式」を選定する。
- 重機の走行に必要な「コーン指数」は、ダンプ(1200) > 普通ブル(400) > 湿地ブル(200) の順に高くなる。
1級特有の専門土木の問題は、構造物の「名前と役割の結びつき」や「数値の大小関係」を問う問題が中心です。「コア=粘土=遮水」「ダンプ=硬い地面が必要」といった実務的なイメージを持つことで、難解な過去問も簡単に解けるようになります。確実な得点源にして、1次検定突破を目指しましょう!
