この記事で学べること
・「パレート図」と「ヒストグラム」などQC七つ道具の正しい用途と使い分け
・配管の「水圧試験(60分)」「満水試験(30分)」「気密試験(24時間)」の保持時間ルール
・保温工事や隠蔽工事の「前」に行う配管検査とフラッシング(洗浄)の重要性
・ダクトの風量調整の順序(主ダクト➔吹出口)と、ポンプ試運転前の「空気抜き」手順
【出題傾向】出題度:毎年必ず出る(管工事の施工管理法)
管工事施工管理技士試験の「施工管理法」の後半では、工事の品質を担保し、完成した設備を安全に引き渡すための「品質管理」と「試運転調整」に関する問題が必ず出題されます。特に「どのグラフを使うか」「何分間圧力を保持するか」「どの順番で調整するか」といった、現場監督としての具体的なアクションが問われます。
この記事では、試験対策に必須の重要ポイントを直感的にイメージできるよう構成しています。単なる言葉の暗記ではなく、「なぜその順番で行うのか」「どうしてその時間が必要なのか」という現場のルールを把握してから、詳細な解説文を読み進めていきましょう。
【品質管理(QC七つ道具・パレート図・ヒストグラムの活用と原因分析)】1級・2級管工事施工管理技士 第一次検定過去問のわかりやすい覚え方
まずは品質管理の分析ツールから整理します。現場で水漏れや寸法不良などの問題が起きたとき、その原因や対策を論理的に見つけ出すためのツールを「QC(Quality Control)七つ道具」と呼びます。試験では各グラフの「目的」が入れ替えられて出題されます。

パレート図(重点指向のグラフ)
- 特徴:発生した不良や欠点を原因別・現象別に分類し、「件数の多い順」に左から棒グラフとして並べ、その累積比率を折れ線グラフで重ねた図です。
- 目的:「どの不良が一番多く発生しているか」が一目でわかるため、「重点的に対策すべき問題(一番影響が大きいワースト1)」を決定するために用います。
ヒストグラム(ばらつきのグラフ)
- 特徴:集めたデータ(配管の寸法や温度など)をいくつかの区間に分け、その区間に入るデータの数を柱状(棒グラフ)で表した図です。
- 目的:データの「分布の状態やばらつき」を把握したり、「規格値(合格の範囲)に収まっているか、平均値がどこにあるか」を視覚的に確認するために用います。
特性要因図(魚の骨)
- 特徴:結果(特性)と、それに影響を及ぼしていると思われる原因(要因)の関係を、魚の骨のような矢印で系統的に整理した図です。
- 目的:「なぜ不良が起きたのか」という原因を漏れなく洗い出し、整理するために用います。
演習問題
【問題】品質管理に用いられるQC七つ道具とその活用目的に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
- パレート図は、不良や欠点を分類して件数の多い順に並べた棒グラフと累積比率の折れ線グラフであり、重点的に対策すべき項目を決定するのに適している。
- ヒストグラムは、計量値のデータの分布状態を柱状のグラフで表したものであり、データのばらつきや規格値との関係を把握するのに適している。
- 特性要因図は、発生した不良(結果)と、それに影響を及ぼすと思われる原因(要因)との関係を系統的に整理して図解したものである。
- データのばらつきの中心や分布の幅を把握し、工程が安定しているかを確認するためには、パレート図を作成して分析するのが最も適している。
【解答】4
【解説】
1. 適当。パレート図の目的(多い順・重点指向)です。
2. 適当。ヒストグラムの目的(ばらつき・分布の把握)です。
3. 適当。特性要因図(原因の洗い出し)の正しい記述です。
4. 不適当。データの「ばらつきの中心」や「分布の幅」を把握するために作成するグラフは「ヒストグラム」です。パレート図は「不良の多い順」を特定するためのものであり、用途をすり替えた典型的な引っかけです。
【配管試験(水圧試験・満水試験・気密試験の実施圧力と保持時間基準)】1級・2級管工事施工管理技士 第一次検定過去問のわかりやすい覚え方
現場の感覚では「水を通してみて漏れなきゃOKだろう」と思いがちですが、ここを取り違えると確実に落とされるため注意が必要です。配管の種類によって、法律や規格で定められた「テストの圧力」と「待たなければならない時間」が存在します。

3大配管試験の基準
- 水圧試験(給水管・冷温水管など):
ポンプで圧力をかける配管です。試験水圧は一般に「最高使用圧力の 2倍 (または最小 0.75MPa)」などの厳しい圧力をかけます。その状態で「60分間」保持し、圧力計の針が下がらないか(漏れがないか)を確認します。 - 満水試験(排水管・通気管など):
重力で流す配管です。配管の最上部まで水を満杯に入れ、水圧ではなく水位でチェックします。一般に「30分間以上」放置し、水位の低下や各接合部からの水漏れがないかを確認します。 - 気密試験(冷媒配管・ガス管など):
空調機のフロンガスなどを通す配管です。窒素ガスなどで規定の圧力まで加圧し、わずかな漏れも見逃さないよう「24時間」保持します(※温度変化による圧力変動の補正計算が必要です)。
演習問題
【問題】配管工事完了後の試験および検査に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
- 給水配管の水圧試験は、一般に最高使用圧力の2倍(または最小0.75MPaのいずれか大きい方)の圧力を加え、60分間保持して漏れがないことを確認する。
- 屋内排水管の満水試験は、試験対象となる配管系の最上部まで水を満たし、30分間以上保持して水位の低下や接合部からの漏水がないことを確認する。
- 空調設備の冷媒配管の気密試験は、窒素ガス等を用いて設計圧力まで加圧し、周囲の温度変化による圧力変動を補正した上で、24時間保持して漏れがないことを確認する。
- 排水管の満水試験においては、作業効率を上げるため、水を満たした直後に目視で漏れがなければ、保持時間を5分に短縮して合格としてよい。
【解答】4
【解説】
1. 適当。水圧試験の基準(2倍・60分)の正しい記述です。
2. 適当。満水試験の基準(30分)の正しい記述です。
3. 適当。気密試験の基準(窒素ガス・24時間・温度補正)の正しい記述です。
4. 不適当。排水管の満水試験では、微小な漏水や水位の低下を確実に発見するために、必ず「30分間以上」保持しなければなりません。作業効率を優先して5分で打ち切ることは重大な施工不良を見逃す原因となり、明確な違反です。
【空調調和・衛生工学会規格(SHASE)の重要品質検査項目】1級・2級管工事施工管理技士 第一次検定過去問のわかりやすい覚え方
配管の検査を行う「タイミング」が非常に重要です。保温材(断熱材)を巻いてしまった後では、水漏れ箇所を発見することができません。

試験・検査の実施タイミング(隠蔽前・保温前)
水圧試験、満水試験、気密試験などの漏れを確認するテストは、必ず「被覆(保温材・保冷材の施工)や塗装を行う前」に実施しなければなりません。
同様に、天井を貼ったり壁を仕上げたりして配管が隠れてしまう(隠蔽される)場合も、「隠蔽する前」に必ず試験と写真記録を完了させる必要があります。
フラッシング(管内洗浄)
配管工事が終わった後、そのままポンプを回してはいけません。配管の中には、工事中に発生した砂、サビ、溶接カス(スケール)などのゴミが残っています。これらのゴミが機器のバルブやポンプに詰まらないよう、試運転の前に流体(水や空気)を勢いよく流して配管内部を洗い流す作業を「フラッシング」と呼びます。
演習問題
【問題】空気調和・衛生設備工事における検査およびフラッシングに関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
- 配管の接合部における水圧試験や気密試験は、漏洩箇所を確実に発見するため、保温・保冷の被覆施工や塗装を行う前に実施しなければならない。
- 天井内や地中など、完成後に見えなくなる隠蔽部分の配管は、隠蔽作業を行う前に所定の試験および検査を実施し、記録を残す。
- 配管工事完了後、機器の運転に先立って、管内の砂や溶接スケールなどの異物を排除するためにフラッシング(管内洗浄)を行う。
- 工期が切迫している場合、配管の保温工事をすべて完了させてから一括して水圧試験を実施し、圧力計の低下がなければ合格とするのが標準的な手順である。
【解答】4
【解説】
1. 適当。試験は「被覆・塗装の前」に行うという大原則です。
2. 適当。隠蔽部の検査のタイミングの正しい記述です。
3. 適当。フラッシング(洗浄)の目的と実施時期の正しい記述です。
4. 不適当。保温工事をすべて完了させてから水圧試験を実施すると、もし接合部から水漏れがあった場合、保温材が水を吸ってしまい漏洩箇所の特定が不可能になるだけでなく、保温材自体が使い物にならなくなります。試験は必ず「被覆(保温)の前」に実施しなければならず、工期を理由に手順を逆転させるのは厳禁です。
【試運転調整(空調換気の風量測定バランス・給排水の通水試験手順)】1級・2級管工事施工管理技士 第一次検定過去問のわかりやすい覚え方
「現場の感覚では〇〇(※風量は各部屋の吹出口で調整して、最後に大元のダクトを調整すればよいだろう)ですが、検定試験では真逆の判断が正解になることがあります。ここを取り違えると確実に落とされるため注意が必要です。

風量測定と調整の「順番」
ダクトの風量を調整する際、末端の吹出口のダンパ(弁)だけで風を絞ろうとすると、隙間から風が「シューッ」と鳴る激しい風切り音(騒音)が発生してしまいます。
正しい風量調整の順番は、「大元から末端へ」向かうことです。
① 送風機の全風量を確認する。
② 主ダクト(根元)の風量を調整する。
③ 分岐ダクトの風量を調整する。
④ 最後に、各部屋の吹出口・吸込口(末端)で微調整を行う。
- 測定機器:ダクト内の風速は「ピトー管」、吹出口の風速は「熱線風速計」や「ベーン式風速計」を用います。
ポンプの試運転前準備(空気抜き)
水用のポンプを初めて起動する際、ポンプの中(ケーシング内)に空気が残っていると、空回りして水が送れず、最悪の場合は摩擦熱でポンプが焼き付いて壊れます。
そのため、起動前には必ず「空気抜き(エア抜き)を行い、ポンプ内に水を満たす」ことが絶対条件です。また、起動時の負荷を軽くするため、吐出側のバルブは「全閉(または微開)」にして起動し、回転が安定してから徐々に開いていきます。
演習問題
【問題】空調および衛生設備の試運転調整に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
- ダクト系の風量調整は、送風機の全風量を確認した後、主ダクト、分岐ダクト、吹出口の順に、根元から末端に向かって調整を行っていく。
- 渦巻ポンプの試運転においては、起動前にケーシング内の空気抜き(エア抜き)を確実に行い、内部を水で満たしてから起動しなければならない。
- ダクト内の風速測定にはピトー管およびマノメータを用い、吹出口の風速測定には熱線風速計やベーン式風速計を用いるのが一般的である。
- ダクト系の風量調整は、微調整がしやすいため、最初にすべての末端の吹出口でダンパを絞って風量を合わせ、最後に主ダクトで全体の風量を決定する。
【解答】4
【解説】
1. 適当。風量調整の正しい順序(主➔分岐➔吹出口)です。
2. 適当。ポンプ起動前の絶対条件「空気抜き」の正しい記述です。
3. 適当。風速測定に用いる測定機器の正しい組み合わせです。
4. 不適当。最初に末端の吹出口でダンパを大きく絞ってしまうと、ダクト内の圧力が高まりすぎて激しい風切り音(騒音)が発生し、正しい風量バランスも取れなくなります。風量調整は必ず「大元(主ダクト)」から順にバランスを取り、最後に「末端(吹出口)」で微調整するのが鉄則です。手順を完全に逆にした引っかけです。
まとめ
今回学んだ管工事施工管理技士・施工管理法(品質・試運転)の重要ポイントをおさらいしましょう!
- パレート図は「不良の多い順(ワースト1)」を特定し、ヒストグラムは「ばらつき」を見る。
- 配管テストの保持時間は、水圧「60分」、満水「30分」、気密「24時間」。
- 水圧試験や気密試験は、必ず「保温・塗装の施工前(隠蔽前)」に実施する。
- 風量調整は「主ダクトから吹出口へ」の順。ポンプを回す前には必ず「空気抜き」を行う。
品質管理や試運転の分野は、現場での「順番」と「時間」のルールがそのまま点数に直結します。「隠れる前に検査する」「大元から調整する」といった現場監督としての合理的な判断基準を持っておけば、過去問の不自然な選択肢に迷わずバツをつけることができます。確実な得点源にしていきましょう!
