この記事では、職長安全安全衛生責任者と職長の違いについて解説していきたいと思います。
また、現場での統括安全の重要性なども合わせて解説していきたいと思います。
と、実際どんな資格内容なのかよく分からないですよね。
そこで、今回は職長・安全衛生管理責任者の資格の受講内容と取得するメリットやその重要性について解説していきたいと思います。
筆者も年に何度か職長教育の講義を担当しているため、どのような受講カリキュラムで進んでいくのかも合わせて解説していきたいと思います。
このブログは他にもこのようなことがまとめてあります。合わせて気になる記事を確認してみてください。全体を確認するにはこちら職長とは?どのような仕事をする?
職長とは、建設現場だけでなく製造・電気・ガス・造船・自動車整備・機械修理などの業種で、労働者を直接指揮監督する者を指します。
職長とは、どの業種でも、労働安全基準法の中で安全を守り健康的にものを作っていく中で指揮監督する大切な職長になります。
重要なポイントは、安全衛生法第60条に基づき、事業主は新たに職長になる人に対して職長教育を行わなければならないとあります。
つまり、この講習を受けないと職長になることはできません。
職長にならないと作業員に対して直接指揮監督することができない
職長の業種も分野も拡大
令和4年2月24日に労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(令和4年政令第51号)が公布され、令和5年4月1日から職長等に対する安全衛生教育(以下「職長教育」という。)の対象業種が拡大されます。
本改正により、令和5年4月1日からは職長教育の対象業種に以下の2業種が追加され、職長教育の実施が必要となりますので、ご注意ください。
追加業種
- 食料品製造業(うま味調味料製造業及び動植物油脂製造業を除く)
- 新聞業、出版業、製本業及び印刷物加工業
つまり建設業だけではないってことですね。
職長の仕事と業務は?
職長の役割はその業務や会社によって多少の責任の区分は分かれるところはありますが、業務の内容は幅広い責任が伴います。
例えば、労働者に対してヘルメットや作業用具、機械の点検等があります。
危険な現場のポイントやその危険の内容を回避する方法や周知する方法を部下に教えるのが「職長」でもあります。
その中で安全、品質、原価、工程、環境の1番効率的な施工サイクルを考え実施していくのがポイントになります。つまり、PDCAを考え現場の運営サイクルを行っていく大切なポイントになります。
サイクルを行う中で、作業員に対して経験や年齢に応じた適切な人員配置(適正配置)を行っていくキーマンとして活躍できます。
労働安全衛生法第60条に基づき教育が行われる業種によっては、職長が「班長」という形で呼ばれることもあります
もし、職長教育を受講せずに現場で直接指示命令を行う作業にて労災事故等が発生すると会社には、罰則があります。
職長ともに労働基準監督所から是正勧告並びに懲罰の対象になることがあるので、事業主は必ず職長教育の実施を行わなければならない責任があります。
職長にはどんな仕事の責任がありますか?
実際にあった事例を紹介します。
福岡中央労働基準監督署は、ビルの解体工事中に労働者が墜落し死亡した労働災害で、㈱大塚工業(福岡県福岡市)と同社の職長を労働安全衛生法第21条(事業者の講ずべき措置等)違反の疑いで福岡地検に書類送検した。
労災は平成29年2月21日に、同社が解体工事を請け負う同県博多区内の雑居ビルで発生した。45歳の男性労働者がガスバーナーで鉄骨の溶断作業をしていたところ、ビルの5階から墜落した。労働者は救急搬送されたが同日死亡が確認された。
労働安全衛生法では、高さ2メートル以上の作業床の端など、墜落の危険がある場所で作業をさせる場合、囲い、手すりなどを設けなければならないと定めている。囲いなどを設けるのが著しく困難なときは安全帯の使用が認められる。
解体工事現場は囲いなどを設けるのが著しく困難な場合に当たっていた。同社の職長は労働者に安全帯を使用させる必要があったが、それを怠っていた。被災労働者は腰に安全帯を装着していたが、どこにも引っ掛けずに作業していたという。
被災労働者は同県糟屋郡にある別会社の労働者であったが、同社の職長が指揮命令を行っており、実態は労働者派遣だった。労働者派遣法の読み替え規定を適用し、派遣先事業者として同社と職長を送検している
労働新聞社引用
このように、職長とは、現場で何か労働災害が発生したときに責任を被る職務でもあります。
職長安全衛生責任者の職務と業務責任って何?
「安全衛生責任者とは何でしょうか?」と聞かれたときに答えられる人はあまりいません。
そのため、ここではどのような仕事を行うのかをわかりやすく解説していきます。
ちなみに、元請けゼネコンやハウスメーカー(特定元方事業者)の大きな現場では一次下請け、二次下請け、三次下請け等(関係請負人)の下請け構造での作業形態になっています。
これは大きな現場ではよく見られる請負の形です。
このような業務形態では、現場にたくさんの人が出入りするので、混在した作業環境がたくさんあります。
例えば【足場の組み立てで作業をしている下で鉄筋屋さんが作業をしてしまっている】、【ユンボが動いているのに安全通路もないとか】とか重複した作業が起きないようにしないといけません。
このように混在している作業現場ではどのように現場と管理してしていくのでしょうか?
この管理を統括安全管理と言いまして、その方法について解説していきます。
統括安全管理の重要性とその作業内容とは?
元請けの会社は現場所長を選任し統括安全衛生責任者として作業を調整するように法律で決められています。
(安全衛生法第15条)
この統括安全衛生責任者は、下請けの職人が合計で50人未満(ずい道建設、橋梁建設など特定の仕事では30人)の場合を除き所長(統括安全衛生責任者)の選任が決まっています。
では下請けとしてはどんな対応が求められるのか?
その中で、一次下請け、二次下請け、三次下請けの事業主は現場の職長を安全衛生責任者として同じく選任して所長や元請けと調整させるように配置します。
ゼネコンでの、統括安全衛生責任者を選任している場合を例に挙げていきます。
例えば、コンクリートの擁壁を作る工事とした場合には、足場工事の職長(安全衛生責任者)・型枠大工の職長(安全衛生責任者)・鉄筋の職長(安全衛生責任者)など多くの関係する職長を多数現場で選任し、作業に当たっています。
また、安全衛生責任者は統括安全衛生責任者の指示のもと、他の職種との調整も行わないといけません。
安全衛生責任者と統括安全管理の重要性とは?
普段現場では当たり前のように実施されている内容が安全衛生責任者には重要な職務となります。
例えば、協議会組織の運営と設置は元請けは義務とされている中で災害防止協議会や現場での職長会など安全衛生責任者は参加し自社の職人を参加させることが必要になります。
朝の朝礼や昼の打ち合わせ等は元請けは同じく義務で安全衛生責任者はこれに参加し、他職種との作業間調整を行い自分の会社の労働者に指示し把握させることも仕事になります。
作業場所巡視を統括安全衛生責任者が行った際の是正や指導に対して安全衛生責任者は対応しないといけません。
元請の特別教育や安全教育等の実施をしてくれる中で、安全衛生責任者は参加しまた自社の社員を参加させる等の義務があります。
仕事の工程や機械設備等の内容についての計画や法令に基づいた元請けからの指導に対して、適切に点検の実施や記録簿の運用等を行います。
自社の社員いや労働者に守るなかで、下請けとなる二次下請け三次下請けの調整(安全衛生責任者)との調整も行わなければいけません。
これが安全衛生責任者の職務であり元請けとの重層関係での統括管理で職長安全衛生責任者として守らなければならない事項であります。
職長と安全衛生責任者の違いを理解していない人は是非こちらを読んでもらい違いを把握してもらうといいですね。その中で職長教育の講習内容もまとめていますので合わせてチェックしてみてください。
職長と安全衛生責任者の違い
ここまで、職長と安全衛生責任者それぞれの職務内容や重要性について解説していきました。
以上の職務内容から、それぞれの違いを簡単にまとめますと以下のようになります。
職長 | 現場で直接指揮を執り、現場管理を行う |
安全衛生責任者 | 下請けがいる現場での元請けとの連絡や調整を行う |
講習内容が同じカリキュラムになっているので、混在しやすいですが、担う職務には明確な違いがあることが分かります。
職長・安全衛生責任者教育講習の内容は?
職長・安全衛生責任者に関しては要件の受講資格は特にありません。
他の技能講習とかと違い、規定時間を受講し終了することによって職長教育の受講が終わります。
年齢制限等もなく誰でも受講できますがあくまで職長という責任者の資格なので、グループ討議等で発表等もある受講内容のため、最低限ある程度年数を積んでから受講することを勧めます。
職長教育受講時間とカリキュラムの詳細は?
この資格は二日間で14時間の講習カリキュラムが決められています。
職長教育では以下の内容を二日間で受講します。
そのカリキュラムの内容とは以下のようになります。
- 作業方法の決定および労働者の配置の方法(2時間)
- 労働者に対する指導および教育の方法、作業中の監督および指導の方法(2.5時間)
- 危険性または有害性等の調査、その結果に基づき講ずる措置、設備や作業等の具体的な改善方法(4時間)
- 異常時、災害発生時における措置(1.5時間)
- その他、現場監督として行うべき労働災害防止活動に関すること(2時間)
- 安全衛生責任者の職務等(1時間)
職長安全衛生責任者教育は受講がめんどくさい?
職人さんに聞くと皆さん、受講して欲しいと監督や元請けから言われますが皆、メンドクサイと感じています。
では、どこで受講するのか?
時代は変わりました。実は簡単に受講する事が出来ます。
通常通りに講習機関で受講
建機・クレーン・資格免許はコマツ教習所へ (komatsu-kyoshujo.co.jp)
建設機械・フォークリフトなどの資格取得ならコベルコ教習所 (kobelco-kyoshu.com)
例えばこのような教習所にいくのが一般的ですね
でも・・・・時間が合わない。現場が忙しいと皆、事情があります・・・中にはメンドクサイって人も
最新の受講の方法はこちら!
今の時代は、こちらの受講はなんと、オンデマンドで受講が出来る!
どうせ値段も高いと思いますが、安価で講習修了証もすぐに届くのがポイント!
そんな、WEB講習で資格講習を受講しても大丈夫なの?
特別な教育の動画学習をするためのルールがあって、厚生労働省からお知らせがあります。
監視者がいないと受講生が途中で離席できる可能性がある場合など、指定の学習時間以上の教育が行われない状況は認められないとされています。
実際、顔認証を導入していない他社では、無効になったケースが報告されています。
SATの安全衛生教育コースでは、労働局が承認したAI顔認証システムによって確実に受講が保証され、いつでもどこでもPCやスマートフォンから受講できます。修了後は、プラスチックカード版は5営業日以内に修了証が送られます。※複数人で申し込む場合は、全員分の修了証を作成してから発行されます。
※クレジットカード・AmazonPay・PayPayでお支払いいただいた場合、すぐに受講できます。
※銀行振込・コンビニ払いでお支払いいただいた場合、入金後に受講できます。
職長安全衛生責任者教育は安くてすぐに取得可能
どうせ、日程も決まって受講しないとならないでしょ? 元請けからも明日までに受講とか言われる事もあるし・
実は大丈夫です!
SATの職長安全衛生責任者教育(学科)では、受講者の学習がしっかりと動画で行われたことを確認するため、事業者は監視員を配置する必要がありません(労働局の認可を受けています)。
また、自宅や通勤中など勤務先以外でも、24時間いつでもWEB受講が可能です。
職長・安全衛生責任者能力向上教育(再教育)とは?
ただ、資格取得後安全衛生法の改定によって5年ごとに職長能力向上研修を受講しないとないけません。
建設業において、職長・安全衛生責任者教育修了後、概ね5年経過した方を対象とする再教育です。
事業者は、厚生労働省通達「建設業における職長等及び安全衛生責任者の能力向上教育に準じた教育について(平成29年2月20日付基発0220第3号)」により、職長等及び安全衛生責任者に従事する労働者に対し、一定期間(概ね5年)ごと、また、機械設備等に大幅な変更があったときにも再教育を実施するよう求められています。
まとめ
今回は、職長・安全衛生責任者の職務内容とそれぞれの違いや重要性について解説していきました。
まとめますと、
- 職長とは、現場で直接指揮を執り、現場管理を行う
- 職長は現場で労働災害が発生した場合、責任を伴う
- 安全衛生管理責任者は、下請けが複数ある現場で内外の調整や連絡・管理を担う
- カリキュラムを受講する資格は特にないが、実務経験がある人の方が講義に取り組みやすくなる
- カリキュラムは2日間かけて行われる
ですね。
このように職長と安全衛生責任者は現場では非常に重要な役割を持っていることが分かります。
これから現場で活躍する人はぜひ職長教育を受講して安全衛生責任者として活躍してみてはどうでしょうか。