一級建築士・二級建築士の学科試験で頻出!「S造・高力ボルト摩擦接合のメカニズム」をわかりやすい図解でマスターする覚え方
鉄骨(S)造の建築物において、柱と梁、あるいは梁同士を現場でつなぐために最もよく使われるのが「高力(こうりき)ボルト接合」です。試験では、このボルトがどのようにして巨大な地震力や長期荷重を伝えているのか、その「摩擦接合のメカニズム」や施工のルールが毎年のように問われます。ただの丸暗記ではなく、力が伝わる仕組みをイメージして確実に得点しましょう!
この記事で学べること
- 高力ボルト摩擦接合が力を伝える「本当のメカニズム」
- 試験で絶対に落とせない「すべり係数」と「赤さび」の関係性
- 一級・二級の学科試験(構造・施工)で正解を一発で見抜くためのポイント
一級建築士・二級建築士の学科試験における出題傾向
本単元は、一級建築士および二級建築士の学科試験において、構造・施工の両科目で非常に「よく出る(共通単元)」超重要知識です。ボルトの軸がせん断力を受けるタイプ(普通ボルトなど)との違いや、摩擦力を高めるための接合面の処理方法は、数字や言葉を入れ替えた引っ掛け問題の定番となっています。
この記事の読み方
この記事では、ヘルメットをかぶったネコマル特製の「1枚完結図解」を見るだけで、公式や要点の意味が直感的にイメージできるため、文字を追うだけで自然と構造アレルギーが消えていきます!
現場の感覚と学科試験のギャップ!「高力ボルト」の接合重要ルール

現場の感覚では「ボルト接合なんだから、ボルトの硬い軸が穴のフチにガツンとぶつかって、ハサミで切るような力(せん断力)に耐えているんだろう」という常識がまず頭に浮かびます。しかし、学科試験では真逆の判断が正解になります。ここを取り違えると確実に落とされるため注意が必要です。
高力ボルト「摩擦」接合は、その名の通り、ボルトの軸で力を受けるわけではありません。ボルトをものすごい力で締め付けることによって、重ね合わせた鋼板同士を強烈に押し付け合い、その「接触面の摩擦力」だけで全ての力を伝達する仕組みになっています。そのため、試験では「高力ボルト摩擦接合は、ボルト軸のせん断力によって応力を伝える」という記述が出てきたら、それは一発で「バツ(不適当)」と判断しなければなりません。ネコマルも「ボルトの穴に寄りかかる前に、板同士がギュッとくっついてピタッと止まっているんだにゃ!」と驚いています。
これだけは覚える!摩擦接合を成立させる2大メカニズム
試験で最も狙われる、摩擦力を最大にするための重要ルールを2つにまとめました。
1. すべり係数は「0.45以上」を確保する
板同士がどれくらい滑りにくいかを表す数値を「すべり係数」と言います。建築の構造設計において、摩擦接合面のすべり係数は0.45以上でなければならないと定められています。この数値を下回ると、大きな力がかかったときに板がズレて(すべりが発生して)しまうためNGです。
2. 接合面にはあえて「赤さび」を発生させる
摩擦力を高めるために、鋼板の接合面はツルツルであってはいけません。そのため、工場で鋼板の表面の黒皮(ミルスケール)をブラスト処理などで綺麗に削り落とした後、あえて空気や水分に触れさせて「自然発錆(赤さび)」を生じさせ、表面をザラザラにします。試験では「接合面に油や塗料が付着していると摩擦力が落ちるため除去する」という施工の知識もセットでよく出題されます。
過去問に挑戦!一級建築士・二級建築士の学科試験レベルの演習問題
それでは、実際の学科試験のレベルに合わせた演習問題に挑戦してみましょう。二級出題度「よく出る」に合わせ、二級レベルと一級レベルを1問ずつ用意しました。
【第1問:二級建築士レベル】
鉄骨構造の高力ボルト摩擦接合に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1. 高力ボルト摩擦接合は、高力ボルトの強力な締め付け力によって生じる部材間の摩擦力によって、応力を伝達する接合方式である。
2. 接合部の重ね合わせ面のすべり係数を0.45以上とするため、部材の接触面をブラスト処理したのち、適切に自然発錆(赤さび)させた。
3. 高力ボルト摩擦接合における許容耐力は、ボルト軸がせん断破断するときの強度によって決定される。
4. 高力ボルトの締め付け作業において、接合面の周辺に油、浮きサビ、塗料などが付着している場合は、摩擦力を確保するためにあらかじめこれらを除去しなければならない。
【第1問の解答・解説】
正解は「3」です。
- 選択肢1、2、4はすべて上述した摩擦接合のメカニズムおよび施工のルール通り、正しい記述です。
- 選択肢3:不適当。 摩擦接合の許容耐力は、ボルトの軸がちぎれる(せん断破断する)強度ではなく、「重ね合わせた鋼板同士がズレ始める力(すべり耐力)」によって決定されます。軸が直接踏ん張るわけではないという基本がわかっていれば、すぐに誤りと見抜けます。ネコマルも「ボルトが壊れる前に、板がズルッと滑ったらアウトにゃ!」と言っています。
【第2問:一級建築士レベル】
鉄骨構造の接合部に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1. 高力ボルト摩擦接合において、すべり係数の値を0.45として設計する場合、接合面の黒皮を除去したうえで、すべり耐力に必要な赤さびを確実に発生させなければならない。
2. 高力ボルト摩擦接合の限界状態(すべり発現)以降は、ボルト軸のせん断抵抗と板の支圧抵抗によって力が伝わるため、急激に破断することはない。
3. 同じ接合部において、高力ボルト摩擦接合と溶接接合を併用する場合、先に高力ボルトを締め付けてから溶接を行う場合であっても、それぞれの許容耐力をそのまま足し算(単純加算)して設計してはならない。
4. 厚さの異なる鋼板を高力ボルト摩擦接合する場合、板厚の差が1mmを超え、かつフィラー(応力調整用の板)を挟まないときは、接合面の密着性が低下し摩擦力が減少するため注意が必要である。
【第2問の解答・解説】
正解は「3」です。
- 選択肢1、2、4は一級建築士の構造において非常に深い部分まで問われる正しい記述です。選択肢4の「フィラーを挟む基準(板厚差1mm超)」も必須知識です。
- 選択肢3:不適当。 同じ接合部で高力ボルトと溶接を併用する場合、「先に高力ボルトを締め付け、その後に溶接を行う」という順番であれば、それぞれの許容耐力を足し算(単純加算)することが認められています。(逆に、先に溶接をしてしまうと熱で板が変形して摩擦力が効かなくなるため足し算できません)。「単純加算して設計してはならない」としている本肢の記述は誤りです。
まとめ:高力ボルトは「軸」ではなく「板同士の摩擦」で耐える!
S造の高力ボルト摩擦接合のメカニズム、整理できましたでしょうか?「ボルトは板を締め付けるための道具であり、実際に力を伝えているのはザラザラにした赤さび面の摩擦力(すべり係数0.45以上)である」という本質を理解しておけば、構造と施工のどちらで出題されても迷わずに正解できます。
ネコマルの肉球でギュッと挟み込むイメージを頭の中に保存して、本試験の引っ掛け問題を一発で撃破しましょうにゃ!
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