一級建築士・二級建築士の学科試験で必須の「構造力学・トラス構造の応力(切断法)」をわかりやすい覚え方でマスターする!
建築士の学科試験において、毎年必ずと言っていいほど出題されるのが「トラス構造」の計算問題です。部材が三角形に組まれていて一見すると非常に複雑に見えますが、解き方のバリエーションは限られています。その中でも、特定の部材にかかる力をピンポイントで一瞬で導き出せる最強のテクニックが「切断法(断面法)」です。
この記事では、以下のステップで確実に得点源にする知識を学びます。
- トラスの本質である「ピン接合」と「軸方向力(引張・圧縮)」の仕組み
- 複雑なトラスを一瞬で単純化する「切断法の3つの手順」
- 過去問の引っかけに騙されないためのモーメントの支点選びのコツ
【一級建築士・二級建築士の学科試験における出題傾向】
一級建築士の学科試験では、トラス構造の軸方向力を求める問題がほぼ毎年1問確実に独立して出題されます。二級建築士の学科試験でも「よく出る(共通単元)」であり、近年は切断法を正しく理解していないと解けない難易度の問題が増加傾向にあります。計算の手順さえ覚えてしまえば確実に1点を積み上げられるボーナス単元ですので、ここで得意科目に変えてしまいましょう。
この記事の読み方:ネコマル特製・1枚完結図解を見るだけで、公式・要点の意味が直感的にイメージできるため、暗記に頼らずスラスラと計算の仕組みが頭に入ってきます!
構造力学の一級建築士・二級建築士の学科試験における覚え方と「トラスの切断法」の過去問攻略の基本
まずは根本の仕組みから丁寧に整理します。難しい式を使わず、図解イメージで理解できるように分解すると…

トラス構造の計算を始める前に、大前提となるルールを1つだけ思い出してください。トラスの部材はすべて「ピン(滑節)」で繋がっているため、部材が曲がる力(曲げモーメント)や断ち切る力(せん断力)は発生しません。部材にかかるのは、引っ張られる力(引張力)か、押しつぶされる力(圧縮力)の**「軸方向力」だけ**です。
そして、特定の部材の軸方向力を求めるために使う「切断法」は、次の**「王道の3ステップ」**で完璧に解くことができます!
【トラス切断法の王道3ステップ】
- ステップ1:求めたい部材を含めて、トラスを「スパッ」と切断する!
トラス全体を2つに分断するように仮想の線で切ります。このとき、切断する部材の数は「3本以内」にするのが鉄則です(未知数を3つまでに抑えるため)。 - ステップ2:切った部材の力をすべて「引張力(外に飛び出す矢印)」として仮定する!
切断された断面から、部材の外側に向かって引っ張る矢印(N_1、N_2、N_3など)をすべて描き込みます。計算結果がプラスなら引張、マイナスなら圧縮と判断できるため、最初はすべて引張で仮定するのが迷わないコツです。 - ステップ3:切り取った「片方のパーツだけ」に注目し、モーメントのつり合い式を立てる!
左右どちらか計算が楽そうなパーツ(荷重や反力が少ない方)だけを残し、他は隠してしまいます。そして、**「求めたい部材以外の、残りの部材の矢印が交わる点」**を中心にしてモーメントのつり合い(ΣM = 0)を立てます。すると、求めたい部材以外の力がすべて距離0で消えてくれるため、一発で答えが導き出せます!
この「他の矢印が交わる点を支点にする」というポイントさえ押さえれば、トラスはただの単純梁のモーメント計算と全く同じになりますにゃ!
過去問にチャレンジ!一級建築士・二級建築士学科試験の「トラス構造の応力(切断法)」演習問題
それでは、実際の試験でどのように出題されるか、過去問をベースにした問題に挑戦してみましょう。今回は「よく出る」の共通単元ですので、二級レベル1問、一級レベル1問の計2問を用意しました。ネコマルと一緒にトラスをスパッと切って解いてみるにゃ!
【第1問:二級建築士レベル】
図のような、正三角形(すべての部材の長さが2m)を組み合わせたトラスにおいて、頂点Cに 30kN の垂直集中荷重が作用している。このときの左右の鉛直反力はともに上向きに 15kN である。このとき、下弦材の部材ABに生じる軸方向力 N_AB の大きさとして、最も適当なものはどれか。ただし、引張力をプラス(+)、圧縮力をマイナス(−)とする。
※ヒント:正三角形の高さは 2m × 0.866 ≒ 1.73m ですが、今回は分かりやすく高さを「1.5m」と仮定して計算してください。
- +10 kN(引張)
- −10 kN(圧縮)
- +20 kN(引張)
- −20 kN(圧縮)
【第2問:一級建築士レベル】
図のような、各パネルの幅が3m、高さが4mの平行弦トラスにおいて、下弦材の各節点に 40kN の垂直集中荷重が作用している。左端A点の鉛直反力 V_A が上向きに 60kN であるとき、斜材(斜めの部材)である部材弦 N_s に生じる軸方向力の大きさとして、最も適当なものはどれか。ただし、引張力をプラス、圧縮力をマイナスとする。
- +25 kN(引張)
- −25 kN(圧縮)
- +50 kN(引張)
- −50 kN(圧縮)
解答とわかりやすい解説
【第1問の解答】
正解は 1 です。
【解説】
ステップ1&2: 求めたい下弦材ABと、斜材AC、斜材BCを通り抜けるように、トラスを縦にスパッと切断して左半分のパーツを取り出します。切断面から右側に向かって、上弦の斜材の力 N_AC、下弦材の力 N_AB をそれぞれ「飛び出す矢印(引張)」として描き込みます。
ステップ3: 求めたいのは N_AB です。これ以外の未知数である N_AC の矢印が通る点、つまり**「頂点C」を中心としたモーメントのつり合い(ΣM_C = 0)**を立てます。C点を中心にすると、N_AC は距離が0なので計算から消えてくれます!
C点まわりの回転パワーを集めると、
・左端A点の鉛直反力(15kN):C点までの水平距離は 1m です。C点を中心に時計まわり(プラス)に回します。 ⇒ +15kN × 1m = +15 kN・m
・求めたい反力 N_AB:C点までの垂直距離(高さ)は 1.5m です。C点を中心に時計まわり(プラス)に回します。 ⇒ +N_AB × 1.5m
※頂点Cにかかっている30kNの荷重は、中心点そのものにあるため距離0で消えます。
これらを足すとゼロになるので、
15 + 1.5 × N_AB = 0
1.5 × N_AB = −15
N_AB = −15 ÷ 1.5 = −10 kN
おっと、マイナスが出ましたね!最初にすべて「引張」で仮定してマイナスが出たということは、実際の向きは逆の「圧縮力」だったということです。よって、大きさは10kN(圧縮)となり、符号の指定に合わせて「−10 kN」が正解となりますにゃ!
【第2問の解答】
正解は 3 です。
【解説】
斜材 N_s を含むように垂直にスパッと切断し、左側のパーツを取り出します。
切断面には、上弦材 N_top、斜材 N_s、下弦材 N_bot の3つの矢印(すべて飛び出す引張方向)が現れます。
斜めの部材 N_s を求めるときは、**「縦方向(Y方向)の力のつり合い(ΣY = 0)」**を利用するのが最も早いです。なぜなら、上弦材 N_top も下弦材 N_bot も完全に真横(水平)を向いているため、縦方向の力(Y成分)を一切持っていないからです!縦の力を支えられるのは、斜材 N_s の縦成分だけです。
左側パーツの縦方向の力を集めると、
・左端の反力 V_A = +60kN(上向き)
・1つ目の節点にかかる荷重 = −40kN(下向き)
・斜材 N_s の垂直成分(下向きを向いているのでマイナス)
つり合い式は、 60 − 40 +(N_sの垂直成分)= 0 となり、N_sの垂直成分は「−20kN(下向き)」である必要があります。
ここで、このトラスの傾き(比率)を確認します。幅3m、高さ4mなので、斜めの長さはピタゴラスの定理(3:4:5)より「5」になります。
垂直成分(比率4)が 20kN なので、斜め全体(比率5)の大きさは、
20kN ×(5 ÷ 4)= 25kN となります。
矢印の向きを詳細に吟味すると、このパネル内で上向きの反力(差し引き+20kN)に対抗して下向きに押し返すためには、斜材は節点に飛び込む向き(圧縮)ではなく、引っ張る向き(引張)でつり合います。したがって、+25kN(引張)が正解ですにゃ!
まとめ:一級・二級建築士合格に向けたトラス切断法の覚え方
トラス構造の攻略のカギである「切断法」の手順はイメージできたでしょうか?
「3本以内でスパッと切る」「求めたい部材以外が交わる点を中心にモーメントを立てて消す」。この2つの約束を守れば、どんなに部材が多いトラスでも一瞬でただの掛け算・割り算の式に変身します。文章題や応用問題でもこの「切り取る」という感覚が非常に役に立つので、ネコマルのノコギリの図解をしっかり脳内に焼き付けておいてくださいにゃ!
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