この記事で学べること
・アスファルト路面に発生するわだち掘れ(流動型・摩耗型)とワニの甲羅状ひび割れの破損原因
・路面性状調査における平坦性(縦方向)、わだち掘れ量(横方向)、ひび割れ率の正しい測定基準
・FWD(重錘落下型たわみ測定器)を用いた、舗装構造の非破壊評価メリットと判定の仕組み
・切削オーバーレイ工法とパッチング・注入工法を選択する際の下地(路盤)の健全度基準
・路上表層再生工法と路上路盤再生工法における、施工対象層(表層のみか路盤までか)の手順比較
【出題傾向】下級出題度:よく出る(共通単元)
「道路維持修繕・路面調査」の単元は、1級・2級の一般試験(午前)だけでなく、現在の日本の道路行政が「新設」から「長寿命化・維持修繕」へシフトしている背景から、実務記述試験(1級)の品質管理・施工管理の論点としても非常に出題確率が高い超重要分野です。破損の名前、測る方向、工法の違いをクリアにすれば、得点力が大幅にアップします。
この記事では、ネコマル特製のスマートフォン・SNSに最適な各テーマごとの「縦長3コマ構成」のインフォグラフィック図解を見るだけで、要点の意味が直感的にイメージできる構成になっています。まずは図解で視覚的特徴を整理してから、詳しい解説文を読み進めていきましょう。
- 1 【わだち掘れ・ひび割れ(クラック)の発生メカニズムと破損原因】1級舗装施工技術者・2級舗装施工技術者 一般試験過去問のわかりやすい覚え方
- 2 【路面性状調査(平坦性、ひび割れ率、わだち掘れ量測定)】1級舗装施工技術者・2級舗装施工技術者 一般試験過去問のわかりやすい覚え方
- 3 【FWD(重錘落下型たわみ測定器)を用いた路盤の構造的評価】1級舗装施工技術者・2級舗装施工技術者 一般試験過去問のわかりやすい覚え方
- 4 【切削オーバーレイ工法とパッチング・注入工法の選定基準】1級舗装施工技術者・2級舗装施工技術者 一般試験過去問のわかりやすい覚え方
- 5 【路上表層再生工法・路上路盤再生工法の施工手順比較】1級舗装施工技術者・2級舗装施工技術者 一般試験過去問のわかりやすい覚え方
【わだち掘れ・ひび割れ(クラック)の発生メカニズムと破損原因】1級舗装施工技術者・2級舗装施工技術者 一般試験過去問のわかりやすい覚え方
まずは根本の仕組みから丁寧に整理します。難しい用語を使わず、図解イメージで理解できるように分解すると、道路の破損は「アスファルト自体が熱やタイヤで負けたのか、それとも下の土台(路盤・路床)がヘタって陥没したのか」の2つのルートに分かれます。

わだち掘れの2大発生メカニズム
- 流動型(りゅうどうがた)わだち掘れ:主に夏季の高温時に発生します。直射日光でアスファルト混合物が柔らかくなっているところへ、大型トラックなどの重い車輪が繰り返し載ることで、アスファルトが耐えきれずに横方向へニュルッと押し出される現象(塑性流動)です。原因はアスファルト混合物自体の「耐流動性(硬さ)不足」にあります。
- 摩耗型(まもうがた)わだち掘れ:主に積雪寒冷地において、冬場にスタッドレスタイヤやスパイクタイヤ、タイヤチェーンを巻いた車が走ることで、アスファルトの表面がガリガリと物理的に削り取られて溝になる現象です。
ひび割れ(クラック)の種類と原因
- 亀甲状(ワニの甲羅状)ひび割れ:路面に網の目のように細かく広がるひび割れです。これは表層だけの問題ではなく、下の路盤や路床の支持力が不足している(軟弱化している)ために、車が通るたびに舗装全体が大きくたわみ、舗装の底面から疲労破壊が始まって表面まで裂けてきたサインです。この状態の道路は、表面だけを直してもすぐに再発します。
演習問題
【問題】加熱アスファルト舗装の路面破損とその原因に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
- 夏季の高温時において、大型車の交通量が多い路線で発生しやすいわだち掘れは、主にアスファルト混合物の塑性流動が原因である。
- 積雪寒冷地域において、冬期にタイヤチェーン等によって路面が物理的に削り取られて発生する溝は、摩耗型わだち掘れに分類される。
- 路面に発生する網目状(亀甲状)の激しいひび割れは、一般にアスファルト混合物の初期の最高硬化温度が高すぎたことのみが原因である。
- 路床や路盤の支持力が不均一であったり低下したりしていると、交通荷重によって舗装全体が沈下し、構造的な破損を引き起こす。
【解答】3
【解説】
1. 適当。夏場のわだち掘れはアスファルトの流動(横流れ)が主原因です。
2. 適当。物理的に削れるものは摩耗型です。
3. 不適当。路面に発生する激しい網目状(亀甲状)のひび割れは、アスファルトの温度管理不足ではなく、「路盤や路床の支持力不足(軟弱化)」による舗装の構造的疲労破壊が主原因です。土台が動くため、上が耐えきれずにバキバキに割れてしまいます。
4. 適当。土台の不備は舗装全体の沈下に直結します。
【路面性状調査(平坦性、ひび割れ率、わだち掘れ量測定)】1級舗装施工技術者・2級舗装施工技術者 一般試験過去問のわかりやすい覚え方
現場の感覚では「道路の凸凹を測るのだから、縦でも横でも斜めでも、測定器のセンサーが感知しやすい向きで適当にスキャンすれば同じ結果になる」と思いがちですが、検定試験では真逆の判断が正解になることがあります。ここを取り違えると確実に落とされるため注意が必要です。性状調査は、管理する項目によって「測定する向き(車線に平行か直角か)」が法律・仕様書で厳格に固定されています。

路面性状調査の3大指標と測定方向
- 平坦性(へいたんせい) ➔ 測定方向:車線中心線に「平行(縦方向)」
自動車の乗り心地(縦揺れ)を評価するための指標です。車が進む向きに合わせて、3mプロフィロメータなどの車輪を「縦(進行方向)」にゴロゴロと転がして測定します。 - わだち掘れ量 ➔ 測定方向:車線中心線に「直角(横断方向)」
タイヤの通り道がどれだけ凹んでいるかを評価する指標です。道路を「横断する方向(直角方向)」に定規やレーザーを当てて、最も深いへこみ量をミリメートル単位で測定します。 - ひび割れ率 ➔ 測定方法:面積(または延長)比率
一定区間の路面をカメラ等で撮影し、全画面の面積に対して、ひび割れが発生している面積(またはメッシュ数)が何%あるかを計算します。
※これら3つのデータを数式に代入して算出される、道路の総合的な修繕優先度指標をMCI(維持管理指数:Maintenance Control Index)と呼びます。
演習問題
【問題】道路の維持修繕における路面性状調査に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
- 平坦性の測定は、自動車の乗り心地を客観的に評価するため、車線中心線に平行な方向(縦方向)の凹凸を測定する。
- わだち掘れ量の測定は、タイヤの通過位置における路面の凹み量を把握するため、車線中心線に平行な方向(進行方向)の長さを直線的に測定する。
- ひび割れ率は、路面の一定区間内において、ひび割れが発生している面積や延長の割合を算出して表すものである。
- 路面性状調査の主要3項目(ひび割れ率、わだち掘れ量、平坦性)の測定データは、舗修繕計画を立てるためのMCI(維持管理指数)の算出に用いられる。
【解答】2
【解説】
1. 適当。乗り心地(平坦性)は進行方向(縦方向)に測ります。
2. 不適当。わだち掘れ量は、タイヤの跡の「へこみ深さ」を測るものであるため、車線中心線に平行ではなく、「車線中心線に直角な方向(横断方向・道路を横切る方向)」にプロファイルを測定しなければなりません。超頻出の入れ替え引っかけです。
3. 適当。ひび割れ率は面積比等の計算で求めます。
4. 適当。3項目からMCIを算出する正しい記述です。
【FWD(重錘落下型たわみ測定器)を用いた路盤の構造的評価】1級舗装施工技術者・2級舗装施工技術者 一般試験過去問のわかりやすい覚え方
【重要度:ランクB】
この単元は深追い不要。試験では“キーワード反応型”でOKです。次のポイント(おもりを落とす、壊さずに土台の強さがわかる)だけ覚えれば得点できます。道路の表面だけでなく、「見えない下の層(路盤や路床)」がどれくらい健全かを調べるための最新ハイテク機械がFWDです。

FWD試験のメカニズムと長所
FWD(Falling Weight Deflectometer)は、日本語で「重錘落下型たわみ測定器」と呼ばれます。
- 測定の方法:トラックの荷台などから、路面に設置した円盤(載荷板)に向けて、重い「おもり(重錘)」をドスンと自由落下させます。このとき、大型トラックが走った瞬間と同じ衝撃荷重が路面に加わります。その瞬間に、載荷板の中心から少しずつ離れた位置に並んでいる複数の高性能センサー(変位計)が、路面の「しなり(たわみ量)」をミクロン単位でキャッチします。
- 最大のメリット:「非破壊」で下層の強さがわかる
昔は路盤の強さを調べるために、道路を掘り返したりコアを何本も抜いたりして道路を傷つけていました。しかしFWDを使えば、舗装を一切破壊することなく(非破壊)、その場で数分で、路盤や路床の現在の「弾性係数(支持力の強さ)」を逆計算して評価することができます。
演習問題
【問題】舗装の構造的評価に用いられるFWD(重錘落下型たわみ測定器)に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
- FWDは、路面に設置した載荷板に重錘を自由落下させ、実際の大型車走行時に近い衝撃荷重を発生させる装置である。
- FWDによる測定は、路面の衝撃に対する「たわみ量」を複数のセンサーで同時に測定し、舗装全体の構造的な健全性を評価する。
- FWD試験の最大の利点は、舗装の一部をテストピットとして大きく掘削(破壊試験)することなく、非破壊で迅速に路盤や路床の支持力を推定できる点にある。
- FWDは、主にアスファルト表面の粗さ(すべり抵抗性)を精密な動的摩擦係数によって直接測定するために開発された重機である。
【解答】4
【解説】
1. 適当。おもり(重錘)を落として衝撃を与えるのがFWDの基本構造です。
2. 適当。センサーによるたわみ量の測定に関する正しい記述です。
3. 適当。道路を壊さない「非破壊迅速性」が最大のメリットです。
4. 不適当。FWDは、路面のすべり抵抗(表面のザラザラ度)を測る機械ではありません。「路盤や路床といった舗装の下の層の構造的な強さ(支持力)」を評価するための機械です。目的のすり替え記述を見破りましょう。
【切削オーバーレイ工法とパッチング・注入工法の選定基準】1級舗装施工技術者・2級舗装施工技術者 一般試験過去問のわかりやすい覚え方
【重要度:ランクS】
まずは根本の仕組みから丁寧に整理します。難しい用語を使わず、図解イメージで理解できるように分解すると、修繕工法を選ぶときの鉄則は「骨組み(路盤)が生きていれば表面だけの着替え(切削オーバーレイ)で済むが、骨組みから腐っていれば全部作り直さなければならない」という判断基準です。

破損規模と路盤の健全度による工法の選定
| 工法名 | 適応する破損状態 | 下地(路盤)の条件 | 特徴と目的 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| クラック注入工法 | 一本の線状のひび割れ(すきま) | 健全(異常なし) | ひび割れの中にゴムアスファルトなどのシール材を注入し、雨水が路盤に染み込んで土台を弱らせるのを防ぐ「予防保全」です。 | ||||||
| パッチング工法 | 局所的な穴(ポットホール)や段差 | 局所的な劣化のみ | 常温合材や加熱合材を部分的に穴に詰めてスコップや小型振動機で叩き固める、緊急の「応急処置」です。 | ||||||
| 切削(せっさく) | オーバーレイ工法 | 広範囲の激しいわだち掘れやひび割れ | 極めて健全 | (支持力に問題なし) | 路面切削機で傷んだアスファルト(表層・基層)を数センチだけ一律に削り取り、そこへ新設同様のアスコンを敷きならす工法。路盤がまだ十分に強いため、上側の服だけを着替えさせるというイメージです。 |
演習問題
【問題】アスファルト舗装の維持・修繕工法の選定に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
- クラック注入工法は、路盤が健全で、表層に発生した線状の比較的軽微なひび割れからの雨水浸入を防止する目的に適している。
- パッチング工法は、路面に発生した局所的なポットホールや段差に対して、混合物を充填して平坦性を一時的に回復させる応急的な工法である。
- 切削オーバーレイ工法は、路床や路盤などの下層まで構造的に完全に破壊され、舗装全体が深く沈下している道路の根本的な改修工法として最適である。
- 切削オーバーレイ工法を採用する前提条件として、既設舗装の路盤全体の支持力(健全度)が十分確保されている必要がある。
【解答】3
【解説】
1. 適当。水の侵入を防ぐ注入工法は予防保全として優秀です。
2. 適当。パッチングはあくまで穴埋めの応急処置です。
3. 不適当。切削オーバーレイ工法は、「路盤が健全であること」が絶対の前提条件です。路床や路盤といった土台から構造的にバキバキに崩壊している道路に対して、上のアスファルトだけを削って入れ替えても、数日でまた陥没してしまいます。その場合は、路盤から作り直す「打ち換え(打換え)工法」や「路上路盤再生工法」を選ばなければなりません。
4. 適当。記述の通り、路盤の支持力がある現場にのみ選定される工法です。
【路上表層再生工法・路上路盤再生工法の施工手順比較】1級舗装施工技術者・2級舗装施工技術者 一般試験過去問のわかりやすい覚え方
現場の感覚では「路上再生工法というのだから、道路の上で古い舗装をバリバリと重機で砕いて、セメントか何かを混ぜて綺麗にローラーで均せばどちらも同じエコ工法」と思いがちですが、検定試験では真逆の判断が正解になることがあります。ここを取り違えると確実に落とされるため注意が必要です。名前の中にある『表層』と『路盤』という主語の違いによって、削る深さも、材料を温めるかどうかの手順も完全に正反対になります。

路上表層再生工法(リペーブ・リミックス工法など)
名前の通り、道路の「表層(アスファルト混合物層)」だけをターゲットにしたリサイクル工法です。
既設のアスファルトは冷えたままだとガチガチで再利用しにくいため、施工手順として、まず巨大なガスバーナー(ロードヒータ)で「路面を熱々に加熱して柔らかく軟化」させてから、かき起こします。そこに、少量の再生用添加剤(新合材や乳剤)を現場の機械の中で混ぜ合わせ、冷めないうちにその場ですぐにフィニッシャ機能で敷きならしてローラーで締め固めます。
路上路盤再生工法
こちらは「下の路盤(砕石層)」まで一気に生まれ変わらせるダイナミックなリサイクル工法です。
施工手順として、加熱処理は一切行わず(常温のまま)、強力な回転刃を持つスタビライザ(路盤混合機)を用いて、古いアスファルト層をまるごと「下の既設路盤の砕石もろともゴリゴリに深く破砕・かき起こし」ます。
細かく砕いたアスファルトの殻と元の路盤の砂利が混ざったものに対して、セメントや石灰、アスファルト乳剤などの固化材を散布し、その場で攪拌して、ローラーでガチガチに締め固めることで、「新しい頑丈な路盤(土台)」を作り上げます。この上に、後から新しいアスファルト(表層)を施工します。
演習問題
【問題】路上再生工法に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
- 路上表層再生工法(リミックス方式等)は、既設のアスファルト路面を加熱・軟化させた後にかき起こし、必要に応じて新合材や添加剤を混合して敷きならす工法である。
- 路上路盤再生工法は、既設のアスファルト層と既設の路盤層を同時に常温で破砕・混合し、セメント等の安定材を添加して新たな路盤層を構築する工法である。
- 路上路盤再生工法においては、古いアスファルト混合物を再利用しやすくするため、施工前にロードヒータを用いて路面全体をあらかじめ高温に加熱しておかなければならない。
- 路上再生工法は、既設舗装の材料を現場内でそのまま100%近くリサイクルできるため、廃材の搬出量や新材料の搬入量を大幅に削減でき、環境負荷が低い。
【解答】3
【解説】
1. 適当。表層再生は「加熱・軟化」がかき起こしの必須条件です。
2. 適当。路盤再生は「アスコン+路盤」を「常温で同時に破砕」する正しい説明です。
3. 不適当。ロードヒータで路面を加熱・軟化させてから施工するのは「路上『表層』再生工法」の手順です。路上『路盤』再生工法では、下の砂利まで深く削り取るため加熱は不可能であり、「常温のまま強力なスタビライザで一気に破砕」します。工法ごとの手順の混同を誘う定番引っかけです。
4. 適当。路上再生工法のエコな長所に関する正しい記述です。
まとめ
今回学んだ道路維持修繕・路面調査の最重要合格ポイントをおさらいしましょう!
- 夏のわだち掘れは「塑性流動」、ワニの甲羅状ひび割れは「路盤・路床の支持力不足」
- 路面性状調査の向きは、平坦性が「進行方向(縦)」、わだち掘れ量が「直角方向(横)」
- FWD(重錘落下型たわみ測定器)は、おもりを落として「非破壊で路盤の支持力を迅速評価」する機械
- 切削オーバーレイ工法を選定する絶対条件は「下層の路盤が健全(十分な強さがある)こと」
- 路上表層再生はアスファルトを「加熱軟化してかき起こす」、路上路盤再生は「下の路盤まで常温で同時破砕する」
修繕の分野は、機械の動きや破損の原因をしっかりと頭の中でビジュアル化(図解化)して理解しておけば、試験の選択肢に惑わされることは100%なくなります。これで維持修繕の単元はコンプリートです。本試験に向けて、自信を深めていってください!
