この記事では、木造建築の現場監督するのに必要な「木造建築物の組立て等作業主任者」という資格について解説していきたいと思います。
大工さんや宮大工など、木造建築に関わる現場では必須の資格になります。
木造建築といえば最近では、隈研吾さんが設計した木造の国立競技場が結構話題になりましたよね。
最近の建築業界は、木質化建築構造物がブームとなっています。
木造建築物の安全な組み立て:作業主任者の重要性とは?
木造建築物の組立て等作業主任者(もくぞうけんちくぶつのくみたてとうさぎょうしゅにんしゃ)は、労働安全衛生法に定められた作業主任者(国家資格)のひとつであり、木造建築物の組立て等作業主任者技能講習を修了した者の中から事業者により選任される。
また、主任者となるための技能講習を修了した者すなわち資格取得者のこと、あるいは資格そのものを指すこともある。
引用:ウィキペディア
つまり、木造建築物の組立て等作業主任者は技能講習を受けた方が作業主任者(作業リーダー)になれる資格、ということです。
この技能講習については後ほど解説していきたいと思います。
木造建築物の組み立て主任者に求められる条件と仕事内容
木造建築物の組立て等作業主任者を必要とする条件は以下の通りです。
- 軒高5メートル以上の木造建築物の構造部材の組立て
- 軒高5メートル以上の木造建築物の屋根下地、外壁下地の取付けの作業
つまり、軒高が5メートル以上の木造建築現場においては、木造建築物の組立て等作業主任者を事業者が選任しなければならないということです。
木造建築組立作業主任者の内容とは?
では、木造建築物の組立て等作業主任者の資格講習の概要を解説していきます。
受講する講習名は「木造建築物の組立て等作業主任者技能講習」となります。
作業主任者としての資格取得:木造建築物等の組立て
では、実際には木造建築物の組立て等作業主任者のお仕事はどういったことをするのでしょうか。
木造建築物の組み立て、取り付け
木造建築物の組立て等作業主任者は、当然その資格から木造建築物の組立て、取り付けといった作業を行います。
また、そうした作業だけではなく作業に必要な工具・器具の点検、使用状況にチェック・安全に施工するための作業監督など多岐に渡ります。
プロの道を目指すなら必須!木造建築組立作業主任者の受講資格
受講資格は以下の通りです。
満18歳以上であることを条件に以下の1・2のどちらかの条件を満たしている方は受講することができます。
- 木造建築物の構造部材の組立て等の作業に3年以上従事した経験を有する者
- 大学、高等専門学校、高等学校において土木又は建築に関する学科を専攻し卒業した者で、その後2年以上構造部材の組立て等の作業に従事した経験を有する者(※2.の対象者は卒業証書(写)又は卒業証明書を添付すること)
木造建築作業主任者講習の受講内容詳解
講習は2日間にで開催されて受講するようになります。
スケジュールに関しては、受講するときに必ず確認するようにしましょう。
受講内容は、以下の通りです。
- 木造建築物の構造部材の組み立て、屋根下地の取付等に関する知識(7時間)
- 工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識(3時間)
- 作業者に対する教育等に関する知識(1時間30分)
- 関係法令(1時間30分)
- 修了考査
最後の「修了考査」という修了試験で合格すると資格を取得することができます。
尚、作業従事者として働くことができるのは事業者が選任した場合に木造建築物の組立て等作業主任者として働くことができます。
では今後のこの作業資格はどうなんかもまとめていきたいと思います。
木造組立作業主任者が知るべき人気の「木質化ブーム」
先述したように、東京オリンピックの会場である隈研吾さんが設計した国立競技場以外にも、ここ最近の建築業界では様々な木造建築の設計に注目している企業が数多くあります。
竹中工務店の高層建築建築物の木造化計画
建築業界大手である竹中工務店では、高層建築物の木造化計画を推進する動きが注目されています。
この計画では、
- ゼロエネルギービル・カーボンニュートラル都市の実現
- 従来の森林サイクルの概念を含んだ、インフラ整備を通じて実現する森林資源と地域社会の持続可能な好循環「森林グランドサイクル」の実現
- 耐火集成材「燃エンウッド」の利用
- (燃エンウッド…燃え代層、燃え止まり層からなる耐火被覆層で1000℃の火災環境でも燃えないで、建物を支え続ける耐火集成材)
など、昨今のSDGs/ESG投資に対する企業活動の注目、中階層木造建築が世界的に注目されていることから参入している企業に対抗するべく、こうした計画が推進されているようです。
日本初の高層 純木造耐火:建築物の建設施工へ
株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、大林組グループの持続的な成長に向けた次世代型研修施設として、日本初かつ世界的にも類を見ない、構造部材(柱・梁・床・壁)すべてを木材とした、高層純木造耐火建築物の建設に着手しました。
引用:大林組、日本初の高層純木造耐火建築物の建設に着手
大林組では、独自開発された構造部材を使い、高層木造建築工事に着手したとの発表がありました。
といった施工方法で工事に着手するということです。
木材なのでどのように固定するのか?昔の大工みたいにホゾを切って継ぎ手をするのとは違うんですよ。
「金物を使わない剛接合仕口ユニット」とは?
昨今、中高層の建築物を完全木造にするには、梁や柱部分の接合部を高耐久・高耐力にしなければならないという課題があり、中高層の建築物を完全木造にすることは困難とされていきました。
しかし、この大林組が自社開発した「金物を使わない剛接合仕口ユニット」では、接合部分も木材を利用することを可能としました。
今後、このように木造建築の開発が進み、他社でも純木造建築が続々と着手されるようになればますます木造建築現場の注目度が高まることでしょう。
木造鳶が今後職種として出てくる?
そうした動きに合わせて、今回紹解説していく鉄骨鳶が木造鳶ということになっていくのかも知れませんね。
「木造建築物の組立て等作業主任者」という資格もますます需要が高まっていく資格になる可能性があるので是非取得しておくとよいのではないかと思います。
まとめ
今回は、木造建築物の組立て等作業主任者と今後の建築業界を合わせて解説していきました。
まとめますと、
- 木造建築物の組立て等作業主任者とは、労働安全衛生法に定められた作業主任者(国家資格)のひとつであり、木造建築物の組立て等作業主任者技能講習を修了した者の中から事業者により選任される
- 最近の建築業界は木質化がブーム
- 今後このブームが続くのであれば、木造建築物の組立て等作業主任者などの資格の需要が伸びるのでは?
- 木造建築物の組立て等作業主任者の資格を取得しておくとキャリアアップシステムでの評価が上がるなどメリットがある
ですね。
他の業界でも、カーボンニュートラルやSDGsといった再生可能エネルギー投資がぐんぐん伸びてきています。
そうした波に乗るためにも、建築業界もこうした動きにシフトチェンジしつつあるのではないでしょうか。
また、今回紹介した木造建築物の組立て等作業主任者は土木・とび職に関わる方であれば受講しておきたい資格といえます。
ただ、実務経験が伴いますが、是非受講資格がある人はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。