この記事では、石綿を取り扱う際の注意すべきことと、安全に解体するための対策を解説していきます。
石綿作業主任者技能講習と特別教育を受講して、石綿作業主任者としての資格を取得することが大切です。特別教育では、アスベスト(通称:石綿)に関するリスクや対策について学びます。
自らも安全を確保しつつ、作業従事者の安全を管理するために必要な知識を得ることができるんです。現場での安全管理に役立つ資格取得について、一緒に探っていきましょう。
石綿とは、1μm以下の極めて細い繊維の束でできており、1μm=0.001㎜になります。
例えば、女性髪の毛が0.08㎜とされているので、それよりも細い繊維でできているということです。
そのため、極めて細かい繊維のため、石綿が飛散して、吸い込んでしまう恐れ危険があります。
そこで、石綿の取り扱いに関してどのような問題があるのか、また、どういった対策をするべきなのか解説していきたいと思います。
「日本における石綿(アスベスト)取り扱い規制の経過」

そもそも石綿(アスベスト)の取り扱いが全面禁止なることを説明する前に把握して欲しい内容として2021年5月のニュースです。
菅義偉首相は18日午前、建設アスベスト(石綿)訴訟の原告団・弁護団と官邸で面会した。最高裁が国の賠償責任を認める判決を出したことを受け「首相として責任を痛感し、真摯に反省し、政府を代表して心よりおわび申し上げます」と謝罪。原告団の考えを十分尊重し「早急に和解に向けた基本合意を締結したい」と伝えた。被害者1人当たり最大1300万円の和解金を支払う統一和解案を含めた今後の対応に理解を得たい考えだ。
首相は「健康被害を受けた方々の長きにわたる負担や苦しみ、最愛の家族を失った悲しみは、察するに余りあり、言葉もない」とも述べた
引用:一般社団法人共同通信社
今、石綿(アスベスト)対策が問題となっているのか、政府が和解金をに対して表明している理由には、建設業の断熱材や屋根材等の建設材料として1970年から1990年にかけて多くの石綿が輸入されて使われていました。
平成17年の石綿製品製造工場の従業員や周辺住民に発症した、石綿が原因と考えられる健康障害に関する報道がきっかけとが石綿・アスベストが問題あるということが発端になりました。
ニュースなどで社会問題化されて、政府としても国家的な問題として他の類似訴訟裁判の増加や健康問題・障害が大きく取り上げられました。
労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(平成18年8月2日政令第257号)にてアスベストの全面禁止が大きく改定されています。
そこで石綿作業主任者技能講習と特別教育が誕生しています。
建築材料に潜む危険:石綿(アスベスト)の使用箇所
最初に、石綿(アスベスト)の取り扱いと危険性について解説していきます。
石綿(アスベスト)は、耐熱性、耐摩耗性等があり、建設建材等でさまざまな用途として使用されてきました。
- 建材としては、スレート材、床タイルや屋根材など、吹き付け材料など
- 防音材としても性能がよく、断熱材や保温材に始まり電気絶縁板など
- 煙突や地下埋没ケーブル保護管、臭気抜き、温泉の送湯管、排水管などに
そもそも石綿(アスベスト)の危険性は、繊維が空気中で、建材を解体したときや、はがした際に繊維が浮遊した状態にあるときが危険なのです。
その粉塵を吸い込むことで健康被害を及ぼしてしまうのです。
例えば、壁の下地のボードをはがした際に露出して吹き付け石綿(アスベスト)が使用されている場合、劣化等によりその繊維が飛散する恐れがあります。
また、屋根やボードの板状に固めたものは、天井裏・壁のボードの状態であれば繊維が舞うことは少ないですが、解体で破砕や粉砕する作業の際には粉塵として室内に繊維が飛散するので注意が必要です。
人体への悪影響:石綿(アスベスト)の深刻な問題

石綿(アスベスト)粉じんは、石綿(アスベスト)の繊維を吸引することに最も危険性があるのです。
石綿(アスベスト)が粒子の細かい粉じんのため、吸入すると肺胞まで達します。
肺に取り込まれるため危険で下記のような健康障害をあとから発症する可能性があります。
石綿(アスベスト)じん肺健康障害で起こる
石綿(アスベスト)を吸い込むことにより、発症するものとして肺が繊維化してしまうじん肺があります。
石綿(アスベスト)のばく露によっておきた肺繊維症を特に石綿肺と呼ばれて、石綿(アスベスト)粉じんを10年以上吸入した労働者に発症します。
発症すると、その作業の従事しなくなって仕事を辞めても、潜伏期間は15~20年後に進行し、あとから健康障害を引き起こします。
石綿(アスベスト)健康障害で起こる肺がん
石綿(アスベスト)が肺細胞に取りこまれた場合、繊維の主に対して物理的刺激により肺がんが発生しやすくなります。
このリスクは、長く仕事に従事し、ばく露量が多いほど肺がんの発生が高くなります。
石綿(アスベスト)健康障害で起こる悪性中皮腫
肺や肝臓や胃などの臓器を囲む腹膜、心臓及び大血管にできる悪性の腫瘍も吸引によって発症します。
こうした石綿(アスベスト)による健康被害は、石綿を扱ってから年齢を重ねて年月が経過してから発病することが多いです。
技能講習 石綿作業主任者の仕事に迫る:役割や責務の詳細

作業に従事する労働者の指揮、関係装置の月例点検および保護具の使用状況の監視を行わせることです。
特に重要なのが、作業に従事する労働者が特定石綿等の粉じんにより汚染され、又はこれらを吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮すること。
他にも、
- 局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置その他労働者が健康障害を受けることを予防するための装置を1月を超えない期間ごとに点検すること
- 保護具の使用状況を監視すること
が職務として挙げられます。
そのため、作業に従事する労働者や石綿作業責任者は石綿のリスクと戦いながら作業をしているということです。
技能講習石綿作業主任者の受験要件は?
*ただし業務につけるのは18歳以上となります
石綿作業主任者講習科目の概要と指針
- 健康障害及びその予防に関する知識、石綿による健康障害の病理、症状、予防方法及び健康管理(2時間)
- 関係法令(2時間)
- 石綿作業環境の改善方法に関する知識。建築物等の解体における石綿の粉じん発生抑制。
- 石綿等の性質及び使用状況。(4時間)
- 保護具に関する知識(2時間)
石綿作業主任者技能講習は2日間の講習で、安全管理や現場指導に必要な技術や知識を学ぶことができます。修了試験に合格すれば、修了証が発行され、石綿作業主任者としての職務に就くことができます。
安全な作業環境を守りながら、現場での指導や安全管理を担うことができる貴重な資格です。
技能講習を取得するメリット

自分の成長過程で作業資格や技能講習を受けた後は、「取得した資格に見合った仕事を行う」「日常業務で活かす」「他者への指導・支援」など意識的な行動が求められます。しっかりと目標を設定し、効果的にスキルアップへつなげていくことが肝要ですね自身のスキルアップは単なるキャリア形成だけでなく、個人や企業全体の競争力向上に欠かせない要素です。作業資格や技能講習を通じて身につけたスキルは、将来へつながる投資でもあります。私も様々な作業主任者や重機関連の資格を取りましたがこれは今、役に立ってますね今後取得するならこういう資格を目指すのもいいですね。
業種別職人から施工管理へ現場で役立つ資格をまとめ
私も施工管理になる前は現場職人でした。土木系なのでやはり土木施工管理技士を取得しましたね。良ければチェックしてみてください
土木系 | 土木施工管理技士 | ||
建築系 | 建築施工管理技士 | 建築士 | |
電気系・設備系 | 管工事施工管理技士 | 電気施工管理技士 | 電気通信施工管理技士 |
給水装置工事主任技術者 | 2級ボイラー技士 | 消防設備士四類 |
この記事にまとめている技能講習一覧
技能講習一覧をまとめたこの記事についてご紹介いたします。技能講習は、労働現場において特定の作業を行う際に必要なスキルや知識を習得するための重要な取り組みであり、安全性と生産性の向上に貢献します。この一覧には、様々な職種における技能講習が含まれており、それぞれの分野で必要とされるスキルや手法を網羅しています。まず、建設業界における高所作業や重機操作などの技能講習が挙げられます。これらの講習は、安全意識を高め労働災害を防止することを目的としています。また、製造業ではフォークリフト操作や化学物質取り扱いなど、特定の作業に必要な技術や扱い方を身につけるための講習があります。
技能講習 早見表 | |
木材加工用機械 | フォークリフト |
プレス機械 | 不整地運搬車 |
乾燥設備 | 高所作業車 |
コンクリート破碎器 | ショベルローダー |
地山の掘削 | 小型移動式クレーン |
地山の掘削および土止め | 床上操作式クレーン |
土止め支保工 | 車両系(解体用) |
ずい道(掘削) | 車両系(基礎工事) |
ずい道(覆工) | 車両系(整地) |
採石 | 玉掛け |
はい作業 | ボイラー取扱 |
船内荷役 | ボイラー据付け |
型枠支保工 | 鋼橋架設 |
コンクリート解体 | コンクリート橋架設 |
足場組立て | 鉄骨組立て |
鉛 | 木造建築物組立て |
特定化学物質 | 酸素欠乏・硫化水素 |
四アルキル鉛 | 酸素欠乏 |
特定化学物質および四アルキル鉛 | 普通圧力 |
有機溶剤 | 化学圧力 |
ガス溶接 | 石綿 |
オンデマンドで受講が出来る特別教育・安全教育はこちら
オンデマンド講習資格取得 | 講習の解説を詳しく説明 | オンデマンド講習資格取得 | 講習の解説を詳しく説明 |
職長安全衛生教育 | 解説! | 低圧電気取扱者特別教育 | |
足場の組立等特別教育 | 解説! | 玉掛け特別教育 | 解説! |
フォークリフトの運転の業務に係る特別教育 | 解説 | チェーンソーによる伐木等特別教育 | 解説! |
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振動工具取扱作業者安全衛生教育 | 解説! | 自由研削といしの取替え等業務特別教育 | 解説! |
フルハーネス型墜落制止用器具特別教育 | 解説! | コンクリートポンプ車特別教育 | 解説! |
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アスベスト(石綿)関連作業で問題にならない知識定期健康診断について

- 仕事を通じて石綿を扱っている方
- 解体工事やリフォームなどの仕事で扱う可能性、扱う労働者
は、労働安全衛生法で事業主に定期健康診断を実施する義務が定められています。
石綿(アスベスト)を吸うことにより発生して病気になった場合、労働基準監督署の認定を受け、業務上疾病とされると、労災保険で治療することができます。
健康診断は雇入れ時、又は石綿を取り扱いする業務への配置する時などに実施して、その後6ヶ月以内ごとに1回定期に実施することが必要となります。
一次健康診断の結果、医師が必要と認めた場合には、二次健康診断の実施が必要です。
二次健康診断の項目に対して、事業者は、健康診断(定期のものに限る)を行った場合は、遅滞なく、石綿健康診断結果報告書(様式第3号)を所轄の労働基準監督署長に提出しなければなりません。
また、石綿健康診断の結果に基づき石綿健康診断個人票(様式第2号)を作成し、40年間保存しなければなりません。
では次に石綿(アスベスト)作業のための作業主任者の資格取得方法は?その仕事内容など次にまとめていきたいと思いますので次のページで是非チェックしてみてください。
石綿作業資格取得への近道!特別教育講習解説

理由としましては、過去に多くのアスベスト建材が使われており、今はその老朽化に伴う建築物の改修・解体除去等で作業した際に粉塵を吸い込む可能性が高いからです。
そのため、全面禁止なのに石綿(アスベスト)取り扱いに関わる業務として講習が必要となるわけです。
講習で石綿の知識と健康障害について把握している作業主任者がいることで、改修リフォーム工事や建築物解体工事で適正み取り扱うことができるのです。
石綿作業主任者と特殊教育の違いについて知る
特別教育とは、安全衛生教育となります。
- 作業主任者とは:作業方法を決定し、労働者(特別教育修了者)を指揮する。
- 特別教育は、安全衛生教育になります。特別教育は、作業に対しての知識教育になります。
石綿作業主任者と石綿取扱作業従事者という言葉を聞いたことがありますか?これらは似ているようで異なる役割を果たす人々を指します。まず、石綿取扱作業従事者は、石綿を取り扱う現場で作業する人を指します。彼らは直接的に石綿に触れる可能性があるため、十分な教育や訓練を受ける必要があります。
一方、石綿作業主任者は、安全管理の責任を持つ上級のポジションです。彼らは従事者が安全に働くための方法を決定し、排気・換気設備の点検や保護具の使用監視などの重要なタスクを担当します。さらに、労働者への適切な指導や危険時の退避手順なども彼らの責務です。
石綿特別教育で学ぶ講習内容は
労働安全衛生法第59条第3項
事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。
(特別教育を必要とする業務)
労働安全衛生規則第36条第37号
石綿障害予防規則第4条第1項各号に掲げる作業に係る業務
石綿障害予防規則第4条第1項
1)石綿等が使用されている建築物、工作物又は船舶の解体等の作業
2)石綿障害予防規則第10条第1項の規定による石綿等の封じ込め又は囲い込みの作業
石綿特別教育の受講時間内容とカリキュラムは?
石綿障害予防規則第27条第1項(特別の教育)
事業者は、第4条第1項各号に掲げる作業に係る業務に労働者を就かせるときは、当該労働者に対し、次の科目について、当該業務に関する衛生のための特別の教育を行わなければならない。
- 石綿の有害性
- 石綿等の使用状況
- 石綿等の粉じんの発散を抑制するための措置
- 保護具の使用方法
- 前各号に掲げるもののほか、石綿等のばく露の防止に関し必要な事項
石綿使用建築物等解体等業務特別教育規程
- 石綿の有害性(0.5時間)
- 石綿等の使用状況(1時間)
- 石綿等の粉じんの発散を抑制するための措置(1時間)
- 保護具の使用方法(1時間)
- その他石綿等のばく露の防止に関し必要な事項(1時間)
学科教育により全4時間30分実施
石綿特別教育は安くてすぐに取得可能
どうせ、日程も決まって受講しないとならないでしょ? 元請けからも明日までに受講とか言われる事もあるし・
実は大丈夫です!
石綿特別教育特別教育(学科)では、受講者の学習がしっかりと動画で行われたことを確認するため、事業者は監視員を配置する必要がありません(労働局の認可を受けています)。
また、自宅や通勤中など勤務先以外でも、24時間いつでもWEB受講が可能です。
まとめ
石綿作業主任者の資格を手に入れよう!石綿作業主任者技能講習と特別教育の内容や取得方法を詳しく解説しました。石綿は健康に危険な要素が含まれているため、専門的な知識と訓練が不可欠です。
石綿作業主任者技能講習では、2日間(11時間)で必要なスキルを学び、終了試験に合格すれば資格取得可能です。危険回避方法や保護具の使用方法などが重要なトピックです。 特別教育も重要であり、アスベストを扱う場面で安全管理を担当する役割を果たします。
安全管理や現場指導が求められるため、特別教育の受講が必須です。両講座を受講することで、現場で安全管理や指導を担当する準備が整います。石綿作業主任者としての資格取得に向けて、しっかりと準備をして安全な作業環境を築きましょう!