様々な面から注目される林業、なかでも重要となる「林業架線作業主任者」について仕事内容から資格まで分かりやすく解説していきます。
一方で林業に携わる就労者が減少傾向であることも現実問題として取り上げられています。
近年、世界的に木材価格が高騰してきたことが日本でも影響を及ぼしているニュースが取り上げられました。
林業とは?架線作業主任者の活躍する場面
皆さんは、「林業」という仕事を思い浮かべるとしたらどんなことを想像しますか?
チェーンソーで松や杉の木などを切るイメージがあるのではないかなと思います。
林業とは、皆さんのイメージの通り杉や松といった木を伐採し、伐採した木を加工場などに運搬する(運材)といった仕事をする職業です。
こうした林業に関わる業務の責任を担うのが「林業架線作業主任者」という方です。
林業架線作業主任者とは、労働安全衛生法に基づく作業主任者の一つです。
機械集材装置若しくは運材索道の組立て、解体、変更若しくは修理の作業又はこれらの設備による集材若しくは運材の作業を行う場合は、林業架線作業主任者免許を受けた者のうちから、作業主任者を選任しなければなりません。
この「林業架線作業主任者」になるための方法や資格取得について後ほど解説していきます。
林業架線作業主任者に必須の林業機械に関する情報
林業の仕事に一つである「運材」について解説していきます。
チェーンソーで伐採した木材を運びだすためにも様々な資格を有します。
国の指針において、
平成26年6月1日から、伐木等機械、走行集材機械、架線集材機械(以下「車両系木材伐出機械」という)、簡易架線集材装置は、労働安全衛生法令(安衛法令)上の木材伐出機械等として、新たに規制の対象となりました。
厚生労働省「車両系木材伐出機械安衛則等改正ハ゜ンフレット」
これまでは、木材伐出機械等のうち、機械集材装置、運材索道について安衛法令が適用されていましたが、車両系木材伐出機械による休業4日以上の死傷災害が増加傾向にあり、死亡災害など重篤な災害の割合が高くなっていることから、新たに規制の対象としました。
と、定められています。
つまり、チェーンソーだけでなく木材の運搬に関わる機械に対しても安全教育をしたり、資格を有しなければならないということです。
例えば、フォワダーで資材を運ばなければいけないときは、キャリアダンプの操作ができる「不整地運搬車」の技能講習(特別教育)など講習終了を有する必要があります。
※下の記事では「不整地運搬車」の技能講習について解説しているので参考にしてみてください。
この記事ではキャリアダンプと言われる重機を運転できる不整地運搬車の技能講習について説明していきたいと思いますキャリアダンプってあまり見たことがないけどどんな車なんだろう?と、名前からではどんな車なのかよくわからないですよね[…]
また、ユンボやパワーショベル(バックホー)の運転をする場合は、「車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)」の資格を有しなければ操作をすることができません。解体機械でハサミみたいになっている解体用のアタッチメントを使うなら車両系建設機械の解体になりますよね。
※下の記事では、「車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)」の技能講習について解説していますので合わせて読んでみてください。
この記事では、車輌系建設機械の種類や技能講習を取得する方法について解説していきたいと思います。また、ユンボやパワーショベルなどの車両の用途などについても合わせて解説していきたいと思います。一度は乗ってみたい車だけど、どんな[…]
と、こうした運搬などに関わる機械は
「走行集機械」の特別教育と合わせて技能講習(車両系、不整地、クレーンなど)を受講・取得しなければならないという規則が定められているということです。
林業現場で活躍する高性能機械「フェラーバンチャー」とは?
先述したようにチェーンソーでの伐採作業は危険が伴うことを解説しました。
しかし、現場によってはチェーンソーでは伐採することができない危険な現場でやらなければならないこともあります。
高効率伐倒作業: フェラーバンチャーの重要性
そこで伐採した木材を伐採し、運搬してくれる自走式機械を「フェラーバンチャー」と呼びます。
このような安全性・作業効率性・作業者の身体負担を軽減することを前提とした機械のことを総称して「高性能林業機械」と呼ばれています。
高性能林業機械には、フォワダー、フェラーバンチャー、ハーベスタ、プロセッサ、スキッダ、タワーヤーダ、スイングヤーダの7機種を指します。
高性能林業機械を操作するには特別教育とプラスα技能講習が必要となります。
「伐木等機械」の特別教育と合わせて技能講習(車両系、不整地、クレーンなど)を受講・取得しなければならないという規則が定められているということです。
高性能林業機械運転に不可欠な資格とは?
重機を取り扱うのみであれば、大型免許など取得していれば運転ができますが、作業として扱うのであればそれだけでは仕事をすることはできません。
先述したように高性能林業機械もユンボやパワーショベルを扱うように
【林業に関わる特別教育】+【αの技能講習】
(車両系、不整地、クレーンなど)を受講・取得しなければならないという規則が定められているということには変わりありません。
高性能林業機械の運転資格取得に関する情報
は資格として有しておくと良いでしょう。(リンク先を押すと詳しい内容が分かります)
スイングヤーダー等の技術向上を目指す林業機械講習
木材を集めるときに機械が入らない場所は、森の中だからありますよね。大きなクレーンも入らないので切り出した木材を人力で担いで運搬とも行きませんよね。その為、ワイヤーロープとウィンチを使って木材を吊りだして運搬して行きます。
このようにスイングヤーダとからタワー・タワーヤーダーを架設する知識が必要になります。
林業に必須の特別教育:3つのポイント
- 走行集機械(フォワーダ・集材車・集材用トラクターなど)
- 伐木等機械(プロセッサ・ハーベスタ・フェラーバンチャー・グラップルソー・集積用ラップル)
- 簡易下線集装置の運転または下線集材機械の運転業務(スイングヤーダー・タワーヤーダー・木寄せウインチ)
は受講しておくと良いでしょう。
それぞれ、特別教育について解説していきます。
その①「走行集機械」の特別教育
走行集材機械に関する知識、走行集材機械の走行及び作業に関する装置の行動及び取り扱いの方法に関する知識などの学科講習を計6時間行います。
その後、走行集材機械の走行操作、走行集材機械の作業のための装置操作などの実技を計6時間受講します。
その②「伐木等機械」の特別教育
、伐木機械に関する機械、伐木機械の走行及び作業に関する装置の構造及び取り扱いの方法に関する知識、伐木機械の作業に関する知識などの学科を計6時間行います。
その後、伐木機械の走行の操作、伐木機械の作業のための装置の操作などの実技を計6時間受講します。
その③「簡易下線集装置の運転または下線集材機械の運転業務」の特別教育
簡易架線集材装置の集材機及び架線集材機械に関する知識、架線集材機械の走行及び作業に関する装置の構造及び取り扱いの方法に関する知識などの学科を計6時間行います。
その後、架線集材機械の走行操作、簡易架線集材装置の集材機の運転及び架線集材機械の作業のための装置の操作、ワイヤーロープの取り扱いなどの実技を計8時間受講します。
この3つは運転するにあたり必要になってきます
林業架線作業主任者認定を目指すための受講情報
では、林業架線作業主任者の免許を取得する方法を解説していきます。
免許を取得するための受験資格は不要なので、誰でも受験をすることができます。
林業支援の重要な存在:林業架線作業主任者資格概要
試験科目 出題数 試験時間内容
機械集材装置及び運材索道に関する知識 10問 3時間(科目免除者は2時間15分)
林業架線作業に関する知識 10問
関係法令 10問
林業架線作業に必要な力学に関する知識 10問
※専攻科目等により一部科目免除を受けられる場合があります。
受験資格(林業架線作業主任者)
試験は、厚生労働大臣の指定を受け、免許試験などを実施している公益財団法人安全衛生技術試験協会が行います。
林業架線作業主任者の交付
試験合格者は、林業架線作業の業務に3年以上従事した経験を有することを証する書類を添付し、都道府県労働局長に免許申請することで、労働安全衛生法による免許証を受けることができます。
まとめ
今回は、林業架線作業主任者と林業機械について解説していきました。
まとめますと、
- 林業架線作業主任者とは、労働安全衛生法に基づく作業主任者の一つ
- 機械集材装置若しくは運材索道の組立て、解体、変更若しくは修理の作業又はこれらの設備による集材若しくは運材の作業を行う際の作業主任者となる
- 林業機械・高性能林業機械を扱うのなら運転技能講習+特別教育を受講する規則がある
- 安全性・作業効率性・身体負担軽減を目的とした高性能林業機械なども扱う
- 林業架線作業主任者免許受験資格はなく、誰でも受けられる
- ただし、免許交付の際は林業架線作業に3年以上従事したことを証明しなければならないので、未経験では受験できない
ですね。
世界的な木材高騰に伴い、ますます林業という仕事が注目されてきています。
この記事で、身近に携わっていて意外と知らない林業という仕事内容に注目してみてもよいのではないかと思います。