この記事では、高気圧障害と建設工事におけるニューマチックケーソン工事の内容とそここに関わる健康障害を防止するための特別教育と作業主任者をまとめていきます。
高圧室内作業主任者の資格取得は、高圧環境下での安全な作業を保証するための重要なステップです。高圧室内業務特別教育や技能講習を通じて習得される知識やスキルは、作業現場における安全性を向上させるだけでなく、作業効率や品質にも直結します。
さらに、定期的な再登録試験を受験することで、常に最新の知識や規制に即した作業を行うための体制が整えられています。高圧室内作業主任者としての資格は、高い専門性と責任を要する重要な資格であり、その取得は現場での作業安全を担保する上で欠かせません。
高気圧特別教育と高気圧作業主任者免許の必要性

高気圧障害の謎解き:症状と予防のポイント
高気圧障害:原因と予防とは?高い山に上ったときなども気圧の変化で健康に悪影響が出ることもありますよね。
例えば、飛行機に乗ると耳や鼻の詰まった感じの状態を指します。
また、海に潜る人やダイバーの人などは体験しているのではないかと思います。
海で潜ると当然、水圧が掛かり、深く潜るほど強くなります。
海女さんやダイバーなど素潜りなどされる人は高気圧障害は、以前は潜水病などど呼ばれていました。
高気圧障害における予防と対策
症状としては、耳や鼻のつまりぐらいで済むこともあれば、深くなればなるほど圧力で締め付けられるような感じになることもあります。
例えば魚の鯛を釣りで吊り上げたときに、海の中から急激に水面まで引っ張れるため肺(浮袋)が口から圧力で押し出されるように、人間も急激な気圧な変化になると肺や胃袋など押されて破裂する原因もあります。
世の中にそんな気圧の変化がかかる作業があるのかと思いますが、実はあります。
そのような工事を「潜函かん工法」、通称「ニューマッチクケーソン工事」という土木工事があります。
この工事は、橋の橋脚やトンネルの換気塔やシールドマシーンなどの発進立坑の施工などに該当します。
高圧環境での安全確保:高圧室内作業主任者資格の重要性とは?

この高圧室内作業主任者を指揮して現場をまとめて行くにはこの資格が必要になります作業主任者教育は免許になるので試験に合格しないとなりません。
高圧室内作業主任者免許を取得するためには、「高圧室内作業主任者試験」に合格する必要があります。この試験は年齢や学歴、職歴に関わらず誰でも受験可能ですが、免許申請時には2年以上の高圧室内業務経験が必要とされます。この経験を積むことで、実務レベルでの知識や技術を習得し、安全管理の観点から換気装置や減圧機器などの適切な使用方法を理解できるようになります。
高圧室内作業主任者免許の取得方法
高圧室内作業主任者は事業所ごとでなく作業室ごとに高圧室内作業主任者を選任することが必要です。
高圧室内作業主任者とは、さきほどのニューマッチクケーソンを行う場合に高圧工での事故防止のために、点検・確認作業を行う作業責任者になります。
高圧室内作業は、記載してきたように気圧の変化によってさまざまな事故を引き起す可能性がありますので主な作業主任者の特に重要な内容としては
- 有毒ガスや炭酸ガスなどの濃度を測定し有害物質の有無を確認し
- 整備に不備がないか点検
試験合格者は、高圧室内業務に2年以上従事した経験を有することを証する書類を添付し、都道府県労働局長に免許申請することで、労働安全衛生法による免許証を受けることができます。
ただ、免許取得の為に対策講習があります。別途試験に合格をしないとならないのが、この作業主任者の特徴です。
試験科目と出題数(配点) 試験時間としては
- 圧気工法 10問(30点の配分)
- 送気及び排気 10問(25点の配分)
- 高気圧障害 10問(25点の配分)
- 係法令 10問(20点の配分)
高圧室内作業主任者免許を取得することは、高圧環境での安全確保に欠かせない重要な要素です。この資格を持つことは、高圧室内作業の指揮を執り、現場を安全かつ効果的に運営するために不可欠です。
高圧室内作業主任者試験に合格し、2年以上の高圧室内業務経験を積むことで、実務に必要な知識や技術を身に付けることができます。換気装置や減圧機器の適切な使用方法など、安全管理の観点から重要なスキルを習得することができます。
技能講習を取得するメリット

自分の成長過程で作業資格や技能講習を受けた後は、「取得した資格に見合った仕事を行う」「日常業務で活かす」「他者への指導・支援」など意識的な行動が求められます。しっかりと目標を設定し、効果的にスキルアップへつなげていくことが肝要ですね自身のスキルアップは単なるキャリア形成だけでなく、個人や企業全体の競争力向上に欠かせない要素です。作業資格や技能講習を通じて身につけたスキルは、将来へつながる投資でもあります。私も様々な作業主任者や重機関連の資格を取りましたがこれは今、役に立ってますね今後取得するならこういう資格を目指すのもいいですね。
業種別職人から施工管理へ現場で役立つ資格をまとめ
私も施工管理になる前は現場職人でした。土木系なのでやはり土木施工管理技士を取得しましたね。良ければチェックしてみてください
土木系 | 土木施工管理技士 | ||
建築系 | 建築施工管理技士 | 建築士 | |
電気系・設備系 | 管工事施工管理技士 | 電気施工管理技士 | 電気通信施工管理技士 |
給水装置工事主任技術者 | 2級ボイラー技士 | 消防設備士四類 |
この記事にまとめている技能講習一覧
技能講習一覧をまとめたこの記事についてご紹介いたします。技能講習は、労働現場において特定の作業を行う際に必要なスキルや知識を習得するための重要な取り組みであり、安全性と生産性の向上に貢献します。この一覧には、様々な職種における技能講習が含まれており、それぞれの分野で必要とされるスキルや手法を網羅しています。まず、建設業界における高所作業や重機操作などの技能講習が挙げられます。これらの講習は、安全意識を高め労働災害を防止することを目的としています。また、製造業ではフォークリフト操作や化学物質取り扱いなど、特定の作業に必要な技術や扱い方を身につけるための講習があります。
技能講習 早見表 | |
木材加工用機械 | フォークリフト |
プレス機械 | 不整地運搬車 |
乾燥設備 | 高所作業車 |
コンクリート破碎器 | ショベルローダー |
地山の掘削 | 小型移動式クレーン |
地山の掘削および土止め | 床上操作式クレーン |
土止め支保工 | 車両系(解体用) |
ずい道(掘削) | 車両系(基礎工事) |
ずい道(覆工) | 車両系(整地) |
採石 | 玉掛け |
はい作業 | ボイラー取扱 |
船内荷役 | ボイラー据付け |
型枠支保工 | 鋼橋架設 |
コンクリート解体 | コンクリート橋架設 |
足場組立て | 鉄骨組立て |
鉛 | 木造建築物組立て |
特定化学物質 | 酸素欠乏・硫化水素 |
四アルキル鉛 | 酸素欠乏 |
特定化学物質および四アルキル鉛 | 普通圧力 |
有機溶剤 | 化学圧力 |
ガス溶接 | 石綿 |
オンデマンドで受講が出来る特別教育・安全教育はこちら
オンデマンド講習資格取得 | 講習の解説を詳しく説明 | オンデマンド講習資格取得 | 講習の解説を詳しく説明 |
職長安全衛生教育 | 解説! | 低圧電気取扱者特別教育 | |
足場の組立等特別教育 | 解説! | 玉掛け特別教育 | 解説! |
フォークリフトの運転の業務に係る特別教育 | 解説 | チェーンソーによる伐木等特別教育 | 解説! |
![]() ![]() | |||
振動工具取扱作業者安全衛生教育 | 解説! | 自由研削といしの取替え等業務特別教育 | 解説! |
フルハーネス型墜落制止用器具特別教育 | 解説! | コンクリートポンプ車特別教育 | 解説! |
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ニューマチィックケーソン工法がもたらす身体的影響

ニューマチックケーソン工法(Pneumatic caisson method)とはどのような工事なのでしょうか。
「pneumatic」は「空気の」という意味で、「caisson」は「函(はこ)」を示しています。
まず地上で、鉄筋コンクリート製の函(躯体)を構築し、躯体下部に気密な作業室を設けます。
この地下の躯体で作った部屋に地下水圧と同等の圧縮空気を送り込むことにより、地下水の浸入ぐことができます。
そして掘削、残土搬出を行いながら、その躯体を地中に沈めていきます。
こんな感じで掘っては上を作り、建物の大きさの重さで沈下させていき、橋梁や建物の基礎などを作ります。
ニューマチックケーソン工法の特徴の一つは、掘削作業を行う際に常に乾燥状態を保つことができる点です。地下水や湿気の影響を受けずに作業が進められるため、地盤の安定性や施工品質の向上が期待されます。また、地下水を排除するため、土壌液化現象や地盤沈下などのリスクを軽減する効果もあります。
さらに、「無人ニューマチックケーソン工法」や「大深度ニューマチックケーソン工法」「小断面ニューマチックケーソン工法」など、さまざまなバリエーションが存在し、特定の条件に合わせてより効率的な施工が可能です。このような多様性があるため、プロジェクトの要件や環境条件に合わせて最適な工法を選定することが重要です。




従来の施工は、人間が地下に入って掘削している従来工法がありますが、今は無人化の地下遠隔操作でバックホーのアームだけの状態で遠隔操作で残土搬出していることが一般的です。
詳しい工法に関してはわかりやすいようにJRのリニアモーターカーの工事状況進捗でニューマッチクケーソンの施工方法が動画であるので見てください。
ではこの地下で掘削していくにあたり従来であれば人力掘削にて深くなる度に圧縮空気が挿入されていくので高気圧障害になりやすいということです。
もっとリニアについて知りたい人は『都市部のトンネル工事~リニア中央新幹線~』をみてください
JR東海 リニア中央新幹線の公式サイトです。リニア中央新幹線のルート・工事に関する情報や工事の工法、工事に伴う環境負荷低…
高気圧障害特別教育とはどのような内容?

この、作業(大気圧を超える気圧下の作業室又はシャフトの内部で行う作業に限る。)を行う場合は、高圧室内作業主任者を受けた者のうちから、作業主任者を選任しなければなりません。
高圧室内業務特別教育と高圧室内作業主任者と呼ばれる資格講習があります。
作業をするのに必要なのが高圧室内業務特別教育ですね。高圧室内業務特別教育を受講した人の作業を指揮監督をするのに必要なのが高圧室内作業主任者になります
高圧室内業務特別教育は、各講習機関で開催している高圧室内業務特別教育を修了することで取得できます。
安全衛生法で作業に従事する場合には特別教育を受講しないと作業出来ません。
高圧室内作業従事者のための特別教育とは?
高圧室内業務特別教育の修了するには講習時間は7時間で特別教育の受講が可能になります。
その内容としては以下のカリキュラムをすべて受講して正しい知識をつけることが重要です。
- 圧気工法の知識に関すること(1時間)
- 圧気工法の概要 圧気工法による業務の危険性
- 圧気工法に係る設備に関すること(1時間)
- 送気設備の種類及び機能 気閘(こう)室の機能 通話装置の取扱い方法
- 急激な圧力低下、火災等の防止に関すること(3時間)
- 急激な圧力低下による異常出水等の防止方法 火災等の防止方法 事故発生時の措置 保護具の使用方法
- 高気圧障害の知識に関すること(1時間)
- 高気圧障害の病理、症状及び予防方法
- 関係法令(1時間)
- 労働基準法、安衛法、施行令、安衛則及び高圧則中の関係条項
高気圧障害特別教育の修了には、講習時間7時間を通じて、圧気工法の知識や設備、急激な圧力の影響などについて学ぶ必要があります。これらのカリキュラムを修了することで、高気圧環境下での作業におけるリスクを理解し、適切な安全対策を講じる能力を身につけることができます。
高気圧環境下での作業に従事する際には、このような専門知識とスキルを身につけた作業主任者の存在が、作業現場の安全を確保する上で欠かせない要素となります。
まとめ
高圧室内作業主任者免許を取得することは、高圧環境における作業の安全性を確保し、適切な管理を行うために不可欠です。高圧室内業務特別教育を受講し、高圧室内での作業に関わる業務を遂行するための知識や技術を習得することが重要です。
修了後、高圧室内作業主任者免許を取得し、潜函工法や圧気工法による高気圧環境下での作業を行う資格を得ます。 高圧室内作業主任者は、各作業空間ごとに選任され、高気圧下での危険への対処能力や状況判断力が求められます。安全確保や正確な指示・コミュニケーション能力も欠かせません。
高圧室内作業はリスクが高く、専門的な知識と技能が不可欠です。免許取得者は、作業者の安全確保やリスク管理に貢献し、高気圧環境下での作業を適切に実施することが求められます。