この記事では、敷き鉄板や覆工板などの鋼材の質量をもとに、クレーンでの作業計画や玉掛け作業を安全に行うための方法をまとめています。
鋼材の質量を含めてクレーンの作業計画を作るにはどうやって考えればいいのかな?と考えるのは、より安全に玉掛け作業やクレーン操作をする上で重要なことです。
仮設工事で重仮設工事になる鋼材の敷き込みはキャタクレーンや移動式クレーンを使って施工することが多々現場ではあります。
もし、鋼材の質量を考えずにクレーン作業計画を立ててしまうと仮設桟橋や覆工板の施工などクレーンの転倒などといった重大な事故を引き起こす可能性があります
そこで、今回は鋼材の質量をもとに玉掛けクレーン作業について考えていきたいと思います。
このブログは他にもこのようなことがまとめてあります。合わせて気になる記事を確認してみてください。全体を確認するにはこちら
鋼材重量比重表・敷鉄板の重さは?
そもそも土木の現場や建築の現場では、仮設通路には敷き鉄板を敷きこむなど、鋼材をたくさん使う場面が多くあります。
ちなみに、実際に鉄板をオーダーする場合は尺で注文し、現場ではそのまま「尺」と呼んで注文します。
- 3×6 (さぶろくの鉄板)
- 4×8(しはちの鉄板)
- 5×10(ごっとの鉄板)
- 5×20(ごにじゅうの鉄板)
とそれぞれ呼ばれています。
そして、鉄板の鋼材重量は肉厚によって変わります。
敷き鉄板の重さとサイズ ごっと・ごにゅじゅうとは?
現場では鉄板や板状のもの大きさをこのように、尺でよびます。サブロク 2尺×6尺の表記になります
呼び方をこちらにまとめておきます
サイズ(mm×尺×尺) | mm | kg |
PL 19x3x6 | 914×1829(サブロク) | 249 |
PL 22x3x6 | 289 | |
PL 25x3x6 | 328 | |
PL 19x4x8 | 1219×2438(しはち) | 443 |
PL 22x4x8 | 513 | |
PL 25x4x8 | 583 | |
PL 19x5x10 | 1524×3048(ごっと) | 693 |
PL 22x5x10 | 802 | |
PL 25x5x10 | 911 | |
PL 22x5x20 | 1524×6096(ごにじゅう) | 1604 |
PL 25x5x20 | 1823 |
とこのような感じで尺によって質量が違います。
5×20:敷き鉄板をキャタクレーンで吊る計画
では、5×20の鉄板をキャタクレーンで吊るにはどのような計画を立てればいいのでしょうか。
確かに、重量は1.6トンほどありますし、長さもある鉄板なので実際に吊り上げられるのか分からないですよね。
ですが、ベテランの監督や職人さんは現場で経験してますから大丈夫ですよね。
ちなみに、キャタクレーンとはこのようなクレーンのタイプの事です。
作業半径と定格総荷重を考える
クレーン作業半径について
まず、このクレーンの作業半径揚程図を見ていきましょう。
ブームはMAX16.1mまで伸びるから
何か支障物をかわした高さとしても、角度18度ぐらいで地上高さ7mで作業半径は15mぐらいになるなあ…。
このようなクレーン作業の詳しい内容は下記のクレーン運転士学科試験から知ることができます。
また、今後クレーン運転士を目指すのであれば、こうしたテキストに目を通しておいてよいかと思いますので是非合わせてチェックしてみてください。
定格総荷重表は注意してチェックする
鉄板が、1.6tだから1段ブームでは吊って走って出来る。あれ?2本掛けの場合には定格荷重制限が違うって書いてありますね
あれ?鉄板吊りって1本吊りのフックが付いた短いワイヤーかチェーンで出来てる玉掛けワイヤーで施工してますよね。
メーカーのホームページカタログやホームページで1本吊りの場合の定格総荷重表がない!
カタログに記載無し取説には重要なことが
定格総荷重の1本掛けのバージョンは?まさかの結果が・・・
全て吊れない。本当に知らなかった。
今まで散々やっていたが、1.6tの鉄板は4.9tキャタクレーンで吊れない結果。。。
次は条件を変えて考えてみよう。
敷鉄板では結果は求めた結果ではなかったので素材を変えて再度検証していきたいと思いますので、次のページでチェックしてみてください。
覆工板吊り上げは定格総荷重を検討
移動式クレーン作業半径と定格総荷重
覆工板は4点吊りの条件になるので鋼材表と定格荷重を確認していきます。
一番重たい覆工版でFS1×3≒624キログラムですね
以上、表から算出した結果、
- 4.76mブーム 吊り上げは問題ない。
- 7.62mブーム 吊り上げは問題ない
- 10.5mブーム 自走で作業半径8.5m
- 13.3mブーム 静止で作業半径13m
- 16.2mブーム 静止で作業半径13m
ということが分かりました。
吊り具を考える必要がある玉掛け作業
ここで大事なのが【吊り具】と【フック】の重さも足すことを忘れてはいけません。
計算方法=【覆工板624Kg】+【吊り具10Kg】+【フック90kg】
つまり…
吊り荷の荷重は730Kgで見ると安心
という結果になりました。
実際にあった鉄板墜落労災事故
香川・坂出労働基準監督署は、工事現場内の立入禁止措置を講じなかったとして、香川県丸亀市内の河川改修工事現場に1次下請として入場していた㈲松村建設(香川県東かがわ市)と同社現場責任者を労働安全衛生法第20条(事業者の講ずべき措置等)違反の容疑で高松地検に書類送検した。平成30年1月、同社労働者が死亡する労働災害が発生している。
被災した労働者は、移動式クレーンで鉄板を吊り上げるために玉掛け作業に従事していた。クレーンが鉄板を持ち上げたところ、玉掛けに使用していたつりクランプが外れ、鉄板が同労働者に直撃している。
同社は、鉄板が落下する可能性のあった位置へ労働者が立ち入らないようにするための措置を講じていなかった疑い。
【平成30年6月18日送検】
労働新聞引用
玉掛けクレーン作業計画をしっかり立てなければ、このような重大な事故を引き起こす可能性があると考えると、日ごろに作業から意識して行わなければいけないということが分かるかと思います。
まとめ~クレーン作業と鋼材重量~
クレーン作業の定格総荷重と実際のクレーンの吊り上げ荷重の作業半径を読み取る内容ですが、これから新入社員の現場監督がきた際にも、大事なことになりますので是非教えてもらえればと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。