この記事では、道路舗装工事の施工方法と施工する際に気を付けたいポイントを現役現場監督の筆者が解説していきたいと思います。
皆さんは普段何気なく使用している道路がどのように作られているのか知っていますか?実は、道路舗装の工事は、土木では難易度が高い仕事です。そうした舗装工事を知ることは土木屋さんでも重要なところですね。
そこで、今回は舗装工事の方法と施工をする際に気を付けておきたいポイントを解説していきます。
舗装工事に知っておくべき知識と手順
舗装工事で技術がいるのは?レーキとプレート操作
レーキという道具は知っていますでしょうか?舗装工事ではレーキとプレートの扱い方で施工の技量が見えてきます。
舗装材は合材とか言われて、機械で施工もしますが細かい不陸調整の敷き均しはこのレーキ(トンボ)使用して敷き均します。端っこなど大きな機械で転圧出来ない箇所はプレートで細かく転圧していきます。その為、この2つの手順を扱ってる人が実は舗装で一番技量を持っているということですね
舗装工事 注意点① 舗装レーキ技術

レーキの引き方
- 合材をたくさん、刃先で押して敷き均ししようとする人(写真のような感じ)これはダメです。
- あくまで不陸敷き均しをするのがレーキで、舗装の砕石(粒)を転圧したときに引っかかる大きいモノを除去
- 一度、施工している舗装の敷き均し状況を目でみて全体の敷き均し厚さをみて
- レーキを押すのではなくて引いていく、最後に少し跳ね上げるようにすると砕石の大きな粒を跳ねる
- そこに細かい砕石レーキで引いて敷き均しをする
その際に、レーキにはアスファルトがまとわり付くので油(軽油)をブラシで塗りつけ、カワスキでレーキの刃先についた合材を都度取りながら施工するといいですね。
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舗装工事 注意点② 舗装 プレート やり方

舗装工事で次に大事なが、舗装プレートのかけ方
プレート稼働時はジョーロで水をまきながら施工します。私が仕事はじめたときは軽油をまいてました。油でプレートに合材がくっつかないからですね。それから薄ベニヤを600×600ぐらの四角で切って敷いて、そのうえからプレート叩いてました。
今は、常時油を使うことがアスファルト自体の分離を促進してしまうのではないかということで、水で転圧しますが、転圧の際にあまり機械に自分の体重をかけない、かけると轍が出来るので、継ぎ目の出ないように舗装が冷めないように手早く舗装転圧していきます。 轍が出る場合はおおきなベニヤで均等に転圧していきます
では、大型の道路などでの舗装の手順を説明していきたいと思います。
舗装工事の手順・作業ポイント
舗装工事は画像の路床から順番にミルフィーユのように積み重ねて行っていきます。
簡単に手順としては、以下の通りになります。
- 現場の測量
- 路床工事
- 路盤工事(下層)
- 路盤工事(上層)
- 基層工事
- 表層工事
では、それぞれ手順に分けて解説していきます。
現場の測量
施工を開始する前に、現場に赴き、設計図との相違性・現場情報を確認して施工する箇所をマーキングしていきます。
路床作り

道路の基面となる路床を作ります。
ブルドーザーもしくはモーターグレーダーで均し、ローラーで転圧するのが一般的です。
基本的には切土や盛土が行われた後からが路床工なのですが、場合によっては置換工法や安定処理工法で路床の強化をした後に、路床整形を行います。
路床工事の作業ポイント
路床工は、以下の点に注意して施工しましょう。
- 路床土を乱さないよう、必要以上の重機作業は避けましょう
- 路床の支持力が均一になるよう、軟弱盤、盛土部分等は入念に締め固めるか、改良するなどしましょう
- 路床整正後、作業車を通す場合は、下層路盤の一層目を仕上げてからにしましょう
路床の段階で部分的に軟弱な箇所があるのは、のちに致命的となる可能性があります。
しっかりとプルーフローリング試験を実施し、監督者自身の目で確かめましょう。
プルフローリング試験
荷重を掛けたダンプトラックなどを走行させ、目視で路床・路盤面の不良箇所を見つける試験です。
不良箇所を発見した場合、その部分を良質な材料と置き換える等の処置が必要なのかが分かります。
路盤づくり(下層)

通常、下層路盤(粒状路盤)にはクラッシャラン(C-40、RC-40等)が、上層路盤(粒度調整路盤)には粒度調整砕石(M-25等)が用いられます。
いずれも、砕石工場などで製造された材料をダンプトラックで搬入し、モーターグレーダーで敷き均し、ロードローラーおよびタイヤローラーで転圧するというのが、一般的な施工手順です。
路盤は、その上の基層・表層を支える基盤であるので、良く締め固めることが肝心です。
以下の点に注意して施工しましょう。
路盤づくり(下層)における作業ポイント
- 規定の締固め度を確保するために、最適含水比近傍で施工すること
- 弱点となりやすい縁端部や構造物近傍では特に入念に締め固めること
- 締め固めには2種類以上のローラーを併用する事が望ましい
- 表層の平坦性向上と材料の食い込み(無駄使い)低減のため平坦に仕上げること
路盤(上層)工事…アスファルト乳剤を散布する

上層路盤の表面に、アスファルト乳剤(PK-3)を1~2(L/m2)程度散布します。
散布には、アスファルトディストリビュータもしくはエンジンスプレーヤを用います。
プライムコートを行う目的は下記の通りです。
- 路盤表面の強化(路盤の破損や降雨による洗掘の防止)
- 雨水の浸透防止および路盤からの毛管水上昇遮断
- アスファルト混合物との接着性
こうしたコーティングを行うことでより道路の強度が増します。
基層工事
基層工事にはアスファルト混合物の敷き均しと締固めの作業がありますので、それぞれ解説していきます。
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アスファルト混合物の敷き均し

アスファルトフィニッシャーで、アスファルト混合物の敷き均しを行います。
敷き均し厚さは、余盛量15~20%を見込みます。
フィニッシャーはゆっくりと、しかしどんどん進んでいきます。
ポイント
ダンプの周りが悪く、混合物の供給が追いつかなくなる前に、施工速度を多少ダウンさせる事も覚えておきましょう。(合材を積んだダンプが常に1~2台待機している位が良いでしょう)
締固め
敷均しが終わったら、ローラーを用いて、継目、初期転圧、二次転圧、仕上げ転圧の順に締固めを行います。
ローラーは、施工方向に駆動輪を向けて作業をするのが基本です。
また、順序として、始めに目地部を転圧し、次に横断方向の低い方から高い方へ順次幅寄せしていきます。
敷き均しと締固めにおける作業のポイント
アスファルトの舗設は連続作業が基本です、途中で止めることは良くありません。
段取りが上手くできていなく、施工を中断してしまうような事になれば、出来形や品質の低下は免れません。
施工の当日までに、以下の準備を徹底しましょう。
- 混合物の種類、数量(台数)、到着時刻の再確認
- 施工機械、器具の配置 (ローラーやフィニッシャーの向きは急に変えられませんよ)
- 施工箇所の清掃、欠陥部分の手直し、舗装型枠(定規)などの設置
表層工事
いよいよ舗装工事のクライマックスになる表層工事です。
表層工事には、タックコートの散布及び打ち継目の作業を行います。
タックコートの散布
基層と表層、もしくは付帯構造物などとの付着を良くする目的で、タックコートを行います。
タックコートには、一般にアスファルト乳剤(PK-4)を0.3~0.6(L/m2)程度散布します。
タックコートやプライムコートのようなアスファルト乳剤のコーティングは、設計上、強度とは関係がありませんが、舗装道路の耐久性に大きく影響する事がわかっています。
作業方法は、基層と変わりありません。
作業上のポイント
打ち継目の作業は、混合物が熱いうちに締固めるようにしましょう。
ただし、道路の顔といえる表層に対しては、綺麗に仕上げる為の努力を惜しんではいけません。
これまでの下層の不陸を解消し、特に平坦に仕上げなければなりません。
天候にも留意し、雨が降り始めた場合は、敷き均した混合物を速やかに締固めて、早急に敷均し作業を中断しましょう。
表層で生じる打ち継目は、そのままの状態で残ります。
締固めが不十分だと、供用を開始してから継目部分がだんだん開いていってしまいます。
打ち継目の転圧作業
打ち継目の転圧は、最初に行いましょう。
また、打継目は、上下層の継目が重ならないようにすることが大事です。
さらに、車線を明示するペイントの横面に合わせるのが最も美しい仕上がりです。
そのため、基層を施工する前の段階で、センターラインの位置を、舗装型枠の設置者に教えなくてはなりません。
舗装工事は、基層や表層の転圧が終わり次第、交通を解放しなくてはならないケースも多いのものです。
しかし、施工したてで、交通解放温度が高いと、わだち掘れの原因となったり、舗装表面が荒れてしまうこともあります。
交通の解放は、おおむね50℃以下になってから行いましょう。
夏場などで、温度の降下が遅い場合などは、人為的に舗装体の温度を下げることも検討しましょう。
少し長くなりましたが次は、アスファルト工事で重要な品質管理を次にまとめてみました
舗装工事で必要なアスファルト工事で品質管理
舗装工事の品質管理は、合材の温度や粒度、または締固め度など、完成した道路を見る限りでは目に見えない事ばかりです。
しかし、これをしっかりやっていないと、供用開始した道路は、見る見るうちに劣化していき、穴だらけ、クレームだらけの道路になってしまいます。
合材の温度管理…アスファルト混合物が締め固まる最適の温度
路床工とくに合材の温度管理は重要です。
アスファルト混合物は温度によって締め固まる「最適の温度」があるのです。
時間が経つ毎にどんどん降下していく合材の温度をしっかりと管理し、施工スピードの変更や、アスファルト混合プラントへの電話(出荷温度を少し上げてくれ、等)をするのが監督の役目です。
出来ることならば、温度のグラフをリアルタイムで記入していき、品質の異常を早期に発見できるよう、努めましょう。
温度管理の目安は以下の通りです。(適正温度は、アスファルト混合物の種類や気象条件によって異なります)
1.敷均し時の温度・・・・・120~150℃
2.初期転圧時の温度・・・110~140℃
3.二次転圧時の温度・・・80~120℃
舗装工事にやるべき品質管理試験
舗装工事を行う際は、様々な品質管理試験を行いながら舗装工事を行っていきます。
代表的な試験内容は以下の通りです。
現場密度試験

路盤の締固め度を測定する試験です。
砂置換法というやり方が一般的となっています。
試験方法は、締め固めた路盤に穴を掘り、砂を入れて体積を調べることで、密度を計算します。
コア抜き
施工後の舗装を乱数表より無作為にコア抜きする試験です。
その後、試験室にて加熱・抽出し骨材の粒度やアスファルト量、締固め度を測定を行い、出来形として厚みも測るように試験を行います。
平坦性試験

品質管理というより、出来形管理に分類される試験になります。
表層の施工後のみ行われる、道路の平坦性を調べる試験となっており、3mプロフィルメーターと呼ばれるものを走行させて調査していきます。
今回は、道路を舗装する方法とその作業ポイントを解説していきました。
まとめ
まとめますと、
- 舗装工事で主流となっているのは、アスファルト舗装工事
- 舗装工事には資格は特に必要ないが、土木施工管理技士・車両系建設機械の資格は取得しておくべき
- そこでは舗装ではレーキプレートの使い方がポイントです
- 舗装には多くの作業手順がありその内容を把握しているといいですね
ですね。
この記事では、道路舗装工事の施工手順と施工のポイントについて解説してきました。舗装工事は土木の中でも難易度が高い仕事であり、その手順やポイントを知ることは重要です。舗装工事を行う際には、技術や注意点を押さえることが必要です。 記事では、舗装工事に必要な技術と手順について詳しく解説しました。
舗装工事では、レーキやプレートの操作が重要であり、正しい引き方やかけ方をマスターすることがポイントです。また、現場の測量や路床作り、路盤づくりなどの手順や作業ポイントも紹介しました。 舗装工事を行う際には、これらの手順やポイントをしっかり押さえて作業を進めることが重要です。
現場での正確な作業と注意深い施工が、安全で耐久性の高い道路舗装を実現するために欠かせません。道路舗装工事に携わる皆さんにとって、この記事が参考になり、施工の品質向上に役立つ情報となれば幸いです。