この記事では、脚立を選ぶときに知っておくべきポイントを解説していきたいと思います。
また、よく建設業で扱われる「馬足場」と脚立の違い、脚立を扱う時の注意点を合わせて解説していきたいと思います。
普段、庭の剪定や高い場所で作業をする場合にも使われる身近な脚立ですが、実は様々な種類があり、正しい使い方があることを知っていますか?
正しい使い方を知らなければ、転落などの事故を発生するリスクが高まる可能性があります。
そこで、今回は安全に脚立を使うために、正しい脚立を選ぶときのポイント、またポイントを踏まえたおすすめの脚立を解説していきたいと思います。
また、合わせて脚立を扱うときの注意点になどについても合わせて解説していきたいと思います。
このブログを見て連絡してきた、練馬の新人保険屋さんの千尋(ちひろ)さん。と言う方がいらっしゃいまして建設業の実態教えて欲しいと言われてブログを一緒にやることになりました。
脚立と馬(ウマ)足場の違いとは?

まず、脚立と馬足場の違いについて解説していきます。
脚立について
短いはしごを八の字形に合わせ、上に板をのせた形の踏み台。
引用:Weblio辞書『脚立』
こちらは、よく見かける脚立を指します。
単独で主に使用する機材となります。
馬(ウマ)足場について
脚立を使った足場。2基以上の脚立(馬)に足場板を架けたものを含む。
引用:極東建設株式会社『土木用語集』
高い作業を行う、且つ工具を作業台に置かなければ作業ができない場合にこうした作業行います。
脚立を二基使用して使うことを通称して「馬足場」といいます。立ち馬は今は見かけなくなりましたね。脚立と違い、踏板が細いのが特徴です。
このように脚立と馬足場には使用方法・見た目から明らかな違いがありますが、用途としては高所作業時に用いる共通点があります。
ただ、馬足場での作業は一例ですが以下のような事故が多く発生しているので、馬足場を使用しない現場もあります。

この災害は、うま足場を利用した天井の塗装工事中、作業者4名が同時に足場に乗ったため、過荷重で足場板が折れ、足場から墜落したものである。
災害当日は、建物の外壁塗装工事を予定していたため、建物の外側にうま足場と養生シートを設置した。しかし作業開始直後に雨が降り始め、「塗料が雨に濡れると艶が抜けるので問題である」という理由で作業を中止し、当初予定していなかった天井面の塗装工事を行うことにした。
新たに設置した足場は、うまに足場板を1枚渡したもの2つを並行に2組並べ、それに直交する足場板を3枚乗せて井形に組んだものであった。
災害発生当時、この3枚の足場板に作業者4名が乗って塗装を行っていたが、全員が一方のうまに片寄って乗ったとき、土台となる足場板が折れ、墜落したものである。
引用:厚生労働省職場の安全サイト『うま足場を利用した天井の塗装作業中、過荷重のため足場板が折れ、足場から作業者4名が墜落した』
脚立は3種類に分かれている
本来、手の届かない場所での作業をサポートしてくれる機材である脚立ですが、実はその形は3種類に分かれています。
この3種類の形状を知ることは、作業内容によって正しい脚立を使用することに繋がるので是非チェックしてみてください。
脚立と踏み台 違いとは?
踏台とは、天板の高さが80cm(800mm)未満で、安全に乗れる天板の広さがあるものを言います。
天板が、幅250mm以上・奥行き155mm以上で、支柱接地面より内側にあることと定められています。
天板の高さが80cm(800mm)以上でも上枠が付いているものを踏台と呼ぶことがあります。
脚立タイプ
脚立タイプとは、四脚のはしご型になっているものです。
軽作業、高いところへ上るときに用いられます。
オーソドックスなよく見かけるタイプだと思いますが、最近では脚の部分にローラーがついているタイプのもの等がある多彩な脚立でもあります。
また、形状によってははしごのように扱うことができるタイプでもあります。
踏み台タイプ
足場になる部分が広くなっており、作業場所に様々な工具などを置いて作業をする場合に用いられます。
高さがあまりないので、高所での作業には向いていません。
主に内装作業に用いられることが多い脚立になります。
では次に脚立を選ぶポイントとおススメの脚立などを次にまとめていきたいと思います。
脚立を選ぶときのポイント
では、脚立を選ぶときのポイントを解説していきます。
作業場所・目的で選ぶ
作業環境・用途(目的)に合わせた脚立をまず初めに決めておくとあまり失敗しにくいのではないかと思います。
狭い場所に大きな脚立を選ぶのではなく、踏み台タイプのようなコンパクトタイプを選ぶようにするなど用途なども踏まえながら選ぶようにしましょう。
安全性能が高いものを選ぶ
脚立によっては、開閉時にロックのかかるものや脚部分がどっしりとしているものなどがあります。
特に、滑り止めのグリップがしっかりしているものやはしごにロックがかかるものを選ぶとよいかと思います。
他にもこのような安定性のある、脚が前後で一連となっているものを選ぶと、安全に作業できるのでおすすめです。
収納のしやすさで選ぶ
脚立によっては、大きいものほど場所を取ってしまうものや、そもそも収納できないタイプにものがあります。
収納が可能かどうか、チェックをしてから購入を検討するようにすると良いでしょう。
また、持ち運びや移動に便利なように滑車がついているものもありますので、収納に関しても重点的に検討するようにすると失敗しにくいのではないかと思います。
脚立選びの基本は尺寸法を確認したおくのが必要
脚立は尺で呼ばれることがあります。ゼネコンでも脚立労災が多く持ち込みを禁止してるところもあります。その中で、高所作業になるので寸法は理解するのは必要ですね。一段が300mm(1尺)なので、2段になっていれば600mm、3段になっていれば900mmだという事になります。 脚立を言う時に1200mmと言えば4尺ですし、4尺と言えば1200mmの脚立の事になります

脚立の1尺から6尺以上の寸法解説
600mm | 2尺脚立 |
900mm | 3尺脚立 |
1200mm | 4尺脚立 |
1500mm | 5尺脚立 |
1800mm | 6尺脚立 |
2100mm | 7尺脚立 |
2400mm | 8尺脚立 |
2700mm | 9尺脚立 |
3000mm | 10尺脚立 |
脚立を選ぶならこれ!おすすめの脚立3選 立馬 脚立
では、これらのポイントを踏まえて現役現場監督の筆者がおすすめする脚立を3つほど紹介していきたいと思います。
脚立大手メーカー長谷川:脚立の足が伸縮 おススメ
長谷川工業という脚立では、有名なメーカーが販売している脚部分が伸縮することができる脚立となります。
脚部分が伸縮できることによって狭い場所、特に角部分や階段での作業に役立つ脚立となります。
天板も幅広く、工具を置いての作業にも快適に行うことができます。
また、脚立の足全体が長く設計されているので、近年主流となる天井の高い家の内装でも役立つ脚立でもあります。
持ち運びもラクラクな専用脚立 脚軽BLACK
またまた長谷川工業からの脚立になります。
天板が広く、オーソドックスな設計となっている脚立になります。
脚立を持ち運びするとき、必然的に辛い重みを感じながら運ばなければいけませんでしたが、この脚立の重さはたったの5.2キロとなっています。
軽量化に特化しているものの、しっかり130キロまで耐えられる丈夫な設計となっているので安心して作業を行うことができます。
階段での細かな作業に向いている自由に開閉可能な作業台
こちらも長谷川工業の脚立になりますが、こちらは作業台になっているものとなります。
脚部が伸縮する脚立に比べると高さが劣りますが、脚部分が真横にも開いたりすることができる自由度の高い作業台となります。
また、作業台といわれるのもあってか、天板部分が幅広に設計されているので工具を多く使う現場でも使用することができます。
天板も脚部分も調整可能なアルインコの伸縮天板・伸縮脚付足場台
こちらは、天板部分も脚部分も伸縮することができる作業台になります。
天板部分の最大幅は2.5m以上伸びる設計となっています。
幅広い作業を行う現場であったり、段差の多い現場でも脚部分を伸縮してさせることで安定して作業を行うことができます。
脚も天板も調整することができると、より多くの現場で重宝されやすい脚立になるのではないかと思います。
脚立と一緒にこんな便利グッズ:工具収納など便利
他にも、脚立に付属の部品などを付けることでより脚立を使いこなすことができるようになります。
ALINCO/脚立用収納前掛け:前ちゃん
脚立に取り付けることで。天板の狭い脚立でも工具を収納することができるのでより効率よく作業を進める手助けとなります。
脚立に前掛けのように装着するだけなので、簡単に装着することができます。
キャタツアンダーバッグ KB-30-BK
こちらは、脚立の脚部分に受け皿のように工具を収納することができる付属品となっています。
はしご幅を調整するときに、外さなければならないなどの不便さを感じるかもしれませんが、先述した前掛けよりも収納がしやすいメリットがあります。
つぎは脚立を使用するときの安全教育などを最後にまとめていきたいと思います。
脚立を使用するときは安全教育を受けるべき?
脚立を使用する場合に、安全教育を受けるよう義務付けられているのは「足場の組立、解体、変更」する作業のみとなります。
壁を塗る、剪定を行うなどの作業では脚立を使用する際の安全教育を受ける必要はありません。
ただし、脚立での作業は転落・墜落といった危険性をはらんでいるのでこうした以下のような資料を活用して安全対策に努めて作業を行うようにしましょう。
以下の資料はダウンロードすることが可能なので、是非合わせてチェックしてみてください。
合わせて取得したい、知っておきたい足場の知識
私が建設会社に入社したときには、足場組立の作業主任者技能講習しかなかったです。しかし、今は足場組立特別教育が定着してきましたね。墜落転落災害は建設業では多い労働災害になります。足場組立・解体工事はどこの現場でもほとんど施工が伴って[…]
まとめ
今回は、脚立の購入を検討する際に役立つポイントと使用上の注意点などを解説していきました。
まとめますと、
- 脚立と馬足場は、使用する脚立の用途が違う
- 脚立は、はしご・作業台・脚立の3種類がある
- 脚立は使用環境や用途で検討する
- 脚立による事故は多く発生している
- 足場組立など足場に関する作業を脚立で行う場合は、安全教育を受ける必要がある
ですね。
身近にみられる脚立に注目してみると意外と様々な種類がある、奥深い機材であることが分かります。
普段何気なく使用している脚立を一度見直してみるのも面白いかもしれませんね。