第一種電気工事士の学科試験において、終盤に配置されている「高圧試験・高度法令」の分野は、覚えるべき特有の数値や、法律ごとの細かい手続き制限が集中しているため、受験生にとっての大きな難所となっています。
特に「電気事業法」「電気工事士法」「電気工事業法」という3つの似た名前の法律(電気保安3法)は、それぞれの目的や主語、手続きの対象が異なるため、頭の中でごちゃ混ぜになりがちです。
この記事では、試験に合格するために避けては通れない5つの最重要過去問テーマ(耐電圧試験、接地抵抗測定、保安規程・主任技術者、定期講習義務、特種電気工事)を厳選し、人間の判断を挟まない完全自動化の視点で、分かりやすく整理・解説します。
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- 1 【高圧絶縁抵抗測定と交流耐電圧試験の試験電圧(1.5倍等)・保持時間】第一種電気工事士 区分(上級)・区分(下級) 学科過去問のわかりやすい覚え方
- 2 【接地抵抗測定(大型工場・プラントにおけるA種接地等の測定法)】第一種電気工事士 区分(上級)・区分(下級) 学科過去問のわかりやすい覚え方
- 3 【電気事業法における保安規程の作成と電気主任技術者の職務範囲】第一種電気工事士 区分(上級)・区分(下級) 学科過去問のわかりやすい覚え方
- 4 【電気工事士法における第一種電気工事士免状の交付・定期講習義務】第一種電気工事士 区分(上級)・区分(下級) 学科過去問のわかりやすい覚え方
- 5 【電気工事業法における特種電気工事(自家用電気工作物)の手続き制限】第一種電気工事士 区分(上級)・区分(下級) 学科過去問のわかりやすい覚え方
【高圧絶縁抵抗測定と交流耐電圧試験の試験電圧(1.5倍等)・保持時間】第一種電気工事士 区分(上級)・区分(下級) 学科過去問のわかりやすい覚え方
現場の感覚では〇〇(※高圧機器のテストだから、実際の使用電圧と同じ電圧を少しの間だけかければ十分だろう)ですが、検定試験では真逆の判断が正解になることがあります。ここを取り違えると確実に落とされるため注意が必要です。
高圧電路の絶縁性能を確認するための「交流耐電圧試験」は、自家用電気工作物の検査において最も重要な試験の一つです。試験電圧の算出方法と保持時間は、数字の引っかけ問題として毎年必ずと言っていいほど出題されます。
試験電圧の計算ルール(7000V以下の電路)

第一種電気工事士の試験で対象となる高圧回路(公称電圧6600V、最大使用電圧6900Vの系統)において、耐電圧試験の電圧は以下のように規定されています。
- 試験電圧:最大使用電圧の1.5倍の電圧(ただし、算出された値が5000V未満になる場合は5000Vとする)。
試験問題で最も頻出する「最大使用電圧6900V」の電路の場合、計算は以下のようになります。
6900V × 1.5 = 10350V
試験電圧を加える時間
求めた試験電圧(10350Vなど)を、試験対象の電路と大地の間に10分間連続して加え、絶縁破壊や異常放電などの異常がないことを確認します。試験では「5分間」や「1分間」といったダミーの数値で受験生を惑わせてきますが、「耐電圧はしっかり10分」と記憶してください。
演習問題
問題:最大使用電圧6900Vの高圧電路に交流耐電圧試験を実施する場合の試験電圧[V]と、その電圧を連続して加える時間の組み合わせとして、電気設備技術基準に適合する正しいものはどれか。
- 試験電圧:7935V、保持時間:1分間
- 試験電圧:7935V、保持時間:10分間
- 試験電圧:10350V、保持時間:5分間
- 試験電圧:10350V、保持時間:10分間
解答:4
解説:最大使用電圧が7000V以下の電路の場合、交流耐電圧試験の試験電圧は最大使用電圧の1.5倍となります。したがって、6900V × 1.5 = 10350V となります。また、この試験電圧を連続して加える時間は10分間と定められています。この2つの条件を完全に満たしているのは選択肢4です。ちなみに、7935Vという数値は1.15倍(これは15400Vを超える特定の電路などで使われる係数)を掛けた誤りです。
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【接地抵抗測定(大型工場・プラントにおけるA種接地等の測定法)】第一種電気工事士 区分(上級)・区分(下級) 学科過去問のわかりやすい覚え方
現場の感覚では〇〇(※接地抵抗計のピンは、適当に地面に突き刺して測定器のボタンを押せば勝手に正しい数値が出るはずだ)ですが、検定試験では真逆の判断が正解になることがあります。ここを取り違えると確実に落とされるため注意が必要です。

高圧機器の外箱や避雷器などに施すA種接地工事や、変圧器の低圧側中性点に施すB種接地工事などの抵抗値を測定する場合、一般的に3端子法(3電極法)による接地抵抗計が使用されます。測定時の正しい電極配置ルールが試験のポイントです。
3電極法(E・P・C)の配置と間隔
接地抵抗を正確に測定するためには、埋設されている被測定極のほかに、2本の補助接地棒を地面に打ち込む必要があります。それぞれの電極の名称と配置ルールは以下の通りです。
- E(被測定極):抵抗値を測りたい、実際の接地極(機器からのアース線が繋がっている箇所)。
- P(補助電位極):電圧を測るための補助極。Eから約10m離した場所に打ち込みます。
- C(補助電流極):電流を流すための補助極。Pからさらに約10m(Eからは約20m)離した場所に打ち込みます。
重要なのは、「E - P - C の順に、一直線上にそれぞれ約10mの間隔をあけて配置する」という点です。EとCの間にPを配置しなければ正確な電位分布が測れません。
演習問題
問題:接地抵抗計(3端子法)を用いて高圧機器の外箱の接地抵抗を測定する場合の、被測定極(E)、補助電位極(P)、補助電流極(C)の配置および位置関係に関する記述として、正しいものはどれか。
- EからC、CからPの順に、それぞれ約5mの間隔で一直線上に配置する。
- EからP、PからCの順に、それぞれ約10mの間隔で一直線上に配置する。
- Eを中心として、PとCを互いに反対方向へ約10mずつ離して配置する。
- E、P、Cを、一辺が約10mの正三角形の各頂点となる位置に配置する。
解答:2
解説:接地抵抗計による測定では、被測定極(E)から補助電位極(P)、さらにそこから補助電流極(C)の順に、ほぼ一直線上にそれぞれ約10mの間隔をあけて設置するのが原則です。したがって、選択肢2が正しい記述となります。三角形に配置したり(選択肢4)、Eを挟んで両側に配置したり(選択肢3)すると、地中の電位分布が正しく捉えられず、測定誤差が大きくなるため不適当です。
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【電気事業法における保安規程の作成と電気主任技術者の職務範囲】第一種電気工事士 区分(上級)・区分(下級) 学科過去問のわかりやすい覚え方
電気事業法は、電気工作物の安全を確保するための大元となる法律です。試験では、自家用電気工作物(高圧受電設備のある工場やビルなど)の設置者に義務付けられている「保安規程」の手続きと、「電気主任技術者」の役割に関する引っかけが定番です。

保安規程の届出タイミング
自家用電気工作物を設置する者は、電気の保安を確保するために「保安規程」を定めなければなりません。この保安規程は、「自家用電気工作物の使用の開始前に」経済産業大臣(または産業保安監督部長)に届け出ることが義務付けられています。試験では「工事の開始前」や「使用開始後、遅滞なく」といったタイミングの引っかけが頻出します。
電気主任技術者の職務範囲
設置者は、電気工作物の工事・維持・運用に関する安全の監督をさせるため、電気主任技術者を選任しなければなりません。ここで重要なのは、主任技術者の職務はあくまでも「保安の監督」であるという点です。主任技術者自身が自ら電気工事の作業を行う義務や、施工そのものを管理するわけではなく、安全面における『監督者』としての立ち位置を法律で定めています。
演習問題
問題:電気事業法に基づく、自家用電気工作物の保安に関する記述として、不適当なものはどれか。
- 自家用電気工作物を設置する者は、電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、保安規程を定めなければならない。
- 設置者が定めた保安規程は、自家用電気工作物の使用の開始前に経済産業大臣に届け出なければならない。
- 電気主任技術者は、自家用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督の職務を誠実に行わなければならない。
- 自家用電気工作物の工事に従事する者は、電気主任技術者がその資格において行う指示に必ずしも従う必要はない。
解答:4
解説:電気事業法第43条において、「自家用電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者は、電気主任技術者がその保安のためにする指示に従わなければならない」と明確に規定されています。主任技術者の監督権限は強力であり、現場の作業員がその指示を無視することは許されません。したがって、選択肢4が不適当(誤り)です。他の選択肢1、2、3はすべて法律に準拠した正しい記述です。
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【電気工事士法における第一種電気工事士免状の交付・定期講習義務】第一種電気工事士 区分(上級)・区分(下級) 学科過去問のわかりやすい覚え方
電気工事士法は、電気工事の欠陥による災害を防止するため、「だれがどんな工事を行えるか」を定めた法律です。第一種電気工事士特有のルールとして、「免状の交付手続き」と「定期講習の受講義務」が非常によく出題されます。

免状の交付元
第一種電気工事士の試験に合格し、必要な実務経験を満たした人に対して免状を交付するのは、経済産業大臣ではなく、申請者の居住地にある「都道府県知事」です。再交付や返納、住所変更の手続きもすべて都道府県知事に対して行います。
5年以内ごとの定期講習義務
第一種電気工事士の免状を所持している者は、免状の交付を受けた日から5年以内(前回の講習を受けた日から5年以内)ごとに、経済産業大臣が指定する講習機関の「定期講習」を受けなければなりません。
これは自家用電気工作物の保安に関わる最新の技術や法令を学ぶための義務であり、もしこの定期講習を期限内に受講しなかった場合、都道府県知事から「免状の返納を命じられることがある」という厳しいペナルティが存在します。第二種電気工事士にはこの定期講習義務はありません。
演習問題
問題:電気工事士法における第一種電気工事士の義務及び手続きに関する記述として、不適当なものはどれか。
- 第一種電気工事士免状の交付、再交付、書換えなどの申請は、居住地を管轄する都道府県知事に対して行う。
- 第一種電気工事士は、電気工事の作業に従事するときは、第一種電気工事士免状を携帯していなければならない。
- 第一種電気工事士は、免状の交付を受けた日から5年以内ごとに、定期講習を受けなければならない。
- 定期講習の受講義務に違反した場合であっても、免状の返納を命じられるなどの行政処分を受けることはない。
解答:4
解説:電気工事士法第4条の2において、第一種電気工事士が5年以内ごとの定期講習を受けなかった場合、都道府県知事は「免状の返納を命ずることができる」と定められています。したがって、選択肢4の「行政処分を受けることはない」という記述は誤りであり不適当です。免状の都道府県知事交付(選択肢1)、作業時の免状携帯義務(選択肢2)、5年以内の定期講習義務(選択肢3)はすべて正しい規定です。
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【電気工事業法における特種電気工事(自家用電気工作物)の手続き制限】第一種電気工事士 区分(上級)・区分(下級) 学科過去問のわかりやすい覚え方

現場の感覚では〇〇(※第一種電気工事士の免状さえ持っていれば、ビルや工場の高圧受電設備に関わるどんな電気工事でも制限なく施工できるはずだ)ですが、検定試験では真逆の判断が正解になることがあります。ここを取り違えると確実に落とされるため注意が必要です。
正式名称を「電気工事業の業務の適正化に関する法律」という電気工事業法では、自家用電気工作物のうち、特に専門性が高く激しい危険を伴う特定の工事を「特種電気工事」として指定し、施工できる人(資格)を制限しています。
2つの特種電気工事
試験で問われる特種電気工事は、以下の2種類のみです。これら以外の工事(例えば高圧ケーブルの敷設や、一般的な遮断器の据え付けなど)は、第一種電気工事士であれば施工可能です。
- ネオン工事:ネオン管やネオン変圧器に関わる工事。
- 非常用予備発電装置工事:災害時などに稼働する、自家用の大型発電機に関わる工事。
施工制限の罠
最大の注意点は、「第一種電気工事士の免状を持っていても、これら2つの工事は単独では行えない」という点です。これらの工事を行うには、それぞれの工事に対応した「特種電気工事資格者証」(ネオン特種電気工事資格者、または非常用予備発電装置特種電気工事資格者)の交付を都道府県知事から受けている必要があります。「第一種電気工事士なら無敵」という思い込みを狙った、試験で最も騙されやすい法令ルールです。
演習問題
問題:電気工事業法及び電気工事士法において、自家用電気工作物(最大電力500kW未満)の電気工事のうち、第一種電気工事士の資格のみでは施工できず、別途「特種電気工事資格者証」が必要となる工事の組み合わせとして、正しいものはどれか。
- 高圧受電設備の主遮断器の据付け工事、及び高圧ケーブルの接続工事
- ネオンサインに係る電気工事、及び非常用予備発電装置に係る電気工事
- 構内航空灯火に係る電気工事、及び非常用予備発電装置に係る電気工事
- ネオンサインに係る電気工事、及び高圧変圧器の入替え工事
解答:2
解説:法律によって指定されている「特種電気工事」は、「ネオン工事」と「非常用予備発電装置工事」の2つだけです。これらの工事を施工するためには、第一種電気工事士であっても、それぞれの特種電気工事資格者証を所持していなければなりません。したがって、この2つが並んでいる選択肢2が正解となります。遮断器やケーブル、変圧器の工事は、第一種電気工事士の資格があれば問題なく施工できます。
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まとめ
第一種電気工事士学科試験の「高圧試験・高度法令」分野で、合格のために絶対に落とせない重要数値と法律の関係性を一覧表にまとめました。試験前の最終確認にぜひ活用してください。
| 項目 / 法律名 | 中心となるキーワード・数値 | 試験対策・ひっかけポイントのまとめ |
|---|---|---|
| 交流耐電圧試験 | 最大使用電圧の 1.5倍 ・ 10分間 | 6900V回路なら10350V。「5分」や「1.15倍」のダミーに注意。 |
| 接地抵抗測定 | E - P - C の順 ・ 間隔 10m | 一直線上に等間隔で配置。並び順の引っかけを警戒すること。 |
| 電気事業法 | 保安規程の 使用開始前 届出 / 保安の 監督 | 主任技術者の役割は「作業」や「施工管理」ではなく「監督」。 |
| 電気工事士法 | 都道府県知事 交付 / 5年以内ごと 定期講習 | 講習を受けないと免状の「返納命令」という行政処分を受ける。 |
| 電気工事業法 | ネオン / 非常用予備発電装置 | 一種免状があってもこれらは施工不可。特種資格者証が必要。 |
法令や測定の問題は、ひっかけのパターンが決まっています。「誰が(知事なのか大臣なのか)」「いつ(使用開始前なのか後なのか)」「どの数字(1.5倍、10分、5年、10m)」を意識して、問題文を丁寧に読み進めることで、確実に満点を狙える得点源になります。繰り返し見直して定着させましょう!
