電気工事士試験の学科試験において、「電気の基礎理論」の後半や「配電理論」の回路計算は、公式の使い方さえマスターすれば確実に得点できる単元です。
特に三相交流や配電線路の計算は、一見すると複雑な配線図に見えますが、問われるパターンや使用する数値は完全に決まっています。
本記事では、サイト運営の視点から、実際の試験で頻出する最重要の過去問テーマ4選を厳選し、回路計算を確実に解くためのステップを詳しく解説します。
第一種電気工事士、第二種電気工事士のどちらの学科試験においても、三相交流回路や配電線路の電圧降下、電線の許容電流に関する問題は、毎年必ず出題される共通の重要単元であり、出題頻度が極めて高い「よく出る単元」です。
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【三相交流回路(デルタ結線・スター結線)の基本電圧・電流計算】第一種電気工事士・第二種電気工事士 学科試験過去問のわかりやすい覚え方
まずは根本の仕組みから丁寧に整理します。難しい用語を使わず、図解イメージで理解できるように分解すると…

三相交流回路には、3つの負荷を星型に結ぶ「スター結線(Y)」と、三角形に結ぶ「デルタ結線(Δ)」の2種類があります。この回路を攻略する覚え方のコツは、どちらの結線でどこが「ルート3倍(約1.73倍)」になるかを整理することです。スター結線では、電源から負荷へ向かう線と線の間の電圧(線間電圧)が、負荷1個にかかる電圧(相電圧)のルート3倍になります。逆に、デルタ結線では、電線に流れる電流(線電流)が、負荷1個に流れる電流(相電流)のルート3倍になります。この2つの関係性を正しく入れ替えられるようになれば、基本の電圧・電流計算は非常にシンプルになります。
演習問題
図のような対称三相交流回路において、スター結線(Y結線)された三相負荷の相電圧が116Vであるとき、線間電圧 [V] の値として、適当なものはどれか。ただし、ルート3 = 1.73 とする。
1. 116
2. 200
3. 346
4. 380
解答・解説
正解は 2 です。
【解説】
スター結線(Y結線)における電圧と電流の関係を整理します。
・線間電圧 = ルート3 × 相電圧
・線電流 = 相電流
問題文より、相電圧が116Vと与えられており、線間電圧を求める必要があります。上記の公式に数値を代入します。
線間電圧 = 1.73 × 116 = 200.68 V
最も近い値を選択肢から選ぶと200Vとなるため、選択肢2が適当です。
【他の選択肢が違う理由】
1. 116:相電圧の値をそのまま線間電圧としてしまった数値のため不適当です(これはデルタ結線の場合の関係です)。
3. 346:相電圧を3倍(116 × 3)にしてしまった誤った計算値のため不適当です。
4. 380:他の動力用電圧(380V)と混同させようとする引っかけの数値のため不適当です。
【電線の許容電流と周囲温度・電流減少係数の計算】第一種電気工事士・第二種電気工事士 学科試験過去問のわかりやすい覚え方

電線に安全に流すことができる最大の電流を「許容電流」と呼びます。試験対策として絶対に覚えるべき基本は、周囲温度30℃以下におけるビニル絶縁電線の直径ごとの許容電流値です。直径1.6mmは27A、直径2.0mmは35Aです。そして、実際の工事では電線を1本ずつバラバラに配線することは少なく、金属管などに複数本をまとめて収めます。電線を密集させると熱がこもりやすくなるため、流せる電流を減らす必要があり、そこで使うのが「電流減少係数」です。試験で最も頻出する「同一管内に4本収容」の場合、減少係数は0.63になります。基本の許容電流にこの係数を掛け算し、最後に出てきた小数点以下の端数を適切に処理する流れを覚えましょう。
演習問題
低圧屋内配線において、金属管工事により600Vビニル絶縁電線(軟銅線)を同一管内に4本挿入して施設する場合、電線1本あたりの許容電流 [A] の値として、適当なものはどれか。ただし、周囲温度は30℃以下、電線の直径は2.0mmとし、電流減少係数は0.63とする。
1. 19
2. 22
3. 27
4. 35
解答・解説
正解は 2 です。
【解説】
電線の許容電流を求めるには、まず電線の太さに応じた単独時の許容電流を確認し、それに電流減少係数を掛け合わせます。
ステップ1:直径2.0mmの電線の基本の許容電流は 35A です。
ステップ2:同一管内に4本収容する場合の電流減少係数は 0.63 です。
ステップ3:これらを掛け算して、管内におさめた場合の許容電流を計算します。
35 × 0.63 = 22.05 A
電気設備技術基準の解釈により、計算結果に小数点以下の端数が生じた場合は、小数点第一位を「7捨8入(0.5以下は切り捨て、0.75以上は切り上げ)」して整数値に丸めます。22.05Aの小数点以下は0.05(0.5以下)ですので切り捨てとなり、22Aとなります。
したがって、電線1本あたりの許容電流は22Aとなるため、選択肢2が適当です。
【他の選択肢が違う理由】
1. 19:直径1.6mmの電線(基本27A)に減少係数0.63を掛け算して端数処理した数値(27 × 0.63 = 17.01 → 17A)などに近く、太さを間違えた場合の数値のため不適当です。
3. 27:直径1.6mmの電線の単独時の許容電流、または減少係数を掛け忘れた別の太さの値であるため不適当です。
4. 35:直径2.0mmの電線の「単独時(1本のみ配線)」の許容電流であり、金属管に4本収容したことによる電流減少を考慮していないため不適当です。
【単相2線式・3線式配電線路の電圧降下と電力損失】第一種電気工事士・第二種電気工事士 学科試験過去問のわかりやすい覚え方

配電線路に電流が流れると、電線自体が持つ小さな抵抗によって電圧が下がってしまいます。これを「電圧降下」と呼びます。試験では「単相2線式」と「単相3線式」の2つの回路における電圧降下の違いが頻出します。単相2線式は電気が行って帰ってくるため、電線2本分(2 × I × R)の電圧降下が発生します。一方、単相3線式において、上下の負荷に流れる電流が全く同じ状態(平衡負荷)のときは、真ん中の中性線に電流が流れません(0A)。中性線に電流が流れないということは、中性線での電圧降下も発生しないため、負荷にかかる電圧への影響は外側の電線1本分(1 × I × R)だけで済みます。回路図を見て中性線に電流が流れているかどうかを見極めるのが、ケアレスミスを防ぐ覚え方です。
演習問題
図のような平衡負荷が接続された単相3線式配電線路において、電線1本あたりの抵抗が0.1Ω、負荷電流がともに15Aのとき、負荷の端子電圧 [V] の値として、適当なものはどれか。ただし、電源電圧は各105Vとする。
(回路の条件:電源から3本の電線が伸びており、電線1本あたりの抵抗はそれぞれ0.1Ω。上側の電線に15A、下側の電線に15Aの負荷電流が流れている平衡回路)
1. 102.0
2. 103.5
3. 105.0
4. 106.5
解答・解説
正解は 2 です。
【解説】
単相3線式回路において、上下の負荷電流がともに15Aで等しいため、この回路は「平衡負荷」となります。平衡状態では、真ん中の中性線に流れる電流は 15A - 15A = 0A となり、中性線での電圧降下は発生しません。
したがって、負荷にかかる電圧の減少(電圧降下)は、外側の電線1本分だけを計算すれば良いことになります。
電圧降下 = I × R = 15 × 0.1 = 1.5 V
負荷の端子電圧は、電源電圧からこの電圧降下分を差し引いた値になります。
端子電圧 = 105 - 1.5 = 103.5 V
したがって、端子電圧は103.5Vとなるため、選択肢2が適当です。
【他の選択肢が違う理由】
1. 102.0:単相2線式と勘違いして、電線2本分の電圧降下(2 × 15 × 0.1 = 3.0V)を電源電圧から引いてしまった数値(105 - 3.0 = 102.0V)のため不適当です。
3. 105.0:電線による電圧降下を一切考慮せず、電源電圧をそのまま端子電圧としてしまった数値のため不適当です。
4. 106.5:電圧降下分(1.5V)を引くのではなく、誤って電源電圧に足し算してしまった数値(105 + 1.5 = 106.5V)のため不適当です。
【三相3線式配電線路の電圧降下計算の基本】第一種電気工事士・第二種電気工事士 学科試験過去問のわかりやすい覚え方

動力用の電源として工場などで広く使われている「三相3線式配電線路」の電圧降下計算です。ここでの公式の覚え方は、単相式との構造的な違いを意識することです。単相2線式は「2」、単相3線式の平衡時は「1」を電線1本分の降下(I × R)に掛け算しましたが、三相3線式の場合は「ルート3(約1.73)」を掛け算します。つまり、公式は「電圧降下 = ルート3 × I × R」となります。試験問題では、電線1本あたりの抵抗値 R と線電流 I 、そして「ルート3 = 1.73 とする」という条件が必ず提示されますので、焦らずにこの3つの数値を掛け算するだけで確実に得点できます。公式の形をビジュアルとして覚えておきましょう。
演習問題
図のような三相3線式配電線路において、電線1本あたりの抵抗が0.15Ω、線電流が20Aのとき、送電端(電源側)と受電端(負荷側)の間の電圧降下 [V] の値として、適当なものはどれか。ただし、ルート3 = 1.73 とする。
1. 1.73
2. 3.00
3. 5.19
4. 9.00
解答・解説
正解は 3 です。
【解説】
三相3線式配電線路における線間電圧の電圧降下を求める公式は次の通りです。
電圧降下 = ルート3 × I × R
問題文で与えられた数値を公式に代入します。
・線電流 I = 20 A
・電線1本あたりの抵抗 R = 0.15 Ω
・ルート3 = 1.73
計算を行います。
電圧降下 = 1.73 × 20 × 0.15
まず 20 × 0.15 = 3 を計算します。
電圧降下 = 1.73 × 3 = 5.19 V
したがって、送電端と受電端の間の電圧降下は5.19Vとなるため、選択肢3が適当です。
【他の選択肢が違う理由】
1. 1.73:電線1本分の電圧降下の計算を誤り、ルート3の数値だけがそのまま残ってしまったような不適当な数値です。
2. 3.00:ルート3を掛け忘れて、電線1本分だけの電圧降下(20 × 0.15 = 3.0V)として計算してしまった数値のため不適当です。
4. 9.00:三相回路の電力計算などの別公式と混同し、誤って3倍(3 × 20 × 0.15 = 9.0V)の計算をしてしまった数値のため不適当です。
まとめ
第一種・第二種電気工事士の学科試験に出題される「三相交流」や「配電理論」の計算問題は、一見難解に見えますが、解き方のパターンを一度整理してしまえば大きな得点源になります。
今回解説した4つのテーマ(三相交流の結線特性、電線の許容電流と減少係数、単相3線式の平衡回路、三相3線式の電圧降下公式)は、数字や設定を変えて毎年必ずと言っていいほど出題される超重要項目です。ナビゲーターのネコマルが紹介したスマートフォン向けのテーマ別3コマ図解を繰り返し確認し、どの回路でどの公式・どの係数を使うのかを頭の中でパッと結びつけられるようになるまで、復習を重ねておきましょう。基礎的な回路の仕組みを味方に付ければ、学科試験突破へ確実に前進できます。
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