マンションのバルコニーは共用部分と専有部分の違いは?/トラブルにならない管理組合の知識とは

マンションに住んでいるうえで、知らないまま共用部分にモノを置いてしまいトラブルになってしまった…なんてことがあります。

実は、普段何気なく利用しているバルコニーも見直してみるとマンションの利用規約に違反しているということがあります。

この記事では、そんなバルコニーを利用するうえでトラブルに発展しないよう知っておくべきポイントなどを解説していきたいと思います。

このブログを見て連絡してきた、練馬の新人保険屋さんの千尋(ちひろ)さん。

建設業の実態教えて欲しいと言われてブログを一緒にやることになりました。

 
千尋さん保険屋
久しぶりにマンション記事ですね
 
ネコマル
たまには
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バルコニーは共用部分・専有部分違いは?

マンション管理組合知識 共用部のポイント

そもそもバルコニーは共用部分か専有部分どちらにあたる場所なのか知っていますか?

実は、バルコニーは「共用部分」にあたる場所なのです。

専有部分と共有部分の違い

ではなぜ「バルコニー」が共用部分にあたるのか解説していきます。

専有部分とは?

法律で、建物の中で個人が単独で所有できる部分を「専有部分」と区分しています。

その基準は、床・壁・天井・扉などによって他の部分から遮断されていること、独立した住居、店舗、その他建物としての用途に使われることが必要とされています。

区分所有法という法律で定められていますが壁や床で囲まれた空間の内側だけを専有部分と定め、それ以外は全て共有部分であると定められているのです。

共有部分とは?

共用部分は「法定共用部分」「規約共用部分」に分かれます。

法定共用部分とは、建物のしくみ上、各住居を使用するために欠かせないところを指します。

一方、規約共用とは、建物の構造上、一般の住居のように独立していても、居住者が共同で使うための部分を管理規約で明確に指定されている部分を指します。

以上の違いを表にまとめているので是非合わせてご覧ください。

管理対象所有形態管理主体
建物専有部分住居(住居設備などを含む)(1)該当する区分所有者が所有する区分所有者
共用部分「法定共用部分」
玄関ホール、廊下、階段、エレベーター、電気室、屋上など専有部分に属さない建物部分
(2)一般的には、区分所有者全員で、専有部分の床面積の割合で共有する管理組合
「規約共用部分」
管理事務室、管理用倉庫、集会室など
(3)
「専用使用部分」
専用庭・専用駐車場・バルコニー等
(4)専有使用権を有する方
敷地及びその他付属施設「敷地及びその他付属施設」
駐車場、自転車置場、ゴミ置場など建物に附属する施設
(5)(6)管理組合

専用使用権とは?

 
千尋さん保険屋
細かい決まりがあるんですね
 
ネコマル
はい こんな決まりもあります

共用部分の一部分のみ使用権を得ることができる権利です。

共用部分ではありますが、専用使用権にあたる部分は住居の区分所有者が利用することができます。

そのため、維持・管理は住居の区分所有者がすることになっています。

但し、工作物の設置の禁止、外観変更の禁止、雨水ドレンの目詰まりによる漏水事故や落下物などの事故を防止するための規定を遵守することが専用使用権を行使する上で守らなければならないことなので注意しましょう。

このようにマンション一つとっても様々な区分に分かれているので、やたらにモノを置かないようにすることが必要です。

  • 専有部分…建物の中で床や壁で仕切られている個人が単独で所有できる部分
  • 共有部分
    • 法定共用部分…玄関ホールや廊下、階段といった建物のしくみ上、各住居を使用するために欠かせない部分
    • 規約共用部分…集会室や管理室のような一般の住居のように独立していても、居住者が共同で使うための部分を管理規約で明確に指定されている部分
    • 専用使用権部分…駐車場やバルコニーといった共用部分の一部分のみ使用権を得ることができる権利を持っている部分

共用部と専用部についてもう少し、記載していくともに、よくあるような実際のトラブルに関してもまとめいきたいと思います。



マンションバルコニーに物を置いていい?

先に解説したように、マンションの廊下やバルコニーは共用部分にあたります。

 
千尋さん保険屋
確かに廊下に自転車おいてる人いる
 
ネコマル
それダメなんですね

バルコニーは住居所有者が使用していいように使用権がありますが、共用部分のため修繕工事は管理組合が主体となって動きます。

ただ、使用していいところといっても制限があるのでご紹介していきます。

バルコニーに置いていいもの

バルコニーには棚や物置などを設置している人などいると思いますが、 筆者のマンションにはオーニングを設置してる人がいました

バルコニーに置かれた私物が小物程度であれば室内に一時的に片づけることもできますが、物置などは設置すると撤去を簡単に行うことができないので設置を禁止しているいるマンションは多くあります。

そもそもマンションの場合、火災が発生したときに自宅の玄関側以外にも避難できるルートを確保できるようバルコニーの隣との仕切りにボード(隔板)が使用されています。

つまり、バルコニー部分に物置などの撤去が困難なものは火災時などの災害が発生した場合、避難ルートを塞いでしまうので設置を禁止しているのです。

また、消防法で下記のように定められていることから物置だけでなく避難ルートや避難ハッチを塞ぐようなウッドデッキや人工芝も設置を禁止しています。

避難器具に関する基準(消防法)

  • スノコなどで避難ハッチをふさがない。
  • 避難はしご(つり下げはしご)の使用方法を表示する標識を撤去したりしてはならない。

消防法の規定については、毎年実施される消防設備の法定点検でチェックが必要になるので、避難経路として問題があると判断された場合は、管轄の消防署より改善指示が入ります

他にも、バルコニーを使用する上での禁則事項が、マンションごとに管理規約や使用細則で規定されていますので、事前に確認が必要です。



バルコニーなどで喫煙:トラブル発生

 
千尋さん保険屋
マンションでもめる事は?
 
ネコマル
最近はタバコになりますね

と多くの喫煙者の方が当たり前に行っている行為が実際に裁判に発展した判例があります。

こういった喫煙トラブルは、実際に問題となっているので喫煙している方はしっかりチェックしておきましょう。

喫煙トラブルに関して名古屋地裁が出した判例

  • 上の階の住人を【山下さん】…喘息の病歴あり
  • 下の階の住人を【村上さん

裁判であるよな、XとかYではわかりにくいのでこちらでまとめてみます

この裁判例は、上階の住人の山下さんが、下の階に住んでいる村上さんに対して150万円の損害賠償請求を行った内容になります。

裁判の詳細

村上さんがベランダで喫煙を長い間することで、流れ込んだ煙(副流煙)により上の階の山下さんが体調を悪化させ、精神的肉体的損害を受けたとして裁判を行った内容になります。

訴訟に至った背景は下記の通りです。

  • 平成 23年5月頃、山下さんから管理組合に喫煙をやめてほしい旨を伝えた(ストレスによる体調悪化)
  • 管理組合はベランダでの喫煙をやめるよう掲示や回覧を行った
  • 村上さんは平成23年9月中頃までベランダでの喫煙を止めなかった

山下さんの主張

山下さんは何度もバルコニーでの喫煙をやめるようにお願いしたにも関わらず、村上さんの喫煙が続いたため、訴訟に踏み切りました。

村上さんの主張

村上さんは、このバルコニーでタバコを吸うのが私生活の一部であるし、マンション管理規約等や使用細則等に「バルコニーでの喫煙を禁止」の内容は無いとして反論しました。

ここまでの背景から、争点となるのは「マンション管理規約や使用細則等にバルコニーでの喫煙を禁止する事項があったかどうか」、法律で定められている「区分所有者の共同の利益に反する行為」に該当するのか、ということです。

この争点をおさえた上で、判例結果を見てみましょう。

判例結果

裁判所は当該事案においてこういった結果を示しました。

マンションの専有部分及びこれに接続する専用使用部分における喫煙であっても、他の居住者に著しい不利益を与えていることを知りながら、喫煙を継続し、何らこれを防止する措置を取らない場合には、喫煙行為が不法行為を構成することがありうる

つまり、専用部分でもあっても喫煙行為は不法なものであるということです。

この結果から、損害賠償150万円の求めに対して5万円を支払うよう命じられたとのことです。

裁判結果から分かること・まとめ

今回の裁判で分かったことをまとめていきます。

  • 管理組合等に禁煙の規定がない場合は、バルコニーでの喫煙は可能と判断しても良い
  • 但し自己の所有物である専有部分といっても、いかなる行為が許されるわけではない
  • 他者に著しい不利益を及ぼす場合は、制限が加えられることはやむを得ないことであり、他の住民に与える不利益の限度によっては行動を制限しなければならないこともある
  • 精神的損害は裁判において有利に取り上げられる
    • (今回の判例で喘息による身体的損害は判断にあたらなかった)
  • 今回の判例で判断されたのは、管理組合が禁煙を提示した2011年5月~9月までの4か月間のみ
    • 手紙を出した経緯の期間は裁判にあたらないということ

今回の裁判では、「マンション管理規約や使用細則等にバルコニーでの喫煙を禁止する事項」が明確に提示されていなくとも、法律で定められている「区分所有者の共同の利益に反する行為」に該当している可能性があったことから損害賠償を支払わなければならなかったということでしょう。

喫煙者にとっては「たかが喫煙くらいで裁判になるのか」と思いがちかもしれませんが、その何気なく毎日吸っているタバコが実は大きなトラブルに発展してしまう可能性があります。

「明日は我が身」という気持ちを持ちながら喫煙トラブルにならないよう未然に防ぐようにしていきましょう。



バルコニーでの喫煙でトラブルを避けるには?

吸っているタバコを電子タバコにする

吸っているタバコを電子タバコに変えるだけでも大幅に副流煙を軽減させることができます。

自分自身の健康にも良いだけでなく、周りにも配慮することができるので電子タバコに変えることはメリットになり得るのではないかといえます。

また、室内では葉タバコにして、バルコニーなどの共用部分では電子タバコに切り替えるといった工夫をすることもよい対策になるのではないかと思います。

管理会社を通して住人同士で話し合いの場を設ける

住民同士の話し合いではトラブルになることが多いので、第三者として管理会社を通して話し合いを行うようにすることをおすすめします。

タバコによる副流煙でトラブルになる前に、共用部分でのたばこはどうするべきか、喫煙ルームを設置するべきかなどの話し合いで明確なルールを設けることもトラブルを回避するコツです。

窓を開けない・室内干しをする

タバコの煙対策としてになりますが、窓をなるべく開けないようにすることも副流煙対策になります。

また、洗濯物にタバコの臭いをつけたくないのであれば室内干しを検討することも良い対策ではないかと思います。

但し、一方が我慢を強いられていてはあまり良い対策とは言えないので、お互いウィンウィンの関係になるためにも管理会社を挟んで話し合いを行うようにするべきです。

住民同士のトラブルが起きたら弁護士特約を使おう!

住民同士のトラブルは住民同士では解決できないことが多くあります。

管理会社だけでなく、弁護士特約を利用することで円滑にトラブルを解決することができるので弁護士特約を利用しましょう。



まとめ

今回は、バルコニーが共用部分のときにどのようなことに気を付けるべきか解説していきました。

最後まで記事を読んでいだいたことで、自身のバルコニーの使い方が正しいのか再確認をすることができたのではないでしょうか?

是非、バルコニーを正しく使って住民同士快適にマンションライフを過ごせるといいですね。