舗装工事の手順・作業ポイント
舗装工事は画像の路床から順番にミルフィーユのように積み重ねて行っていきます。
簡単に手順としては、以下の通りになります。
- 現場の測量
- 路床工事
- 路盤工事(下層)
- 路盤工事(上層)
- 基層工事
- 表層工事
では、それぞれ手順に分けて解説していきます。
現場の測量
施工を開始する前に、現場に赴き、設計図との相違性・現場情報を確認して施工する箇所をマーキングしていきます。
路床作り
道路の基面となる路床を作ります。
ブルドーザーもしくはモーターグレーダーで均し、ローラーで転圧するのが一般的です。
基本的には切土や盛土が行われた後からが路床工なのですが、場合によっては置換工法や安定処理工法で路床の強化をした後に、路床整形を行います。
路床工事の作業ポイント
路床工は、以下の点に注意して施工しましょう。
- 路床土を乱さないよう、必要以上の重機作業は避けましょう
- 路床の支持力が均一になるよう、軟弱盤、盛土部分等は入念に締め固めるか、改良するなどしましょう
- 路床整正後、作業車を通す場合は、下層路盤の一層目を仕上げてからにしましょう
路床の段階で部分的に軟弱な箇所があるのは、のちに致命的となる可能性があります。
しっかりとプルーフローリング試験を実施し、監督者自身の目で確かめましょう。
プルフローリング試験
荷重を掛けたダンプトラックなどを走行させ、目視で路床・路盤面の不良箇所を見つける試験です。
不良箇所を発見した場合、その部分を良質な材料と置き換える等の処置が必要なのかが分かります。
路盤づくり(下層)
通常、下層路盤(粒状路盤)にはクラッシャラン(C-40、RC-40等)が、上層路盤(粒度調整路盤)には粒度調整砕石(M-25等)が用いられます。
いずれも、砕石工場などで製造された材料をダンプトラックで搬入し、モーターグレーダーで敷き均し、ロードローラーおよびタイヤローラーで転圧するというのが、一般的な施工手順です。
路盤は、その上の基層・表層を支える基盤であるので、良く締め固めることが肝心です。
以下の点に注意して施工しましょう。
路盤づくり(下層)における作業ポイント
- 規定の締固め度を確保するために、最適含水比近傍で施工すること
- 弱点となりやすい縁端部や構造物近傍では特に入念に締め固めること
- 締め固めには2種類以上のローラーを併用する事が望ましい
- 表層の平坦性向上と材料の食い込み(無駄使い)低減のため平坦に仕上げること
路盤(上層)工事…アスファルト乳剤を散布する
上層路盤の表面に、アスファルト乳剤(PK-3)を1~2(L/m2)程度散布します。
散布には、アスファルトディストリビュータもしくはエンジンスプレーヤを用います。
プライムコートを行う目的は下記の通りです。
- 路盤表面の強化(路盤の破損や降雨による洗掘の防止)
- 雨水の浸透防止および路盤からの毛管水上昇遮断
- アスファルト混合物との接着性
こうしたコーティングを行うことでより道路の強度が増します。
基層工事
基層工事にはアスファルト混合物の敷き均しと締固めの作業がありますので、それぞれ解説していきます。
アスファルト混合物の敷き均し
アスファルトフィニッシャーで、アスファルト混合物の敷き均しを行います。
敷き均し厚さは、余盛量15~20%を見込みます。
フィニッシャーはゆっくりと、しかしどんどん進んでいきます。
ポイント
ダンプの周りが悪く、混合物の供給が追いつかなくなる前に、施工速度を多少ダウンさせる事も覚えておきましょう。(合材を積んだダンプが常に1~2台待機している位が良いでしょう)
締固め
敷均しが終わったら、ローラーを用いて、継目、初期転圧、二次転圧、仕上げ転圧の順に締固めを行います。
ローラーは、施工方向に駆動輪を向けて作業をするのが基本です。
また、順序として、始めに目地部を転圧し、次に横断方向の低い方から高い方へ順次幅寄せしていきます。
敷き均しと締固めにおける作業のポイント
アスファルトの舗設は連続作業が基本です、途中で止めることは良くありません。
段取りが上手くできていなく、施工を中断してしまうような事になれば、出来形や品質の低下は免れません。
施工の当日までに、以下の準備を徹底しましょう。
- 混合物の種類、数量(台数)、到着時刻の再確認
- 施工機械、器具の配置 (ローラーやフィニッシャーの向きは急に変えられませんよ)
- 施工箇所の清掃、欠陥部分の手直し、舗装型枠(定規)などの設置
表層工事
いよいよ舗装工事のクライマックスになる表層工事です。
表層工事には、タックコートの散布及び打ち継目の作業を行います。
タックコートの散布
基層と表層、もしくは付帯構造物などとの付着を良くする目的で、タックコートを行います。
タックコートには、一般にアスファルト乳剤(PK-4)を0.3~0.6(L/m2)程度散布します。
タックコートやプライムコートのようなアスファルト乳剤のコーティングは、設計上、強度とは関係がありませんが、舗装道路の耐久性に大きく影響する事がわかっています。
作業方法は、基層と変わりありません。
作業上のポイント
打ち継目の作業は、混合物が熱いうちに締固めるようにしましょう。
ただし、道路の顔といえる表層に対しては、綺麗に仕上げる為の努力を惜しんではいけません。
これまでの下層の不陸を解消し、特に平坦に仕上げなければなりません。
天候にも留意し、雨が降り始めた場合は、敷き均した混合物を速やかに締固めて、早急に敷均し作業を中断しましょう。
表層で生じる打ち継目は、そのままの状態で残ります。
締固めが不十分だと、供用を開始してから継目部分がだんだん開いていってしまいます。
打ち継目の転圧作業
打ち継目の転圧は、最初に行いましょう。
また、打継目は、上下層の継目が重ならないようにすることが大事です。
さらに、車線を明示するペイントの横面に合わせるのが最も美しい仕上がりです。
そのため、基層を施工する前の段階で、センターラインの位置を、舗装型枠の設置者に教えなくてはなりません。
舗装工事は、基層や表層の転圧が終わり次第、交通を解放しなくてはならないケースも多いのものです。
しかし、施工したてで、交通解放温度が高いと、わだち掘れの原因となったり、舗装表面が荒れてしまうこともあります。
交通の解放は、おおむね50℃以下になってから行いましょう。
夏場などで、温度の降下が遅い場合などは、人為的に舗装体の温度を下げることも検討しましょう。
少し長くなりましたが次は、アスファルト工事で重要な品質管理を次にまとめてみました