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インフラツーリズム:北海道千歳から室蘭へ土木遺産を巡る

2021年11月3日インフラツーリズム

少しずつ、葉の色が色づきはじめ、紅葉の映える季節になってきました。

少し肌寒く感じるときもありますが、天気のいいときは心地よい日々が続いているので、少しどこかへそろそろ旅行へ行こうかなと考えている方もいるのではないかと思います。

そこで、今回は最近注目されている「インフラツーリズム」という旅の様式を利用して、北海道千歳空港を出発して室蘭を目指すツアーを紹介していきたいと思います。

特に、土木遺産に認定されている土木史跡やダムを紹介していきます。

インフラツーリズムとは、インフラ(生活の基盤となる設備や建築物)をツーリズム(観光する/旅行する)といった新しい旅の様式を指します。

前提として、インフラツーリズムで各地を観光するにあたり注意していただきたいのが、

インフラツーリズムでは、触らない・見ることを前提で機械や工具がない中でどのように施工したのか?運搬や配送はどうやって行ったかなどを考えて、昔の施工技術や景観を楽しむツアーになります。

景観を踏み荒らさないこと、触らないことを必ず守りましょう。

中には立ち入り禁止になっている場合おあるので、来訪の際は最新の情報を確認しておくようにしましょう。

女満別へ出発する前は、こうした下のようなサイトを活用して事前に予約しておくと、旅とより楽しめるかと思いますので是非参考にしてみてください。

こうした注意点を守り、土木施工管理技士なら一度は行ってみたい北海道千歳空港からの土木遺跡を、実際の旅行ルートを解説していきます。

インフラツーリズム:北海道千歳~室蘭の土木遺跡を巡るルート

今回の旅は、新千歳空港から出発し、室蘭を目指すインフラ旅です。

新千歳空港までは、羽田空港からの離着陸になっていますが、実際の発着時刻などは最寄りの交通機関を事前に調べて出発するようにしておきましょう。

新千歳空港から室蘭間の移動手段はレンタカーを使用して巡るルートになっています。

他の交通手段を使用する場合は、事前に調べておくようにしましょう。

また、今回の旅は1泊2日の旅になります。

1日目は新千歳空港から室蘭までにある土木・建築史跡を巡り、2日目は北海道を自由散策するといったスケジュールになります。

では、1日目の実際のタイムスケジュールを計画してみましたので、参考にしてみてください。

新千歳空港から室蘭までのインフラツーリズム旅スケジュール

1日目のスケジュールは以下の通りになります。

TimeSchedule
9:00新千歳空港に到着
9:30レンタカー手配を確認して配車手配 1日目は室蘭へ向かって往年のインフラツアーを楽しむ
10:00最初の目的地「王子製紙水力発電施設群」に到着
10:30山線鉄橋に到着
12:30洞爺湖に到着&ランチを堪能
14:00虻田発電所に到着
15:30チキウ岬灯台に到着
16:00室蘭にて自由散策&宿泊施設へ

1日目のルートはこのようにまわっていきます。

では、北海道新千歳空港から出発して室蘭を目指す土木史跡/ダムを巡るインフラツーリズムツアーを紹介していきます。

インフラツーリズム:北海道千歳から室蘭へ出発!土木遺産巡り

北海道の玄関口「新千歳空港」に到着しました。

今の新千歳空港は、空港内外の紅葉が飛行機と映える絶景スポットとなっています。

他にも新千歳空港は魅力的なところが多くありますが、レンタカーを借りて最初の目的地へ向かいましょう。

王子製紙水力発電施設群

王子製紙水力発電施設群は新千歳空港から車で30分のところにあります。

北海道の水力発電所建設を代表する、今でも稼働している水力発電所です。施設の稼働目的は、新聞用紙を生産をするための電力を供給することを主としています。

明治期に入り、文明開化が起こったことにより、国民の識字習得意欲の向上に伴い、新聞などが読まれるようになりました。明治初期の新聞用紙といえば、ボロ布や稲わらを原料としたものが主流でしたが、明治中期(1890年代)になると、木材原料のパルプ紙を生産することが可能になりました。それにより、以前までのボロ布や稲わらの原材料から作られたものではなく、パルプ紙を使った新聞用紙が主流となってきました。

また、日清戦争や日露戦争が起こったことにより、ますます国民の関心も高まることに相まって新聞が増刷されるようになりました。ただ、製紙原料の枯渇・主要工場の水害といったことが起こり、輸入紙に頼らない大量の用紙生産をすることが急務とされました。

そもそも大規模な製紙工場を建設するためには、平坦で広大な土地・清く大量の水・電力などの動力・原料の木材調達・製品流通に有利な輸送が可能かなどの条件を満たすところを探していました。

1904年当時の王子製紙専務:鈴木梅四郎は、会社を永続的な経営を確立すべく、吉川三次郎(先年横川─軽井沢間のアプト式鉄道建設に貢献)らの技師と共に、北海道各地を調査しました。その中から、千歳川は安定した落差と水量があることを突き止め、1907年に建設計画に着手しました。

その後、1910(明治43)年産業用水力発電所としては国内最初となる発電を開始しました。発電した電力を送電する技術も当時では最新式であり、送電可能距離は30キロほどに及びました。

こうした発電所建設により、世界で最大規模の製紙用水力発電所として国内外に注目されている施設でもあります。

現在も企業が管理し、稼働している施設なので見学可能エリアが限られますが、谷に響く発電所の豪快な音を間近で聞くことができます。

山線鉄橋

山線鉄橋は、王子製紙水力発電施設群から車で2分ほどのところにある橋です。

山線鉄橋は、明治32年の元々北海道官設鉄道(北海道開拓使が管理していた官営鉄道):上川線(空知太~旭川)に「第一空知川橋梁」として設けられていた橋が、大正12年:王子製紙水力発電所群の建設による専用鉄道「軽便鉄道」として使用するために、現在の場所に移された橋です。

橋の形状は、「英国製ダブルワーレントラス橋」となっています。「英国製ダブルワーレントラス橋」とは、斜材をすべて”X字型”に交差した造りをしている橋です。斜材へのかかり方は通常のワーレントラス(斜材の向きが”逆W状”になっている橋)とそこまで変わりはありません。英国製となっているのは、英国のメーカーが作成していることからに由来します。

この山線鉄橋を通っていた軽便鉄道は明治41年~昭和26年まで運行していた鉄道です。「山線」という名前は、苫小牧から日高方面に走っていた鉄道を「海線」、支笏湖方面に走っていた鉄道を「山線」とよんでいたことに由来します。

一般の車両とは違い、乗客を乗せる鉄道ではありませんでしたが、大正11年頃からは一般客も乗せて走っていました。ただし、元々乗客を乗せる車両ではなかったために人命への安全性は保障されておらず、軽便鉄道を通る切符には「人命の命の危険は保障せず」と書かれていたほど、人が乗車するには危険な鉄道でもありました。

その後の車の普及・道路整備により、徐々に鉄道の利用頻度は減っていき、ついには昭和26年に軽便鉄道が廃止され、それに伴い山線鉄線にかかる鉄道も廃線となりました。昭和42年には支笏湖のシンボルとして王子製紙から千歳市に寄贈され、道路や歩道橋として利用されてきました。

真っ赤な色が目立つ橋と紅葉のコントラストが写真映えするスポットとして貴重な観光資源を代表をするとともに、近代産業を支えた橋として貴重な土木遺産に指定されています。



洞爺湖

「洞爺湖」は、山線鉄橋から車で1時間30分のところにある日本で有数のカルデラ湖として有名です。数年前には、「洞爺湖サミット」にも利用されているところなので、耳にしたことがある場所ではないかと思います。

洞爺湖は、北海道虻田郡洞爺湖町と有珠郡壮瞥町にまたがる場所に位置する湖です。二級河川にも指定されているので比較的澄んだ水をしているため、美しい景観の湖としても有名な場所とされています。

洞爺湖は、「洞爺カルデラ」で起きたところにできた湖です。カルデラとは、火山活動によってできた大きな凹んだ土地を指します(ただし、比較的大きな火山火口や火山地域の盆地状についてもカルデラと呼ぶように明確な定義はありません)。この、カルデラに長い年月をかけて水が溜まってできた土地を「カルデラ湖」と呼び、洞爺湖のこのカルデラ湖の分類にあたる湖となります。

カルデラ湖としては、屈斜路湖・支笏湖に続いて日本で3番目の大きさを誇る湖です。湖中央には「中島」と呼ばれる島があり、かつては人が住んでいた場所でもありますが、現在は住んでいない無人島になります。

洞爺湖周辺地域は温泉街となっていたり、大小様々な公園がある大きな観光地域となっています。

今回はここで昼食をとることをおすすめします。

大きな観光地域であることから、様々なグルメが楽しめるお店が多く立ち並んでいます。

是非、下のリンクを参考に洞爺湖グルメを堪能してみてください。

虻田発電所

虻田発電所は、洞爺湖から車で2分ほどの場所に位置する発電所です。

虻田発電所は、洞爺湖を貯水池としており、また海(噴火湾)までの距離が近い水力発電所です。湖面標高落差を利用して発電設備技術を確立した発電所でもあります。ちなみに、今でも稼働している歴史ある発電所でもあります。

昭和12年に着工し、昭和14年に完成しました。完成当時は、製鋼・製鉄の街でもある室蘭市へ送電する設備として稼働され、急速に発展した軍需産業を支えました。

高度経済成長期に入った昭和33年頃、富士製鐵が「ホットスリップミル」と呼ばれる設備を稼働し始めました。ホットスリップミルとは、鋼片を原材料にコイルや鋼板を製造する連続圧延機の一つです。生産性の高い圧延機でしたが、稼働する際の電力消費が激しいという課題があり、この莫大な電力を安定的に確保するための発電設備が必要となりました。

どういった仕組みかというと、ローラーが鉄を噛みこんでから一気に圧延して板材にする際の最大電力が5万kwにまで及び、噛みこんで10秒ほどでその電力にまで変動する負荷がかかるようになっています。当時の北海道電力の総量が昼100万kw・夜50万kwであったことから約10%もの電力を圧延機で消費することになります。そのため、この変動負荷に対応するために、鉄塊がローラーに入る直前を検知し、その信号を虻田発電所に送信して負荷と発電出力を増加する追従制御装置を行う機能を導入しました。

この追従制御装置は、洞爺湖の湖水を噴火湾に一気に放流する際に、瞬時に運転開始・停止を制御する出力変更する機能を生かした装置でもありました。

このことから、戦時下の軍需産業を支える要の一つとして貴重な土木遺産に認定されています。

チキウ岬灯台

チキウ岬灯台は、虻田発電所から車で約1時間の場所に位置しています。

チキウ岬灯台は、北海道室蘭市にあるチキウ岬に立つ白亜八角形の灯台です。普段は立ち入り禁止となっていますが、年に1・2回灯台の一般公開が行われているので、時期が合えば灯台内を見学することが可能となっています。

大正9年に灯台が完成し、以後100年経った今でも稼働し続けている貴重な土木遺産でもあります。標高100m以上となる断崖絶壁から眺める景色は室蘭八景にも指定されている絶景となっています。この断崖絶壁は数十キロにも及ぶ地形となっており、約1000万年ほど前の火山活動で誕生したものとなっています。

是非、一日の旅の終着地点にふさわしい絶景を灯台の展望台から眺めてみてください。

インフラツーリズム:北海道のあとの室蘭で泊まりたい宿泊先

では、1日目の旅の疲れを癒す、室蘭で泊まるおすすめの宿泊施設を紹介していきます。

2日目の自由散策に備えて、旅の疲れを癒してください。

虎杖浜天然温泉「旅人の湯」ホテルルートイン東室蘭駅前

〒050-0074 北海道室蘭市中島町3-5-10

アクセス :JR室蘭線 東室蘭駅より徒歩にて約2分!
駐車場  :平面駐車場   112台

室蘭駅からすぐ近くにあるホテルです。天然温泉を楽しむことができる宿泊施設となっています。

天然温泉 幸鐘の湯 ドーミーイン東室蘭

〒050-0074 北海道室蘭市中島町2-30-11

アクセス :東室蘭駅西口より直進 徒歩にて約5分
駐車場  :立体駐車場/幅1.85m長さ5m高さ2.05m/先着順

男女別天然温泉大浴場【幸鐘の湯】とご当地メニューを含んだ種類豊富な朝食レストランが自慢のホテル。

まとめ

今回は、土木遺産を巡るインフラツーリズム旅として北海道千歳から室蘭までを紹介していきました。

絶景を楽しめるポイントが多いので、写真撮影を楽しめるところも多かったのではないかと思います。

インフラというと、無機質なイメージをもたれがちかと思いますが、近代日本産業を支えた施設でありつつも、今では見られないデザイン性の高い建築物が多くあります。

普段に何気なく目にしているインフラ施設を違った視点や建設背景を知ることで、より土木に対する知識が深まるのではないかと思いますので、是非これからの行楽シーズンに足を運んでみてください。

2021年11月3日インフラツーリズムインフラツーリズムインフラツーリズム

Posted by nekomaru