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インフラツーリズム:北海道網走から稚内を目指して土木遺産を巡る旅

2021年10月29日インフラツーリズム

紅葉が色づく季節になり、行楽日和な季節になってきました。

「これからの季節にどこか遠くへ出かけたい」、「普通に観光するだけではつまらないから一味違った旅をしてみたい」と考えている方もいるのではないでしょうか。

そんな方におすすめなのが「インフラツーリズム」という旅の様式です。

インフラツーリズムとは、インフラ(生活の基盤となる設備や建築物)をツーリズム(観光する/旅行する)といった新しい旅の様式を指します。

今回は、そんなインフラツーリズムで巡る旅のルートは北海道網走から出発し、稚内目指して各地の土木遺産を訪れていきます。

インフラツーリズムで各地を観光するにあたり注意していただきたいのが、

インフラツーリズムでは、触らない・見ることを前提で機械や工具がない中でどのように施工したのか?運搬や配送はどうやって行ったかなどを考えて、昔の施工技術や景観を楽しむツアーになります。

景観を踏み荒らさないこと、触らないことを必ず守りましょう。

中には立ち入り禁止になっている場合おあるので、来訪の際は最新の情報を確認しておくようにしましょう。

女満別へ出発する前は、こうした下のようなサイトを活用して事前に予約しておくと、旅とより楽しめるかと思いますので是非参考にしてみてください。

こうした注意点を守り、土木施工管理技士なら一度は行ってみたい網走からの土木遺跡を実際の旅行ルートを解説していきます。

インフラツーリズム:北海道網走~稚内の土木遺産を巡るルート

今回の旅は、女満別空港から出発し、網走を通って最終地点である稚内を目指すインフラ旅です。

女満別空港までは、羽田空港からの離着陸になっていますが、実際の発着時刻などは最寄りの交通機関を事前に調べて出発するようにしておきましょう。

女満別空港から稚内間の移動手段はレンタカーを使用して巡るルートになっています。

他の交通手段を使用する場合は、事前に調べておくようにしましょう。

また、今回の旅は1泊2日の旅になります。

1日目・2日目は女満別空港から網走までにある土木・建築史跡を巡り、2日目は網走から稚内の間にある土木遺産を巡るといったスケジュールになります。

では、実際のタイムスケジュールを計画してみましたので、参考にしてみてください。

1日目:釧路空港から帯広までのインフラツーリズム旅スケジュール

1日目のスケジュールは以下の通りになります。

TimeSchedule
8:45女満別空港に到着
レンタカー手配を確認して配車手配 1日目は稚内へ向かって往年のインフラツアーを楽しむ
10:00最初の目的地「網走港帽子岩ケーソンドック」に到着
10:40網走橋に到着
11:30網走市鉄道記念館に到着
12:00網走市内にてランチを堪能
16:30宗谷線剣淵・士別間鉄道防雪林に到着

1日目のルートはこのようにまわっていきます。

2日目:網走から稚内へ行くインフラツーリズム旅

2日目のスケジュールは以下の通りになります。

TimeSchedule
9:00網走のホテルを出発
9:302日目の最初の目的地「北海道/風連町:幌加内町雨竜発電所」へ到着
13:00稚内港北防波堤ドームへ到着
13:30稚内市内にてランチ&自由散策

2日目のルートは以下の通りになります。

では、それぞれ観光する土木遺産を解説していきます。

インフラツーリズム:北海道網走~稚内の土木遺産を巡る(1日目)

女満別空港に到着しました。

世界遺産知床半島への玄関口としても知られる、北海道の東の空の玄関口になります。滑走路付近にあるひまわり畑はSNS映えするスポットとして空港の観光資源となっています。このひまわり畑と飛行機の離着陸しているところを見ようと、多くの観光客が訪れています。

美しい景観のある女満別空港から1日目の旅は始まります。では、レンタカーに乗って最初の目的地「網走港帽子岩ケーソンドック」へ向かいましょう。

網走港帽子岩ケーソンドック

女満別空港から車で30分の所に位置する構造物です。

日本には現在4か所のケーソンドックがありますが、その一つとして今も現役で活躍しています。更にこの「網走港帽子岩ケーソンドック」は、天然の岩盤をくりぬいた稀な構造(ドライドック)となっています。ケーソンとは、防波堤や地下に建設を行う際に使用れるコンクリート製/鋼製の大型の箱のことを指します。

つまり、ケーソンドックは、そうした大型のコンクリート製/鋼製の箱を建設する施設(ドック)として利用されているということです。また、寒冷地ならではの海洋環境に耐えられるコンクリートケーソンによる築港技術を確立した場所でもあります。

1922(大正11)年頃に網走港修築工事の付帯施設として建設されました。着工から10年以上の長い年月をかけて、1930(昭和5年に完成しました。ドックの最奥部の壁面と階段・背後の防波堤など当時のまま現存している部分が多くあります。

完成から80年以上経った今でも現役で機能している貴重さから、土木遺産に認定されています。

網走橋

網走橋は車で約10以内の場所に位置する橋です。

街の発展に伴い、橋の機能と景観を保つために拡幅された橋であります。完成80年以上経った今でも国道橋として活躍しています。

橋の構造としては、現存する最古の「ゲルバー鈑桁橋」でもあります。ゲルバー鈑桁橋とは、主要部が2径間以上連続する橋の橋脚と橋脚の間にヒンジを設けている構造(ゲルバー橋)に、鈑桁(鋼板や型鋼を組み合わせて断面が「I形」になるように組み立てた桁)を使用した橋です。

1934年に完成し、昭和49年頃に改修工事を行いましたが、建設された当時の施工方法を保存する貴重な土木遺産でもあります。

網走線開業時の鉄道施設(網走市鉄道記念館)

網走橋から車で20分くらいの場所に位置する網走市内を走った鉄道関連の貴重な歴史的遺産を保存する記念館です。

サロマ湖・オホーツク海・能取湖の沿岸を走った国鉄湧網線は昭和62年に廃線となり、卯原内駅も廃止となりました。卯原内駅跡地には、卯原内交通公園が建設され、公園内には今でも駅のホームとSLが保存されています。

保存されている蒸気機関車は「9600系蒸気機関車49643号」であり、連結されている車両は、耐寒対策として2重窓構造などに改造された「オハ形オハ47-508」があります。

川崎で製造された蒸気機関車は、中湧別駅(廃線)から名寄本線に分岐した湧網線を実際に走っていたものになります。

湧網線は北海道屈指の絶景路線として有名な線路でもありました。現在は、サイクリングロードとしてその景色を巡ることができるので、もし時間があれば、自転車を借りてサイクリングロードを巡っても楽しいかもしれません。

卯原内駅が廃止となった今も、駅のホームや蒸気機関車が現存している貴重な建造物として土木遺産に認定されています。



補足:網走グルメはオホーツク海で採れる海の幸が楽しめる!

次の目的地へ向かうまでにしばらく時間がかかるので、網走市内でお昼ご飯を済ませておくとよいかと思います。

網走市内は、オホーツク海で採れる新鮮な海の幸を堪能できるお店が多くあります。

是非、下のリンクからどんなグルメが堪能できるのか参考にしてみてください。

宗谷線剣淵・士別間鉄道防雪林

網走市鉄道記念から車で3時間ほどの場所にある士別駅から剣淵駅間にある防雪林です。通称「深川林地」とも呼ばれている地です。

ちなみに防雪林を間近で見るのであれば士別駅手前の無人駅「北剣淵駅」から見ると、防雪林のうっそうとした風景が見られるのでおススメです。

宗谷線剣渕・士別間鉄道防雪林は、樹木の生育に適さない過湿泥炭地であったこの地を、泥炭の分解を促進する土壌改良法を取り入れ、「ドイツトウヒ」という品種の樹木を植栽した防雪林です。

北海道の鉄道は、1880(明治13)年に手宮(小樽)~札幌間で開通したことが始まりとされています。旭川と稚内を結ぶ宗谷線は1922(大正22)年に全通することができましたが、剣淵~士別間は冬の時期、吹雪が襲う度に線路は一瞬にして埋没するほどの暴雪地帯でした。

現在は、排雪列車が1日1往復すれば列車ダイヤルを円滑にまわすことができますが、当時はすべての列車の発着間ごとに運転しても、立ち往生してしまうほどの有様でした。更に、この区間は過湿泥炭地であったことから樹木の生育に適さない地であったため、線路周辺は無立木地又は、粗林地でした。

この状況を打開するために、1926(大正5)年名寄保線事務所の林業技手だった「深川冬至」は、泥炭地植林の研究に着手しました。その結果、吹雪に耐えられる鉄道防雪林の植栽に成功し、積雪寒冷地であるこの場所を列車が安定的に輸送できるようになりました。

現在も当時の状態のままとなっており、線路を挟んで平行方向に2林帯を設け、1林帯幅20m分左右交互に伐採・植林を繰り返して防雪機能を低下させないよう保守管理をしています。

深川冬至が名寄保線事務所に転任してきた当時に植えられていたのは、1915(大正4)年に植栽した「ヤチダモ」という品種でした。ヤチダモの生育は極めて悪く、生長が停止していたり、枯れてしまっている個体もありました。そこで、深川は泥炭に関する様々な文献から、泥炭の生成状態を研究することから始めることにしました。

その研究結果、樹種も泥炭に強く成長速度の速い浅根性である「ドイツトウヒ」という品種を植栽することで改善されるという事実を突き止めました。ドイツトウヒは、石灰質土壌に適した樹種なため、土壌に石灰を混ぜて苗木を植えるという新しい土壌開拓を行いました。

その結果7年かけて試植したドイツトウヒはすべて成長し、防雪林としての機能を果たすことができました。更に、埋没してしまった排水溝の浚渫(しゅんせつ)を毎年欠かさず行うようにしました。また、地下水位を低下する手法として、多数の網目状の排水溝を敷き、良質な樹木生育環境を整える技術も確立しました。

深川が手塩にかけた防雪林は「深川林地」と名付けられ、1966(昭和41)年に記念碑が建てられました。車窓から眺める、防雪林と雪のコントラストが美しい景観となっています。

インフラツーリズム:北海道網走からの旅の疲れを癒す宿3選

インフラツーリズム北海道の1日目の旅が終了しました。

ここでは、1日目の旅のつかれを癒すことができるおすすめの宿を紹介していきます。

是非、実際に泊まる宿を探すときの参考にしてみてください。

士別inn翠月

〒095-0055 北海道士別市南士別町1871-21

アクセス :士別駅より車で5分
駐車場  :有り 50台 無料

士別駅近くにあるホテルです。深い森に囲まれた自然豊かな場所にある癒しのホテルです。

ホテル美し乃湯温泉

〒095-0019 北海道士別市大通東17-3143-215

アクセス :JR士別駅よりお車にて約10分/道央道士別剣淵ICからお車で約10分
駐車場  :有り 100台 無料 

JR士別駅・道央道士別剣淵ICから車で10分以内、肌に優しい天然温泉で心も身体も癒されるひととき

士別グランドホテル

〒095-0013 北海道士別市東3条6丁目[地図を見る]

アクセス :JR 士別駅より徒歩約15分
駐車場  :有り 40台 無料 先着順

新棟別館 2018年12月26日オープン!士別市周辺の観拠点に最適です。

インフラツーリズム:北海道網走~稚内の土木遺産を巡る(1日目)

士別駅周辺のホテルを出発して2日目のインフラツーリズム旅に出掛けましょう。

では、2日目に通る土木遺産を紹介していきます。

北海道/風連町、幌加内町雨竜発電所

2日目に訪れる最初の地は士別駅から車で20分のところにある北海道風連町の「幌加内町雨竜発電所」です。

北海道の電力供給の中核施設として大規模な工事が行われた発電所です。また、日本で初めての地下式発電所として建設された発電所でもあります。

昭和初期、北海道における工業を復興させようという計画の元、発展を遂げるためにはまず安定供給が見込める電力設備が必要であるということで、1943(昭和18)年に北海道中央北西部に位置する石狩川水系雨竜ダムが完成しました。

更に、その貯水池から6.7キロ延長し、導水路から水をひいて、流域を変更し、天塩川へ放流する工事が行われました。こうした流域変更工事とダム建設により、出力1.5kwのダム水路系発電所が完成しました。

昭和初期の雨竜川流域は、北海道大学の演習林且つ未開拓の原始林が多くありました。「王子製紙(株)」は膨大な森林資源が発電建設を満たす地形に着目しました。森林資源は製紙用原木として利用しつつ、伐採跡を貯水池に利用し、莫大な電力出力を得るために、水力による水力発電所を建設する計画を立てました。

水力発電所が完成するまでに多くの障害や犠牲がありつつも、一つ一つの課題をこなしていきました。

中でも発電所計画の発案者である溝口潔夫・計画を実現させた王子製紙(株)社長:藤原銀治郎・演習林の譲渡に前向きだった北大総長:佐藤晶介・ダム建設予定地までの鉄道建設に理解を示した鉄道次官:八田義明ら等の努力があって完成した壮大な構造物でもありました。

計画立案は大正初期から取り掛かっていましたが、地形図などの基本的資料がほとんど整えていなかった時代であったため、原始林での現地調査は過酷さを極めました。

雨竜発電所の建設にあたり、国有の鉄道路線の変更・北海道大学演習林の払い下げ問題など、莫大な資金が投入された大規模な建設計画でした。完成に至ったのは1938(昭和13)年にまで及ぶ工事でした。

現在も電気施設として稼働しており、随時見学者を受け入れるなど、学生の教育の場として利用されています。

稚内港北防波堤ドーム

稚内港北防波堤ドームは、雨竜発電所から車で2時間ほどの位置にある構造物です。

大正時代末期、稚内港には樺太間に稚迫航路・稚戸航路の2航路が開設されていました。北方交通の要として防波堤・岸壁・港の整備が急ピッチで行われていましたが、一年を通して強風が吹きつける土地であったため、建設中の防波堤ケーソンが崩壊するなど、思うように工事が進みませんでした。

そこで、稚内築港事務所に北海道大学を卒業したばかりの土谷実氏が赴任してきたことで状況が好転していきます。

1931(昭和6)年、土谷は突然上司から、樺太航路を高波から守るための岸壁を4月までの着工に間に合わせるように設計するよう命じられました。当時、コンクリート建築・土木用資材としてはまだまだ普及したばかりだったため、技術資料があまりなかった時代でもありました。

そんな中でも、設計・考案され、1936(昭和11)年に完成しました。その後、1978(昭和53)年に全面的に改修工事が行われ、現在のような独特の形をした構造物が完成しました。

柱には古代ローマ建築物をほうふつとさせるようなデザインが施されており、世界でも類を見ない建築物として、今では観光客の撮影スポットにもなっています。

稚内に泊まってゆっくりと帰宅するおススメのホテル

1泊2日のインフラツーリズムツアーも終わり、日本最北端まで来ました。

北海道開拓時代に建築された壮大な構造物を見て、学んだ疲れを癒すおすすめのホテルを紹介していきます。

ぜひ、稚内で1泊して、ゆっくりと散策しながら旅の帰りも楽しんでみてください。

天然温泉 天北の湯 ドーミーイン稚内

〒097-0022 北海道稚内市中央2丁目7-13[地図を見る]

アクセス :JR 稚内駅より徒歩約2分
駐車場  :立体駐車場60台有料先着順

最上階10階自家源泉の男女別天然温泉大浴場(サウナ付)を完備♪稚内駅より徒歩約2分の好立地!

稚内グランドホテル

〒097-0005 北海道稚内市大黒2-13-11

アクセス :JR 南稚内駅より徒歩3分/稚内空港よりバス・車で約20分
駐車場  :有り 70台 無料 予約不要

天然温泉・広々サウナ完備。JR南稚内駅より徒歩3分。南稚内の繁華街に位置した純和風的なホテル。

ホテル 奥田屋

〒097-0005 北海道稚内市大黒3-7-17[地図を見る]

アクセス :JR南稚内駅より徒歩6分。
駐車場  :有 60台 無料

温泉大浴場有り/ホテル専用駐車場には60台収容可能!

まとめ

今回は、インフラツーリズム:北海道網走から出発して稚内を目指して土木遺産やダムを巡るツアーを紹介していきました。

現在でも使われている施設も多く、日本の技術力の高さがうかがえる構造物が多いことが新たに発見できたのではないかと思います。

中には、現在のインフラに利用されている工法で建てられたものも多くあり、土木施工管理技士に方にとっては既視感のあるものもあったのではないでしょうか。

是非、これからの行楽シーズンで現地に足を赴き、歴史ある建造物を見学してみてください。

2021年10月29日インフラツーリズムインフラツーリズムインフラツーリズム

Posted by nekomaru