
この記事では、一級土木施工管理技士の専門土木「河川」分野から、堤防の盛土施工と段切りに関する過去問【No.21】をテーマに、試験で頻出のポイントを整理します。
築堤盛土の締固め方向、施工中の横断勾配、既設堤防への腹付け時の段切り寸法、高含水比粘性土の運搬方法など、現場でも重要なキーワードが一問に凝縮されています。
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- 段切り標準寸法:高さ0.5m × 幅1.0m 程度が一般的
- 築堤盛土の締固め方向:堤防法線に平行に行い、締固め幅を重複させる
- 施工中の横断勾配:法面侵食防止のため3〜5%の勾配を設ける
- 高含水比粘性土の運搬:わだち掘れ防止のため接地圧の小さい湿地ブルドーザで二次運搬
- 築堤盛土の1層仕上がり厚さ:一般に30cm以下が目安
- 腹付け盛土:新旧堤防を一体化させるため段切り+掻きほぐしが重要
- 表腹付け・裏腹付け:表は透水性が小さい材料、裏は透水性が大きい材料
図解で理解する河川堤防の盛土施工と段切り【一級土木施工管理技士】

図解では、既設堤防に新たな盛土を腹付けする際の段切りの形状と、施工中の横断勾配3〜5%のイメージを示しています。
また、高含水比粘性土を使用する場合の湿地ブルドーザによる二次運搬や、表腹付け・裏腹付けで用いる材料の透水性の違いも視覚的に整理しています。
猫マンガでイメージする堤防盛土と段切りの現場
猫マンガでは、既設堤防の法面にそのまま盛土してしまい、雨で法面が崩れてしまう失敗例から始まります。
そこで現場監督猫が、「まずは段切りして、新旧堤防をがっちり一体化させるんだよ」と説明し、高さ0.5m × 幅1.0m程度の段を重機がしっかり踏めるように施工する様子が描かれます。
さらに、施工中は法面に雨水が集中しないように、堤防横断方向に3〜5%の勾配をつけておくこと、高含水比粘性土では湿地ブルドーザでわだち掘れを防ぐことなど、試験で狙われるポイントをストーリー仕立てで整理しています。
用語と原理の深掘り解説:段切り・盛土施工・排水勾配
1. 段切りの目的と標準寸法
段切りは、既設堤防と新設盛土を一体化させ、すべり破壊を防ぐために行う重要な施工です。
一般に、段切りの標準寸法は高さ0.5m × 幅1.0m程度とされ、重機が段上をしっかり走行・締固めできる寸法が必要です。
問題文の「堤防締固め1層仕上がり厚の倍の20〜30cm程度」は小さすぎて、十分な締固めができないため不適当となります。
2. 締固め方向と締固め幅の重複
築堤盛土の締固めは、堤防法線に平行に行うことが望ましいとされています。
また、締固めに際しては、ローラなどの締固め幅が互いに重複するように走行させることで、端部の締固め不足を防ぎ、均一な密度を確保します。
3. 施工中の横断勾配3〜5%と排水
築堤盛土の施工中に法面の一部へ雨水が集中すると、法面侵食や崩壊の主要因となります。
そのため、施工中は堤防横断方向に3〜5%程度の勾配を設け、雨水を速やかに排水させることが重要です。
4. 高含水比粘性土と湿地ブルドーザ
高含水比粘性土を盛土材料として使用する場合、通常のブルドーザでは接地圧が大きく、わだち掘れが発生しやすくなります。
そこで、接地圧の小さい湿地ブルドーザを用いて盛土箇所までの二次運搬を行うことで、トラフィカビリティを確保しつつ品質を維持します。
5. 表腹付け・裏腹付けと透水性
堤防の「表腹付け(川側)」では、浸水を防ぐために既設堤防より透水性が小さい材料を用いるのが原則です。
一方、「裏腹付け(裏側)」では、浸透した水を速やかに排水するため、既設堤防より透水性が大きい材料を用いることが求められます。
過去問【No.21】河川堤防の盛土施工に関する問題と解説
問題文
【No. 21】 河川堤防の盛土施工に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
選択肢
(1) 築堤盛土の締固めは、堤防法線に平行に行うことが望ましく、締固めに際しては締固め幅が重複するように常に留意して施工する必要がある。
(2) 築堤盛土の施工中は、法面の一部に雨水が集中して流下すると法面侵食の主要因となるため、堤防横断方向に3〜5%程度の勾配を設けながら施工する。
(3) 既設の堤防に腹付けを行う場合は、新旧法面をなじませるため段切りを行い、一般にその大きさは堤防締固め1層仕上がり厚の倍の20〜30 cm程度とすることが多い。
(4) 高含水比粘性土を盛土材料として使用する際は、わだち掘れ防止のために接地圧の小さいブルドーザによる盛土箇所までの二次運搬を行う。
正解
正解:(3)
各選択肢の詳しい解説
(1) 築堤盛土の締固め方向と締固め幅の重複【正しい】
築堤盛土の締固めは、堤防法線に平行に行うことで、堤体全体を均一に締固めることができます。
また、締固め幅を互いに重複させて走行することで、ローラの端部に生じやすい締固め不足を防止できます。したがって、この記述は適当です。
(2) 施工中の横断勾配3〜5%と法面侵食防止【正しい】
施工中に法面の一部へ雨水が集中すると、法面侵食や崩壊の原因となります。
そのため、堤防横断方向に3〜5%程度の勾配を設けて施工することは、排水性を高め、法面侵食を防止するうえで適切な方法です。この記述は適当です。
(3) 段切り寸法20〜30cmの誤り【不適当】
既設堤防に腹付けを行う場合、新旧法面をなじませるために段切りを行いますが、その寸法は一般に高さ0.5m × 幅1.0m程度が標準です。
問題文のように「堤防締固め1層仕上がり厚の倍の20〜30cm程度」とすると、段が小さすぎて重機が十分に乗り入れできず、締固めが不十分となるおそれがあります。
したがって、この記述は不適当であり、正解肢となります。
(4) 高含水比粘性土と湿地ブルドーザ【正しい】
高含水比粘性土は、通常のブルドーザで走行するとわだち掘れが生じやすく、施工性や品質に悪影響を及ぼします。
そこで、接地圧の小さい湿地ブルドーザを用いて盛土箇所までの二次運搬を行うことで、トラフィカビリティを確保しつつ、盛土の品質を維持できます。この記述は適当です。
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よくある質問(FAQ)河川堤防の盛土施工と段切り
Q1. 段切りの標準寸法は必ず0.5m×1.0mですか?
A. 一般的な目安として高さ0.5m × 幅1.0m程度が標準とされていますが、実際には堤防の規模や設計条件により調整されます。試験では「20〜30cm程度」は小さすぎるという点を押さえておきましょう。
Q2. 施工中の横断勾配3〜5%はなぜ重要なのですか?
A. 施工中に法面の一部へ雨水が集中すると、法面侵食や崩壊の原因となります。3〜5%の横断勾配を設けることで、雨水を速やかに排水し、堤防の安定性を確保できます。
Q3. 高含水比粘性土で湿地ブルドーザを使う理由は?
A. 高含水比粘性土は軟らかく、通常のブルドーザでは接地圧が大きくてわだち掘れが発生しやすくなります。湿地ブルドーザは接地圧が小さいため、トラフィカビリティを確保しながら盛土施工を行うことができます。
Q4. 表腹付けと裏腹付けで使う材料の違いは?
A. 表腹付け(川側)では浸水を防ぐため、既設堤防より透水性が小さい材料を使用します。一方、裏腹付け(裏側)では浸透水を排水するため、既設堤防より透水性が大きい材料を使用します。
Q5. この過去問で特に暗記すべき数値は何ですか?
A. 最低限覚えておきたいのは、段切り寸法0.5m×1.0m、横断勾配3〜5%、築堤盛土1層仕上がり厚さ30cm以下の3つです。これらは他の問題でも頻出の重要数値です。