
このページでは、一級土木施工管理技士の専門土木「鋼橋」における高力ボルト施工の過去問(高力ボルトの締付け・検査・摩擦面管理など)を、マンガ・図解・暗記カードで整理していきます。高力ボルトは鋼道路橋の安全性を左右する超重要テーマであり、締付け順序や回転法、ナット回転法、摩擦面の滑り係数などが頻出ポイントです。この記事を読み切れば、過去問の理解だけでなく、本試験でそのまま使える実務レベルの知識まで一気に整理できます。
- 高力ボルト接合は、ボルトの引張りではなく摩擦力で抵抗する構造である。
- 締付け順序は×「端から中央」ではなく、〇「中央から端部へ」が原則である。
- 軸力導入は原則としてナットを回転させて行い、ボルト頭部を回すのは例外的な場合である。
- 回転法・耐力点法で締め付けた高力ボルトは、マーキングにより全数検査を行う。
- 摩擦面は黒皮を除去し、適切な処理により滑り係数0.40以上を確保する必要がある。
- 品質確認は現場試験だけでなく、製造者の試験成績表(ミルシート)等で行う。
- 締付け忘れ・共回り防止のため、マーキング線のずれ量(回転角)を必ず確認する。
図解で押さえる!高力ボルト接合の基本イメージ

高力ボルト接合は、ボルトの軸力によって鋼板同士を強く押し付け、その摩擦力で荷重に抵抗する構造です。図のように、ボルト・ナット・座金で鋼板を締め付け、摩擦面の状態(黒皮除去・赤錆状態・特殊塗装など)によって滑り係数が決まります。滑り係数が不足すると、設計通りの耐力が発揮できないため、摩擦面処理と締付け管理がセットで重要になります。
マンガの内容を文章でイメージ補強
マンガでは、スマホの保護フィルムを貼るシーンになぞらえて、「中央から外側へ」空気を押し出すイメージで高力ボルトを締め付ける様子が描かれています。端から締めると中央部に「浮き」が残ってしまうのに対し、中央から締めることで板同士がぴったり密着し、摩擦力を最大限に発揮できることが直感的に理解できます。また、ナット側だけを回すことで、ボルト軸のねじれを抑え、安定した軸力を導入するイメージもマンガで表現されています。
用語・原理の深掘り解説(高力ボルト施工)
高力ボルト接合と摩擦面管理
- 高力ボルト接合は、ボルトの引張りではなく、鋼板同士の摩擦力で荷重に抵抗する構造です。
- 摩擦面には黒皮(ミルスケール)が残っていると滑り係数が低くなるため、ブラスト処理などで除去し、適度な赤錆状態や専用塗装で滑り係数0.40以上を確保します。
- 摩擦面の状態が悪いと、どれだけ軸力を導入しても設計通りの耐力が得られないため、施工計画段階から管理が必要です。
締付け順序と中央から端部への締付け
- 継手の中央部から締め付け、外側(端部)へと順に締めていくことで、板の浮きを押し出しながら密着させることができます。
- 端部から締めると中央部にたわみが残り、摩擦面が十分に密着せず、設計通りの摩擦力が得られません。
- 試験では、×「外側から中央」/〇「中央から外側」というひっかけが頻出です。
ナット回転法と軸力導入
- 高力ボルトの軸力導入は、原則としてナットを回転させて行います。
- ボルト頭部を回すと、軸がねじれたり、摩擦面との関係が不安定になり、正確な軸力管理が難しくなります。
- 構造上やむを得ない場合にのみボルト頭部を回しますが、その際はトルク係数の変化などを確認する必要があります。
回転法・耐力点法とマーキング検査
- 回転法や耐力点法では、所定の初期締付け後、規定の回転角だけナットを回して軸力を導入します。
- ボルト・ナット・座金・鋼板にまたがるように線を引き、締付け後に線のずれ量(回転角)を確認することで、所要の回転が行われたかを検査します。
- このマーキングによる検査は、原則として全数について行うことが求められます。
品質確認と試験成績表(ミルシート)
- ボルト・ナット・座金の品質は、現場搬入時にすべて試験するのではなく、製造者の試験成績表(ミルシート)などにより確認するのが一般的です。
- 必要に応じて抜き取り試験を行い、規格に適合しているかを確認します。
- 試験成績表と現場での確認を組み合わせることで、品質とトレーサビリティを確保します。
過去問セクション【専門土木・鋼橋・高力ボルト】
【No.18】鋼道路橋における高力ボルトの施工に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
(1) ボルト、ナットについては、原則として現場搬入時にその特性及び品質を保証する試験、検査を行い、規格に合格していることを確認する。
(2) 継手の中央部からボルトを締め付けると、連結版が浮き上がり、密着性が悪くなる傾向があるため、外側から中央に向かって締め付け、2度締めを行う。
(3) 回転法又は耐力点法によって締め付けたボルトに対しては、全数についてマーキングによって所要の回転角があるか否かを検査する。
(4) ボルトの軸力の導入は、ボルトの頭部を回して行うのを原則とし、やむを得ずナットを回して行う場合は、トルク係数値の変化を確認する。
正解とポイント
正解:(3)
回転法または耐力点法で締め付けた高力ボルトは、マーキングにより所要の回転角が得られているかを全数確認するのが原則です。締付け忘れや共回りを防ぎ、設計通りの軸力が導入されているかを確実に確認するための重要な検査です。
各選択肢の詳しい解説
(1) ボルト・ナットの品質確認
現場搬入時にすべてのボルト・ナットについて試験を行うわけではありません。一般には、製造者が発行する試験成績表(ミルシート)などにより品質を確認し、必要に応じて抜き取り試験を行います。そのため、「原則として現場搬入時に試験・検査を行う」という記述は誤りです。
(2) 締付け順序(外側から中央は誤り)
継手の密着性を高めるためには、中央部から締め付けて外側へと進めるのが正しい順序です。外側から中央に向かって締め付けると、中央部にたわみや浮きが残り、摩擦面が十分に密着しません。したがって、「外側から中央に向かって締め付ける」という記述は誤りです。
(3) 回転法・耐力点法と全数マーキング検査(正解)
回転法・耐力点法では、初期締付け後に所定の回転角だけナットを回して軸力を導入します。このとき、ボルト・ナット・座金・鋼板にまたがるように線を引き、締付け後に線のずれ量を確認することで、所要の回転角が得られているかを検査します。このマーキングによる検査は、原則として全数について行う必要があり、記述は適当です。
(4) 軸力導入はナット回転が原則
高力ボルトの軸力導入は、原則としてナットを回転させて行います。ボルト頭部を回すと、軸のねじれや摩擦面との関係が不安定になり、正確な軸力管理が難しくなります。そのため、「ボルト頭部を回すのが原則」という記述は誤りであり、やむを得ない場合のみ頭部を回すことが認められます。
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関連する過去問解説への内部リンク
FAQ|高力ボルト施工でよくある疑問
Q1. 高力ボルト接合と普通ボルト接合の違いは何ですか?
A1. 高力ボルト接合は、ボルトの軸力によって鋼板同士を強く押し付け、その摩擦力で荷重に抵抗する構造です。一方、普通ボルト接合は、ボルトのせん断力や支圧力で荷重に抵抗します。
Q2. なぜ締付け順序が「中央から端部へ」なのですか?
A2. 中央から締めることで、板のたわみや浮きを外側へ押し出しながら密着させることができます。端部から締めると中央部に浮きが残り、摩擦面が十分に密着しないため、摩擦力が低下します。
Q3. 回転法とトルク法の違いは何ですか?
A3. トルク法は、所定のトルク値で締め付ける方法で、トルクレンチを用いて管理します。回転法は、初期締付け後にナットを一定角度回転させることで軸力を導入する方法で、マーキングによる回転角の確認が重要です。
Q4. 摩擦面の滑り係数0.40以上という値はなぜ重要なのですか?
A4. 滑り係数は、摩擦面がどれだけ摩擦力を発揮できるかを表す指標です。設計では、この値を前提に高力ボルト接合の耐力を計算しているため、0.40以上を確保できないと、設計通りの耐力が得られません。
Q5. 試験で狙われやすい高力ボルトのキーワードは何ですか?
A5. 「ナット回転法」「中央から端部への締付け」「回転法・耐力点法」「全数マーキング検査」「滑り係数0.40以上」「摩擦面処理」「試験成績表(ミルシート)」などが頻出キーワードです。暗記カードと過去問を組み合わせて、これらの用語を確実に押さえておきましょう。